「お前の魔法は無詠唱だったな?」
「うん。」
「そうか、俺も無詠唱の魔法がある。ただ…レベル14の速攻魔法の全出力はレベル7の長文詠唱より強力だ。」
「えっ…。」
「安心しろ、使うとお前の体が木っ端微塵になる。」
「木っ端微塵!?」
「そうだな…、あの猪でも弾けるぐらいだな。」
「お、オッタルさんでも!?」
「安心しろ、お前には使わない。ただ、速攻魔法の強力な使い方を教えてやる。」
「強力な使い方…。」
「まず俺に向かって打ってみろ。」
【ファイアボルト】!
「温い。阿呆が、この距離でやるな!もっと近づけ!」
「痛い!」
「いいか?速攻魔法は詠唱がない分、自由度が非常に高い。手足の1つだと思え。」
「手足…。」
「そうだ。今のだと、手が伸び切ってへなちょこパンチになってる。」
「へ、へなちょこパンチ…。」
「だが、間合いを取ったり一呼吸いれたりする時に目眩ましとして使うのもありだ。特に目あたりにはな、それは人もモンスターも変わらん。」
「…な、なるほど。」
「で、だ。超近距離で近づいてパンチを繰り出すとともに速攻魔法を使え。」
「あ…、アイシャさんとオッタルさんにやったのと同じ…。」
「ほう、もう既に経験済みか。だが、その様子では一発だけだろ?コンビネーションを繰り出せ。」
「コ、コンビネーション?」
「……まずはそこからか、ヘラ様直伝のボクシングを教えてやる。」
「一気に振るな!軽くだ、……これは軽すぎる!」
「こ、こう?」
「そうだ、そこから一気に右だ!」
「シュッ!」
「よし、それを50セットだ!」
「わかった!」
「あれは…ボクシング。しかも私直伝のか。」
「うわぁ…あちらのキミはそんなことまで叩き込んだんだ。恐らく八つ当たりだね。」
「言わないでくれ………ますます罪悪感が強くなる。」
「あ、ごめん。ボクシングならアポロンが上だけどなー。」
「あの変態にベルを指一本も触れさせてたまるか!」
「まあ、それは同意するよ…。」
「はぁ…はぁ…。」
「ヴェルフ・クロッゾ。」
「クロッゾはやめてくれ…。それで何だ?」
「今の見ただろう?こいつの速攻魔法に耐えうる防火のグローブ…いや手袋を作れ。」
「ああ、そうだな。…アンタもいるか?」
「いらん。レベル14の耐久がある。」
「…アンタにも作ってやる。それは俺の意地ってやつだ。」
「…そうか、頼む。」
「気にするな。…アンタもいい加減に前を歩けよ、じゃあな。」
「……いい友を持ったな、こちらのベルは。………ああ、羨ましいな。」
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