三人が驚く中、家入は呆れ甚爾は「コイツは生粋の呪術師だ、それはテメェらも知ってんだろ。
コイツは呪術界の事なんざ一ミリも考えてねぇ。コイツが考えてんのは『何をすれば、どうすれば呪術師を生かせるのか』だ、コイツにとっての
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「痛い痛い、千切れる千切れますって甚爾さん」
「一回千切れとけ莫迦
「流石に頭が千切れたら僕でも死ぬので勘弁してください」
「…………ハルの説教は交流会が終わってからにしてやる。だから硝子が使えるそのメイガス? って言う術式が知りたい」
目を泳がせ「あー、んー、まぁ……うんそうだね、僕としてはこの話は全部忘れて欲しいけど………今は重要じゃないから、ソレだけに集中しようか」と言い家入に視線を向ける。
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「はいはい。
「おう、任せとけ」
「そうだね、知ってる事全部話させる」
「おっふ困った。ヨシ終わったら逃げようそうしよう」
「じゃあ話す………より見せた方が早いか」
「ま、待て! 高専内で登録されていない術式を使えばアラームがーー」
夜蛾の声は硝子には既に聞こえておらず、目を閉じ集中し腕輪に呪力を流す、そして小声で呟く様に「『おいで、私の……
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「アラームが……鳴らない?」
「その見た目……確かにあの時の術師と同じだな」
「天元に言って登録しておきました、アイツそう言うの得意ですから」
「天元様が?」
「悟君と傑君、それに学長。今の硝子はどんな風に見えますか」
「どんなって……」
「体が淡い緑色に光ってる………この光り方は私が戦った大鎌を持った術師と同じだ」
「成る程、
何故か
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「ハル、それはどう言う……! なんでハルも光ってんだよ」
「僕も同系統の術式を
「同系統?」
「式神使いが似るってヤツか?」
「んー、まあそうなるのか……な? まあでも、大まかな戦闘スタイルは知ってるでしょ?」
「そりゃな戦ったからな、厄介なのは知ってるな。
「馬鹿な! そんな事はあり得ん!」
「それが出来てたから驚いてんだって」
「まあ呪術なんで解釈の仕方でなんでも出来るし」
「それは
「同感」
「二人に同じく……てかそんな事前にも言った気がする。ふーん、この術式ってそんな事出来んだ、今度やってみよ」
「硝子ならすぐに出来ると思うよ、やってる事は反転術式と同じ原理らしいし」
「ふーん」
「ま、その辺りはトライアンドエラーだね。攻撃に関しては問題ないから、硝子を交流会で待ち伏せの戦力として配置出来る」
「そう言やぁ、交流会の話だったな」
「じゃあ話を戻そうか、交流会襲撃での会場内での待ち伏せをさせるのなら硝子を配置すれば
「相手側にとって硝子は戦力を持ってねぇ、だから硝子が会場内に居る事を知ってても『家入硝子は治療要員である』としか思ってねぇからか」
五条の言葉に「その通り」と指を振りながら答え、「今の今まで硝子は戦闘要員である事は僕しか知らない事だった、
その言葉を聞き「…………なぁ、ハル」と晴蓮に声をかけ、それに対し何も言わず「気づいた?」とだけ答えると「
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「何二人で分かりあってんの」
「言わねぇでも分かんだろ」
「分からないから聞いてんだよ」
五条と晴蓮が主語を言わずに、五条が「つう」と言えば晴蓮が「かあ」と返す光景を見せられて周りは困惑し、家入が「何話してんのか言えよ」とキレぎみに突っ込まれ、晴蓮は少し苦笑いをし真面目な表情に変え「高専側に内通者が居るんだ」と答えると気づいた五条と興味がなさそうな甚爾を除いた以外の皆が神妙な面持ちになった。
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「内通者だと!! 呪霊と! ……イヤ、その裏に居る呪詛師と繋がっているのか。
だがそんな事が本当にあり得るのか?」
「はい、確実に居ます。悟君や傑君が待ち伏せするだけで襲って来る呪霊の数が増えると言う事は、こちら側の情報を知っていないと変えられません」
「………確かにその通りだ内通者が高専側に居ないと呪霊の数を変えられん。だが誰が内通者なんだ?」
「さぁ、分かりません」
「分からない?
