怪獣娘 BE ULTRA   作:ダブドラ

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2週間ほど空いてしまい申し訳ありません。

構成を練り終えたので次回以降は少し頻度を上げられるよう頑張ります。


3話 ウルトラマンの因子

 

 

 

 レッドキングとゴモラによるトークイベントの翌日。

 

 ピグモンに呼び出されたアキは、道中でレイカと合流し共に移動していた。普段はミクも一緒にいるのだが、現在彼女は大怪獣ファイトのデビュー戦を控える身。試合に向けてトレーニングを行うため、一足先にGIRLS東京支部に向かっていたのだった。

 

 

「話って、一体何だろうね?」

「おそらく昨日のイベント関連だとは思いますが・・・・・・」

 

「そういえばゴモたんが連絡くれたけど、やけにテンション高かったような」 

「シンイチさんも一緒だったそうですし、何かあったのかもしれませんね」

「・・・嫌な予感がする」

 

 

 そしてアキ達は支部に到着し、ピグモンの待つトレーニングルームに入る。

 

「おはようございま・・・・・・ええっ!?」

「どういう状況・・・・・・?」

 

 扉の先に広がる光景に、二人は困惑していた。

 

 それもそのはず、正座するシンイチを中心に、3人の怪獣娘がそれを囲むように立っていたのだ。

 

 笑顔のピグモンと仁王立ちのレッドキング、それにもう一人。

 

 黒ビキニに黒い模様付きの白い肩、腰アーマーと手袋、それにブーツといった獣殻と、濃桃色の髪に2本の角がある大人びた雰囲気の少女だ。

 

「エレキングさん!」

 

 レイカが一番にその名を呼ぶ。

 

「二人とも来たわね」

 

 その少女はエレキングこと湖上ラン。GIRLSの調査部に所属する怪獣娘である。

 

「よし、揃ったみたいだし始めようぜ」

「あれ、ミクちゃんは?」

 

 室内を見回しながらアギラは首を傾げる。レッドキングは揃ったというがミクラスの姿がないのだ。

 

「ミクミクなら後で来ますよ~。私がちょっと頼み事をしてるんです~」

「そうなんですね。・・・・・・ゴモたん、何してるの?」

 

 アギラの視線の先では、ゴモラが正座中のシンイチに対し足をつつきながら楽しそうに笑っていた。

 

「シンちゃん弄って遊んでるの!」

「満面の笑みで言うな・・・・・・ってちょミカ、やめ、いっ!?」

 

 足が痺れかかっている状況でつつかれている為シンイチは情けない声が出てしまう。するとエレキングがゴモラを睨みつけた。

 

「ゴモラ、その辺りにしなさい。話を進められないわ」

「え~!もっと弄りたかったのにぃ~」

「というかいつまでシンイチさんは正座を……?」

「もう少しの辛抱ですぅ。それじゃあ話を始めますよ~」

 

 

 

 

 その後、トークイベントでの事についてピグモンから一通り説明が行われた。またその中で男二人に怪我を負わせたこと。それに対しピグモンによってシンイチは正座させられていた事も話された。

 

「というわけで、さっきまでお説教をしてたんです~」

「全く驚いたぜ。シンイチが蹴ってきた相手の足を掴んだと思ったら、突然バキバキ鳴ったんだからよ」

「本当すみませんでした・・・・・・」

 

 ちなみに男二人は警察に逮捕されている。ナイフを持った男は正真正銘のストーカーだったが、シンイチが足を折ってしまった男は雇われのチンピラであると警察の調べで判明した。

   

「ゴモたん、無事でよかった・・・・・・!」

 

 と説明を聞いていたアキがホッと胸を撫で下ろす。

 

「アギちゃん・・・・・・心配してくれるなんて嬉しいよぉ!」

「うわぁ!ちょっ、ボクは真面目に心配して・・・・・・」

 

 アキにゴモラが抱き付く。シンイチ以外の面々には見慣れた光景の横で、レイカがシンイチに話しかける。

 

 

「あの、シンイチさんってゴモたんさんと幼馴染だったんですね」

「レイカ達には言ってなかったな。小学生の頃よく一緒にいたんだ」

 

「シンイチさん、聞きたいんだけどゴモたんって小学生の時からこうなの・・・・・・?」

「ああ、こんな感じだったよ」

「そうなんだ・・・・・・」

 

 アキがやっぱりか、といった表情をする。尚もゴモラが離れる気配はないが、続けてピグモンが話す。

 

 

