その血が歩む道すじ   作:亞忌羅

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哀れですらない、扇は残当。


二十三話

 人影の動揺が見てとれる、それもそうだろう何せ自身にとって最大の技を戯れと言わんばかりに破られたのだ、同じ火の技で。

 ━━

 

「先ほどぶりですね、禪院扇様」

「小童、貴様何をした。(俺の術式ごと刀を溶かし斬った、何だ……コレの術式は、赤血ではないと聞いていたが、もしや俺と同じ火の術式か?)」

「何を……と、申されましても。扇様が火炎を纏い斬りかかってこられましたので、こちらも同じ火を用いた術式にて対応したまでにございますが」

 しっかし、ホントにパッとしない術式と技だな今の。俺が拡張(拡大解釈)しまくったからアレかもしれんが……それでも俺の術式の一つでしかないモノでこうも傲慢になれるのか。

 何と言うか、正しく哀れなりってヤツかな。 イヤマジでパッとしねぇなこの人。

 

「なに? 火を用いた術式だと言ったか小童」

「はい。そう申し上げましたが、それが如何(いかが)されましたか? 扇様。……もしや」

 わざとらしく口元を手で隠し小さなしかし確実に聞こえる程度の声量で「僕の術式が火の術式だと思われたのでは? なんとも愚かな

「聞こえているぞ、加茂の小童がぁ!! 

 

 目の前には青筋を立て俺に斬りかかってくる禪院扇(バカ)がいた……イヤ簡単過ぎんだろこの人。

 ━

「はぁ、氷血・氷間血泉(ひようけつ:ひょうかんけつせん)

 

 地面から上下の空間を凍らせる血が吹き出し、禪院扇を凍てつかせる。

 ━━

 

「……えっ、コレで終わり? ウソでしょ」

 ソコには氷像と化した禪院扇がいた。……だがこの程度で終わる呪術師ではない。

 

術式 解放

 

焦眉之纒衣! (しょうびのまとい!)

 

 へぇ、まぁ流石にコレで終わりはないよね、良かった。 にしてもコレは……この人、意外とバケるかも……

 

 炎を全身に纏った禪院扇は氷を溶かし、さらに溶かすために用いた火炎を切れた刀身に凝縮し業炎の刃を成し晴蓮に斬りかかる。

 ━━

 

「フム……〔汗孔噴漿(かんこふんしょう)外血集固(がいけつしゅうこ)凝血霞の円盾(こごちがすみのえんじゅん)

 

 鉄をも溶かし斬れる程の熱量を持った斬撃が、凝固させ堅さがました晴蓮を覆う血の盾と衝突。 空間に血が焦げる臭いと血の煙が充満する。

 ━━

 

「禪院扇さん。僕は貴方を甘く見ていた、謝らせてください。真に申し訳ございませんでした。

 貴方は強い、コレはウソにはございません、僕の本心にございます。

 ですが貴方はその術式を十全に扱いこなせてない……それが残念でなりません、扇さん貴方は今よりもっと上のステージに立てる素質を持っています」

「何……だと……貴様は何を言っている。 俺がさらに強く成れると……そう本気で言っているのか。 ……貴様は! 俺が! 真に強く成れると! 本気で宣うか!! 

 

「はい。僕の名に掛けて」

「(この……この小僧は俺が強く成れると……本気で? コレが……コレが……ここが限界なのは俺が良く分かっている。 ああ、良く分かっているとも! ……なのにこの小僧は言ってのけるのか? ……俺が……俺がさらに強く成れる事を本気で……)」

「参考になるかは分かりまんせんが、助言を一つ、何故……刀に自身の体に拘るのですか? 炎を発する、なるほど確かに、とてもシンプルだ。ならばもっと単純に簡単に考えては如何でしょう? 刀に炎を纏う? 勿体無い。体に炎を纏う? なんと勿体の無いコトか。

 扇様。もっと自由にもっと柔軟に考えてみてください。そう……例えば炎を生き物の形に成してみる、と言うのはどうでしょうか。えぇはい。半式神化させる、と言ったところでしょうか。

 すみません。僕の知識てはコレが限界にございます。ですが扇様、亀の甲より年の功。 と言うではありませんか。貴方ならばより良い使い方を思い付くコトにございましょうとも。扇様。今この時が、今この瞬間が殻を破る時にございます! さぁ扇様! 殻を破りましょうぞ、貴方を侮ってきた者達に一泡吹かせようではありませんか」

「(炎を纏うのではなく外に出す……生物が如く操る……半式神化させる……そうだ何故俺は己肉体にばかり目を向けていた。 何故そうするしか無いと決めつけていた、外に……外に……)」

 

俺の肉体(からだ)の外に! 

 

排出する! 




おかしい、ドブカス扇さんを強化させてる、何故だ。
鼻っ柱をぶった切ってフェードアウトしてもらうつもりだったのに、おかしい。
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