ようやく仲間が増えるの巻
◾️夏1日目
「いやー死ぬかと思ったわ! ありがとね!」
昨日助けた女性はワッハッハと豪快に笑った。
先ほどマジで死にかけていたとは思えない復活の速さ。豪胆な性格のようだ。
女性は『ヴェロニカ』と名乗った。青髪のサイドテールで、年齢は若干年上に見える。聞かないけど。
異種族の蔓延るこの惑星だが、ヴェロニカは俺のよく知る普通の人間種に見える。
「とある集落に身を寄せてたんだけどさー、蛮族の襲撃で滅んじゃって。当てのない旅をしてたってワケ」
「あっさり言える内容じゃないよな!?」
「何言ってんの。ココじゃよくある事っしょ」
クソ重たい内容をあっさり言うもんだから混乱したが、ヴェロニカは生粋のRimworld人らしい。価値観の違いが大きい様子。
その分、この世界には詳しいそうだ。雑談がてら、いろんなことを聞き取ろうと話していた時、ヴェロニカからこんな提案があった。
「そーだ、アタシを此処に置いてよ。一宿一飯の恩を返したいし、その分働くからさ」
それは願ってもみない提案だった。どうしても俺一人だと手が回らなかったところである。仲間を増やすにしても、どうやって増やそうか悩んでいたので、この惑星事情に詳しいヴェロニカが仲間になってくれるのは、非常にありがたかった。
「こちらこそ、よろしく頼む」
「よっし! 恩は肉体労働で返すわ。あ、肉体労働って言ってもソッチの意味じゃなくて……ソッチでも良いけど」
その「指わっかに棒を出し入れする仕草」をやめろ!!
◾️夏2日目
我がコロニーに記念すべき一人目の仲間が出来た。この惑星では「入植者」と呼ぶらしい。
ヴェロニカという女性は豪胆な性格で、肉体労働を苦にしないようだ。特に「建築」に秀でており、料理も俺より上手い。苦手分野が少ないが、頭脳労働はダメとのこと。
また、ヴェロニカは片足が義足らしい。その割には動きが俊敏なので気付かなかった。
欠点らしい欠点が見当たらない、心強い人だ。強いてあげるなら…
「タバコ持ってない?……あ、ないんだったわ」
めっちゃタバコを要求してくる事である。
◾️夏3日目
ヴェロニカの建築が非常に心強い。
試しにベッドを作ってもらったら、俺の手作りよりもよほど良品が出てきた。俺の心は折れた。
ヴェロニカ自身の個室もあっという間に出来たし、ついでに捕虜留置用の部屋も作ってくれた。彼女の協力がある今なら、もっと拠点を増築できるかもしれない。
設計を考えるのは苦手なようなので、俺が拡張案を設計してみよう。
「タロウー!タバコ持ってないー?」
ねえよ。
◾️夏4日目
ヴェロニカは料理がそこそこできると自称していたが、凝った料理が出てきて驚いた。
肉が腐りかけていたので、消費がてら作ってみたらしい。原始的な飯しか作れなかった俺とは大違いだ。
食中毒の恐れは大幅に改善されるだろう。ただ、ずっと頼りっぱなしというのも悪いし、定期的に師事することにした。
「適当な目分量っつーのはね、適切な量を覚えてからやるもんなのよ。最初はちゃんと測りなさい!」
鬼コーチだった。
◾️夏5日目
今日は宙族の襲撃があった。
相手は2人。ナイフと拳銃で武装した相手だった。
一人なら危なかっただろう。戦闘の描写を簡潔に表現するならこんな感じだった。
ヴェ「命(タマ)獲ったらああああ!!」
宙族「ひでぶっ!?」
ヴェ「タバコ持ってへんのかい。チッしけてんなあ」
スチール製の棍棒で容赦なく殴りかかっていた。こわ……
◾️夏6日目
概ね役割分担ができつつある。
建築と料理はヴェロニカ、農業と材料採集と狩猟は俺がやり、掃除とかの雑用は手が空いた方から行う。単純に人手が2倍になったので、ものすごく楽になった。
ただ、特に運搬をしていて思うが、やはりまだ足りない。人数が多いのも考えものだが、コロニーとして運営するならもっと人手がいるだろう。
