その血が歩む道すじ   作:亞忌羅

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特級呪霊くん、ようやく登場。



十八話

 廃病院の奥から耳をつんざく雄叫びとも絶叫ともとれるオトが響き渡る。そのオトは晴蓮達のもとまで聞こえていた。

 しかし二人は全くと言っていい程気にしておらず、それどころか晴蓮にいたっては喜色満面の面持ちで早くヤりたいと言わんばかりにワクワクとしていた。

 それを見る悟は微笑ましそうに見ているだけで、何一つ行動をする気配がなかった。

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「おお、おおお! 来る来る来る。何が出るかな、何が出るかな。オモシロイのが来い」

 

 

 彼にとって特級呪霊であっても怖れる存在では無く、ただの的レベルでしかなかった……が、しかしソコに油断や慢心等はなく、即座に動ける準備は整っていた。

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「■■■■■■■■」

 ソコに現れたは見るも悍ましい肉の集合体。形容し難き怪物、手が足が至る所から飛び出しておりそれらを使い器用に移動していた。

 ━━

 

「うわ。キッモ、マジでキモい」

「んー……なるほど、これは面白い。少なくとも数百から数千程の二級相当の呪霊が接合しているね。でも……まだ完全に融合はしてないみたいだね。しかし残念だ、特級って言うからどんな術式持ってるのか期待してたのに、これじゃあ望み薄、だ」

 

 

 加茂晴蓮からでてきた感想は『面白いが残念』だった、まるで楽しみにしていた旅行先の名所が残念な物だった時の反応、既に彼は目の前の呪霊に興味は無くなっていた。

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「はぁ、もういいや。とっとと祓おうか」

 ちぇ、どんなのか楽しみにしてたのにこんなんか、期待外れもいいとこだ。

縛血・嘴突三血栓(ばっけつ・しとつさんけっせん)鉄血・兇血角(そうけつ・きょうけっかく)

 

 

 続け様に二つの術式を放つ、一つは対象を縛る嘴型の血栓、もう一つは血で形成された荒々しい角の槍。

 術式は呪霊的中した……が、血の槍が当たると肉の集合体は爆散し複数個の肉団子に変わった。

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「あー。そりゃそうか、まだ完全に融合してないんだし衝撃が加われば当然こうなるよね、失念していたよ。どうしたものか……フム、氷らすか」

 

 言うが早いか晴蓮は即座に術式を使う。

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氷血・白氷罰血(ひょうけつ・はくひょうばっけつ)

 

 瞬間。眼前の空間が白に染まる、

 

「……は? ナニ……これ、凍ってんの? 」

 は? マジ? 凍った? 呪霊が? 建物が? 血で? ウッソだろ。

 

 凍った呪霊に触るため恐る恐る足を踏み出そうとしと時。

 

「悟君ストップ。動かない方がいいよ危ないからね、ほら」

 

 そう言い、自分が持つ凝血棍を自分たちがいる範囲の外に触れる。すると僅かな衝撃で建物もろとも呪霊も容易く砕け散った。

 ━━

 

「えぇぇ、ナニ……その……ナニこれ。ナニがどうなったらこうなんの」

「あはは、前にも言ったでしょ? 血とは氷るモノなのさ」

「んなワケねーっての、どんな理屈だよソレ」

「まぁ、実際に血液の凍結保存とかあるみたいだし? できるかなーって」

 ホントに何でできてんだろ、俺が『そう言うモノだ』と本気で思ってるからかねぇ。

 

「てか被害甚大すぎでしょ」

「あははは。これ加減が難しくてねー、僕の一定範囲内を除いた周囲を手当たり次第に、繋がっている場所を全部、凍結させるんだよね、これ」

 

 ハルは「悟君が隣に居てくれて助かったよ、誰か居ると使いづらいからねー」と、からからと笑いながら言ってのける。

 はは……そりゃ強いのは知ってるけどさ、ココまでの理不尽ぶりは知らねーって、ナンだよ血で建物が崩れるくらいに凍るってあり得ねぇだろ……ん? 隣居て良かった? 

 

「なあハル」

「なんだい、悟君」

 んー、なーンもないなーナニかいないかなー。

 

「隣で良かったって言ったじゃん今」

 ハルは「言ったねぇ」と返答ししながら周りを見渡す。

「それさ、オレがハルの傍に居なかったらどうなんの」

「……アー……エー……と、あ……あはは隣で良かったねー」

「ハぁルぅ。そーゆーのはさー、先に言ってくね? それってさオレも凍ってたかもしんないってことでしょ?」

 ハルは分かりやすいくらいに目を泳がせながら周りをキョロキョロしている。

 

「まぁ……その……さ。えっと、無事で良かったね! それに悟君は無限があるしダイジョーブでしょ」

「……ハルも意外とアレだよな、人のコト言えねーよハル」

 

 晴蓮あははと笑い話を濁しながら周囲を見渡した後悟に問う。

 ━━

 

「ねぇ、悟君」

 悟は崩れて無い箇所をつつきながら「んー、何?」と返してきた。

「これホントに特級案件? 弱すぎるんだけど、それともまだ別個体がいるとか……」

「居たとしたもこの状態で生きてるワケないでしょ」

 まぁ……だよねー、俺達が立ってる場所以外、全部……真っ白になって崩れ落ちてるんだし。もう少し弱い術式使うんだった、残念。

 

「ま、特級つっても下の下の下クラスのヤツだからこんなモンなんじゃねーの」

「でもさ悟君。準一級以上の呪霊はなにがしかの術式持ってるんでしょ?」

「だろーな。で、ハルが使わせる前に祓っただけで」

「oh、もうちょっと待つんだった。そしたら呪霊の(オモシロそーな)術式見れたかもしれないのに」

 

 




特級呪霊くんしめやかに爆発四散。
この特級くんは呪胎戴天に成りかけてたくらいの呪霊くん。
実際に晴蓮が槍で散らしてなかったら完全に融合してどこぞの虫ケラくんレベルの呪霊に成ってた。
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