「………。」
「や、やはり…!」
「あれ?キミ…ベルくんに似てない?」
「…貴女は?」
「ボクはヘスティア、一応この子の同行神だけど…ヘラ、この子を知っているのかい?」
「ガクガクブルブル」
「…えーと。」
「久しぶりね…義母さん。」
「義母さん!?…まさか、キミはベルくんの実母なのかい!?」
「…初めまして。ヘスティア様。はい、【ヘラ・ファミリア】のメーテリアと言います。すみませんが、親子の会話のため、お帰り願えませんか?」
「ヘスティア!頼む!居てくれ!」
「……メーテリアくん。キミは…ヘラを憎んでいるのかい?」
「憎む…?フフフ…憎む?」
「「「ひっ」」」
「憎むなんて…物足りない!」
「ひっ」
「あんなことをしておいて!私の可愛い一人息子を!」
「ま、待ってくれ…」
「許さない!許さない!許さない!1歳からあんなことを!何度も殺しても飽きたらないわ!」
「あー…」
「よりによって洗脳までも!しかも、あの可愛い息子の玉の肌を傷だらけに!」
「メーテリアくん…」
「義母さんに預けた私も愚かだった!姉さんも許さない!」
「メーテリアくん。」
「冥界で永遠に苦しませてやる!」
「メーテリアくん!」
「!」
「キミは見ただろう?ベルくんの今を。それを知ってなおヘラを責めるのかい?」
「当たり前です!今のベルが幸せでも、それ以前に義母さんがベルにしたことは消えません!」
「でもベルくんが黒竜を討伐しなければ、世界は黒き終末に滅ぼされていたはずだよ?」
「そんなの知るもんですか!世界よりベルの方が大切に決まっています!」
「うん、まあ母ならそう言うよね。なら、ボクを先に裁きなさい。」
「「「!」」」
「ボクは孤児を守る女神だ。ヘラへ叱責するべきだった。まあ、寝ていたボクも悪いけど。」
「ヘスティア…。」
「………。」
「メーテリアくん、キミのヘラへの憎しみや恨みはボクにはわからない。キミが腹を痛めて産んだ子だ、その子がキミの主神であるヘラによって甚振られたのは非常に耐え難いんだろう。そもそもヘラが正常に戻らなかったのが原因だけど。」
「ぐはっ!?」
「ヘラもキミを含めて多くの子を失ったけど、それでもベルくんを甚振った理由にはならない。むしろひどすぎる。女神失格と言ってもいい。」
「がはっ!?」
「ヘラの罪はボクから見ても非常に許し難い。洗脳や制約を課したのは独占欲だと思うかもしれないけど、子供は自由であるべきだ。それを縛り甚振ったヘラは、司るものを管理する資格はないとボクは思う。」
「うぐっ!」
「しかし、ベルくんは知っていたはずだ。ヘラが非常な寂しがり屋であることに。」
「!」
「だからベルくんは耐え続けていた。それがヘラの寂しさを紛らわせていることに気づきながらも。」
「だからこそ!許せないんです!」
「そうだね。…でもそれよりひどいのは、ベルくんに復讐心を植え込んだことだ。」
「…はい。」
「でもね、メーテリアくん。ベルくんがずっとその仇を知らずにいられると思うのかい?」
「!」
「あの子は恐らく純粋無垢だ。でも、その純粋が良くない方向へ行ったらとしたら?」
「……いずれそうなっていた、ですか?」
「かもしれないということだよ?」
「………そう、義母さんはどう思う?」
「あれ?…ヘラ、何故気絶しているんだい?」
「あの…女王陛下、ちょっと待ってください。今、ヘラはHPが0なんですが…。」
「へ?なんで?」
「ヘスティア、お前がヘラの急所へ立て続けにクリティカルヒットしたんだよ…。」
「なんで?当たり前のことを言っただけじゃないか。」
「あー…そうだよな。」
「ハデスさん、義母さんが回復したら教えて。…ヘスティア様、お茶をしませんか?」
「へ?あ、いいよ!」
