「…………またとんでもないモノ持ってきたね、晴蓮くん」
「よく分からんがとんでもねぇモンを持ってきた、で良いんだな?」
「ええそうね……とんでもない代物ね、それこそ小さな国の経済を破綻させかね無いもの」
冥冥さんソレ言い過ぎですって、破綻はしませんよ、多分。
「呪具名は『霊魂の抱擁』と言い見ての通り手袋ですね、勿論ただの手袋じゃありませんよ? 粉末にしたネン獏の
「確かソレらの材料って特級レベルのヤツだと記憶してるのだけど?」
「ですね、特級呪具を造る時に使われる材料ですね、なのでとても高かったです」
「いやー高かったなー」と事も無げに良い放つが、並みどころか相応の術師でも手が出せないレベルの金額になるだろう。
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「いくら掛かったかは聞かないでおくよ」
この呪具は間違いなく特級……そんな代物をこうも簡単に造って渡すとはね、加茂の当主だからできるのかそれとも特級呪術師だからできるのか……彼の場合両方ね。
「で、晴蓮、コレをどうすんだ」
「そりゃ勿論、倭助さんに差し上げるんですよ、僕には必要ありませんし、そもそもそのために造ってもらったので」
「本気みたいだな……まぁ、有り難く貰おうか、大事に使わせてもらうよ」
「壊す気持ちで使ってください、大事に使って倭助さんが死んでしまっては意味がありません、なので使い潰すつもりで使いまくってくださいね、直せる程度なら直せば良いですし、直せない程壊れたら、また造れば良いだけですから」
コレを使い潰せ……ねぇ、彼って資産どれくらいあるのかしら、気になるね。
「では、倭助さん。どの程度戦えるのか気になりますので僕とヤりあいましょうか」
「何を言ってんだお前」
悪びれる事も無く「だって気になるじゃないですか」と軽く体を動かしながら倭助に「強く、なったんですよね? なので手合わせしましょう」と、まるで遠足を待ちきれない子供の様に楽しそうにしながら言う。
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「おい、姉ち「諦めなさいな、彼は本気だからね」……はぁクソ、分かった分かった、やりゃいいんだろ」
冥冥が「してる間あの子の相手をしておくから存分に楽しみなさい」と足早に離れた。
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「では、いきますね?」
「穿血」そう静かに言うと両手の中で圧縮された血漿が車並みの速さ倭助を襲う、すると倭助の体が僅かに光り穿血は四散する。
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「ッ! 術式順転『
ッ! 何とか間に合ったか、なんだ今のは、車並みの速さで飛んできた黄色いヤツは、アレが晴蓮の術式か? 訳がわからん、だが厄介なのは分かる、喰らえば最悪抉れるな、良くても貫通する、鎧を解くな維持し続けろ、そしてそのままぶん殴れ!
