「かつてあの子はあちらのキミによる洗脳下にあった。何かのきっかけで解除されたみたい。…本来のあの子はこちらのベルくんと同じ優しい子のはずだ。気付いた時はもう、戻れなかったと思う。」
「…っ!」
「ヘラ!最後まで聞いて。」
「……。」
「うん、いい子だ。…後戻りできなかったあの子は、死地を求めた。それが黒竜だ。」
「なっ!」
「しかし、あの子の望む通りにならなかった、なぜならあの子はあちらのキミによって、黒竜への憎しみを植え付けられている。皮肉なことにそれがあの子を黒竜討伐へ導いてしまった。そして…黒竜を討った。」
「……っ。」
「恐らくあちらのキミによって聞いたんだろう、黒竜の魔石がダンジョン攻略の鍵だと。あの子はその魔石を持って荒れ地と成り果てたオラリオ、ダンジョンへ潜り…死のうとしたがレベルがあまりにも高すぎて制覇してしまった。」
「…その時か、この世界へ召喚されたのは。」
「うん。あの子はこの世界がまだ黒竜の脅威、ダンジョンが未到達にあることを知り、繰り返す気だった、自分を殺すために。」
「させん!絶対にさせるものか!」
「うん、ボクもそう思う。だからあの子を何とか止めてここに居させてるんだ。こちらのベルくんに見張らせる形でね。」
「…そうか。」
「ヘラ…キミがつらいのはわかる。まだ、あるんだ。」
「……まだあるのか。」
「うん…あの子は、死の病に侵されているよ。」
「な、何だと!?アルフィアとメーテリアと同じ病に…!?」
「彼女たちも?そうか…受け継いでいなかったものが発現してしまったんだね。」
「い、医神共に診せなければ!」
「診せたよ。…手の施しようがないほどになっているって。立っているだけでも奇跡と言ってたよ。」
「なっ……。」
「レベル14そのものが病を抑えているようだけど、苦痛そのものは続いていると思う。」
「何故…そこまでわかる。」
「こっちのベルくんがわかると言っていたよ、世界が違えども同じベルくんだ。何かと通ずるものがあるだろうね。」
「……。」
「あちらのキミのロックが厳重すぎてステータスが見れないけど、恐らく死の病は…黒竜による呪いだと思う。」
「何故…わかる?」
「ベヒーモスはええと、ゼウスんとこの【暴喰】が倒したんだっけ?」
「ああ、あの悪食がな。」
「倒した結果、彼はどうなった?」
「…ベヒーモスの毒に侵された。」
「うん。で、リヴァイアサンはキミんとこの、いやベルくんの伯母が倒したよね?」
「…そういうことか。ああ、アルフィアが倒した。そして、もともとかかっていた病が悪化してしまった。」
「うん。なら、黒竜を倒したら何かに侵されると思うんだ。それが今のあの子を苦しめているものだよ。」
「…それでステータス解除か。わかった。」
「つらいと思うけど…。」
「いいや、これは私の…ヘラの名を冠する女神の責任…そして義務だ。」
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