「あら?」
「どけ小娘共。」
「こちらへ潜った白い髪の子供の保護者でしょうか?」
「ああ。」
「そうかよ。…止めてやってくれ、あいつ死のうとしてやがる。」
「私達に向けて「ごめんなさい」と言って行ったわ…。アストレア様はアイズちゃんの剣にかかって送還されたけどね。」
「ほほー、なら儂の眷属に…痛い痛い痛い!」
「一旦私の眷属にする。私達を守れ。アリア、お前はアルフィアたちと共に向かえ。」
「かしこまりました。」
「…あの時あの子に会った時に気絶させて、恩恵を封印するべきだった!」
「仕方がないだろう、あそこまで強いと思わなかったんだ。…まさか黒竜を単身で討つとはな。」
「ええ…アルバートのやったことを、7歳児が超えると思いませんでした。」
「それはどうでもいい。あの子が第一だ。」
「ああ…。」
「失礼しました。」
「30階層か…。」
「しばらく休むぞ。……この匂い、あいつの?」
「何だと!?」
「この血溜まりは…まさか。」
「…まさか私と同じ死の病に!?」
「少し休んだら追うぞ!この乾きようからしてまだ…くっ!もう71階層かよ!」
「開いたか…最深層への道が。」
「…風があの子を追っていますが、途絶えました。」
「何だと!?」
「71階層から…瘴気が漂っているためです。」
「「!」」
「…アンタは。」
「お前らは…異端児か。」
「……アンタからあいつと同じ匂いがしやがる。あいつに何するんだ?」
「連れ戻す。私の甥だ。」
「甥?ええと…姉妹の子だっけか?」
「ああ。その子は下へ行ったか?」
「ああ…オレっちは行けねえ。あまりにも同胞が強すぎるんでな。……早く行ってやってくれ、あいつ…泣いてやがった。」
「「!」」
「償いきれない罪を犯したとか…家族を傷つけてしまったとか。」
「………っ。」
「…早く行ってやってくれ。」
「……教えてくれて感謝する。」
「すまねえな…。」
「いいってことよ。」
「…モンスターがいないな、いや既にあの子が倒したか。」
「ええ、瘴気の原因となったのを倒したのでしょう。風を使ってあの子を探します。」
「頼む。」
「はぁ…俺らが苦労してきたことがあっさりと7歳児に追いつかれるとはな。」
「どうでもいい。アリア、まだか?」
「見つけました!…何か…巨大なモンスターと戦っています。」
「行くぞ!」
「…あの子が産まれた時に引き取るべきだった。これ以上なく後悔している。」
「私がいうことではありませんが、何故そばにいなかったのですか?」
「わかるだろう?寿命が近いのにあの子のそばにいたらあの子に悲しみを植えてつけてしまう。…しかし、ヘラが正気に返らなかったのが計算外だった、正気に戻るまで嫐るべきだった。」
「嫐る!?」
「そ、そうですか。」
「俺も行くべきだったかな…。」
「ヘラがいるぞ?」
「そうだった!…無理だな。」
「ここが…終点か。」
「アリア、ベルはどこだ?」
「待ってください……いました!早く向かいましょう!倒れています!」
「なっ!?どこだ!」
「この一本道をずっとです!覚悟してください…瀕死状態です。」
「「!」」
「…なんて大量の灰だ。ベヒーモス並…いやそれ以上のやつがいたな。」
「…単独で制覇したのか。」
「どうりでモンスターが出てこないわけだ。」
「ベルはどこだ!?」
「あそこです!」
「起きろ!起きるんだ!ベル!」
「アルフィアさん、もう少し優しく…。」
「…あ、う…ゲホッ…。」
「お前…両目が…。」
「何故…何故生き急いだ!オラリオを…黒竜がそんなに憎かったのか!」
「……か、ぞくを、こ…ろし、お…いだし、たから。」
「そんなの!私は…私達は望んでいない!お前が元気に育っていればそれでよかったんだ!…ヘラがああ暴挙に出るとは思わなかった!いや…私が…メーテリアの姉である私が、お前のそばにいて守るべきだった!すまない!すまない!」
「…ヘ、ラ様は…寂し、かった、だけ。だから…ぼくが…守らなきゃ…ど、んな…仕打、ちでも…ガハッ。」
「お前…。」
「もういい…喋るな。…帰ろう、ずっと側にいるからな。」
「…そ、のまえ、に…このけ、はいは……大…精霊?」
「ええ…アリアです。私を黒竜から解放していただき、ありがとうございます。」
「ご、めん…な、さい。あな、たのむ‥すめさんを、ころ…した、のは…僕です。」
「「!」」
「知っています。けど、貴方はアイズを止めてくれた。」
「…こ、ろして…くだ、さい。あ、なたの…か、たき…です。」
「「!」」
「…いいえ、殺しません。その代わり、生きてください。」
「………。」
【我に…与えよ、罪と…罰を】
【ヴィクティム…トーチャ】
「…これは?…お前!まさか!」
「私を蝕んでいた黒竜の呪いが…なくなっている?貴方、まさか!」
「毒が…ない?自分自身に転移したのか!?も、戻せ!死ぬぞ!」
「……こ、れで、いい…んで、す。な、が…いきして…くだ、さい。」
「やめろ!元に戻せ!」
「やめなさい!私は、神々との契約を破ったんです!呪われて当然なのです!」
「だ、いはん…ざい、しゃのぼ、くは…いき、ては、い…けな、い。」
「それは私達が背負う!だから戻せ!」
「そうだ!早くしろ!」
「…っ!手遅れです。もう…。」
「さ…、いごにあ…えてよか…った………。」
「おい…?おい…起きろ!」
「アルフィア…もう。」
「何故だ!何故!この子が死なければならない!まだ…7歳なんだぞ!」
「「……。」」
「私の病…ザルドの毒…アリアの呪い…自分に転移しなければ!少しでも生き永らえたものを!」
「「……。」」
「どうしてだ…どうして!自分の命を粗末にする!メーテリアが命賭けて産んだ命を!」
「…罪を自覚したからだ。7歳児には耐えきれなかったんだ、ヘラの洗脳が…逆にこいつを守ったんだ。」
「言いませんでしたが…あの子はオラリオでアイズを殺した後、ずっと…贖罪の言葉を言い続けていたそうです。」
「「!」」
「あの子は…ザルドさんの言う通り、罪悪感に苦しんでいました。7歳児であれだけ殺していれば無理もありません…。本来は優しい子なんでしょう。」
「メーテリアもそうだった!顔向けできん!」
「せめて、こいつの亡骸を丁重に葬ろうぜ。」
「世界で一番穏やかな風が吹いていて、眺めがいいところで弔いましょう。」
「ああ……帰ろう、ベル。」
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