世界はワタシにコスプレを強いる!   作:usausado64

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26 それから 

 無事に腕に記された番号は消え、オーラ顕在化の負荷が消えた。念入りに破壊した王冠から剥がれ落ちた宝石をいくつかポケットに収める。その時勿論念がこもっていないことを確認してだ。金庫の中にある証券なんかにようはない。インゴットなどは使い道はあるだろうがかさばるので余裕があればだろう。いかにシズクや梟の能力がうってつけか、財宝の山を見て思う。

 

「これでも巻いておいたら」

 

 パクノダに指摘されて気がついたが、左の腰当たりからザックリとスカートが裂けている。あの侍野郎。抜ききられていたら危なかったということか。

 

 出来た裂け目をチェーンだとか飾りで繋いでおけばまだ着れるだろうが、あいにくそれならそれ相応のインナーを用意しなければならない。現状だと色白の肌とショーツが見えてしまう。

 

 パクノダが渡してくれた直視すると眼が痛くなりそうな配色のタペストリーをパレオ代わりに巻き付ける。コレクションを適当に物色していると、クロロがコレクションルームへ入ってきた。やや衣服に擦れたり切れたりした痕があるものの、怪我は負っていないようである。

 

 呪いに関しては古参の執事が知っていたらしく、その為に島の人数は10人以下になるようにしていたそうだが、能力者ではなくその辺りの知識はなかったそうだ。どうも勅命は警戒していたように対象を操る効果はないらしく、多少殺しやすいように“殺戮者”に選ばれた人物の身体能力が上がるという効果のようで、きっと念能力者なら顕在量抑制などの拘束が解かれたりしたのだろう。

 

 今となっては呪いの詳細などあまり意味のないことで、警戒しすぎて敵をわざわざ大きくするのも考え物だという共感を得るだけに留めておこう。

 

「シャルは船を回してる。時間もあるから選別せずに全部持ってくぞ」

 

 用意していた布袋に本を中心にガラクタと呼んで良いような金属片や陶器の欠片も詰め込む。正直ワタシはこれの売り方なんて想像も付かない。王朝という割りには独自色が強く、装飾品に変な傾向がある。普通こうした王なんかは、領土内の最も新しく最も金の掛かる芸術品を収集したりするものではないのだろうか。この館の主が王朝の所有物ではなく、王朝が作ったものにこだわっているからだろうか。

 

「ソーヤー。それは?」

 

 クロロが問いかけてきたがそれとは何のことか。ワタシは適当にケースの中のものを袋に入れているだけで、何かを手にとって観察しているわけでも、目利きをしているわけでもない。その上視線をやると彼自身はどうも本を物色しているらしく、こちらを見てすらいない。これでどうして“それ”がどれを指すのか判れというのか。

 

「なに?」

 

「腰の」

 

 この人はホントに興味ないことにはまるで素っ気ないんだな。

 

「スカート_斬られたから」

 

 素っ気ない問いに対して素っ気ない回答。この件はそれで終わり――のはずだったのだが、これがフラグだったらしく、今回のお宝を処分するついでにデートに誘われた。なんのこっちゃである。

 

 場所は奇しくもヨークシンシティ。今回の足の付きやすく、仲買が手配しにくいお宝を某オークションで処分してしまおうということらしい。或いは“全て盗む”なんて仕業のための下見もかねているのかも知れない。マフィアに伝手があるワタシがお供に指名されたのも判るし、別に二人っきりの滞在というわけではないのだが、あらかた処分の目処が付いて、団員が各自自由行動をし出したあたりで唐突に声を掛けられたのだ。

 

「服でも見に行こうか。コートのお礼もあるし」

 

 非常に人好きをする笑顔を浮かべながらクロロは言った。これは予言能力者であるネオンを引っかけたときのあれだ。確かに彼は美形である。オールバックは似合っていなかったが、紛う事なきイケメンだ。キュンとくる女心も判らんでもない。ただなぁ。演技だしなぁ。

 

「盗賊は盗んでなんぼだろ」

 

「盗むと、新作が_出なくなる」

 

 全く分っていないウボォーギンにお説教のように持論を展開したり、パクノダにちょっと睨まれたり、シャルナークにからかわれたりしたが、誰がどう見てもゴシックルックのカップルというよりは、厨二病の兄妹だと思う。

 

 そんなわけで『お兄ちゃん』と呼んでからかったり、手料理を作ってふるまったり、本の感想を言い合ったり、端から見れば十分に仲良くなることが出来た。旅団員とも割と仲良くなったし、ヒソカがきたり、ゾルディックの親父さんが襲撃をかけてくるまではぬくぬく修行と実戦の日々だ。少しでも他の旅団との力量差を縮めておかなければなるまい。次の注意ポイントは旅団の全員集合後のことか。

 

 携帯が鳴る。文字体系のせいでもの凄い文字数の割に内容の薄い本を適当に放り出して受けると、相手は懐かしの闇医者だった。たまに連絡は来ていたが仕事の依頼でもないのでスルーしていたが。

 

『久しぶりだな。元気にしてたか』

 

「_そこそこ」

 

『“掃除屋ソーヤー”に仕事の依頼だ』

 

 

 

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