感想・評価よろしくお願いします。
――――ある日社長が拾ってきた彼は、己にも他人にも厳しい全てを断ち切る危険な研ぎ澄まされた刃のような
学園都市キヴォトス。
数多の学園が存在し、それらに所属する生徒達によって自治運営が為される学園という名の国家が犇めき合う土地。
生徒達の全てがヘイローと呼ばれる光輪を頭に浮かべた見た目麗しい美少女でありながら、その肉体は生半可な銃弾では掠り傷しかならず、耐久力の高さ故に銃火器による抗争が日常と化すどころか銃器や爆薬が一般雑貨と並んで売買されるのが当たり前の世界。
近未来的な摩天楼から荒廃した砂漠まで分布する超大規模都市にも当然ながら表の光が届かない、所属校を追われたドロップアウターや彼女達を食い物にしようと蠢く悪意を持った者達が住処とする裏社会が構築されていた。
そんなスラムの廃倉庫街。
違法物品の取引現場として関係者では有名な倉庫の一角に何人もの人影が倒れ伏している。
生身の肉体ではなく機械の体でありながら内面はヒトとしての精神を持つ、キヴォトスでは大人のカテゴリに分類される裏組織のメンバー達。
彼らの周りには各々持参した銃器が転がっていたがそれらは全てが最早用を為せない残骸へ成り果てている。
叩き壊されたり銃弾を受けて破損したのではない。
裏組織の構成員達も生命に別条はない―機械の体ではどこまでの破壊が許容範囲なのか判別しづらいが―程度にではあれど、誰もが同様の手傷を負い動けなくなっている。
「ば、バカな……」
その中でも一等上等なスーツに身を包んだ幹部格の男が機械の顔でも伝わってくる驚愕と混乱の体で呻き声を発した。
ぎこちなく持ち上げた視線の先には1人の男が立っている。その男はあまりにも異様な存在だった。
幹部や周りの部下達とは正反対、即ち
革の上着を纏いサングラスで隠していても一目で分かる惨たらしい古傷が目元に刻まれている。
何より異様なのは男の得物だった。スラリと真っすぐ長い鋼が穴の開いた屋根から差し込む光に当たってギラリと妖しく輝きを放つ。
銃が日常品のキヴォトスでは廃れに廃れ、長年裏社会に身を置いてきた幹部ですら使う者が見た事が無い刀によって彼らは銃ごと一方的に斬り捨てられたのだ。
それどころか幹部は見てしまった。部下が放った直撃する筈の弾丸が、謎の男が刃を閃かせた次の瞬間には火花と共に斬り落とされる瞬間を。
何もかもが悪夢のようだった。
謎の剣士は腰の後ろから折り畳まれた物体を取り出して一振りすると、それは1本の杖へと変わり滑らかな手つきで手にした刀をそこへと収めた。
視覚障碍者向けの白杖。白杖に隠された鉄をも切り裂く仕込み刀――――
倉庫の入り口に新たな人影が出現していた。ファー付きのロングコートを羽織った赤髪の女を筆頭とした4人組。
「そうか貴様、最近噂になっていた便利屋68に新しく入ったという銃弾をも斬り落とす刃物使い……!」
「機械の体に人の精神……人工知能仕掛けのドローンよりかは楽しめると期待していたが所詮はチンピラの集まりか。興覚めだったな」
つまらなさそうに刀使いはそう呟くと、取引の品物が入ったアタッシュケースを拾い上げ盲目とは思えない足取りで倉庫から立ち去ったのだった。
「今回もお仕事成功で報酬は手に入ったし弾代も節約出来て連日黒字! いやーマモル様様だねアル社長!」
「壁や屋根も斬って侵入できるお陰で爆薬代も節約出来てお財布に優しいです……えへへ」
「右も左も分からん土地に投げ出された所を世話になっている身だ。一宿一飯分の借り位は返してやる」
「だからって手伝ってくれている彼に頼りっぱなしなのもアレだからそこらへんは気をつけなよ?」
「カヨコの言う通りだわ。驕らず怠らず、彼だけの活躍に頼らず私達も真のアウトローに相応しい腕と格を極めていかないといけないのよ!」
「……言っておくが俺は剣術屋であって、そもそもアウトローとは真逆の立場に身を置いていた立場だからな?」
「何を言っているの!
「……物好きな奴だ」
「でもそこがアルちゃんの良い所だからねー」
浅黄ムツキの楽しげな声に盲目の剣鬼――――土方護は無関心そうに鼻を鳴らしたのだった。
盲目の剣鬼:原作最終話でヒロインとの結婚式までの空白期間の間に迷い込んだ。甘党。
社長:ヘイローも無しに刀で銃に勝てる大人の登場とエレメンタルネットワークとかいう犯罪者を狩る非合法組織が外の世界に存在すると聞いてテンションが爆上がり中。
他の社員:おっかないけど意外と面倒見が良くて教え好きだし戦術の幅が増えて依頼の失敗が減ったし何よりアルちゃんが楽しそうだしで護の事は割と気に入っている。
後日護に結婚前提の年下のヒロインが居ると知って思いっきり食いついた。