その血が歩む道すじ   作:亞忌羅

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 Q.何故、術式の焼き切れから回復が早いのか?
 A.一般的な呪術師からしたら、異常なまでに呪力の質が濃いから。
 Q.じゃあ異常な呪力の質って何?
 A.Fateで言う魔力の質と量
 晴蓮くんは呪力の質が『A++~EX(そもそもが規格外)』、或いは竜の炉心レベルで莫大な呪力(エネルギー)を生成・放出が出来る『呪力炉心』と言える代物を持ってるからです。(ただ未だにあやふやな設定なので私にも正確に分かりませんが、どちらにせよ晴蓮くんは化け物です)


百十三話

「そうだね、硝子の言う通りアイツの可能性は高い。僕が思うに九分九厘ってところかな」

「ソレほぼ100%って言ってのと同じでしょ」

「それでも1%……0.1%くらいは違うなもしれない、色んな可能性が有るのは捨てきれない、僕ぐらいは常に多角的に見て考えないとね」

「なあハル」

「うん? 何」

「ソイツの事呪霊を通して視れるんじゃないの?」

「呪霊を知ってればね」

「? どゆ意味?」

「確かに呪霊を知っていればその呪霊を通して視れるよ。知っていれば(・・・・・・)、だけどね」

「今回の呪霊共がソイツと繋がってんじゃねーの」

(肉体)を改造する呪霊は黒塗りで視えない、確かに氷の呪霊は見た(視た)

 でもその呪霊の未来(世界)を視れる程の時間はなかったし、ピン止めもする暇がなかった。だから正確に視れないんだ」

「ピン止め? 聞いた事ないんだけど」

「まだ言ってなかったからね」

「言えよ」

 

 

 ━━

 新たに出来る様になっ(拡張し)未来視(世界視)で視た対象のピン止め。

 直で(・・)見た(視た)対象にピンを付ける事で付けた相手の未来(世界)をピンポイントで視れる様にした、天与呪縛(未来視)の拡張させた。

 ━━

 

 

 家入のキレ気味な言い方に「あっはっは」と笑い誤魔化し、説明をしようとするが夜蛾「「先に高専襲撃の事を話せ」と、至極もっともな事を言う。

 ━

「そうですね、そっちの方が重要ですからその事から話します。

 先ず、僕が何を視たのか。これは先程も言いましたが、今日僕が見た氷の呪術を使う呪霊と人間を改造する呪霊。

 そして悟君が待ち伏せされて戦った呪霊達……そうですね、(ささめ)が言うには自然に由来している呪霊らしいので自然呪霊とでも名付けましょうか。

 この四体の自然呪霊の内三体が襲撃してきます」

「三体だけか?」

「いえ、残念ながらもっと来ます」

「何体来んの」

「一つ目に襲撃に来る場所は交流会一日目で使う会場。この会場に自然呪霊四体の内一体が現状(・・)八体の呪霊を伴って来ます」

「合計九体か」

「学長、一つ目(・・・)の襲撃場所です」

 

 晴蓮の言葉を聞き、一瞬の間を置き瞠目させ「まさか」と呟き、「同時に、二つ目の場所が襲撃されます」と衝撃の事実を突き付ける。

 ━

「どこだ、どこが襲われる」

「東京高、忌庫(きこ)。そこに封印されている特級呪物」

 

「『宿儺の指』、及び宿儺の指と同等か近いレベルの特級呪物『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』の強奪です」

 

「何だと!! 宿儺の指とあの(・・)呪胎九相図(じゅたいくそうず)の強奪だと!! 

 何故そんな事を………宿儺の完成、そして受肉か」

「はい、恐らくは」

「ガッデム! そんな事(宿儺の完成、受肉)をさせて何をするつもりだ! 日本を壊す気か! 

