地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
地球を蹂躙したその脅威は、英雄「ストーム1リーダー」の手によって撃退されました。それが地球防衛軍3の物語です。本作の前に起きた出来事ですね。
そして八年の時が過ぎました。
勝利から一年後、アリゾナで最後の巨大生物が駆逐されて。地球は以降フォーリナーの残した技術で復興していくことになります。
ですが。
何も終わって等はいなかったのです。
それどころか、英雄は。
その姿も実態も歪められて、抑圧を受けていたのでした。
序、死闘
巨大な銃を手に持ち、軍服に身を包んだ、傷と煤だらけの戦士と。
宇宙から侵攻してきた球形の戦艦が。
焼け野原となったその場所で、対峙していた。
戦艦の名前は分からない。
ただEDFからは、マザーシップとだけ呼ばれている。
男の名前は、多くの者には知られていない。
EDFからは、ストーム1リーダーとだけ呼ばれている。特殊部隊、ストーム1の司令だからだ。
既に満身創痍の両者は、決着を付けるべく、動いた。
あり得る事だろうか。
全長三百メートルを超える宇宙戦艦が。
ただ一人の人間を倒すためだけに、その総力を挙げているのだ。しかも、その火力は、激烈を極める死闘の末、既に四半減している。
展開していた巨砲は粉砕され。
二百を超えた浮遊砲台は全てたたき壊され。
そして、八方に展開した、殺戮砲も、もはや半数が落ちている。
艦載機でさえ、もはやほぼ残存が無い。
しかしストーム1リーダーも。ただ一人で、この宇宙から来た巨大侵略船に立ち向かった最強の戦士も。
既に、手にしている武器は1丁のみ。
周囲にあるのは、使い捨てた武器が多数。もはや守る者さえなくなったこのがらんどうの荒野で。
一人の人間が、装填を終えた巨大な銃。
マザーシップを落とすためだけに全ての技術を投入し、作り上げられた最強の携行兵器。
ライサンダーZ狙撃銃を構える。
生き残った砲台が、炎を噴いて。させじとストーム1リーダーを迎え撃つ。まるで雨霰の猛攻。直撃を受ければ、ひとたまりも無い。だが爆裂の連鎖の中、人間とは思えない動きで的確に回避し。走りながら狙いを付けたストーム1が、自身の身長以上もある、最強の狙撃銃をぶっ放す。
反動さえ、回避に利用する神業。
空に、光が、爆音とともに放たれる。
うち込まれた弾速は、なんとマッハ90に達する。それが、人間で扱える弾丸が、これほどの破壊力を実現する理由。衝撃波と反動は、この巨大な銃身に含まれている機構がほとんど全て吸収する。それでも、普通の人間なら、肩が外れるほど。
技術はブラックボックスの中だが。使えれば、ストーム1リーダーには、それで構わない。
艦砲に匹敵するとさえ言われるその射撃が、また一つ。
マザーシップから伸びていた巨砲を、叩き落とし、粉砕。
旋回しながら、必死にマザーシップが、残された殺戮砲を用いてストーム1リーダーを攻撃しようとする。しかし、建物の残骸や地形を上手に使いながら、最強の戦士は、怒濤の猛攻をかわし続ける。
わずかに残った艦載機が、マザーシップを出撃。生物が動かしているのか無人かも分からないそれがレーザーを放ちながら、ストーム1にとどめを刺そうと迫る。もはや地球には、対抗できる戦闘機は、一機も残っていない。
あったとしても、此処に来られる機体は無い。
そもそも、フォーリナーが投入してきたあまりにも圧倒的な数の巨大生物たちの重大な包囲の中。
此処までストーム1リーダーが、オメガチームの精鋭とともにたどり着けただけでも、奇蹟なのだ。
ストームチームは10番まであるが、その殆どが、巨大生物の包囲網を攪乱するために戦い続けている。
ストーム1チームの他メンバーも、同じだ。
爆炎の中、走るストーム1リーダー。
爆風が、容赦なく満身創痍の身を痛めつけていく。
身に纏っているシールドスーツも、もはや亀裂だらけ。長くは保たないことが確実だ。如何に超人的な機動で回避し続けても、限界がある。
装填完了。
また一射。
数十メートルはあるマザーシップの巨大砲台が、冗談のように半ばから火を噴き、へし折れる。
爆散。
走りながら弾を最装填するストーム1リーダー。
この男は不死身なのか。
同僚達さえ怖れたその戦闘力は。満身創痍であっても、いまだ衰えを見せていない。
だが、その時。
ついに、マザーシップの艦載機群が、重力を無視した曲線的な飛行を繰り返しながら、ストーム1リーダーを追い詰める。
強力な狙撃銃では、威力はあっても、数の暴力には対応できない。
さっきまではまだ、周囲に仲間がいた。だが人間の戦士は、既に一人も残っていない。誰もが倒れ、傷つき逃げ。
もはや戦場には、一人の人間と。
傷だらけの宇宙艦と。その艦載機しか、いないのだ。
爆発。
