■第一節(春) 6日
俺は遭難した。
初日、墜落した付近にあった洞窟にて、この日記を書いている。
俺の名前は山田太郎。呼び名は普通にタロウと呼ばれている。
俺はたった一人で遭難した。記憶が定かではないが、何らかの宇宙船に乗り込み、どこかもわからない星に墜落したんだ。
幸いにもケガはなし。一緒に墜落したのか物資も近くに落ちていた。
携帯食料がおよそひと月分。
木材が幾分か
スチールが幾分か
医療品がいくつか
ライフルに拳銃、簡素なナイフとヘルメットに防弾チョッキ、防弾パンツ
そしてやたら頑丈なタブレット
今はタブレットの指示に従い、木材を使用して安全な寝床を確保したところだ。
俺は地球に帰れるだろうか。
今は生き残ることだけを考えよう。おやすみなさい。
■春8日
一緒に落下してきた木材を使って壁を作り、夜の安全を確保した。
一緒に食料を部屋に集めたため、野生動物たちに大事な食糧を食われる心配もなくなった。
少し近くを散策してみたら、水場がすぐ近くにあったので、スチールを叩いてタライを作って汲んできた。
水は死活問題だから、一見綺麗な水場があるのは本当に助かった。念のため飲料水は煮沸消毒しよう。
まだ3日目だが、何とか生きる基盤を作れつつある。近いうちに食糧問題に対面してみよう。
おやすみなさい。
■春9日
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「ひえ~なんだこれ!木が全然切れねぇ!」
何とか必死に伐採しようとするが、まったく木が折れる気がしない。
かれこれ1時間近く格闘してやっと半分くらい切れ目が入ったが、それでも折れる様子がない。
『収穫の技術不足です』
「うるせぇ!!」
独り言に反応してタブレットが返答を返してきた。
このタブレット、非常に便利なのだが、独り言をつぶやくたびに音声認識して返してくるのは難点だ。
しかも何かと一言多い感じがある。面倒に違いないのだが、こいつに命を握られているので何とも言えない。
ガサリ
「ん?」
何か近くで草むらが揺れる音がした。近くに小動物がいるのかもしれない。
近くを散策するだけで、ウサギやリス等の動物のほか、明らかに肉食動物がうろついているのも遠目に目撃した。
気を付けなければならない。一応近くを警戒しておこう。
周囲を探していると、遠くからこっちに迫る影があった。
「あれはノウサギ?うわっ!」
明らかに様子がおかしい!こっちを明確に殺意を持って狙っている!
慌てて持っていたリボルバーを向けて発砲した!
パァン!!
激しい銃声とともに慣れない反動が手に伝わる。その影響であたりがそれてしまった!
「クソッ!ぐっ!?」
ヒザを噛まれた!めちゃくちゃ痛い!?
ウサギってこんなに力強いのか!?
「こんにゃろう!!」
サブの武器として持っていたナイフを振り下ろす。肉を引き裂く感覚が手にあった。
気持ち悪くて、全然なれなくて、それでも痛みと恐怖で何度も何度も振り下ろした。
何度も何度も何度も何度も。
正直、死ぬかと思った。
物資の中に医療キットがあって助かった。俺自身、墜落する前は医学を学んでいたから、ただの素人より少しはマシな治療を行うことができた。何事も学んでおくべきだ。
ノウサギ1匹にこれだけケガするとは思わなかった。俺は致命的に弱いらしい。
感染症が怖いので、ある程度治るまで安静にすることにした。おやすみなさい。
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■春10日
倒したノウサギが勿体なかったので、肉を解体して焼いてみることにした。
当然ながら経験がないので、タブレットの指示に従いながら解体することになった。
詳細は省くが、結果的にかなりの肉が無駄になった。
だが聞いてほしい。久々の肉である!
今まで非常食ばかりだったので飽きてきたところだ。焼いた肉が食べたかった!!
解体した肉を木の串にさして、焚火にあてて焼いてみた。
見た目はめちゃくちゃ旨そうだ。よしいただきます!
塩が足りなかった。ひもじい。
■春11日
近くを散策していると、リンゴとモモの木を見つけた。
久々の甘味だ。食べてみたらこれがまたうまぁい!
やはり食は大事だ。食の基盤を何とか整えよう。
また、昨日のノウサギを解体したときに出た毛皮は残しておくことにした。
この量だと使い物にならないが、もっと集まれば簡単な服ができるかもしれない。
■春12日
先日のノウサギ肉塩なし事件、果物革命から、食の基盤が最優先だと気付かされた。
実は一緒に墜落していた中に、作物の種も一緒に袋詰めされてあったのを見つけた。
この中の米を植えてみようと思う。素人感覚だが、何とか1日で植えられる範囲は植えることができた。
これでも日本人。米がちゃんと出来るか楽しみだ。
■春13日
今日は大変な事件があった。突然人間に襲われたのだ。
この星にきて初めて見た人間だったから声をかけようとしたが、こちらを見つけた相手が雄たけびをあげて鈍器を掲げてこちらに襲い掛かってきたのだ。
思わず拳銃を連射してしまい、弱ったところをナイフでトドメを刺した。
そう、トドメを刺してしまった。
俺はこの星で人殺しをしてしまった。
仕方がなかった。生きるためには必要なことだった。
相手は俺を殺そうとしたのだから、躊躇う必要はない。
こうしなければ俺が殺されていた。
理屈は分かっているけど、ただひたすら苦しかった。
■春14日
今日は昨日と違って、友好的な人と会うことができた。
彼らは「オァヒンヌアイ」という派閥のキャラバンのようで、マッファロー達を率いて行商をしているらしい。
この星では、彼らのように各地をキャラバンで行商する集団が多くいると聞くことができた。
こちらから売れるものはなかったので商売はしなかったが、余裕が生まれたら商品を用意しておくのもいいかもしれない。
■春15日
あへぇ^p^
1年目春、終了