 …………ふぅ。すまん、取り乱した。

 宿儺の指と同等か、それに近いレベルの『特級呪物』奪う為に大量の呪霊で襲撃させる、か」

「待ってくれ(れん)、宿儺の指は知っている。でも、宿儺の指と同等か、それに近いレベルの呪胎九相図(じゅたいくそうず)と言うのは特級呪物なんて知らない、いったいどんな呪物なんだ?」

「宿儺の指は有名すぎるから隠しようが無いもんね。それこそ呪術界では知らない術師はいない程の呪物なんだから。

 でも、同レベルだけど呪胎九相図(じゅたいくそうず)の方はあまり知られてない、それでも同等かアレに近いレベルの特級呪物だから封印・秘匿、保管そして管理されてる。保管のレベルは宿儺の指より高いんだよ」

「そんな呪物はいったいどこから……」

「…………呪胎九相図(じゅたいくそうず)が東京高の忌庫(きこ)に封印、保管されてるけど、元々は加茂家の忌庫(きこ)に厳重に封印していたんだ」

「それは、何故」

「……傑、それ以上は聞くな、ハルも言わなくていい」

「ありがとう悟君。でも傑君も知っておいた方がいいんだ」

「? (れん)に何か関係している……と言う事なのか?」

「これは御三家でも残っている記録は少ないけど文献には『とある事を行った』、との記録が有る。

 では誰が、何をしたのか………『加茂家の恥晒し、呪術界にとって史上最悪の呪術師、御三家の汚点』。

 その男の手によって作り出された特級呪物、それが『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』なんだ」

「特級……呪物を、作り出した?」

「俺達御三家が外に知られたくねぇ過去のクソッたれな記録だよ」

「悟もなのか、御三家の過去にいったい何があれば二人がそんな険しい顔をするんだ」

「『呪術界にとって史上最悪の呪術師』ってさあの(・・)加茂憲倫(のりとし)?」

「うん。その加茂憲倫(のりとし)だよ」

「加茂憲倫(のりとし)………聞いた事はある。でも、とんでもない事をした呪術師としか知らない。この人物は何をしたんだ」

「一言で言うなら僕以上の倫理観の欠片も無いド下道な奴だよ」

(れん)がそこまで言うのか……」

 

 加茂憲倫(のりとし)とは明治時代に生きていた加茂家の呪術師、この男の存在は加茂家にとって度し難い(呪術師)の名前で、呪術界、強いては御三家にとっても汚点と呼び名を呼ぶ事さえ禁忌(タブー)とされている人物(呪術師)

 ━

「加茂、呪物を作り出したとはどう言う意味だ? 呪胎九相図(じゅたいくそうず)と言う特級呪物の存在も危険性も知っている。だが、来歴は私も知らない、お前達御三家に何が有った。そもそも呪物を造るなど出来るのか? 

 呪具は呪具師が居る、だから呪具を作る事は可能だ。だが、呪物を作れるなどと言う話は聞いた事がない」

「そうですね、僕もその呪物を保管(・・)していた言う事と、あの加茂憲倫(のりとし)が造ったと言う事は記録で知っていましたが、どのように造ったのかは知りませんでした。

 ですが、あるモノを造る為に視た(・・)時に呪物の……呪胎九相図(じゅたいくそうず)の詳細な造り方を知りました」

 腹立たしい事に参考にはなったけどな。

 

「視る? どう言う事だよハル」

「ああそうだね、ソコから話そうか。

 皆も知っている通り僕は未来(世界)を視れる。そして、同じ要領で僕は過去(世界)も視れるんだ」

「過去も……視れ、る」

「そう言えばガキん頃にそんな事言ってたな、なんだっけ? 過去(世界)を視ても得する事が無いだっけ」

「うん、だから言う必要は無いかなって。何事にもきっかけって有るんだね」

 

 夏油と夜蛾の二人は驚き、甚爾は「今更だな」と喋り家入は「あ、結局言うんだ」と声に出さず晴蓮を見て話の続きを聞く姿勢を取る。

 ━

「理由は単純だよ。さっき悟君が言った楊に過去(世界)を視ても得する事はなかった、だから言わなかったんだ。

 でも、ある事(・・・)をするために過去(世界)を視る機会があってね、その時にこの呪物の作り方(・・・)も偶然視た。

 ………正直を言えば、僕が最初に抱いたのはあの男……加茂憲倫(のりとし)と同じ『知的好奇心』だった、『本当にそんな事が出来るのか? 人為的に呪物を造り出せるのか』、興味が湧いてしまった……そして最後まで視た、視てしまった。

 視て後悔したよ反吐が出る程にね、僕は僕自身を『外道である』との自覚はある。でもあの男は僕以上の正真正銘のド外道のクズ野郎だ」

「何があった、加茂家の過去に何があれば温和なお前がソコまで怒る」

「………明治時代に加茂憲倫(のりとし)は寺を運営していました、そこにとある特異体質を持つ女性が訪れ、加茂憲倫(のりとし)が興味を持ちました」

「特異体質? どんなだ」

 

