地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
EDF東京基地の奧。
非常に強固なセキュリティが施された部屋で、ブリーフィングが行われる。ただし、北米の総司令部との通信は、常につながっているようだった。
薄暗い部屋の中で、円卓を囲んでEDFの幹部達が集まっている。
ここに来られない人員は、立体映像だ。
私とジョンソンは末席に座った。弟もその近く。
世界を救った英雄は、いわば腫れ物も同然。
EDFの幹部達は、あまり弟をよく見ていない。その同類である私も、似た様な状況だ。
更に言えば、発言権も大きくない。
戦うように言われて、戦いに行く。
それだけが、出来る事だ。
今の時点で、各拠点で欠けている幹部はいない。全員が出そろったところで、ブリーフィングが始まる。
現在EDFの総指揮を執っているのは、前回の大戦で北米の残存勢力を束ね、指揮を執っていたカーキソン元帥である。
カーキソンは七年で非常に太った。
七年前は、地獄のゲリラ戦を終えた後で凄惨なほど痩せていたのだが。反動で一気に太ったらしい。
無理もない話だったろう。
彼は北米にあった総司令部の、唯一の生き残りだ。マザーシップによる総攻撃の際、たまたま本部を離れていて助かった。その後は、圧倒的優勢の敵と、文字通り絶望的な戦いを続けたのだ。平和になってしまえば、その反動が来るのは、抑えられまい。
「現時点の戦況は良いとは言えない。 北米でも、大きな被害を出した。 マザーシップが来る前に、敵の巣穴を可能な限り潰したい」
「しかし、今回の敵の巣穴は、規模が四年前に発見できたものとは段違いです。 東京にある巣穴に到っては、推定される敵の戦力が、五万を超えます」
現時点では、出てきているのは黒蟻とレタリウスのみ。
しかも巨大生物は、複数種が同じ巣穴に潜むという習性がある。それでいて共食いは絶対にしない。
まだ巣穴の奧には、多数の蜘蛛が潜んでいる事は間違いないし。
赤蟻もいるだろう。
そして最深部には、最低でも二から三の女王蟻がいる。以前の戦いで猛威を振るった大蜘蛛もいるかも知れない。
凶蟲の王と言われる大蜘蛛は目撃例があまり多くないが、その戦闘力は絶大。女王蟻さえ凌ぐと言われるほどだ。
「うむ。 そこで、敵の巣穴のうち、弱いところから叩きたい」
カーキソンが指し示したのは、南米。
今の時点で確認されている巣穴の中では、最小規模のものがある。かってリオデジャネイロと言われた辺りである。
「欧州からオメガチームを現地に移動させる。 オメガチームを主力に、現地のEDF部隊によって此処の巣穴を攻略する。 ストームチーム、ストライクフォースライトニングは現地での敵殲滅に注力してもらいたい」
「攻略の際、幾つか懸念されることがあります」
挙手したのは、オメガチームのリーダーだ。
彼にも発言権はあるが、あまり大きくない。
ただ意見を述べるだけである。
最も彼の場合、極めて複雑な事情がある。大戦で何度も一緒に戦った私も、その素性は知っているから、あまり多くの事は言えない。EDFが危険視するのも、致し方ないとは考えていた。
「戦力を消耗しすぎると、本命のフォーリナー本隊が来た時、対応できなくなるかも知れません。 また、攻略に兵を裂きすぎると、各地の守りが疎かにも」
「うむ。 故にオメガチームと、南米支部の総力を挙げて攻略には望んで貰う」
つまりは、少数精鋭と言う事か。
四年前に発見した巣穴とは、小さいと言っても段違い。
攻略には、どれだけの犠牲が出るか分からない。
憂鬱な話だ。
会議には、ボイスオンリーだが、地下にいる彼奴も参加している。彼奴が咳払いすると、皆が注目した。
培養液の中にいるので。
咳払いが、ごぼごぼと、水音を伴う。
「アンノウンの登場で分かったと思うけれど、近々彼らはまたやってくる。 とにかく、まだ緒戦の今のうちから無為な犠牲は出さないように、細心の注意を払って欲しい」
「わかっている。 だから、少数精鋭での任務を果たして貰うのだ」
これは、近々。
ストームチームも、巣穴を攻略してこいと言われるかも知れない。
ブリーフィングが終わる。此処からは、東京支部だけのブリーフィングだ。
咳払いすると、日高が東京の地図を出させる。
まだ、赤い地域が、かなり多い。
「データが欲しい。 レタリウスが遠距離の偵察から確認されている地域は、以下の通りだ。 このうち、此処を君達に攻略して貰う。 それ以外の地域については、明日も継続して、巨大生物の駆逐作戦を行う」
「イエッサ」
拒否権は無い。
それにレタリウスに対抗する戦術の開発は急務だ。我々がやらないで、誰がやるのか。
明日以降も厳しい戦いが続く。
ブリーフィングルームを出た私の肩を、弟が叩いた。
「姉貴、無理はするなよ」
「ああ。 お前も、な」
ジョンソンはずっと黙っていた。
彼なりに不満もあるだろうが、今は抑えて貰うしかない。
アパートに戻っている余裕は無い。
その日は、割り振られた士官用の休息所に出向いて。シャワーだけ浴びて、カプセル休眠具に潜って、眠った。
泥のように。
明日の戦いから、その時だけは、逃避できた。
(続)
七年の平和は一瞬で喰い破られ。
嘲笑うかのように備えも打ち砕かれました。
またしても、苛烈な災いが人類に降りかかることとなります。
更に言えば、ストームチームですら内部は一枚岩ではなく。
それはEDFも、当然のように同じなのでした。