「そうじゃん、
「視えない訳じゃ無いんだ、分からない理由は
しかも当てつけなのか分からないけど、
そんな事されるとさ、スッゴく頭にクルよね」
「ペストマスク? ……つまり内通者はおじいさんを、ペストマスクをつけてたフリーの術師が居た事を知ってるって訳か。そりゃあ高専側の人間だね」
「…………考えたくない事だけど、ペストマスクを知っているのなら高専の術師なのは事実だ」
「虎杖倭助の事を知る内通者、か。虎杖倭助を知っているのは京都高の生徒も知っているな」
「僕は東京高の生徒の中に内通者は居ないと考えています、理由は東京高の生徒達全員には二人以上の式神を付けてます。なので彼らの行動は僕に筒抜けです、ですがそうなると」
夜蛾はタメ息を吐き「京都高の生徒か」と顔に手を置く。
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「
「うん」
「つまり京都高だけの教師陣だけじゃなく私達も知ってる人物って事?」
「順当に考えればそうなるのかな」
「高専生の時点で私達が見知った顔なのは当たり前だ、考えるまでもない。
まさか生徒の中に内通者が居る………待て、
「夜蛾先生、それってもしかして教師の中に居るかもしれないって言ってる?」
「そうだ、生徒であると決めつけるのは早計だ。あらゆる角度から、全て可能性を確認する方が賢明だ」
「じゃあ誰になるの? そんな事しそうな教師陣を私は想像が出来ない」
「私も出来ん。故に一人一人確認するしかない。私とて内通者など………居ないであれと願っている。
だが加茂の
「はい、残念ながら内通者は確実に居ます。
京都高の教師含め生徒達で式神を付けているのは歌姫さん、直哉、
「前者四人は分かるけどさ、
「あの人は保守派呪術師の筆頭だから僕の事をメチャクチャ敵視してるんだよね、隙あらば殺そうとしてくるぐらいには。
だから何してくるのか分からないから二人程付けてる。まあその結果として
まあ
「確かに、
晴蓮は京都高に交流会の時に呪霊を手引きし襲撃を助ける
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「加茂。交流会を中止しない、待ち伏せもしない。この条件だと九体の呪霊が来て、会場内に特級呪霊が二体、一級呪霊が三体居る……で、いいんだな」
「はい、そしてソレら呪霊の相手は悟君と傑君が間に合うまで生徒達がします」
「だが、死者は出ない」
「ギリギリではありますが」
唇を噛み悩ましげに「五条達が間に合うまでを話してくれ」と聞いてくる。
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「分かりました。
呪霊ですが、最初に呪霊……最悪な事に自然呪霊、見た目は目から木が生え左腕を布で覆った推定木の呪霊と棘君が会敵します」
頭を搔き毟りながら「狗巻か……呪言はどうだ」と聞き、「相手は自然呪霊は特級です」の返しに逡巡し「二つ聞く」とだけ言い晴蓮が「どうぞ」と答える。
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「一つ、呪言を使うのか。
二つ、何回まで持つのか」
「では一つ目から、はい。
二つ目は
「クソッ! 式神を付けていると言ったな」
「二人程」
「加茂、無理はさせられん」
「それは僕も思ってます。なので地上と空のどちらからでも逃げさせられる様に足の早い式神と飛べる式神を付けてます、僕が『これ以上は潰れてしまう』と判断し次第どちらかの式神を使い逃がします」
「加茂の判断に任せる。それで、だ、狗巻が自然呪霊と会った後は後はどうなる」
「棘君が自然呪霊と会敵し、その後すぐに恵君と
ですが完全には逃げられず対峙し、戦闘に入ります。
なので恵君、棘君、
「だが狗巻を離脱させれば加茂恵と加茂
「はい、棘君が離脱する前に式神を通して
ですが相手は特級の上に自然呪霊、四人では祓えません」
「そこに五条を行かせるのか?」
「いえ、悟君はまだ間に合いません。帳はまだ壊せていない」
「他の特級一体と一級三体は誰が相手すんの」
「そっちは真希と真依に相手してもらう、真希ならただの特級程度なら祓えるし、真依は多対一でも戦える。上手くいけば真依だけで祓えるかもね」
「後、悟君が間に合わない代わりに悠仁君と葵が合流しますので、
「虎杖と東堂の二人だけで木の呪霊と戦わせるのか!!」
「問題ありません、この
それどころか一人、
呪力の味を知ると聞き意味の分からない甚爾を覗く此処に居る術師が理解し、驚く。何故ならそれはーー
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「誰かが黒閃を極めるのか!!」
