すぅ……と、再び目が覚めた世界は暗闇だった、かすかに開いた目には何も見えず闇がひろがっていた。
なのにそれに反して煩いくらいに赤ん坊の泣く声が耳に響いていた。
「あぁうるさい」と、そう内心思いながら俺は、暗い昏い世界の中で意識は徐々に溶けていった。
この世界が吐瀉物を煮詰めたかの様な場所だとつゆも知らずに、ただゆっくりと……眠りについた。
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物心がついて色々とここの事が少しづつ分かってきた。
先ず一つ、俺は転生した。
転生に気が付いた理由はすぐに分かった、家がデカイ、とてもとてもデカイ、まさしくザ・お屋敷! だった。
ただ、転生したがのだが……肝心の前世の記憶はとてもあやふやなモノで、自分の事について殆ど覚えていない。
どこの誰で、どこに住んでいて、どんな生活をしていたのか……家族構成に、いるだろう親兄弟の名前、それどころか自分の名前さえも思い出せないでいた。
しかし、思い出せない事は正直どうでも良かった。だって覚えて無いのなら、その程度の事だろうからソレに関しては後悔も無ければ興味すらない。
今、興味を引かれるのはこの家だ、さっきも言ったがとてもデカイ、それも古き良き日本屋敷だった。
何となく由緒の有りそうな屋敷、そしてつい最近この家の名前を 【加茂】 と言いう事を知った。
京都の名家の一つで名前が加茂……この名前を聞いたときに 『イヤまさか、イヤイヤそんな事が有るわけ』 と否定していた、どこにでもいるそう珍しくも無い名前、そうとも珍しく無い……ハズ。
しかし五、六歳になる頃に 【それ】 はおこった、イヤでも現実を直視せざるを得ない、理解せざるを得ない出来事……平穏な世界では起こりえないモノの発現。
コレの本能的、或いは直感での理解。そして同時に、ここが……この世界がクソオブクソの呪術廻戦なのだという現実を、無慈悲に叩き付けられたのだ。
知っている、あぁ、確かに知ってとも。ここがどんな世界なのはイヤでも知っているさ。
あやふやで、朧気な俺の前世の記憶。その記憶の中に確かにあるモノ、漫画 『呪術廻戦』の知識である。
もっとも全てでは無いけれど、それでもこの世界がクソオブクソであるのは間違いないのは確かな事だ、あぁイヤだ……すぐにでも逃げたい、逃げれないだろうけど。
なったものは仕方ない、それにここは 『加茂家』。御三家の一つ『加茂家』だ。
加茂家は御三家の中ではマシ? な方なのかもしれない。『五条家』はアレで 『禪院家』は言わずもがなのドブカス家系。
しかし【加茂家】は……なんと言うか、その……微妙だなって、思ってしまった。
俺の感覚での話ではあるが、原作ではあまりパッとしない家、弱くは無いが他ニ家と比べるとどうしても見劣りすると言うか、器用貧乏が過ぎると言うか。
あとは、あれ。お兄ちゃんの専用感があまりにも強すぎる加茂の相伝術式。
なんだよ術式使いすぎると貧血になりますだの、血栓ができて体に負担がかかるので気を付けましょうとか。十全に使うには人間やめましょうそうすれば100%の性能になりますって、人間の術式・呪術としてどうなのよこれ。
人間が使うなら外部アイテムを使おうね! 例えば輸血パック等を使いましょう、むしろ使わないと満足に戦えないよ? とか、流石に不憫すぎないこの相伝? 流石にさぁ、もう少し、こう手心と言うかあってもいい気がする、無いんだけど。
どうすんのよこの先、ホントにマジでどうしよう。
はぁ、でもなってしまったのは仕方ない、ホント~に仕方がない。
この世界で、この家で(この家なら大丈夫そうだけど)死なないように生き抜いて見せる、その為にはどうすればいいのかを考えよう、まさしく必死で。
こんなもんかなぁ、小説を書くって難しいね、当たり前だけど。