ははっ、凄いないくら弱くした穿血とはいえ体に触れずに散るとか面白い術式だね、ナニをしたんだ? 僅かに
倭助は穿血を防いですぐに駆け出し晴蓮の右側を力を込めて殴ると、晴蓮は左腕と左足を器用に使い鋭いパンチを防ぎ、流れる様に左腕を掴み右足で蹴りを繰り出すが見えない壁に阻まれる、しかしソレを想定していたのか見えない壁を逆に利用し壁を踏みつけ距離をとる。
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そして左手で血漿を圧縮し指の隙間から穿血を撃つと同時に駆け出し右手で圧縮していた血漿を鉤爪の様に振り抜く。
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三本同時に飛来する穿血を
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コレが呪術師の戦い……こんな風に命を賭け
ふぅ………別の事は考えるな、今は晴蓮の事だけ考えろ、戦う事だけ考えろ、だがどう戦う……相手の方が当然格上、戦いの経験値が違いすぎる、だとすれば……俺にできるのは息も吐かせぬ程に攻め続けるしかねぇな、肉弾戦だけじゃ勝てねえかも知れねぇが何でもやれ、何でも起こせ。
「拡張術式『魂操』
術式を叫ぶと倭助にしか見えない無機物から溢れる小さな魂たちが大波と成り晴蓮を襲う。
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!? うおっ、なんじゃこりゃあ! いきなりナニかに押し流された!? すげぇコレが倭助さんの術式! うっわ、おもしれぇナニこの感覚、流された? 押し出された? すげぇなコレが『
俺は呪力の匂いで術式を感知する、その
俺たち術師は術式で現象を発生させる時点で視認できる、しかし、魂というあやふやな存在を見る事は事実上不可能! おそろしい、
しかし、流される前に僅かにだが地面付近に
今はそれよりも、だ、
しっかし
「凄いですね、倭助さん、短期間でこんなに強くなるなんて……なので、もっと見せてください」
「いきますよ、鉄血『
「ッ『
握っていた右手から五つの血漿が飛び散り五つの球体へと形を変え襲いかかるが、倭助が張った不可視の壁に遮られが不完全だったのか二つ壁を貫通し倭助に手傷を追わせる。
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「く……つぅ。まだアレだけじゃ防ぎきれんか」
あの姉ちゃんが言っていたのは呪術師はいかに行程減らしていか、行程が少ない程強い術師、つまりアイツはとんでもなく強いっつー事か、クソッタレめ。
おお! また
クソ! 一つ一つの技が速い……防ぐだけで手一杯だ、ならやられる前にヤる、攻め続けるまでだ!
「拡張術式『魂操』多魂矢《たこんし》、まだだ! 拡張術式『魂操』
晴蓮がいる周囲の地面が僅かに光ると地面から倭助にしか見ることのできない数十におよぶ青い矢と一つの渦巻く青い矢が一斉に飛んでいく。
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見えぬ攻撃を防ぐのは並みの術師であれば不可能に近い……だが、この男は呪術界における現状三人しかいない最大戦力である『特級呪術師』の一人、全てが規格外が故に与えられる等級の呪術師、たかだか
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「驚きました倭助さん、まさかコレを使う事になるとは思いませんでした」
そこにあったのは晴蓮の周囲を血色の壁が覆い不可視の攻撃は全て防がれていた。
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「何が、おきた……」
なんだアレは、血の盾? だがアイツは何もやってないハズだ、どうやって術式? を使った。
晴蓮が静かに話す。
「ここ最近、僕の友人が常に術式の膜を展開する方法を編み出しまして、そこでふと、思ったんです。
コレ……僕にもできるのでは? と、その友人にやり方を聞きましてアレコレしていたらできる様になったんです、防御術式の
とは言えこの手合わせでコレを使うつもりはありませんでした、こんなんですが僕は特級呪術師です。
それにひきかえ倭助さんはここ数ヶ月で術師に成ったばかり、いくらなんでもそれはダメかな……と、思い使わない様にしていたんですけど……どうやら今のは危険だと判断したんでしょうね。
イヤーまさかまさかですよ倭助さん、コレを使わさせられるなんて、驚きました。
なので倭助さん、今からは少しギアを上げますので気を付けてください、あ、それとコレは僕が
ですので、この盾を貫通できる術式じゃない限り僕には届きません、頑張ってください」
へぇ、話には聞いてたけど本当に晴蓮くんも使えるんだね、いい事を知った。
……私の
晴蓮は呪力出力を一つ上げた、今までの出力はおよそ準二級術師程度、しかし今は二級術師並みにまで上げた、それを意味するのは虎杖倭助が二級術師相当の強さがあると認めたからだ、ここからの手合わせで晴蓮は彼を侮る事は無い。
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今さら過ぎますが、今まで出てきた呪具の材料は呪霊とは別の怪異とか呪力を得た元動物的なモノという設定にしてます、ホントに今さら過ぎますね、忘れてました。
虎杖一族は魂に関する術式や技術を扱える一族に捏造しました。
主人公は宿儺という魂の檻でパパ杖はアレだし、ならおじいちゃんの倭助も魂に関するナニかができてもいいよね、的な感じで捏造しました。