艦載機が放ったレーザーが、ストーム1リーダーを吹き飛ばす。
瓦礫だらけの地面に、ストーム1リーダーが叩き付けられ、転がる。
勝利を確信しただろうマザーシップが。
その時、横殴りの射撃を浴びて、粉みじんに吹き飛ばされる艦載機の、爆発の光を浴びた。
来る筈が無い援軍。
しかもこの距離を、ノーアクションで狙撃して見せたのだ。
回避運動に入った艦載機が、また叩き落とされる。
次々に横殴りの射撃が飛来し、ストーム1リーダーを包囲していた艦載機が、見る間に算を乱す。そして隊列を崩した者から、爆裂していった。
「ようやく来たか、秀爺。 この距離で、良くも当てて見せるものだ」
寡黙な戦士が、それだけ言うと。身を起こしながら、装填作業を続ける。
もはや全身のボディーアーマーは致命傷を受けている。フォーリナーの技術を得て作り上げた耐衝撃ボディアーマーにも、寿命が来たのだ。
もう一撃受ければ、終わり。
装填終了まで、あと四秒。
マザーシップの下部に、巨大な穴がある。
先ほど落とした二つの巨大砲台。それは、射線を開けるために、敢えて残り少ない弾を使って、撃ったのだ。
彼処に、三発。
残った弾の全てを叩き込んでやれば、この忌々しい戦いにも、決着がつく。
今度は、追い詰められたのはマザーシップの方だ。
殺戮砲からの光の乱射も、死角に入ったストーム1リーダーには届かない。艦載機はどこからも分からない狙撃に次々と落とされ、回避が間に合わない。
空に逃げる選択肢もあるだろうに。
マザーシップは、そうしない。
必死に旋回を続けるマザーシップに。装填を終えたライサンダーZが、その凶暴な銃口を向けた。
マザーシップの下部には、もはや隠しようのない亀裂がある。最初は余裕を持ってライサンダーの弾を受け止めていたマザーシップの絶対的な装甲も、二十四発に達する攻撃を一カ所に集中されては、どうにもならなかったのだ。
そしてその亀裂は。
動力炉への攻撃を通すための道筋になり。
その攻撃を、ストーム1リーダーが外すことは、あり得なかった。
艦載機が一機、必死の機動で、射線に割り込んでくる。
最後の悪あがき。
だが、マザーシップの対空砲火に傷だらけになりながらも。突撃してきたEDFの攻撃ヘリが一機。殆ど捨て身で射撃を浴びせ、爆散させる。
またしても、あり得ない援軍。
だが、それが限界。
ヘリはすれ違うように地面に落ちていった。
「谷山、恩に着る」
わずかに眉を動かしただけで。ストーム1リーダーは。空いた射線に、攻撃を叩き込む動作に入る。
死ね。
終わりだ。
そんな言葉は。ストーム1リーダーの口からは出ない。
ただ、寡黙に、引き金に掛けられた指が、動いた。
一撃目。
マザーシップの内部から、盛大に火が噴き出す。
殺戮砲が、内側から噴き出した爆裂によって、下向きのたいまつと化す。炎をまき散らしながら、吹き飛ぶ。
それでも、マザーシップは、ストーム1リーダーに向けて、わずかに残った砲台を向ける。最後のあがきか、それとも。
再装填完了。
二撃目。
反対側に、貫通。装甲が内側から吹っ飛び、射撃線の前後から、凄まじい火が噴き出した。
あくまで寡黙に。
ストーム1リーダーは。
全身のダメージを意に介さないように。
まだ宙に浮き。
憎悪か断末魔か分からない悲鳴を上げ続けているマザーシップに向けて。最後の一撃を叩き込む。
それが、とどめになった。
その日。
一年にわたって続いた、侵略者との戦争が終わる切っ掛けが起きた。
フォーリナーと呼ばれる、地球外知性体の頭脳であり。
あまたの護衛に守られていた巨大戦艦、マザーシップが、地球最後の戦力を投入した肉弾攻撃によって、陥落したのである。
文字通り、木っ端みじんに爆発四散したのだ。
その凄まじい爆発は、数十キロ先からも、確認できたほどだという。
奇蹟の勝利。
そう呼ぶほか無い出来事だった。
西暦2017年の初旬、フォーリナーが地球に攻撃を開始してから、人類は負けっ放しだった。
EDFの本部も、この肉弾攻撃の少し前に、文字通り全滅。
首脳部は全滅し、指揮系統は寸断され、各地のEDF部隊は孤立無援の中、絶望的な抵抗を続けている状況だった。
地球には、極東支部のごく一部の戦力しか生き残っていない状態だったのである。
フォーリナーの輸送船はまだかなりの数が残っていたが。マザーシップの撃沈を知ったからか、配下の機械兵器群を収納し、地球を去り。
そしてフォーリナーの尖兵となっていたわずかな巨大生物群が残された。
2018年にその最後の一匹がアリゾナで討ち果たされ。
地球は、平穏を取り戻したのである。
地球の人口は、その時。
実に、15億にまで減少していたのだった。
この悲惨極まりない。人類がはじめて本物の外敵と遭遇し、かろうじて生き残ることが出来た戦いのことを。
西暦2017年の出来事であるから。
2017年絶滅回避戦争と、後の時代には呼んだ。