「はー、これが五条の屋敷。やっぱりでかいですね父様」
五条の屋敷に着いた感想はこれだった、確かに我が家もでかいが、なンと言うか、うーん凄い? ってヤツ。
「我が家にはかなわんがな」
フンっと鼻息荒くして自慢気に言いのけた。
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俺にはよくわからん、似たり寄ったりでしょうに、大きさでは。
「やぁやぁ、お久しぶりですな五条殿」
「これはこれは、お久しぶりにございます、加茂殿」
うっわ、どっちも顔が笑ってねぇじゃん、流石に青筋はたってないけどさ、ホントに何しに来たのここに。
「晴蓮、この方は現当主五条■■殿だ、ご挨拶なさい」
「お初お目にかかります。加茂晴蓮と申します。若輩者にございますが、日々、精進しておりますので、ぜひご指導・ご鞭撻ほど宜しくお願いいたします」
五条家現当主は目を見開き言葉を失うなか、父は良くやった、と言わんばかりに顔を綻ばせている。
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よほど嬉しかったみたいだな今の返答……あー、なるほど五条の跡継ぎは『アレ』たがらな、そりゃ嬉しいだろうし、自慢するだろうな。
「こ、これはこれは加茂殿。中々に善いご子息にございますな、あの子にも見習って欲しいですな。爪の垢を煎じて飲ませたい、と思うたのは初めてにございますぞ」
「ははは、この子私の自慢の息子でして、日々成長著しくありましたな、ここ最近はなんでも新たな気付き得たようでして、一級……否、特級術師になるのもそう遠くは無いかと」
父の言葉にピクリとこめかみを揺らしてみせた、それは果たしてどちらなのか……。
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「ほほぅ。それはそれは、何ともその様な事が――」
「えぇ、実は以前に――」
年寄りは話が長いと言うが、いくらなんでも長すぎでしょ。
しかも八割方が自慢話……飽きないねぇホント。
「あぁ、晴蓮。私は五条殿と大切な話がある。お前は外で待っていなさい」
「晴蓮君。案内はしてやれんが自由に屋敷を見て回るとよかろう。そう珍しいモノは無いとは思うがね」
「ご当主殿。ご配慮痛み入ります。それでは父様。お先、失礼いたします」
とりあえず恭しく言い席を立ち外に向かう、女中の人が襖を開け通り抜け、再度頭を下げ場を離れる。
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何やら、室内が騒がしい気もするが、無視無視、今はどうでもいい。
例のアレに会うつもりは無いけど、せっかくご当主殿が仰有ってくださったのだ、是非とも屋敷探訪はしてみたい、特に中庭とか。
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オレが『ソレ』を初めて見た時は『何だアレ』だった、気味が悪い。全部が全部、気味が悪い。
それなりな和服を着てて、背丈程ある赤黒い棒で地面をカツカツ叩きながら歩いてた。
そこまでは良い、気味が悪いのはそこじゃない。
呪力だ、呪力が濃い。気持ち悪い位に濃い。しかも見たことも無いほと異質な呪力が全身を廻ってる。
オレがそんな事を考えていたら、ふいに目の前の『ソレ』が声をかけてきた。
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「そこに居るのは誰?」
透き通るような声、耳心地の良い声が脳にストンと入ってくる様な気さえする声。
風貌に目を見やれば和服を着た若干、色白い優男がこちらを見ずに声をかけてきた。
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「
ソイツは頭にクル嫌みな言葉を発しながらこちらに振り向いた、やっぱり白い。
たがこちらは『透き通る様な』ではなく……病的な程に白い顔で、しかも目を閉じているためか余計気味が悪かった。
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「おまえ誰?」
臆したわけではない……ただ、言葉にできない気味悪さがイヤだった、それにワケの分からない事も言うし、だからぶっきらぼうに言葉を投げつけた。
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「名前を聞くときは自分からって教わらなかった? まぁ、別にいいけどね。じゃ先に僕から。僕は晴蓮、加茂晴蓮。宜しくね」
加茂? 御三家の加茂か。あー、そう言えば今日加茂の当主が来るとか何とか言ってたけか、加茂とはまぁ、加茂とはそこまで仲悪くないし来てもおかしく無いか、となると……ここに居るこいつは、まさか。
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「お前、もしかして次の当主?」
直毘人を除いたパパたちの名前どうしようかしら。