怪獣娘 BE ULTRA   作:ダブドラ

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 今回は番外編です。
 活動報告にも書いたのですが、やっとリアルが落ち着いたので今後は執筆により力を入れていきます。


番外編① 早田シンイチと新人研修

 

 

 

 ──いかなる組織でも新人に対してまず最初に行なわれるもの。

 

 それは研修である。

 

 GIRLSにおいてもそれは例外ではなく、むしろ

“救助指導組織”なのだから力を入れていると言っていいだろう。

 

 組織に入ったばかりのシンイチも休日を使って当然研修を受けている。そして現在はピグモンによる怪獣娘についての講義が行なわれていた。

 

「怪獣娘の暴走・・・・・・か」

 

「私達怪獣娘は、何かのきっかけで心に穴が空いたようになると、負の感情が大きくなり宿している怪獣の凶暴性に支配され、暴走してしまう事があるのです」

 

 ホワイトボードに書かれた図を指しながら、普段とは打って変わって真剣な口調で説明するピグモンこと岡田トモミ。

 

 というのも、まず怪獣娘への覚醒は大半が第二次性徴期、詰まる所思春期の女性に起きている事が確認されている。

 思春期といえば多感になる影響で精神が不安定になりやすく、ふとしたきっかけで暴走してしまうリスクがあるのだ。

 

 非常にデリケートな問題だからこそトモミも真剣になる訳である。

 

「そうならない為の“ソウルライザー”、ですよね」

 

「その通りです。カイジューソウルが目覚める時は、突然叫びたくなる等の予兆があります。その段階でGIRLSに来て頂ければ、暴走を未然に防ぐ事に繋がるんです」

 

 とは言うものの、実際誰がカイジューソウルを宿しているのか判別する事は難しい。そのためGIRLSでは思春期を迎えた女性を対象にハガキを一斉送付し、自ら足を運んでもらうという手段を講じている。

 

 只、肝心のハガキが胡散臭い見た目である為に無視されているかもしれない欠点はあるが。 

 

 

「それとこれは私からのお願いなのですが、怪獣娘と接する際、シンイチ君には一層気を付けて欲しいんです」

 

「勿論気を付けはしますけど、一層ってどういう事ですか?」

 

「それはほら、シンイチ君は唯一の男子ですから~」

 

「まぁ、それはそうですけど・・・・・・」

 

 実際、GIRLSには男性の職員がいない訳ではない。だが人数は圧倒的に少なく、怪獣娘達と直接話しているのはシンイチくらいしかいないのだ。

 加えてシンイチが持つ力*1の事もあり、トモミは細心の注意を払ってほしいと考えていた。

 

 ただ当人は力の事を何も知らない為、ぼかした言い回しに納得がいっていない様子であった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

「それでは、次はGIRLSの設備について説明します」

 

 そう言ってシンイチへ笑顔を見せるトモミ。二人は講義を終えて通路に出ていた。

 

「あの〜、トモミさん」

 

「なんですか?」 

 

「腕を組む必要、あります?」

 

 シンイチが言う通り、現在トモミはシンイチの腕に自身の腕をがっちりと絡ませていた。

 

「だってこれから支部内を回るんですから、はぐれない様にしないと~」

 

「それなら手を繋ぐとかでいいんじゃ・・・」

 

「さぁ、支部の案内にレッツゴー!です」

 

「無視!?」

 

 

 その後、観念したシンイチはピグモンに引っ張られてとある部屋にやって来た。

 

 中央にはプロレスのリングが設置されていて、その周りには体操用のマットが敷かれている。

 

 

「ここはスパーリングルームです〜。主に大怪獣ファイトに出場する子たちが、練習試合をする場所ですね」

 

「なるほど、ここが・・・。っていうか天井高いな」

 

「必殺技で相手を投げ上げる子もいますから、あえて高くしてるんですよ〜」

 

 (間違いなくあの人だ・・・・・・)

 

 シンイチはとある怪獣娘を思い浮かべながら呟く。

 

 ・・・・・・近い内に本人と出会うことになるとは知らずに。

 

 

 

 

 「続いては研究室になります〜」

 

 「ようこそ。シンイチ君」

 

 次に二人がやって来たのは研究室だ。早速イデに迎えられ、シンイチは中へと足を踏み入れる。

 

