「そうか……逆なんだ!僕はここに神社がありその上にこの建物を立てたと思っていました。でも、逆なんです。集落の場所と神社の場所が……『ここ』が集落です」
「待って晴蓮くん。それこそこの建物の方が濃くなるハズよ、なのに残穢は道の方が濃かった」
「今……僕達が通って来た道は集落に行くための道ではないんです」
「それはどう言……まさか、参道なの?今私たちがきた道が神社に行くための参道だった?」
「おそらくは。もしそうだとしたらあの濃さも納得できます、それに、先ほど通ってきた道に横道が有りました。多分その先に神社の跡地があるハズです」
「それでもこの建物の残穢の薄さは説明がつかない」
晴蓮は首を左右に振り歌姫の主張を否定した。
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「集落の人達は神社を……御祭神を篤く信仰していました、であれば行き場の無い、無害な住民の霊が救いを求めて神社に行ってもおかしくありません」
「そして神社の御祭神もまた、住民達を救わんとし受け入れた……害ある住民の霊であっても、住民であるが故に受け入れた……たとえ自身の許容量を越えてもなお『御祭神』は住民を救おうとした」
「そして、その結果……墜ちてしまった……」
場に重苦しい空気が流れる、住民を救わんとした堕ちた土地神、たとえ墜ちていようと神は神、特級呪霊なのは明らかだ、だがそれ以上に二人を苦しめていたのは救おうとした結果墜ちてしまった事だった。
穢れ墜ち呪霊と成った以上呪術師は祓わなければいけない、民を救った神を
沈黙を破ったのは晴蓮だった、己の
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「庵さん、行きましょうか呪霊が居るであろう領域に、僕達は呪術師です。どんな呪霊であってもほっておく事はしてはいけない」
「ええ、わかってる、でも相手は土地神クラス。最低でも特級下位……下手をすればもっと強い可能性が高い」
私が居ては晴蓮くんの邪魔になる、ここで待っているのが正解ね。
「庵さん。呪霊との戦闘時、是非あなたの術式を僕に使ってください。長引かせたくありません、今回は短期戦で片をつけます。お願いできますか?」
「……分かったわ、なるべく邪魔にならない様に頑張るわね」
「頼りにしてます、庵さん」
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二人はきた道を戻りその途中にあった横道を進む、進むにつれ残穢……呪力の濃さが尋常じゃない程濃く重く成っていく、並みの術師では近付く事すら赦されない領域に二人は入っていく。
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「ウッ……くぅ!はぁ……はぁ、うぁ」
まるで、呪力が物理的な圧力を持つかの様に歌姫を襲い、歌姫は膝を崩し地面に手をつき息が荒くなる。
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なに……コレ、こんなの経験した事が無い……コレが土地神……コレが特級呪霊!!これ以上近付くのはできな……
「あ……体が少し楽になった?」
「今、庵さんの周りに結界を張りました、これで少しは楽になったかと思います」
「結界……この短時間で!?」
スゴい、全然気付かなかった。いったいどんな結界を張ったのかしら、でも体が楽になったのは事実、今はそれでいい。
「あれですね。最悪だ……アレは産土神じゃない、
「荒神……火の神や竈の神を奉る荒神信仰の?」
「であれば嬉ですがおそらくここに奉られているの三宝荒神の類い……良くて夜叉神。悪ければ三面六臂の明王です」
ふぅー……流石にこれは手加減どうこうの話じゃない、全力でヤらなきゃこっちが死ぬ。
最初からフルスロットルだ。
「明王……そんなのがここにいるワケが……もし、もし晴蓮くんの言うとうり明王だとしたら一人で祓うなんて到底無理よ、確かに晴蓮くんも特級だけど一人じゃ流石に無理よ、ここは一旦下がって他の特級の五条悟を連れてきましょう。特級二人なら……」
「そんな時間はなさそうですよ」
晴蓮は「ほら」っと荒神殿の上を指す、ソコには空間を歪ませる程の呪力が渦巻いており今にも爆発しそうな様相していた。
「そんな……どうすれば良いのよ、こんなの」
「今、やるしか無いですね。庵さん先ほどの発言を撤回させてもらいます、すみませんが庵さんにはソコから動かずにいてもらいます」
そう言うや否や晴蓮は庵の周りにさっきの結界よりも強固な結界をはった、結界に付けた条件は、結界が解ける時間制限を設け、結界内に入れなくする代わりに庵歌姫を出れなくし結界の外殻を極限まで高めた結界だった。
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「えっ。な、なにコレ!?ちょっと晴蓮くん!ナニする気なの!!」
「僕も腐っても特級です、今まで何度も特級呪霊を相手にしてきました、ですが庵さんを守りながら戦うのは流石にキツイ、ですのですみませんが庵さんには少しの間その結果の中に居てもらいます」
ふー、加茂晴蓮。腹に力いれろ周りの被害なんざ考えるな、今はただ目の前の呪霊を祓え、ナニをしてでも……相手が誰であっても、神であっても
要するにめっちゃ化物、堕ちて名を失った不動明王もどき、普通に死ねる相手。