「そして今日は、シンイチ君の身体能力を調べたいと思います〜」

「俺の身体能力を?」

「そうです〜。その為に調査部のエレエレを呼んだんですよ~」

「GIRLSの一員となった以上、怪獣娘と同様に貴方の情報を記録しておく必要があるのよ」

「記録の前に、先ずはそのパワーについて説明してくれ」

「分かりました。俺が知ってる事だけ、ですが」

 

 

 前置きをした上でシンイチは話し出す。

 

 

 

 シンイチは生まれつき頑丈だった。これだけ聞くと珍しい話でもないと思うだろうが、シンイチの場合それだけではなかった。

 

 小学生の頃、掃除の為に手に取った箒があっさりと折れてしまったのだ。それからうっかり物を壊してしまう事が増えたシンイチは、父であるハヤタと幼馴染のミカヅキに協力してもらいながら加減する練習を始めた。

 

 それから成長する毎に力は強まり、今では成人男性を軽々と放り投げ骨を砕く腕力、ビルから遠くのビルへ飛び移れる脚力を有している。

 

 頑丈さも同様で、高所から落ちようが鉄パイプで殴られようが無傷でいられる程である。

 

 だがその反面加減が難しく、シンイチ自身未だに苦手としている。

 

 

「・・・・・・とまあこんな感じです」

「話を聞いた感じ、ゴモラは知ってたのか?」

「知ってるけど、あそこまで強くなってるとは思わなかったよ。まぁトラックに跳ね飛ばされても平気だったから驚きはしなかったけど」

「オレたちからすれば十分驚きなんだけどな・・・・・・」

「ええ・・・・・・」

「ホントに」

 

 事情を知らないメンバーが驚く中、至って冷静なままのエレキングが口を開く。

 

「ちなみにその力が一体何なのかは解っているの?」

「いえ、俺は知らないです。父さんから何かを受け継いだ事は間違いないんですけど・・・・・・」

 

 シンイチが考え込んだ次の瞬間、部屋の扉が開いた。

 

 

「その説明は僕がしよう」

 

 

 現れたのはイデだった。その後ろにはミクもいる。

 

「ミクちゃん(さん)!」

 

「遅くなってごめんね! ピグモンさんに頼まれてイデさんを呼びに行ってたんだ!」

「ミクミク、ありがとうございます〜」

 

 

「イデさんどういう事ですか? 説明するって」

「ハヤタからの伝言でね。シンイチ君に本当の事を伝えて欲しいと言われたんだ」

「父さんが、俺に?」

「そうだよ。先ずはシンイチ君の力についてだ。皆ウルトラマンの事は知っているね?」

 

 ウルトラマン。それは怪獣が暴れ回った時代に地球へ飛来し人類を救った戦士の事である。怪獣と同等の巨大な体躯に豊富な技を活かして数々の怪獣を退けてきた彼を、人は『怪獣退治の専門家』と呼ぶ。

 

「もちろん!講義で習ったよね!」

 

 ミクが元気よく答えるとアキ達も続いて頷く。

 

「M78星雲にあるウルトラの星という所から来た異星人、でしたよね」

 

「おっ、しっかり勉強しているね」

 

 イデは微笑みながらホワイトボードを見やすい位置に動かすと、何かを書き始める。

 

「じゃあ、ウルトラマンが()()()()()()()()()()()事は知っているかな?」

 

 大きな人の中に小さな人が収まった図を描きながらされたその発言に、ピグモンを除く全員が目を見開いた。

 

「一体化って・・・・・・」 

「確か、本屋で見かけたゴシップ誌にそのような事が書かれていた記憶がありますね」

「ウインちゃん、何その本」

 

「知らないのも無理はない。何せ公にされていない事だからね」

 

 アキ達三人が話し合っているとイデがフォローを入れる。

 

 実際の所ウルトラマンにまつわる情報は当然ながら政府が統制しており、その正体に関してはトップシークレットなのだ。ただし、GIRLSに所属している怪獣娘に対してはハヤタの意向で一部開示されている。

 

「それって、父さんの一存で開示するか決められる物なんですか?」

「私も同感。いくら防衛大臣でも難しいんじゃないかな?」

 

 疑問を呈したシンイチにゴモラが同調し意見を述べる。するとイデはシンイチの方を真っ直ぐに向く。

 

「二人の言う通り話を聞いただけでは疑問に思うだろう。でもハヤタの意見だからこそ通ったんだよ」

 

 

 

 

