その血が歩む道すじ   作:亞忌羅

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このあたりからストーリーが始まります、多分。


六話

「晴蓮様、晴蓮様どちらにいらっしゃられるのですか? 晴蓮様ー」

 

 家の奥から僕を呼ぶ女中の声、専属と言いわけでは無いがそれなりに俺の世話をしている人の声が聞こえてくる。

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「浅井さん、こちらです中庭の縁側にいますよ」

 

 軽い鍛練と術式の研鑽・拡張をした後の休息がてら中庭が見える縁側に座っていた。

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「あぁ、晴蓮様こちらにいらっしゃったのですね、御当主様がお呼びでいらっしゃいます」

 

 僕を見つけて安堵し一息ついた後「ささ、こちらに」と手で示しながら浅井さんがそんな事を言ってきた。

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「父様が? 分かりました、父様はどちらに?」

「御当主様は書斎にいらっしゃいます、明日の事でお話があると仰られておりました」

「明日? 明日に何かあったかな」

 何があるのか考えながら父のいる書斎へと向かう。

 

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「父様、晴蓮です」

 

 父の書斎は我が家には珍しい洋室のために襖では無く一般的な扉を三回ノックして声をかける。

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「あぁ、入りなさい」

 

 短く父が言い扉を開け中へ入る、父の書斎は沢山の本がある、その六割程が何故か呪術とは関係の無い本なのが謎ではあるが。

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「晴蓮、最近はどうだ? それとお前は今年で幾つになった?」

「最近は父様が寄越してくださった、シン・陰流の方に鍛えてもらっています、おかげでナニか新しいモノを見つけられる気がします。

 それと父様、僕は今年で十歳になりました。それがどうかなさいましたか?」

 知っているだろうに、何で聞くんだ? 嫌な予感がする。逃げたい。

 

 父親がわざわざ歳を聞いてきた事に一抹の不安が脳裏をよぎる。

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「うむ、そうかそうか。

 あ奴はなぁやる気はないが腕は確かだ、何せ……まぁそれはいい。で、だ。お前も今年で十歳をむかえた。そして私は明日、五条家と談話が合る。そこにお前も同席してもらうつもりだ」

 

 目を閉じ「あぁやっぱりか」と内心思いながら父に返答をする。

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「つもり、と言い事は断っても宜しいので?」

 

 父は悪どい顔で「ククッ」と笑いこちらに顔を向け様に二の句をつげる。

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「まさか、拒否権は無い。それと晴蓮、行きたくないと顔に出ていたぞ、少しは隠す努力をしなさい」

 顔をニヤつかせながら俺に向かって笑いながら頭を撫でてきた、イヤなモノはイヤなのです父様。

 

「それに、だ。お前も一度はあの『最強』に会っておけ、損はせんだろう」

 

 どうやら『最強』の顔が思い浮かんだのか、忌々しそうに顔を歪める。

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「あぁ、あの噂の。……確か無下限と六眼の抱き合わせだとか。なんでも世界の均衡(バランス)が変わったのだとお歴々に教わりました」

「そうだ、あれが生まれた事で呪術界は変わった、良くも悪くもな」

 

 父は苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てた、まぁでしょうねあれはきっと、そう……化け物なのだから。

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「確かに、僕も例の『最強』さんには興味はありますね。どんな人なのか」

「ふん、ただのクソガキだ。あれは」

 やはり吐き捨てるように言った、そんなに嫌いなのか、なら行かなきゃ良いのに。

 まぁ、そう言うわけにはいかないのかも知れないけど、俺、事情知らないし。

 何となく自慢しに行く気がするけど。

 

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 ふと、思った疑問が脳裏をよぎる。

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「父様。その『最強』と僕どちらが優れていると、思いますか?」

 強いのは当然『最強』の五条悟だろう。だか、俺が聞いたのはどちらが『優れているか』だ。

 

「……そうだな……術式の『強さ』で言えば間違いなく五条のガキだろう。だが、『優秀さ』であれば晴蓮、お前に軍配が上がるやも知れんな」

 

 父は少し嬉しそうに、しかし確信しているかの様にそう言った。

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「なら、ご期待に答えられるよう頑張ります、父様」

 

 俺の返答に気分を良くしたのか、父はとても嬉しそうに笑っていた。

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「今に見ておけ、五条奴らども……誰の子が一番かしらしめてやろうとも」

 

 父はほくそ笑みながら肩を揺らしている

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「楽しそうですね、父様」

 

 ハッと我に返りバツが悪そうに咳払いをする

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「ん"ん"。兎に角だ、いいな晴蓮。明日の昼前に五条家には着く予定だ、準備をしておきなさい」

「分かりました、万全の準備をいたします」

 えぇえぇ、何が起きても対処できる(逃げきる)ように一分の隙もなく万全の準備をしますとも、父様、見つかりたくないので。

 確かに『彼』に興味はありはするけど、目を付けられたく無いし。何かこう……対処が面倒くさそうだし……よし、頑張って逃げよう、何卒……何卒何もおきませんように。

 ……無理だろうなぁ、イヤだなぁ。

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