「ええー…。ま、いいか。」
「う、うう…。」
「あ、起きた。女王陛下、ヘラが目を覚ましました。」
「そう。」
「メーテリアくん…。」
「わかっています。義母さん?起きた?」
「メーテリア…。」
「何か言うことは?」
「すまない…ヘスティアの言う通り私が愚かだった…。あの子を追い込み、あの子を苦しませ、あの子を死なせたのは私だ。」
「そうね。7年間も見続けて来た私の気持ちわかる?母さんがあの子を甚振るたびに私は何度も泣いたわ。」
「…そのたびに冥界を八つ当たりでめちゃくちゃにされ、我々も死にかけたのですが。」
「うわぁ…。」
「何か言ったかしら?ハデスさん?」
「いえ何でもありません!どうぞ!」
「…ハデス。」
「好きにしろ…お前にはその権利がある。」
「……ヘスティア様に感謝して?せめてヘスティア様が7年前に降臨してベルを引き取ってほしかったです。」
「へ?」
「話してみてわかりました。貴女は善神中の善神であることに。」
「あーそうだよな。ヘスティアは。」
「当然だ。」
「母さんは反省して?」
「すまない…。」
「私には…何もしないのか?」
「何もしない、それが義母さんへの罰よ。」
「……。」
「どうしてもなら…私を復活させて?」
「え!?あの…冥界としては異存ありませんが、それには天界総意が必要です(チラッ)。」
「義母さん?わかっているわね?」
「……わかった。」
「ということです。貴方、許可を。」
「…何故、メーテリアが冥界を支配しおっているんじゃ…。」
「ゼウス、これは仕方がないと思うよ。下界の未知というやつだね!」
「そんな未知はいらんのじゃが…、魂が何故浄化されておらんのじゃ?」
「その時タナトスがまだ下界にいたからだろ?ゼウス。」
「はぁ~~~ハデスとしては異存ないんじゃな?」
「ああ、ない!というか、なんとかしてくれ!冥界にあの方の怒りが荒れ狂っていて魂を浄化するどころじゃないんだ!」
「うーむ…。」
「でもなぁ…。」
「あ、忘れていた。メーテリアくんからの伝言だよ。ええと…「下界にいた時のアレコレを義母さんにバラす」だっけ?」
「よし!わかった!」
「ヘルメスの名において説得してみせよう!」
「貴方たち…一体何をしたのですか?」
「「何も」」
「反対に決まっとるやろ!」
「そうね、何故その子が特別扱いなの?」
「「「そーだ!そーだ!」」」
「五月蝿い、許可しろ。」
「言っとくが、メーテリアはヘラを屈服させるほどじゃぞ?」
「「「え」」」
「あの怒りは怖かったなー。ボクは彼女を二度と怒らせたくないね。」
「…恥を承知でいう。メーテリアは…私を含めて【ヘラ・ファミリア】を屈服させるほどだ。」
「「「は?」」」
「あー面倒じゃ。反対なら、メーテリアをここへ連れてきてこやつらから説得したほうが早いじゃろ。」
「そうだな。お前らにわかるまい、7年間も冥界を八つ当たりでめちゃくちゃにされ、俺等冥界の神々を脅えさせ苦しんだあの日々は…つらかった。」
「「「………。」」」
「ホレ、メーテリアをここへ連れてくるんじゃ。あ、ワシは腰痛いからしばらく休むゾイ☆」
「私は資格ないから自主謹慎しよう。貴様らがメーテリアを説得するんだな。…生きていたらまた会おう。」
「ボクは当分寝るねー。」
「じ、上等や!やってみるならやってみぃ!」
「…嫌な予感がするわ。」
「認める!認めるちゅうからやめてや!」
「…私が悪かったからその怒りを収めて…いえ、何でもないです。ごめんなさい。」
「なら、許可してくれますよね?」
「「「はい!許可させてください!」」」
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