私クラクラ、どういたしましょうね、ホントに。
気に食わんかった。俺は『アレ』を見た時、気に食わんかった、ナンや分からんけど気に食わんかった。ああ、多分アレや甚爾クンと同じ天与呪縛やったのに甚爾クンとは比べられへん程にザコやったからや。
俺が知る天与呪縛は甚爾クン見たいな絶対的強者なんや、やのにアレはそうやない。 気に食わんザコが来たな程度やったし、それにアレの見た目もキショイねん。
肌が白いや。 気色悪ぅくらいに真っ白や、それこそ病人とちゃうんか思うほど白かった。 でも、それだけやなかった。 俺がアレを……蓮クンを初め気に食わんかったんは『アッチ』側やったからやって、無意識に分かっとったんやろな、きっと。
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「クソクソクソ!! なんやアレ、なんなんやアレは、あんなキッショくの悪いヤツが!! なんでや!
しかも! 上から! 領域教えたる言うて、なんやねんクソが!! あのパッとせぇへんジジイ以上にパッとせぇへん家系のクセに」
禪院直哉は肩で息をきらしながら叫んでいた、下に見ていた家の術師が自分でも到達出来ない頂きにいる事が許せなかったからだ、だから彼は今何も関係の無い躯倶留隊の者達に苛立ちをぶつけていた。
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「はぁはぁはぁ……クソが! それでも、それでもアレは俺が習得できる言うとったな、俺の何が分かるんやアレに……甚爾クンに気に入られるだけでも気にか食わへんのに……クソ……タレがぁ!!……ホンマに俺にも覚えられるんやろか……領域」
「はい、覚えられるかと」
禪院直哉は真後ろから聞こえてきた声に驚き振り返る。
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「なんや、いつからソコにおんねや」
「つい今しがた、直毘人様にお聞きしたらおそらくココだろうと」
晴蓮はまるで他人事のように「荒れてますね」と事も無げに言いはなつ。
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「誰のせいや思とんねん」
「まぁ、僕でしょうね」
「そうや! お前のせいや! 何様のつもりや!」
感情のままに声を荒げ恫喝するが、晴蓮は意にも介さず、言葉を返した。
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「何様……そうですね、呪術師様……でしょうかね」
「なんや、お前。 喧嘩売っとんのか? 買うたるで、なんぼでもな」
「あっはっは、僕が? 貴方に? 喧嘩を売る……何故? そんな事してなんの意味があるので?」
禪院直哉は「ブチィ」と音をたてるが如く青筋を立て術式を使い殴ってくる。
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「!?へぇなるほど……コレが投射呪法」
『視えて』いても避けるのが間に合わない、中々どうして面白い術式だな、コレは。
「いきなりですか……乱暴ですね、君は。殴るモノだから腕が痛いじゃないですか」
防げはするけど。
「なんでや……なんで防げんねや、お前」
「さぁ? 何故でしょうね。 僕には答える義理はありません、しかしやられてばかり……と言うのは癪ですので」
その言葉を皮切りにお互いが術式を使う、禪院直哉はおおよそ人間が出していい速度を超えて拳を振り抜き晴蓮のクロスさせた腕を殴る。
その時の衝突音は、肉と肉・骨と骨がぶつかり合う音を遥かにか越えた鈍い音をなり響かせていた。
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「今のは中々に驚ましたね。ですが、そちらも無傷では、済まなかったようで」
しかし、禪院直哉の拳が晴蓮の腕に衝突した瞬間に晴蓮は既に、『百斂・穿血』を左右片手ずつに発動させ指の隙間から禪院直哉に、向かって放っていた、一秒止まるのならば、一秒速く動けば良いだけの事……しかしそれは晴蓮にしかできない芸当だが。
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「なんや……今のは、なにしたんや!!」
両肩と両脇腹から血を滲ませながら叫ぶ。
「おや?ご存知のハズでは?」
「ンなもん知らんわ!」
「ただの穿血……ですよ、今のは。まぁ本来のモノより少々違いますが」
事も無げに晴蓮は「穿血を僕なりにアレンジしまして」とのたまい次に発した言葉が……
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「禪院直哉くん、貴方は今の穿血を受けた時点で今から何をなさろうが、もう僕には勝てません」
「はぁ? なにゆーとるンやお前、俺がお前に勝てへん? ナニを根拠に」
「ははは、まぁ、そう言うでしょうね。ですのでお好きなようになさりなさいな、禪院直哉くん」
「精々足掻きなさい」と晴蓮が言い終わる前に禪院直哉は術式を行使したが何故か……自分の体が一秒間止まった。
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「ああ、今の術式使いましたね。でも何もできなかった……その証拠に今の君は動きが止まった。御三家同士の術式はある程度しれ渡っています、勿論禪院の投射呪法の事も……ね」
「なんや……ナニしたんや!! お前は!」
「潜血……僕の術式反転を貴方に使いました。とは言っても術式反転の技の内の一つですが。ああ、ご安心を術式開示等と言う小賢しい真似はしませんとも」
そう晴蓮が言うようにこの時点で勝敗は決していた。晴蓮が使った術式反転『
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「ナニを、アホな事抜かしよんねん! 」
「ですので貴方のお好きなように……ご自由に、なさいませ」
要するにオサレな仮面死神が使う逆撫みたいなもの。
もしかしたらこっちの方がエグいかもしれない。