「何故ならシンイチ君、他ならぬ君のお父さんこそが『ウルトラマン』なんだからね」

 

 

 

 

 

 瞬間、シンイチは言葉を失った。アキ達が驚きの声を

上げているがその声は耳に入らず、膝立ちのまま固まっている。

 

 

「シンちゃん、大丈夫? おーい!」

「・・・・・・! あ、ああごめんミカ。ちょっと驚いただけだ」

 

 ゴモラにゆすられシンイチは我に返る。それから立ち上がると、イデに視線を向ける。

 

「イデさん、父さんがウルトラマンだったっていつ知ったんですか?」

「まだ現役の科特隊隊員だった頃から察してはいたけど、知ったのは五年前だ」

「怪獣娘の発見と同時期なんですね」

「ハヤタ自身、ウルトラマンと分離して以来忘れていたみたいでね。怪獣娘について報告を受けた時に思い出したらしい」

 

 イデが言い終わると、ピグモンがタブレットに画像を映し皆に見せる。

 

「初めて発見された怪獣娘はベムラーのソウルを宿していましたから、それに反応したのかもしれませんね」

 

 画面には水色の髪に露出の多いライダースーツのような装いの女性が映っていた。

 

「ウルトラマンが地球で最初に戦った怪獣もベムラーだって教科書にあったよね」

「これは偶然とは思えませんね・・・・・・」

 

「あの、イデさん」

「何だい?」

 

「父さんってGIRLSの設立以降に異星人と戦ってましたか」

 

「えっ?」

「シンイチ、そりゃどういう事だ?」

 

 シンイチの質問にゴモラとレッドキングを中心に皆がどよめく。イデとピグモンは変わらず真剣なままだ。

 

「ある。ウルトラマンと一体化していた名残で、ハヤタの肉体には超人的な力が備わっていた。分離後も残ったその力で、ハヤタは戦い続けていたんだよ」

 

 

 

 

「僕たちがウルトラマン因子と呼ぶそれこそが、シンイチ君の力の正体だ」

 

 

 イデの口から真実が明かされた。同時に室内にいる全員の視線がシンイチに向く。

 

 

「ウルトラマン因子・・・・・・」

「じゃあシンイチさんはウルトラマンの力を受け継いでたんだ」

 

 アキが誰よりも早く発言する。

 

「やっぱり、そうだったのか・・・・・・」

「ん、シンちゃん?」

 

 

 

「3年前、俺を助けてくれたあの人は父さんだったんだ・・・・・・!」

 

 

 そのままシンイチはゆっくりと話し出した。

 

 

 

 それは、シンイチが中学生の頃。ある日の帰宅途中の事だった。

 

 シンイチの前に人型だが我々とは大きくかけ離れた容姿の何者かが現れたのだ。毒々しい肌をして血の付いた大振りの刃物を持っている何者かはシンイチの顔を確認すると不気味な笑みを浮かべる。

 

「見ーつけたァ!! お前を殺れば依頼は完了だ。全くラッキーだぜ」

 

 明らかな殺意の前にシンイチは逃走を試みる。しかしそう簡単に逃げられる訳がなかった。殺人者はいつの間にか進行方向に回り込んでいたのだ。

 

「おっとぉ、逃がさねえぜ。今は周りに人もいない、助けを呼んでも無駄なんだよ」

 

 そう言いながら刃物を向けられ、シンイチの足は言うことを聞かなくなる。いくら超人的な身体能力があろうと、まだ中学生の少年なのだ。

 

「それじゃ、ゲームオーバーだ。死ねぇええ!」

 

 

 

 

 勝利を確信したかのような顔で殺人者は刃物を振りかぶる。しかし数秒経って聞こえたのは肉の切れる音ではなかった。

 

 

 

「っ、何だお前!?」

 

 

 

 響いたのは金属音。路上の端には殺人者が持っていた刃物が落ちている。

 

 シンイチの眼前には、茶色のコートを羽織った人物が庇うように立っていた。フードによって顔は隠れているが、体つきからして男性と思われるその人物に、シンイチは恐る恐る問いかける。

 

「っ、あ、あなたは」

 

 

 すると彼はシンイチの方を軽く向いてすぐ殺人者を見据える。そして小さく言った。

 

 

 

 

 

 

「私は、ウルトラマンだ」

 

 

 

 そのまま彼はコートを脱ぎ棄て、殺人者に殴り掛かった。その姿は夜の闇に溶け込んでおりしっかりと確認できなかったが、両の目と胸の中心に淡い光が灯っていた。直後シンイチはどうにか逃げ出すことに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事があったなんて私知らなかったよ!」

