女妖怪達が育てるようです   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1552年 赤塚の戦い

 夜···女妖怪達が腹を擦りながら話し合いをしていた。

 

「うむ、子供が居るというのは何度味わっても良いものであるなぁ」

 

「そうっすね。清少納言の言ってた事がようやくわかったっす。ただ私天狗っすから子供が腹に居てもひとっ飛びで色々な場所にいけるんすが、情報収集行ってきてはだめっすかねぇ」

 

「駄目ですよ。身籠っている以上、子供優先です」

 

「チチは母親になってから色々しっかりしたね。女から母親って感じに変わったね」

 

「そうですかね?」

 

「こほん、じゃぁ色々と話をしようかのぉ···今佐助は織田信長に雇われたとは言え、あくまで雑役の範疇。何か武功が無いと上には上がることが出来なさそうじゃのぉ」

 

「今織田家は北の斎藤家とは同盟、今川家とは小競り合いを続けてるっすが押されているのが現状っす。隣の国人である水野領を攻略されて、結構危うい立場っすね」

 

「織田信秀が傑物であれど、一国を治めるが限界の器じゃのぉ。三河統治も失敗しているのを見るとなぁ」

 

 とお玉が話す。

 

 器だけでは今川義元が周辺諸国であれば頭一つ抜けていた。

 

 本当にこのまま信長に仕えさせてよいのかどうかと言う話をする。

 

「成り上がるにしても箔みたいなのが無いと再就職は難しいからね。武功が欲しいよね」

 

「うーん、戦に出れれば佐助なら活躍できると思うんだけど···」

 

 お雪とチチも同意する。

 

「こういうときこそ占いでしょ」

 

「うーむ···家内にて力を蓄えるが吉と出たのぉ。子供を増やすが吉か」

 

「結局今まで通りか」

 

「なかなか妖怪としての力で佐助を助けることができないのがもどかしいな」

 

「まぁお玉さんの知り合いの玉藻御前さんとかは元々権力者にすり寄ってって傾国の美女をするよりは一から英雄を育てる方が楽しいですが···周りや環境に影響されやすいからねぇ」

 

「お玉さんみたいに子供の方が大成する場合もあるし、お雪さんみたいに目的見失って燃え尽き症候群に陥るよりは家族の為に一生懸命な佐助の方が私は好きですが」

 

 とチチが言う。

 

「でも家計を助ける必要があるのも事実じゃのぉ···草子、中華の天狗と友好関係があったよな?」

 

「ええ、まぁあるっすが」

 

「門を開いて中華の天狗から大陸の品を買ってきてはくれぬか? 大陸の物は高く売れるからのぉ」

 

「だいぶ裏技っすね···いや、中華の絹を大量に仕入れるっすからそれをお雪が着物にすれば良いんじゃないっすか?」

 

「その方が無難かのぉ、保管場所はこの屋敷にこっそり作った地下の部屋でよかろう」

 

「私達の乳で作ったチーズでしたっけ? ローマで作られていた乳で作る保存食···妖力がたっぷりで食べ続ければ人を逸脱する可能性があるあれを保管している」

 

「子供達に乳を飲ませてはいるけど、妖怪故に乳の出る量が人よりも多いからね。捨てるくらいなら保存食にしたほうが良いよね」

 

「まぁ私達の乳を飲んだ佐助や子供達は器がしっかり安定したっすから食べても毒にはならないっすがね」

 

「常人が食べれば発狂しますからね。扱いも慎重になりますよ」

 

 と、チチはチーズを撫でる。

 

「対価はこのチーズの一部で良かろう。では門を開く。草子頼むぞ」

 

「わかりましたっす!」

 

 草子は部屋いっぱいの絹の糸を持ち込んだものの、妖糸であることが判明し、仕方なく普段着とか寝具にされて売り物にすることはできなかったのだった···

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで油売りをしながら二年が経過した。

 

 元々佐助が隠れ住んでいた廃寺のある領主が今川家は寝返り、それを討伐するために織田信秀様が信長様を引き連れて行くと言うイベントに旗持ちとして参加したが、今川の援軍が来たので睨み合いで終わってしまい、武功は稼げなかった。

 

 毎年子供が出来て今では12人の父親である。

 

 ちなみに今年ももう仕込んである。

 