 少し沈黙し「呪霊との間に子供を作る事ができる特異体質を持つ女性です」と到底信じられない事を言ってきた。

 ━

「その女性は身に覚えのない懐妊に始まり、異形の姿の赤ん坊を出産しました、そしてその女性は親類縁者からの想像を絶する風当たりにさらされ、救いを求めて赤ん坊の亡骸と共にとある寺………それが加茂憲倫(のりとし)が運営している寺に来たんです。

 それが悲劇の始まりでした。加茂憲倫(のりとし)はその女性の特異体質に目を付け、とある事をしたんです」

「俺、部屋出ていい? 聞きたくねぇんだけど」

「駄目だ。加茂、頼めるか」

 

 舌打ちをする五条を一瞥し、夜蛾正道の催促により話を再開する。

 ━

「では続けます。加茂憲倫(のりとし)は彼女の体質に知的好奇心を刺激され、女性と呪霊との間に子供を九度妊娠させた上で堕胎させました、そうして取り出された九体の胎児は強い呪力を持った特級呪物………呪胎九相図(じゅたいくそうず)と成り、百年以上に渡り封印を保ち加茂家の忌庫(きこ)を隔て、東京高の忌庫(きこ)に保管される事になったんです。

 それが加茂憲倫(のりとし)が『史上最悪の呪術師』と呼ばれる所以です」

「マジで超弩級の外道野郎じゃん」

「……その呪物と宿儺の指を狙って自然呪霊共が襲って来るんだな」

「その通りです」

 

 晴蓮が視た過去(世界)を全て話し終える。

 ━

「宿儺の指を盗む理由はまだ分かる、だがその呪胎九相図(じゅたいくそうず)とやらを盗む理由は……まさか」

「黒塗りの何かが人に食べさせるんだよ………ソコの未来(世界)は視にくい。けどやる事は一つだろうね」

「やる事は今は置いておこう。それより視にくい理由が気になる。どうして視にくいんだ、(れん)

「この過去(世界)を知った時にすぐ未来(世界)を視た、僕が視れた最後の未来(世界)は黒塗りの何か……恐らく吉野順平(よしのじゅんぺい)改造した(殺した)呪霊だと僕は考えてる。

 その呪霊が張り付けにした一般人に無理矢理何かを詰め込んだところまでは視えた、その後は砂嵐みたいになって視えなくなった。暫くしたらその何か(・・)が視えた」

 

 口に手を当て人差し指をトントンと叩き「何かを……呑み込ませた、か」と呟く。

 ━

「その後は視えなかったんだな」

「はい。その為に今年の交流会を襲撃し、呪胎九相図(じゅたいくそうず)を奪うんだと思います。

 さっきも言いましたが何をするのは、言うまでもないですよね」

「………回避する方法はあるのか?」

「もう襲撃を避ける事は出来ません、僕達に出来るのは応戦するだけです」

 