たまに来る他コロニーのキャラバンなんかも、10人以上で移動している時もあるくらいだ。そのあたり、人手確保についてヴェロニカに聞いてみた。
「捕虜とか良いんじゃない?有能そうな奴は片っ端から捕まえてさ。あとタバコない?」
頭蛮族かい。
タバコはねぇよ。
◾️夏7日目
ハグレマッファローがいたので狩猟した。図体がデカいので解体作業が地獄だった。
マッファローの毛皮は上質で、これから作られるコートなんかは非常に耐熱・耐寒に優れているのだとか。
まあ、裁縫できる人材がいないのだけど。ヴェロニカに出来るか聞いてみたが…
「裁縫はムリ。手が穴だらけになるわ」
遠い目をしていた。試したことはあるんだろうな…
◾️夏8日目
ヴェロニカの武器を調達したい。流石に棍棒だと不安が残るだろう。
試しに石材を使ってグラディウスを作ってみたが、うーん。完全に粗悪品である。
試し振りをしてもらったが、やはり不評だった。
「原始時代の石器みたいなやつね。棍棒すら振れない時の予備じゃないかしら」
「つまり?」
「倉庫の肥やしね」
知ってた。
◾️夏9日目
ヴェロニカもまた輪投げの魔力にハマってしまった。
やはり輪投げ。輪投げは全てを解決する。
「仕方ないじゃない。こんな世の中じゃ、娯楽と言えば酒・タバコ・女・セッ◯◯くらいしかないわ」
余計なもんを入れるんじゃない!
女性から下ネタ振られたらどんな反応すればいいか分からなくて困るの!
「あんた童……いやなんでもない。うっかりニアメーアとか仲間に入れたら喰われそうね」
やかましい!
◾️夏10日目
他にも娯楽ないの?と言われたので考えてみたが、何を作るにしても布が足りないということに気が付いた。
ということで、綿花の栽培を開始した。作物の種に混ざっていたものだが、食料を優先して後回しになっていたものだ。ヴェロニカのおかげで負担が減ったので栽培に踏み切る。
機織り機の設計も進める。収穫までには完成させたいところだ。
◾️夏11日目
武器を作ろうとした時も思ったが、工芸に秀でた人材が欲しい。
銃火器とまではいかないまでも、武器とか服とかを自己生産できたら非常に有難い。余っている毛皮を素で売るより、加工品の方が引き取ってもらえやすいらしい。
冬とかきつかったからな……勿体無いけど完成品を買うしかないか。キャラバンが来たら服を買おう。
◾️夏12日目
夜魔の一派のキャラバンとトレードした。相手の族長は相変わらず口説いてくる。
「せっかくだしほら、お姉さんと体液のトレードとかしない?先っちょだけでいいから!」
先っちょって何!?
というか一度ヤッたらズルズルいきそうだから、絶対乗っちゃダメだ!
抵抗していると、ヴェロニカが仲裁に入ってくれた。助かった…
「まーまー、そこら辺にしておいてよ。コイツ童◯拗らせてるからさ。アタシみたいな美少女侍らせても手ぇ出してないのよ。やーいヘタレ」
やかましい!どっちの味方だ!
◾️夏13日
今日は馬刺しに乗って周辺の探索に出た。
ヴェロニカが加わったことで、片方が留守番することで拠点を多少離れても良くなったのは大きい。
外周を確認したところ、スチールの鉱脈らしきものがチラホラと発見できた。
え、どうやって見つけたかって?
タブレットでブーンとした。ダウジング機能があるとは、ほんとに万能である。
『ワタシ、失敗しませんので』
どこで覚えてきた???
◾️夏14日目
問題が発覚した。俺とヴェロニカのどちらも馬刺しの調教ができないのである。
ヴェロニカ曰く、馬刺しはミンチョラテホースという種類らしく、なんと調教すると運搬役に最適なのだと言う。
だが、肝心の動物調教係がいない。人材は2人では足りないらしい。
こう、都合よく人材が降ってきてくれないかな……
◾️夏15日目
ほんとに降ってくるやつがあるか!!
2年目夏 終了