■1年目 第三節(秋)1日目
今日は襲撃があった。以前に来たキャラバンに聞いたが、彼らは「ヘビ団」という宙族らしい。
ここに限らず、周囲の派閥に見境なく襲い掛かっている集団だ。
幸いにもはぐれだったのか1名だったので、ライフルを発砲した。
ちょうど足に当たり、痛みと合わせて相手は動かなくなった。
今は隔離された部屋で拘束して治療をして、捕虜として扱っている。
うちも食料に余裕があるわけではない。歩けるようになったら解放しよう。
俺も好き好んで殺したいわけではない。
もしかしたら今後後悔するかもしれない。でもどうせ今殺したって後悔するんだ。
どうせ後悔するなら後の方がいい。この選択は間違っていないはずだ。
■秋2日目
今日は自室に箪笥を作ってみることにした。
我ながらうまくいったんじゃないだろうか?素人が作って標準的な見た目になったのは高得点だ。
壁を作ったり扉を作ったりで、だんだん慣れてきたのかもしれない。
いつか立派な家具も作れるようになるだろうか。ああ、風呂がほしい。
■秋3日目
宇宙船の残骸と思われる鉄塊が落ちてきた。
自宅に落下しなくてよかった。こうして時折落下物が落ちてくるらしい。
中には物資が落ちてくることもあるとか。
あの鉄塊はいつか解体してスチールをいただくことにする。覚えておこう。
あと最近、なんだか身体が痛い気がする。変な病気をもらってないだろうか?
■秋4日目
嫌な予感というものは当たるものだ。
タブレット曰く『感覚器機械化症』というらしい。
文字通り目や耳といった感覚器官が機械化するようだ。
それだけ聞くと恐ろしい病気だが、適切な処置をしていれば命に別状はなく、むしろ感覚器の能力が一時的に向上するらしい。確かに視界がよくなった気がする。
ただ痛みを伴うので、早く治ってほしいところだ。
■秋5日目
夜中に爆音が響いたので飛び起きてしまった。
拠点から遠目に見ると、白っぽい隕石が落ちているのが見えた。
こんなあっさり隕石が落ちてくるのか……運が悪ければミンチより酷いことになったに違いない。今更ながらにゾッとした。
ともあれ、あれは石灰岩のようだ。いつか活用できるかもしれない。覚えておこう。
■秋6日目
ヘビ団の宙族の捕虜が完治したので釈放した。持っていた棍棒は回収しておく。
丸腰で生き残れるかは分からないが、どこかの集落に流れつけばワンチャンあるだろう。死ぬなら俺の目の届かないところでしてほしい。
宙族の男は気まずそうにしながら背を向けた。ただ一言、言葉を残して。
「オメー、そのままじゃ長生きできねーぞ」
……分かっている。そろそろ覚悟を決めなければ、死ぬのは俺だ。
■秋7日目
前々から作ろうとしていたカマドが完成した。外に落ちていた宇宙船のスクラップを利用したのだ。
流石に焚き火で焼くだけでは物足りなかった。試しに簡単な料理を作ってみたが全然違う。ンマァイ!(テーレッテレー)
またしても生活基準がひとつレベルアップした。
■秋8日目
ニアメーアという種族で構成された夜魔の一派のキャラバンが尋ねてきた。
以前我が家の前でほか派閥と睨み合っていたのと同じ人たちだ。
どうくつぐらし!から卒業して一軒家持ちになっていた事に驚かれた。なんとお祝いに良品のショートボウをくれた。前に騒いだ謝罪も含めたらしい。
流石に貰ってばかりは悪いので、医療品をちょっと高めに買わせていただいた。良き関係でありたいものだ。
■秋9日目
冬が近い。以前から育てていた米の調子が良いので、食料の備蓄は集まってきている。
ただ、保存食のノウハウがないので肉を保存できない。ペミカンでも作れれば話は別なのだが……塩漬け肉とか作り方を知ってる人がいるだろうか。
とりあえず塩を集めればいいかな。どっかに都合よく岩塩とかないだろうか。
■秋10日目
気温が下がってきている。肌寒い。
今日はちょくちょく狩りで集めていた毛皮を使い、裁縫に挑戦した。
パッチワークのジャケットが出来たが、品質はその、うん。見ないでくれ。
無いよりはマシだろう。冬を越せるか不安になってきた。
■秋11日目
唐突に輸送ポットが飛んできた。中を見ると、手紙が入っていた。
「よう、生きてるか?
俺は無事に旅をしてるぜ。今は街道添いにあてなく歩いてんだ。
キャラバンとすれ違うけれど、この辺はラットキン少ねーな。たぶん遠出することになる。
そっちも気ばれよ。互いにしぶとく生きていこうぜ。
なんか変なもん拾ったから送っとくわ。売るなり焼くなり好きにしてくれ。
愛しのコリアンダーより」
最後の何? やっぱ狙われてんの?
元気そうで何よりだ。送られてきたのはポッキーだった。
……ポッキー!?
■秋12日目
凶暴化したリスが襲ってきたので返り討ちにした。ノウサギにボコられてた頃がなつかしい。
銃の腕が徐々に上達してきた気がする。有難いけれど、嫌な慣れだ。
それでももっと強くならなければならない。弱ければ死ぬのは俺だ。
■秋13日目
食料備蓄の確認をした。
今後冬に入るにあたって、自分ひとりならば十分すぎるほどの食料を用意できたと思う。
あとはマッファローあたりが来れば狩りをしたいところだ。氷点下を下回るならば、生肉も天然の冷凍庫で保存が効くはずだ。
初めての越冬だ、気合を入れて身構えなければ。
■秋14日目
感覚器機械化症が完治した。
正直助かった。感覚過敏のまま冬に突入したら地獄だった。しもやけとかやばそう。
やはり医療品は大事だ。機械化症は命に関わらないが、他の病気が恐ろしい。気を付けないと……
■秋15日目
はらがいてぇ ^p^
1年目秋 終了