「本当は怪獣娘の助手がいるんだが、生憎出張中でね。今度紹介させてもらうよ」

 

「いえ、その時は是非挨拶させて下さい」

 

「シンイチ君も知ってる子ですから、楽しみにしてて下さいね〜」

 

「俺も知ってる? ・・・・・・誰だろう」

 

 (まぁ、会えば分かるか)

 

 何れ会うのだから考えても仕方がない、とシンイチは研究室を見回す。

 

 まず目についたのは理科室にあるような実験台だ。その上にはシャーレやビーカーなどのガラス容器類の他、顕微鏡とそれに接続されたモニターなどがある。

 

 そして奥の壁には怪獣娘とシャドウの写真が一面に貼られていた。

 

「ここでは主にシャドウに関する研究をしているんだ。何せ発見から数年経った今でも謎だらけの存在だからね」

 

「それじゃあ、怪獣娘の写真があるのは?」

 

「勿論、研究対象だからです~。私たち怪獣娘もまだまだ謎が多いですからね」

 

「・・・・・・確かに、言われてみればそうですね」 

 

 トモミの一言にシンイチはハッと目を見開く。

 実際の所、その謎の多さからシャドウにばかり目が行きがちだが、怪獣娘もまた多くの謎に包まれている。何故女性だけなのか、何故シャドウを倒すことが出来るのか。これらの事も解明するべく日夜研究が行われているのだ。

 

 

 

 

「それじゃ、次の部屋に行こうか」

 

 そう言うイデに案内され、シンイチとトモミは開発室と書かれた部屋にやってきた。

 

「ここが開発室です~。言わばGIRLS技術部の本拠地ですね」

 

「おぉ・・・・・・!」

 

 部屋そのものは研究室と同程度の広さだが、開発室の名の通り作業用机やタッチパネル式のモニターの他、何やら大掛かりな装置が所狭しと並んでいる。

 

 ちなみにこの時のシンイチはまだ知らないが、GIRLS技術部はイデと彼が秘密裏に運営していた科学特捜隊のメンバーによって立ち上げられた部署だ。

 

 隊員の中でも生物分野に詳しい者は研究室、機械や化学に強い者は開発室にそれぞれ配属されている。

 

 また、研究室でイデが話していた怪獣娘の助手は開発室の配属である。

 

「開発室こそ僕の仕事場だ。今は、怪獣娘の皆が変身出来ない時の護身用に使える武器の開発なんかをしている。例えば小型の銃なんかをね」

 

「私としてはそうなって欲しくないのが本音なのですが、万が一に備えておくに越したことはないですからね~」

 

 現状前例はないが、変身に用いるソウルライザーが何らかの要因で使えない時や何者かに奪われてしまった時、又は変身しようにも出来ない時などでやはり生身でも戦える手段が必要になるだろう。 

 

 戦闘向きではない怪獣娘であれば尚更だ。

 

「それとは別でシンイチ君用の物も開発しているから、期待していてくれよ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ。GIRLSの一員である以上、いずれ前線に赴く事になるだろうからね」

 

「ありがとうございます、イデさん!」

 

「そうだ。丁度いいタイミングだからアレを渡しておこう」

 

 すると、イデが何か思いついたように人差し指を立てる。そして部屋の奥から黒いアタッシュケースを取り出すと、それをシンイチに差し出した。

 

「さ、開けてみてくれ」

 

 シンイチは言われるがままケースの留め具を外す。中にはウレタン製のクッションで厳重に保護されたスマートフォンのような端末が入っていた。

 

「これって・・・・・・!」

 

「シンイチ君用のソウルライザーさ。ピグモンちゃんに頼まれていた通りカスタマイズもしてある」

 

「ありがとうございます〜!流石イデさんですね!」

 

「初期設定はここで済ませて行くといい。それと僕の連絡先は既に登録済みだよ」

 

 

 その言葉に従いシンイチは初期設定を終わらせ、何故か圧を放っているトモミとも連絡先を交換後、開発室を後にしたのだった。

 

 

 

 一時間後。時刻は14時を過ぎた頃。

 

 

 司令室や資料室など、残りの部屋を周り終えたシンイチとトモミは休憩スペースにやって来た。

 

「支部の案内はこれで以上になります〜。後は少し話しておきたいことがあるので、一度座りましょうか」

 

「わかりました。空いてる席は・・・・・・あ!」

 

