ブルアカ ショタ化先生とカンナ [完]
コツコツ……
「またですか……」
いつものように捕まっている先生。私が見回りをしている時、3分の1で拘置所にいる。今回はその3分の1を当てたというわけだ。厄日だ。
「……何やってるんですか、せん……せ……」
鉄格子越しにまた変なことをしているんだろうと見る。慣れたつもりだったが、やはりキヴォトスはおかしい。
「……カン゙ナ゙〜」
「ええ……」
若干鳴き声のように話しかけてくる先生は、全ての服がダボダボになっていた。というかもう服に埋もれている。
「どこぞの長寿探偵漫画みたいな……」
「うわ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ん゙……」
全く……この人が関わると大抵普通じゃないことが起きる。キヴォトスなら尚更。
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一旦事情聴取のために牢を開ける。幼児化した先生をひょいと持ち上げ散らかった服も拾う。持ち上げただけで柔軟剤の匂いが漂う。うぐっ。
私の好きな匂いだ……
「先生、サイズXLなんですか……?」
「そうなの、普段は180ぐらいは身長あるし。普段は……」
今はこんなんだけどとしょんぼりする先生。何かしら感情が揺れ動いた気がしたが、ここは公私混同をするべきでは無い。
別室まで早足で移動した。先生は脇に挟まれて四肢をプラプラする。うぐっ……この先生、ほんといちいち……
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先生の服は何故かあった専用タンスに放り込み、何故かあった子供用の服を渡す。
さすがに1人で着れるから! と追い出されたが、元からそのつもり……いや、元からそうだが?
「……もしかして! 今回もカンナの手作り!」
「……ほんっと……」「……そうですよ」
事情聴取室に移動し、ちょうど出来上がったカツ丼を出す。ちょっと前まではこのカツ丼にも意味があったかもだけど、先生がバクバク食べるもので、意味の無い儀式になってる気がする。
……しかもなんで毎回私の手作りだと気づくんだ……。1度だけスーパーで買ってきたカツ丼を移し替えたが、直ぐにバレてしまった。なんで分かるんだ……
「美味しい! 美味しい!」
「……静かに食べてください」
「……美味しい! 美味しい!」
「静かに食べないと本当に逮捕しますよ」
「……」むしゃむしゃ……
……こういうぶっきらぼうに言うところが、この先生が生徒から目をつけられる原因だ。他の生徒にもやっていると思えば心を落ち着かせられる。けどいつ言われてもビクッとする。
目をつけられる理由はこの色気。いや、今は愛らしさとでも言うか。
人たらしなところがある先生だからこそ、色んな局面で切り抜けられたのかも……
そんな人たらし先生も、今は可愛げな少年だ。
いつも通りの大きさのカツを1口を食べようとするから、ほっぺたがアーモンドを食べたリスのようになっている。
突っついてみたい。ちょっとむぐってなるところが見てみたい。
……はっ! 私は何を! ……疲れてるのか……
「……で、今回はどうしたんですか」
「いやあ……」
「カツ丼美味s「黙ってください」
「……」
「……でなんですか」
「……」ニコッ!
「黙らないでください!」
ああもう! めんどくさい! 毎回こう! 見た目可愛い男の子だけど、中身がおっさんすぎる! くそ! 可愛いから許せるのが1番むしゃくしゃする!
「ん、それはここに来た理由? ちっちゃくなった理由?」
「まあ、どちらも聞いておきましょう」
ここに来た理由は単純らしい。生徒の足を舐めたあと逃げ回って、違う生徒の頭をポンポンしてたら、急に爆発が起きて、自首して匿って貰おうとしたということだった。
どこが単純なのだろうか。複雑怪奇すぎる。一つ一つ事案を聞いてたら日が暮れる。ていうか、また生徒の足を舐めてるし……反省がない……
「そんな笑顔で言わないでください。先生としてどうなんですか?」
「やっぱこの可愛い顔でもだめ?」
「だめです。ダメすぎます」
「……許してよ〜」
「……ぐっ……だ、だめです」
若さを自覚して武器にした先生は狡猾だ。くそう。カツ丼を隅に置き上目遣いを私にしてくる。ピチピチの肌をこれでもかと見せつけてくる。
うぐっ……ぐっ……うぅ……
正直なところだが、このキヴォトスに先生を好かない人は見たことがない。私もその1部だ。
それもそう、ここはいわゆる女子高のようなもの。恋愛を知った女子が、自分を大切にしてくれる唯一のイケメンを好きになるのも無理ないだろう。
……先生はそのことを知らないようだが……
「そんなことしてたら、ほんとにいつか酷い目に会いますよ」
「大丈夫、この体になることがその罰だと思ってる」
……もう一度言うが、先生のまるでアイドルjrのような見た目である。大人の時も容姿は明らか目立つほどだが、今は限界突破して10000年に1度程の美青年だ。
全くもってその体はデバフじゃない……って言いたい!
