元ヤン先生とアル
「ふんふふ〜ん♪」
「今日はやけにテンション高いじゃん。どうした?」
「ん? いやそれは……」
「(シャーレの当番に当たったから、なんて言えないわよ)」
「ここにくる途中で……そう! 銀行強盗を成功したのよ!」
「わかる嘘はつくなよアル……」
「(まぁ……その通りだわ)」
シャーレの当番は先生の目が届かないところで抽選会が行われている。
あまりに不定期でだいぶ先までの予定を決めるため、情報に強い子たちがよく枠を取る。
このシステムに不満を言う者もいると思われたが、情報に強い子は頭もいい。
軽々論破してこのシステムが導入された。最近では八百長とかもうわさされてるけど……
「(そんな中、たまたま通りかかってたまたま当たるなんて、私って幸運かも♪)」
「なぁアル。ちょっと賭けをしない?」
「え?」
「いやそのまんま。この暑さだしハーゲンダッツが食べたいとは思わない?」
「ハ、ハーゲンダッツ、ですって!?」
「ただ、普通に二人で買いに行くのもアレだし、神経衰弱しない?」
「し、神経衰弱……って、先生、またパシろうとしてるわよね!?」
おもむろに先生はトランプを持ち出す。顔が悪いことをするときのにやけ顔にしか見えない。
時々と言うか、先生は生徒をどう思ってるのか気になる……
私が言われただけでもこの会話、すでに二、三回してるような。
「……って、言おうと思ったけど、俺が行ってくるわ。今日暑いし」
「っえ? いや先生! 私も行くわ!」
蝉の声は変わらず……。今日はどうやらエンジェル24が休みだったらしくて、20分ぐらい歩いてコンビニに行くことになった。
「あちい~……キヴォトス史上一だろこれ……」
「確かに今日はすごいわね。ほんとにわたし一人でも行けたのよ?」
「いや、アルは一人にさせると危ない気がした。ほんとに」
ちょっと不服。お使いぐらいひとりで行けるわよ!
その言い方、まるで一人にさせたら町が崩壊するって言っているような……
身ぐるみはがされてとんずらこかれるって言っているような‥
「実際この前アルをジュース買いにパシったら俺の財布盗まれたこととか」
「E〇Nにいったら急に戦闘が始まって崩壊したとか」
「……」
「ごめんなさい……」
……そういえば本当のことだった。ちょっと程度は違うけど。
でも、この先生自分がパシったっていう事実は認めたわよ! 自覚あったことに驚きよ……
「怒ってないから謝るな。はは」
と、軽く談笑を交わしながら、小川のそばを歩いた。
時間は午後一時ほど。8月のこの時間は本当に……あつい。
「アル、そのコート暑くないのか?」
「一流のアウトローならこれくらい暑くな‥いや、さすがに今日は暑いわね‥重いし」
「持つから、貸しな」
「えっ!? いやさすがに悪いわよ。かさばるでしょう?」
「いいから。倒れられたら困る」
「わ、分かったわ……」
先生の腕にコートを任せ、なんだか少し恥ずかしくなる。腕が涼しい。なんでこの人は思っていたことがわかったのかしら……?
意外と筋肉の盛り上がりがすごくて、ギャップにこれまた驚く。
「(あれ、なんか顔が熱くなっちゃってる‥。先生ってこんなに身長高かったかしら‥)」
頭が混乱している間は時間があっという間に過ぎる。
先生の「やっっとコンビ二ついたな~」と言う言葉ではっと現実に引き戻された。
結局コンビニでは買いだめと名乗ってクーリッシュやらMOWやらジャンボモナカなど、買い占める勢いで買い物かごに放り込む姿に戦慄した。
「こ、こんなに!? た、食べきれるの?」
「アルも食べるだろ? まさか一回じゃこんな食えんよ」
「そ、そうよね。さすがに」
「あ、ハーゲンダッツ忘れてた~」
「先生はアイスが好きなの?」
「あ? ん~まぁそうだな! ガキの頃から年柄年中食ってたな」
「他のお菓子とかは?」
「他のは全部兄弟に食われてたわw」
と、言いながら私は見たことがある。
街中でレジ袋を持った先生が、泣いてる子供にアンパンマンチョコをあげていたのを。
「ほら、チョコとか」
といってアンパンマンチョコを差し出してみるが、先生は何も言わず苦い顔をした。
あ、あれ? 気のせい?