 佐助は金になれ〜と色々と試しているが、なかなか上手くいかず、利益は出ているが、土地無しの農民もどき(足軽ともいう)なので子供達の為にも出世したいと信長様にアピールしていたが、信長様は子飼いの連中の方を出世させたいのと、佐助が自身の能力を疑っているというのを感じ取っており、信長自身も佐助は役立つとは思うが信用できねぇなぁと思っていた。

 

 前田利家と津田盛月は油係から信長親衛隊に戻されたが、数日に一度飯をたかりにくるのと、津田盛月の方は佐助から茶道を学び、それを信長に言ったら

 

「え、農民だよね? なんで茶道できるの?」

 

 と困惑していた。

 

 で、信長の転換期となる織田信秀が流行り病により病没。

 

 そして葬式の時に抹香を投げつけるという奇行を炸裂させて家臣からの信用値が0になった。

 

 その為織田弾正家の家督継承も失敗、織田弾正家の力が衰えたと思った守護代の方の織田家や織田信秀が死んだ為侵攻を強める今川家とまさに四面楚歌状態に信長は陥った。

 

 ここで佐助からの一言

 

「そりゃそうなるよ」

 

 奇行繰り返していたら家臣がついてこないのは当たり前であり、しかも行儀の良い弟がいたものだからさぁ大変。

 

 尾張は瞬く間に小勢力が乱立してしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 葬式が終わってすぐに織田信秀が重用していた山口親子が今川家に寝返る事件が発生し、俺を含めて親衛隊や集まれる兵に召集がかかり、即日のうちに出陣した。

 

 俺も旗持ちとして貸し出された足軽具足を着て参加した。

 

 配属された部隊の足軽大将は信長の親衛隊の方···いや、相撲の時に二番目に戦った相手であった。

 

 声をかけられたが気まずくなり、挨拶をした後は特に喋ることも無く合戦の場所に到着した。

 

 法螺貝が吹かれ、突撃する。

 

 信長方の兵は800名に対して山口親子は今川から援軍が間に合い1500名と約2倍である。

 

 親衛隊の揃っている部隊は長い槍を使った集団戦法で敵を倒していたが、足軽大将に

 

「佐助だったな···お前は自由に暴れろ。その方が強いだろ」

 

 と言われたので大声を出して突っ込んだ。

 

 この時点で俺の身長は155センチ···成人した大人よりやや小さい程度であり、まだ13歳の伸び盛りであった。

 

 俺は支給された槍を振り回し、一振り事に五、六人の足軽を吹き飛ばし、馬に乗って戦っていた者を槍で振り落としてから胸部を踏み潰して絶命させて刀を奪うと、槍を捨てて、支給されていた脇差しとの二刀流で敵に斬り込んでいく。

 

「織田方の佐助だ! 死にてぇ奴はかかってこい!」

 

 俺が刀を振るうごとに死体が量産されるので山口方は及び腰になっていた。

 

「かかってこねぇならこっちから行くぞ!!」

 

「ば、化け物だ!」

 

「おら死にたくねぇど!」

 

「石だ! あいつに石を投げろ!」

 

 と叫んでいた将がいたので、逆に拾った石を投げると頭が破裂して将は死んだ。

 

 大暴れしていたが、結局引き分けで終わり、元々顔見知りの兵も多く、捕虜は互いに交換したり、馬の返却を行って帰ることになったが、俺が顔見知りもいたのに足軽45名、足軽大将5名、旗本2名を殺したことで周囲にドン引きされた。

 

 これには信長様めドン引き。

 

 ただ武功は武功なので最優秀賞として銭をそこそこの量を貰い、信長様から苗字を与えられた。

 

 辻鬼だと···泣いていいですかね? 

 

 辻斬りと鬼の様に強いからと信長様から言われ、今回の功績はこんな感じであった。

 

 前田利家と津田盛月から

 

「やり過ぎだ馬鹿、元々味方の兵も多かったのだぞ」

 

 と怒られた。

 

 ただ下方様からは

 

「ん、武功を稼ぐという点だけ見れば良いんじゃないかな。できれば今川の援軍の方で発揮してほしかったけど」

 

 と言われた。

 

 ただ今回の武功で信長様からしっかり認知されたのも事実であり、俺は信長様の尾張統一に追従することとなる。

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