見てるだけで心がどうにかなってしまいそうになるため、先生の髪の毛の数を数えることで心を落ち着かせている。
「この体になると、だんだん思考が子供っぽくなるんだよね。数時間すると元に戻るんだけど、ぉ、ぉ、ぉ」
「先生?」
「カンナ、あとは頼むよ、ぉ、ぉ」
「カンナ! 抱っこして!」
「ぇぇ」
さっきまでのどこかに邪な思いが混じっている顔が、純粋な子供になった……。原理がほんとに謎だ……
さらに可愛くなったようにも、感じる……妥当か。
「抱っこは、……しません」
「ぇえ! やだぁ! 抱っこして! だっこ!」
「…………」
「ぅ、ぅぅ」
「あっちょ、! 泣くの、泣かないで、ね?」
「だっこぉ……」
軽々先生は持ち上がる。柔軟剤の匂いかと思っていた先生の匂いは、まさかの先生自身の匂いだった。どんなボディーソープを使ってるんだ。あ、あがっ、に、匂いが、本能が、本能に直接訴えかけてくる、
「……」
「高い高いして!」
「……タカイタカーイ」
「もっと! もっと!」
「……(はあっ! はあっ!)」
まずい! 非常に不味い! 子供特有の体温の高さとやわらかすぎる脇! 声高に喜ぶ先生! このまま持って帰りたい! 理性が! 理性がァ!
「あははっ! たのしい!」
「そ、そうですか……」
先生の握りこぶしも、私の手で覆い尽くせてしまう程しか大きさがない。
「えいっ!」
「!?!? ちょっと!?」
流石にもういいだろうと思って、下ろそうとした。体に抱きつかれた。体温が直に伝わってくる。身体中が痒い。喉の奥が乾いて仕方ない。ずっと固唾を飲み込み続けている。
心臓の鼓動が早い。早すぎる。
胸には先生が耳を当てている。ちょっ、普通にバレてしまうのでやめてください。もうダム決壊寸前です。それ以上私との距離を縮めないでください。不味いことになりますよ。
「えへっ! カンナってママみたい!」
「……」ピキーン
来てしまった。理性の壁が壊れる瞬間が。
何を思ってその言葉が出たのかは知らない、がそんなことはどうでもいい。
「へっ? カンナ?」ヒョイ
「先生、逮捕です」スタスタ
「わ、悪いことした……?」
「はい。しました」
「我慢ならないので、少し目を瞑っていてください」
「へっ?」
「わ、わかった……ごめん」
休憩室に来る。薄く電気をつけておく。
ここには人をダメにするクッションが置かれている。いつもはあまりにも疲れた時に使うが、今日は少し違う。私は先生を抱っこしたまま胡座を取る。
先生は勿論私の足の上にいてもらう。腕でホールドしておく。
「もうめあけていい?」
「だめです」スゥゥゥゥゥ!!!
「カンナ!?」
アホ毛がぴょんと伸びる髪を思いっきり吸う。太陽と向日葵の香りがする。鼻腔を夏がくすぐってくる。これは襲われても仕方ありませんし、爆発するのも納得です。奪い合いになります。
「か、カンナァ?」
「……」スーハー! スーハー!
「その……いるよ?」
「何がですが」スーハー! スーハー!
「姉御……??」
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「まさか姉御にカツ丼を作る時が来るなんてね」
「……私は悪くない、と思うんだ」
「無理があるよ」
カツ丼食べたい