世界を渡る最恐最後の眷属   作:覇幻

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60.回想10

「しかし、ベルくんは知っていたはずだ。ヘラが非常な寂しがり屋であることに。」

「!」

「……。」

「だからベルくんは耐え続けていた。それがヘラの寂しさを紛らわせていることに気づきながらも。」

「だからこそ!許せないんです!」

 

「そうだね。…でもそれよりひどいのは、ベルくんに復讐心を植え込んだことだ。」

「…はい。」

「でもね、メーテリアくん。ベルくんがずっとその仇を知らずにいられると思うのかい?」

「!」

「あの子は恐らく純粋無垢だ。でも、その純粋が良くない方向へ行ったらとしたら?」

 

「……いずれそうなっていた、ですか?」

「かもしれないということだよ?」

「………私はどうしたらいいんですか?」

「うん、落ち着いたようだね。では、ヘラに会わせるよ。」

 

「うまいな。」

「さすがヘラのストッパーだなー。」

「何故この方が天界峰の主神じゃないんですか…。」

「面倒じゃから儂に押し付けたんじゃ☆」

「交代してほしい、正直にいって。」

「辛辣ぅぅぅぅ!」

「もう天界全体の主神にしてもいいのではないですか?オーディンも降してほしいです。」

「ヘスティアは面倒くさがりやだからなー。」

 

「部屋が…真っ暗?」

「目をこらしてごらん。」

「え?……あれが…義母さん?」

「そうだよ。」

 

「ヘラ、元気かい?」

「すまない…ベル、すまない…メーテリア。」

「ヘラ、メーテリアくんが来たよ。」

「私は女神失格だ…、私は償いきれない罪を犯した…。」

「ヘラ、うん。元気そうだ。」

 

「すまない…ベル、すまない…メーテリア。」

「…………な。」

「私は女神失格だ…、私は償いきれない罪を犯した…。」

「……これが……あの義母さん?傲慢の塊の?」

 

「見ていられんな…こんなヘラは。」

「そういうな。仕方がないんじゃ…超絶残虐破壊衝動モードとなったヘラはヘスティア以外聞き入れん。ベルが14年間も生きとったこと自体が奇跡じゃ。」

「このようなヘラ様、見たくもありませんでした……。」

 

「メーテリアくん、ヘラの腕の中にあるもの見てごらん。」

「え?…これは、ベルの…服?」

「そう。ヘラは天界へ還ってから今もずっと泣き続けているんだ。ベルくんの服を抱えながらね。」

「何で……。」

「…ヘラの超絶残虐破壊衝動モードはよほどのことが無い限り解除されない。天界では何故かボクの声のみが届いてようやく正常に戻れるけど…下界は。」

「……。」

「もし、正常に戻っていたらベルくんを溺愛していたと思うよ。」

「それを期待していたのですが…。」

 

「それは間違いないのう。溺愛が限界突破して度を過ぎていたかもな。」

「それはそれでどうかと思うぞ。」

「逆にベルくんが外へ出られず、全ての行動をヘラに制限されてずっと赤子扱いされていたと思うぜ?」

「赤ちゃんプレイ…じゃと!?」

「……この爺、どうにか葬れないだろうか?」

 

「お祖父ちゃんへ預けるべきだったのでしょうか?」

「うーーーん、それについてボクはなんとも言えないね。」

 

「いや、それはどうだろうか?」

「それはあまりおすすめできませんね。」

「お主ら…ひどくないかのう?」

 

「せめて…【ゼウス・ファミリア】【ヘラ・ファミリア】が健在だったときに、ヘスティア様が居てほしかったです。」

「へ?ボクに?」

「ええ、この短時間で話してわかりました。ヘスティア様は天界…いいえ三界一の善神です。貴女なら安心してベルを預けられたのですが、残念です…。」

「ごめんね…。」

「いいえ、済んだことですから。」

 