「…………ハル、悠仁か?」
「お、良く分かったね。そう、悠仁君は黒閃を極める。一つ上の
「はは……マジかよ。悠仁の奴まだ呪力の事知って半年かそこらだぞ? なのに黒閃極めるとかあり得ねぇ」
「悠仁君は素のスペックが高い、それに僕が子供頃から鍛えたんだから
その上彼は戦闘センスが桁外れに高い。それこそ僕以上だ。彼、強いよ」
「ハル以上とかマジかよ、それこそあり得ねぇだろ」
「ははは、だよねそう思うよね。
でもね、実際にそうなんだよ。彼は昔から硬かった、だから彼にはシン・巌流を一から十まで、そして簡易領域に簡易結界も教えた。勿論呪力を使えないから覚えても意味は無いけど、武術としての心構えは培える。
そんな彼が呪力と言う力を知れば直感で、無意識下でシン・巌流の在り方と結びつける。
それに、悠仁君は葵と付き合いも長ければ相性も良い。今回の交流会で最も成長するのは悠仁君と恵だ」
「それは喜ばしい事だが本当に大丈夫なんだな?」
「それどころかこの選択こそがベストなんです。
この時に悠仁君が黒閃を極め、呪力の味をしり、呪力の核心を知り、格段に強くなる。これだけは成らせたいんです。
確かに彼らでは祓えませんが時間を稼げる。そして悟君が間に合うんです」
「何回極めんの」
「少なくとも五回は極める。建人の記録を塗り替えるんだ」
「マジかよ……少なくとも? じゃあソレさえも超えんのか?」
「うん、違う世界線では七回も極める。悠仁君は黒い火花に愛されている」
黒閃とは呪力を用いた戦闘において、極稀に発生する現象。その仕組みは『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間に発生する空間は歪み』そして呪力は黒く光る。
黒閃は一回目はまぐれでも実力でも構わない、二回目以上の黒閃を繰り出すのであれば、連続で発動させるか、その日のうちに発生させなければ難しい。
故に、黒閃を経験した者とそうでない者とでは『呪力の核心』との距離に天と地ほどの差があり、『呪力への理解』、『呪術への理解』も深まる。
そして、その少年は『
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「黒閃を五回? 世界線が違えば七回も極める? 悠仁の奴ヤバすぎだろ」
「『黒い火花に……愛されている』か。末恐ろしい子だ」
「………黒閃を極められるのなら、その場を無くさない方が後々有利になっていく。仕方ないがその場は確保しておこう、宿儺の器・虎杖悠仁が強くなるのはある程度だが望ましいからな。
その後はどうなる、五条が間に合うと言う事は祓える。と、見ていいんだな?」
「残念ながら逃げられます、致命傷を与えられますが、それだけです」
「何故祓えない、何故祓えていないと分かる」
「交流会から数ヶ月先の
手で目を覆い「続きを話してくれ」と弱々しい声続きを促す。
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「先程も言った通り会場には僕達特級呪術師を拒む帳が降りてます。ですが、裏を返せば一級呪術師までは入れると言う事になります。
この条件を生かし東京高からは建人と
「何人動かせる」
「六人が限界です」
「超えるとどうなる」
「世界線がズレます。死者は出ませんが重傷者が増えます」
「ところでさ、帳は誰に壊させるの」
「
「任せてくれ」
「呪具の方はどーすんの」
「呪具を探すのは冥冥さんに頼むつもりだよ」
「確かに冥さんは適任だな」
「んで、呪具の破壊はハルが連れて来るフリーの呪術師か、出来んの?」
「攻撃特化の術師と攻撃性の高い術師を連れて来るつもりだよ」
頭を抑えながらタメ息を吐き「どんな術師を連れて来るつもりだ」と聞き、「降霊術師が二人、式神使いが一人、ニューテクの術師が一人でちょっと変わった術師が二人の計六人です」と答えた。
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「一旦整理するぞ。帳が降ろされたら七海と
「そうなりますね」
「
「
どうしようもない現実に夜蛾はタメ息を吐くしか出来なかった。
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晴蓮くんが居るせいで高専襲撃がひどくなってなっていく恐ろしい状態になった京都姉妹校交流会。
バタフライエフェクトって怖いですね。
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フリーの呪術師の名前と術式考えなきゃ。