「ま、来客用に買っておくか……」
苦い顔をしているものの、意外と決断は早かった。
ぽいっとかごに入れた。気のせいではなさそう。ふふっ
会計をさっと済ませ、持ち手が紐になりそうなほど詰まったレジ袋を抱える。
「うお、結構買っちまったな。買いすぎたか?」
「先生、さすがに持つわよ? 私だってこのぐらい」
「女の子にそんな事させてたまるかよ。ほら、歩け歩け」
「って、言おうと思ったけど、ちょっと用済ませてきたくなったからこれ持って先歩いててくれ」
ポイっとアイスを私に預け、再びコンビニに戻っていった。
「格好付かないわね‥w。まぁいいわ! このくらい朝飯前よ!」
「おぉいそこのお前ぇ。とまれぇ」
聞き馴染みのない少しどすの声が聴いた声に思わずびくっとしてしまう。
恐る恐る振り返ると、変な形のヘルメットをかぶったスカートの生徒……? が三人いた。
「何やら重そうな荷物持ってんじゃ~ん? 私らが持ってあげるよ~?」
「んで、ここ私らのシマなんだけど、堂々そんな服装で何? けんか売ってる?」
確かにはたから見ればかなり過激な服、なの? これ
まさかの目の付け所じゃない?
「(あっ! これ、まずいやつだわ!!)」
「(で、でも何とかアウトローとしての威厳を見せつければ……!)」
「い、いや? そっちこそなによ。その変なヘルメットかぶって、暑くないの?」
思わず心配するような言葉を投げかけてしまう。いやでもほんとに暑そうだし……
「「「……今、私らのヘルメットを馬鹿にしたかぁ……?」」」
「(あっ)」
「「「ただじゃおかねぇからな! このアバズレぇ!」」」
「(なんで毎回こうなるのよぉ~!!)」
一人になった途端こうなる。なんでぇ~
でも、何としてでもこのアイスは、守らなきゃ
「てめぇらぁ!! なぁにしてんだぁ!! 」
「「「ヒェッ!? この声は、せ、先生!?」」」
まずいまずい、逃げろ逃げろと慌て始めるヤンキー三人組。
先生が来てくれたことで何とかなりそう。
だけど、先生のあそこまでドスの効いた声は初めて聴く。
思わずヤンキーの親玉かと一瞬絶望したのも事実。
「何やってんのかわかってんのかぁ!? どつきまわすぞぉ!
「「「ひぃ! ごめんなさいぃ!!」」」
怖い。
あの後は三人組に先生が五分ほどとんでもない怒号を食らわせていた。
何も言わずとも三人組は正座になっていたが、
「通行人の邪魔だろがぁ!! たてぇ!」
と、無理やり立たせていた。
でも、通行人の影一つ見えなかったし、閑静な場所でああいったのはコンクリートがあまりの暑さだったからなのかなとも思う。
結局三人組は私に平謝りするどころか、ヘルメットを脱いで渡してこようとまでしたが、さすがに断った。
次はやんなよ! 絶対に許さねぇからな! と最後の言葉をかけた後、三人組は目にも止まらぬ速さで去っていった。
「……アイス、溶けちまった……」
これまでに見たことない落ち込み方をしている。
「で、でも先生。助けてくれてありがとうね。感謝してるわ」
「……ま、そうだな。アルが何も手出されてなくて良かったことにしておくか!」
「そ、その先生?」「ん?」
「あのヤンキー達は先生をすっごく怖がっていたんだけど、あれは何でなの?」
「あ~。あれは、ん~。あの生徒たちを知っていたから?」
「なんで疑問形なのよ?」
「いやまぁうん。その時が来たらな。いうわ」
となんだかはぐらかされてしまった。でも言いたくない事なら仕方ない。
とそんな時だった。溶けたアイスを抱えて歩いていると、これまたガラの悪いセーラー服の女子が道を曲がってきた。
私は少し構える形になった。が相手がこちらに気づくとどこかうれしそうな顔になり、腰から九十度まげて大声でしゃべりだした。
「あっ! 先生どうもっす! この前の集会はありがとうございやした!」
「おいちょっとまて。おい」
「先生のあの気合の発言! 皆感動してたっす! 一生ついていきやす!」
「おいちょっと」
「(な、な、な! なんですってぇぇ!?!?)」
「せ、先生って……ヤンキーの総長だったの!?」
「ちょっっっっとまてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
後日
クロノス放映部がとある記事を発表した。
「シャーレの先生! 謎の女性のコートを持ちデートをする!?」
先日〇月〇日にて、シャーレから数十分離れた小川沿いを先生が歩いている様子が見られました。
先生は女性が羽織っていたとされるコートを自らもち、女子側もそれに応じていました。
たびたび無邪気に笑う先生の姿も撮影されました。
女性の方はどこの制服とも属さない服装のため、現在情報を調査しています。
記事へのコメント
「平日に何やってるんだ」
「うらやm……女性許さん。そこかわれ」
「先生の笑顔を至近距離で見た過ぎる」
「先生、あとでお伺いしますね」
「なぁ」「……」
「(な、なな! なんですってぇぇ!?!?)」
「なぁアル?」
「へっ!? せ、先生どうしたの……?」
「‥どうしような」
「……どうしましょうね」
ご観覧ありがとうございました。
今回は慣れないパソコンの方から投稿しましたので、誤字が多いと思われます。
よろしければ報告等お願いします。
今回は情景表現等を減らし会話を増やしてみました。不慣れですが、いかがでしょうか
10月8日追記
なんともおかしい文ですね……。主語等考えて文章を整形しました。失礼いたしました