「そりゃ誰にも話してないからな。あの時は父さんが科特隊だったなんて知らないし、無事に帰ってこられたからもう忘れたかったんだ」

「ねえ、一ついいかしら」

 

 シンイチが話し終えた後、心配そうな顔のゴモラと話す途中でエレキングが割って入る。

 

「なぜあなたが狙われたの?聞く限り異星人はあなたを探していたようだけど、やはりその力が関わっているの?」

「エレキング、君の推測通りだ」

 

 静かに聞いていたイデが口を開く。

 

 何故シンイチが狙われたのか。それは異星人たちがウルトラマン因子の根絶を狙っているからである。近年増えている悪質な異星人は一度ウルトラマンに敗れた者の同族であるケースが多く、いかにウルトラマンが脅威であるかを知っている為だ。

 

「あまり大きな声では言えないが、ハヤタ親子の情報が何処かから漏れたらしい。それを嗅ぎ付けた異星人が殺し屋や野蛮な連中に依頼して二人を殺そうとしているんだ」

「オイ、一大事じゃねぇかそれ!」

「情報漏洩だなんて、全く管理体制を疑うわ」

「・・・・・・返す言葉もないな」

「ん? じゃあ俺をGIRLSに入れようとしたのって」

「ああ、ハヤタ親子を保護するためさ。ここが一番安全だからね」

 

 一番安全、とは情報が漏れた経路がまだ分かっていない為、信用に足る組織がハヤタによって設立が決定されたGIRLSくらいしかなかった事に起因する。

 

「ピグモンさんはご存知だったのですか?」

「シンイチ君の言う3年前の事以外はイデさんから聞いてますよ~」

「彼女には色々と協力してもらっていたんだ。怪獣娘の代表ともいえる立場だからね」

「トモミさんすげぇ・・・・・・」

「えへへ、私も頑張ってるんですよ~」

 

 

 

 

 

 シンイチの力、ハヤタの正体、GIRLS加入の真相。様々な真実が明らかになり、話が一区切りついたところでレッドキングが切り出す。

 

 

「よし、話も済んだみてーだし体力テスト始めるか!」

「先輩! あたしもやりたいです!」

「いいぞミクラス、アギラ達もどうだ?」

「ぼ、ボクは・・・・・・」

「遠慮、させて頂きます・・・・・・」

 

 そしてエレキングは記録用のタブレット、レッドキングは竹刀を持つ。シンイチとミクはそれぞれ運動着に着替えて準備を整える。

 

 

 

「そんじゃや『ヴーーーーッ!!ヴーーーーッ!!』っ、何だ!?」

 

 

 

 突如けたたましい警報音が室内に響き渡る。程なくしてピグモンのソウルライザーに着信が入った。

 

「こちらピグモンです! はい、はい・・・・・・分かりました!」

「ピグちゃん、何があったの?」

「市街地にシャドウが現れました! それもかなりの数です!怪獣娘の皆さんは至急出動してください!」

 

 シャドウとは、世界に災厄を齎すといわれる存在。しかし何故存在するのか、何者なのかといった情報の一切が不明のため、GIRLSでは日々調査を行っている。

 

「被害は!?」

「人的被害はまだ確認されていません! 」

「急ぐぞ!被害を抑えるんだ!」

 

 ピグモンとレッドキングの声掛けでアキ、ミク、レイカもソウルライザーを取り出して変身する。

 

「シンイチ君は避難誘導をお願いします! あと前線には出ないでください!」

「シャドウはオレたち怪獣娘にしか倒せないんだ。だからサポート頼む!」

「分かりました!」

 

 シンイチはGIRLSの制服に手早く着替え直す。そして全員の用意が済むと、レッドキングが先導する。

 

「そんじゃ、現場に急行するぞ!」

 

 

 

 

 

「行くぞGIRLS! 出動だ!!」

 





今回はエレキングさんの登場です。
といってもセリフ少ないんですけど、今後メイン回も控えてるので気長にお待ち下さい。

本作のヒロインは、初代マンに出てきた怪獣全員と、セブン怪獣から3人ほどは確定で、今後増える可能性があります。(ヒロインのキャラは解説にその旨を書いてあります。)


活動報告にある解説ですが、次回の投稿時に併せて更新します。
あと今回は地の文が少ないですが、次回からガンガン戦闘描写を入れて増やしていきます。

次回もよろしくお願いします。
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