「いたぞ!…黒竜のあの傷ついた姿初めてみるぞ。」
「何故、竜の谷からこんなに離れているんだ?」
「…ベル!片目が!」
「ベル、命令だ!こっちへ来い!」
「……お断りします。黒竜は僕が倒します…。」
「僕?」
「言葉遣いが…。」
「やはり洗脳が解けている…。」
「ふむぅ…。ザルド、ベルはどのぐらい強いんじゃ?」
「俺等と戦ったときはレベル7最上位…は?この味は…ば、馬鹿な!」
「やはりかのう…あの子、マキシムや【女帝】より強いぞい。」
「馬鹿な!この短期間で!?」
「おそらく…スキルだ。相手が復讐対象者で…強ければ強いほど、ベルは更に強くなる。」
「正解です…。そしてこいつで最後です。」
「!?やめるんじゃ!ベル!」
「爺?」
【生誕の憎悪、血族の仇、復讐のみが我が身の証明】
(カァァァァン…カァァァァン…)
「唱えるのをやめるんじゃ!ベル!お主が死ぬぞ!」
「貴方?」
「あやつ、黒竜で…最後の復讐対象で自分の命を賭けて終える気じゃ!」
「「「!?」」」
【愛はなく、情もなく、欲もなく。飛び交う悲鳴こそ我の喜び】
(カァァァァン…カァァァァン…)
「何だ…この鐘の音は?」
「まさか…詠唱と共に溜めているのか!?」
「くそっ!黒竜が暴れまわってて、近づけねえ!こちらはお荷物があるというのに!」
「アルフィア!呼びかけ続けるんじゃ!お主しか…あの子の肉親であるお主しか、あの子を止められん!」
「!…やめろ!ベル!やめるんだ!」
「……。」
【神々の罵倒、精霊の嗚咽、人の悲鳴、それこそ罪禍の証明】
(カァァァァン…カァァァァン…)
「くそっ!ますます激しくなって近づけねえ!」
「ベル!お前がそれをやる必要はない!私が…私達がやるからやめてくれ!」
「やめろ!ベル!」
【復讐に堕ちし我が運命よ、讃えよ。祝福せよ。】
(カァァァァン…カァァァァン…)
「この段階でもう魔力の臨界に入りやがった!」
「くっ…なら、無効化させる!」
「アルフィア!?」
【魂の平静】
「【静寂の…ガハッ!」
「なっ!小石を…アルフィアに。」
「ベル!何をする!」
「こちらの思惑を見抜きおったんじゃ…。本当に7歳児かのう?」
【代償はここに。罪の証をもって全てを滅す】
(カァァァァン…カァァァァン…)
「やめるんじゃ!お主の母、メーテリアはそれを絶対に喜ばんぞ!」
「やめてくれ!ベル!」
【轟け、聖鐘楼】
(カァァァァン…カァァァァン…)
【ヴィンディクティブ・アンジェラス】
「なんて魔力だ…え?」
「ミスリルの大剣に?」
(カァァァァン…カァァァァン…)
「二重チャージじゃと!?さっきの魔法をミスリルに吸収させてさらに溜めよった!」
「止めろ!そのチャージを止めるんだ!ベル!」
(カァァァァン…カァァァァン…)
「お断り…します。俺は…僕は…償いきれない罪を犯しました。」
「それは私達が背負う!だからお前はそれを止めろ!」
「…嫌です。こいつで最後です。こいつで…僕の復讐はやっと終わる。」
(カァァァァン…カァァァァン…)
「俺らは…あいつらはそんなの望んでいない!お前を犠牲にしてまでも、そんなの絶対に望まない!」
「そうだ!メーテリアは絶対に望まない!」
「…やはり貴方がたは僕の家族ですか…今更来ても遅いです。……早く来てほしかった!」
「「!」」
「ベル…。」
(カァァァァン…カァァァァン…)
「では……さようなら。」
「やめるんじゃ!」
「待て!ベル!」
「やめろ!」
「やめてくれ!」
「くっ…!何という光だ!」
「見えん!」
「くそ…すごい煙で見えん。」
「…気配がない。ベルはどこだ!?」
「やりおった…ベルのやつ。単独で黒竜を討ちおった…。」
「ベル…ベル!どこだ!」
「黒竜の魔石がない?ドロップアイテムは…黒竜の角と牙と胃袋…いや、女?」
「…まさか、大精霊アリアか?」
「う、うう…。」
「気がついたかのう?」
「貴方がたは…大神ゼウス様!?ヘラ様!?何故、このようなところに…。」
「私が説明する。」
「そういうことですか…。」
「そうだ…お主の分身であるアイズはあの子によって、な。…責めるなら私を責めろ。」
「いいえ…さっきから風が教えてくれています。アイズの暴走によって多くの命が失われ、それを止めようとしたのがあの子ということを。」
「「「!」」」
「…あの子は今、巨大な魔石を持って大きな都市…オラリオ?というところへ向かっているそうです。」
「…まさか、ダンジョンへ?」
「危険だ!何もないまま潜る気か!」
「いかん!オラリオへ早く戻るんじゃ!べルは黒竜で死ねなかった分、ダンジョンで死のうとしておる!」
「「「!?」」」
「一旦、お前は私の血を媒体にして顕現しろ。」
「かしこまりました、ヘラ様。!…先程、彼はダンジョンへ潜ったとの風が教えてくれました。」
「速すぎる…。」
「まさか最終階層へ?」
「早く行くんじゃ!儂らでは行けん。」
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