 終始トモミと腕を組んだままのシンイチがスペースに入ると、丁度休憩室にいた三人の少女たちと目が合った。

 

「「あ!!」」

 

「シンイチさん、お疲れ様です・・・ってピグモンさん?」

 

 シンイチが気づくと同時にアキとミクも声を上げる。レイカは飲み物を取りに行っていたようで、ドリンクサーバーの前にいたがピグモンに気づき少し戸惑っている。

 

「やっぱり付き合ってるんじゃ・・・・・・」

 

「いや付き合ってないし、一方的にくっつかれてるだけであって俺は・・・」

 

「その割には嫌がってないじゃん?」

 

「二時間もこのままでいた結果慣れただけだ」

 

  距離感の近さからシンイチとトモミの関係を勘ぐるアキ。それに続いてミクもにやけながらからかいの言葉を口にする。

 

「はい!雑談はその辺にして本題に入りますよ~」

 

「それで、話って?」

 

 手を叩きながら声を張るトモミに対しミクが真っ先に質問する。するとトモミは手元の緑茶を呷ってから話し始めた。

 

「シンイチ君、明日までの研修が終わったら、実際に現場で活躍する怪獣娘さんのお手伝いをしてもらいます。勿論アギアギたちとパトロールもしてもらいますから、そのつもりでいてくださいね」

 

「一緒にパトロールだって!頑張ろうね、シンイチさん!」

 

「ああ、その時はよろしく。俺も頑張るよ!」

 

 トモミから今後の話を聞かされたシンイチは、思わず気合が入り拳を握り込む。それに負けじとミクも気合十分といった様子だ。

 

「それとアギアギたち三人は、シンイチ君のソウルライザーに連絡先を登録しておいてください」

 

 丁度出会えたし、という事でシンイチはソウルライザーをポケットから取り出す。するとミクを先頭に三人が身を乗り出した。

 

「へぇ、それがシンイチさんのソウルライザーかぁ。なんかカバーの模様が違うね」

 

「銀と赤、何というかオシャレ」

 

 自身が持っているものとは明らかに違う見た目のソウルライザーにミクとアキは興味を示し、レイカはじっとそれを見つめている。

 

 程なくしてシンイチ達は連絡先の交換を終え、再びトモミの方に向き直った。

 

「では、最後に一つ。今はまだ詳しくは言えませんが、シンイチ君と私たち怪獣娘が心を通わせる事が、今後の戦いにおいて大きな力になります。ですからいっぱい交流をして、仲良くなって下さいね」

 

「ええ。勿論です」

 

「仲良くなる、か。じゃあさ、シンイチさん!」

 

 真っ直ぐに答えるレイカの隣で、ミクがスクールバッグの中身を漁り始める。

 

 するとミクが笑顔で片手に持った何かをシンイチに見せた。

 

「勉強教えて!!」

 

 それは一冊の参考書だったのだ。丁度いいきっかけを得たと言わんばかりにミクはニコニコとしている。

 

「ああ、良いよ」

 

「本当!?」

 

「それなら、私達も手伝いますよ。ね、アギさん」

 

「うん。あ、でもボクはあんまり自信ないかも・・・」

 

「皆でやれば大丈夫だ。三人寄れば文殊の知恵って言うだろ? 」

 

「四人寄ればもっと良い知恵が浮かぶかもしれないですしね」

 

 シンイチ達四人が楽しそうに話している所を見て、トモミは釣られて笑顔になる。

 

「それでは、私はやる事があるのでここで失礼しますね」

 

「ありがとうございました、トモミさん!」

 

「いえいえ〜勉強会しっかりやって下さいね〜」

 

「それじゃ、早速始めようか!」

 

 

 そして、その日は夕方頃まで勉強会を続けたシンイチ達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
詳しくは3話を参照





 次回からまた本編に戻りますが、構成を練り直しているので来月からの更新になります。

 それとここで一点、ULTRAMAN側からSEVENとACEなどのスーツは出ないのかということについてです。

 結論から言うとでません。オリ主のスーツと試作品の黒いスーツのみです。理由はというと、怪獣娘たちがいる上にそこまで出すと過剰戦力になるからです。

 ただ、その代わりに怪獣娘達の強化が多数ありますのでご期待下さい。

 今後とも宜しくお願いいたします。
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