 晴蓮から突き付けられた現実(未来)に「応戦するだけ、か」と呟くしか出来なかった。

 ━

「そうなりますね、襲撃はもう避けられません。奴らは呪物を狙って必ず高専を襲撃してくる」

「私達には何が出来る」

「作戦を練りに練り、そして徹底的に応戦する。それだけです」

「徹底的に応戦する……それでももし、呪物が盗まれたら………イヤ、そうだね……そんな事今更か」

「宿儺の完成、そして本来なら呪物を呑み込めば呪物に肉体()は侵食され元の人間の魂、自我は消え呪物の自我が表面化する、例外を除いてな」

「学長が言った通り悠仁君は例外です。なので僕が視た未来(世界)で特級呪物の呪胎九相図(じゅたいくそうず)食べさせられれば普通の人間はーー」

「呪物に汚染されるに決まってるよな」

「奴らの目的は呪胎九相図(じゅたいくそうず)の受肉、だから奴らは呪物を奪いに来る。宿儺の指より優先して」

「宿儺の完成にせよ、呪胎九相図(じゅたいくそうず)とやらの受肉にせよ最悪な状況なのは変わらんがな」

「そうですね、視たくもない未来(世界)です」

「つかその呪霊共、高専に攻めてくるとかソイツら死ぬ気かよ」

「それがそうでもないんですよ甚爾さん」

「祓えんのか?」

「普通の呪霊は祓えます。ですが、自然呪霊は祓えません」

「何故だ」

「先ず一つ、強すぎる。次に自然呪霊は考えて(・・・)攻めて来るからです。

 本能のままに暴れず、どちらかが致命傷を負えば、もう一体の自然呪霊が邪魔をしてその間に普通の特級、及び一級呪霊が襲ってきます。

 ですので結果として特級呪物を持って自然呪霊達が逃げてしまうんです。

 ああそれと今更ですけど自然呪霊ですが、昨日僕が視た(見た)氷の呪霊。(ささめ)曰く『自然への、氷への恐れから生まれてくる呪霊』と言っていたので僕はそう呼ぶ事にしました、気に入ったら使ってください」

「ねぇ、(セイ)

「うん? どうかした」

「その後の未来(世界)はどー視えんの」

「視えない、テレビの電源が停電よろしくバツンと切れる様に視えなくなる」

「切られる? そんな事が?」

「初めてだからビックリしたよ」」

 

 未来視(世界視)が途中で切られる。この現象は晴蓮にとっても不可解な事であり得ないと思ってた事。

 そして、途中で切られてしまうと言うことはーー

 ━

「途中ってどこまで?」

「今年のハロウィンまでだね、ハロウィン前日から未来(世界)がざらついて、そこから先が暫くの間視えない、数日間だけど完全な空白の期間が有るんだ。

 でもその前に一度砂嵐が掛かる瞬間(未来)があって、そこから現代まで戻っていくとーー」

「高専の襲撃だな」

「はい」

「それとハルの未来視(世界視)が出来ねぇってどう関係すんだよ」

「さぁ、分からない。分からないけどロクな未来(世界)じゃないのは確かだ」

「加茂の未来視(世界視)が途切れる……か。

 加茂、それはお前の身に何か起きる。と、考えていいんだな?」

「恐らくは」

「昔やってたみたいに呪霊越しに相手を視るとかは出来んの」

「現段階で視れる呪霊を追った結果がその未来(世界)だよ」

(れん)未来視(世界視)が途切れる、か」

「で? 氷の呪霊を見た時はピン止めが出来なかったんでしょ? どうすんの」

「奴らは高専を襲撃してくる、その時に自然呪霊三体の誰でもいいから確実に見て(視て)ピン止めする。そして一番確実にピン止めが出来るのは忌庫(きこ)だ」

 

 何かを考えていた夜蛾が考えながら口に出し「『襲撃』。何故忌庫(きこ)が襲われるのか?」と呟き「彼らはどうしても呪物が欲しい、だから忌庫(きこ)を襲う。

 しかし、忌庫(きこ)だけを襲えば交流会に集まった教師陣が異変に気づき、忌庫(きこ)にすぐやって来る。忌庫(きこ)が襲われれば私達が黙って見ている訳がない………だからこその交流会の襲撃、か」とこれから先に起きる出来事に頭を悩ませる

 ━

「ソイツらマジで命知らずだな」

「奴らには自負があるんです。自然を恐れた人間達(呪術師/非呪術師)に負ける訳がない、と」

「自然への恐れねぇ、確かにお前の式神の火産霊(ほむすび)は厄介だからな。並みの攻撃じゃ祓えやしねぇからな」

火産霊(ほむすび)は『火』そのもの姿形が流動的でなので、並大抵の武器(呪具)じゃ斬ることすら出来ませんから面倒ですよね」

「でもさハル」

「何?」

「火山頭の奴、スッゲェ弱かったけど」

「それは君だからだよ、僕や悟君に傑君。特級呪術師の中でも僕達はある意味反則的存在だ、僕達は外れ値なんだよ」

「そんなもんか?」

「悟は自分の強さと理不尽さを理解した方がいい」

 

 後頭部に手を回し「へいへい」と拗ねた様子で返事をする。

 ━

「悟君、昔言ってたじゃん『強い術師が数人居ても意味がない』って」

「…………そうだったな、俺達以外も強くならねぇとな」

「そうなる可能性のある術師が増えてきた、若い力に期待しようじゃないか」

「あぁ、そうだな」

 

 これから育つであろう生徒達(若い力)を思い、五条は微笑みを浮かべる。

 ━




  東京高京都姉妹高交流会。果たして問題なく開催出来るのか。
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