「おい……おい、ソコの莫迦。ハイキングじゃねぇんだぞコレは」
「僕からすれば大抵はハイキングですよ」
何故この様なやり取りをしているのか、それは……
「おー、あいあい」と晴蓮の式神化した術式『肉雫唼』に乗る双子達の姿がソコにあるからだ。
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「それに、何があろうとこの子達にキズ一つ、つけさせませんよ、この僕が」
はぁ、このバカは……ってもまぁコイツは特級呪術師、コイツからすれば並大抵の呪霊なら容易いのは当然か。
だが、何が起こるか分からないのが現場だろうに、分かってんのかコイツは。
「なにやら考えてるみたいですが、ご安心を直毘人さん。僕だってちゃんとやってますよ?この奥、三百メートルほど先に呪霊が……
「お前……はぁ、行ってくる」
どこか諦めた様に呪霊に向かう直毘人。
「日下部さんもファイト、この依頼が終わったらしばらくの間は依頼がいかない様にしますので」
「本当だろうな!!本当に依頼こねぇんだな!」
日下部の問い掛けに首肯でもって返した、すると「よっしゃぁ、やってやんよ!」と呪霊めがけて駆け出していった。
「んー、ある意味では日下部さん扱いやすいな、がんばれー、ほら二人も」
「あー」「うあー」と喋る妹達に良い子だねーと妹達とイチャつくバカ。
「冥冥さん、貴女は行かないんですか?できれば行って欲しいのですが、雇ったんですし」
「私を戦力に数えてるのかい?私はカラスを操るしか能の無い術師だよ、それとも殴って祓えと?」
「ソレはそれで別に構いませんが、カラスを使ってナニかできませんか?」
「なーにもできないよこの術式は、ただカラスを操るだけさ、弱いだろう?」
「そのカラスはどの程度操れますか?思考誘導だけですか?」
「全てさ、思考も動きも五感も全て操れるのさ、ま、裏を返せばその程度しかできない術式って事だよ」
んー、
「冥冥さん、確認したい事があるのですが、いいですか?」
「何だい?私も、君の噂は良く聞いてるからね。何でも数多くの術師の
私に何を求める特級呪術師……私の術式はココで頭打ちだ、それは私が良く分かってるのさ、痛いほどにね。
「
使う?……この子は何を……あぁ、ソレか……その程度の事しか考えつか無かったのか……はぁ期待外れだね。
「ふふ、カラスを突撃させろと言いたいのでしょう?まさかその程度で呪霊が……」
「それこそまさかですよ、その程度なら誰でも思いつきますし、一度は試すでしょうし、その程度なワケがありませんよ。
冥冥さんは知ってますか? この国が考案し、お国のためと責務を負わせ、帰る事を許させなかった、唾棄すべき行為…………『自爆特効』これをカラスにやらせるんですよ。そうすれば……まぁ、特級下位クラスの呪霊なら祓えるんじゃないですかね」
この子は……この子は何を言って、そんな事……考えもつかなかった!!あぁ、あぁ!何でそんな簡単な事を思いつかなかったのかしら。
「ええ、そうねぇ……カラスに『自死を強制させる』縛りを使えば、一時的にではあるもののカラスが持つ微弱な呪力を底上げできる、そして」
「強力な呪力の塊として呪霊に突撃させる!ふふ、まさしく神風ね」
なんかスッゴい嬉しそうに話すなー、ま、新しい技を思いついたんだし、そりゃこうなるよね。
「ふ、フフフ……アハハハ!あー面白い。ねぇ、加茂晴蓮くん、ありがとう。良いモノを教えてくれて、フフフ」
「……嬉しそうで何よりです。お礼にお金負けてくれたらうれしいですね。
でも、まだ何か思いつきそうなんですよねー……んー、ああそうだ。冥冥さんはカラスの骨、死んだカラスとかも操れるんですか?」
「ソレは無理だね、金は大事なのさ。色んな意味でね。
それと骨と死骸だったかい?……どうだろうねぇ、試した事が無いからなんとも言えないね。それでもし、カラスの骨や死骸を操れたら私にナニをさせる気だい?」
「例えば、カラスの骨やその他や諸々のカラスの
「カラスの
「僕たち呪術師の術式は解釈の仕方で如何様にも化けるんです、冥冥さん。もっと自由にもっと柔軟に考えましょうよ、固定観念なんかどこぞのゴミ箱にでもシュートすればいいんです、僕は呪術師はもっとも自由でとてもデタラメな存在だと思ってます。
なにせ術者が、己の術式は『こうだ』と思えば術式は『そう』なんです、自由にいきましょう、自由に」
あぁ、これが……殻を破らせる
はは、この子ほど自由な呪術師はいないだろうねぇ、だからこそ……私達みたいな連中は縋り付いてしまう、今の自分を変えてくれと、ナニかを教えてくれと、これが噂に聞く『気付き』を与える、か。心底おそろしい男だ。
どのタイミングで神風を使える様になるのか分からないですが、少なくとも弟の存在が大きいのかなって思ったのでココで神風を習得してもらいました。
あと