「そうじゃのう。ヘスティアなら安心して預けられるのう。」

「私でもいいぞ?」

「アルテミス…、君は男嫌いだろ?ベルくんは男だせ?」

「オリオンなら問題ない。」

「貴女…、まさか。」

 

「どうする?ヘラを裁く?」

「ふふふ、ずるいですね。いえ、ヘスティア様は優しいですね。先程までの私なら義母さんを裁いていたでしょう。でも…もういいです。」

「そっか…すまないね。」

「いいえ。ベルの魂が修復してくれることを祈るばかりです。」

「大丈夫さ!」

 

「や、やった…。俺は成し遂げた…成し遂げたぞぉぉぉぉ!」

「すげぇ…。」

「眩しっ!」

「これが…大英雄の魂、だと!?」

 

「嗚呼…素敵。ベルの魂。」

「眩しっ!」

「フレイヤ…確かか?」

「ええ、間違いないわ。ベルの魂そのもの。」

「成功じゃな!でかしたぞ、タナトス!」

「いいや、まだだ。魂が形になっただけだ。見ろ、ところどころにあるヒビを。」

「「「あ、ホントだ。」」」

「ここからが本番だ。」

 

「どうだ?ミアハ、ディアンケヒト。」

「厳しいな…。」

「このままで下界へ降りても不完全となり砕け散るぞ!」

「そうか、やってくれ。」

「エレボス、無茶言うな!魂の治療だと!?」

「……やってみる。」

「ミアハ!?」

 

「ディアンケヒト、我らは償いをしなければならない。」

「…!」

「わかるだろう?この魂は誰の魂だ?そしてこの魂がこうなったのは私達が…彼女たちを治せなかったのが原因だ。」

「だ、だが……!」

「彼女たちが治っていたら…三大クエストを達成してたかもしれない。またはこの子がこうなるのはなかったかもしれない。」

「あくまでも仮定じゃろう!?」

「お前はやらなくてもいい。私がやる。それが…彼女たちいや彼への償いだ。」

「くそっ!儂もやる!」

「冥界の医神も協力するぜ。」

 

「はぁ…はぁ…。」

「や、やったぞ……。」

「「「……これで冥界は元に戻るぅぅぅぅ!」」」

 

「だ、駄目じゃ!眩しくて見れん!」

「これが本来のベルの魂の輝き…。」

「色は確かに…透明だ。これだけの輝きを保って透明とはあり得ない!さすがオリオンだ!」

「ああ、私の伴侶…。」

 

「「は?」」

 

「争うなよ…。これで完成かい?エレボス。」

「ああ、後は…アルフィアと君の魂だけだ。」

「……。」

「どうした?今更怖気ついたのかい?」

「いいえ…、このような時が来るとは思わなかったわ。」

「ボクらの責任問題だから、気にしなくてもいいんだよ。」

「ありがとうございます……。」

 

「じゃあ、タナトス。やってくれ。」

「あいよ。……まずはアルフィアっと。よし漂白したっと。そして女王陛下…いやメーテリア。」

「ええ、タナトスさん。ごめんなさい、そしてありがとう。」

「いやいや、こういう仕事がやりたかったんだ。下界へ降りてもろくなことしなかったからいいきっかけさ。…いいかい?」

「ええ。皆様、ありがとうございました。」

「じゃあね、メーテリアくん。」

「ヘスティア様…、義母をお願いします。」

「任された!」

 

「あとはこの子の魂だな。ええと、メーテリアの腹に宿るのが16年後にセットして…と。」

「あー、ちょっといいかのう?」

「何だよ、ゼウス。」

「ついでにこの魂らも同時漂白してほしいのう。」

「ちょ…何をキープしてんだ!扱いを間違えると転生できないんだぞ!」

「まあまあ、つべこべ言わずにホレ☆」

「うおおおお!危ねえ!よしよし…コレと…コレと。」

 

「ゼウス…まさかあの魂。」

「おっと、お主には見えるんじゃったのう。内緒じゃぞ☆」

「キモいわよ…。」

「辛辣ぅぅぅぅ!」




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