地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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原作ではアイテムのよい稼ぎ相手であるグレーターワイルドドラゴンさん。

本作では、フォーリナーという存在の目的にとって、要となる……それ故に圧倒的強さを誇る存在となっています。


1、神竜との戦い

 

東京基地に戻ると、すぐに司令部に呼ばれた。

 

ビークル類を格納庫に入れたその足で、すぐに司令部に。勿論、議題はあの巨大なドラゴンに対する作戦だ。

 

日高司令を一とする幹部は既に揃っている。

 

第五艦隊の司令官も、現在東京湾から出て巡航中のデスピナ艦橋から、立体映像で参加していた。

 

「レンジャー14が初遭遇した巨大ドラゴンは、全長122メートル、翼長280メートル。 採取されたデータから考えて、吐く炎の温度は摂氏5200℃に達するものと思われます」

 

「殆ど太陽の表面並みだな」

 

「勿論、これは広域展開したときの温度です。 他のドラゴンのようにプラズマ化した火球にして放てば、その温度は二十万度に達するかと」

 

「そのような攻撃、もはや生物の域では無いな」

 

日高司令がぼやく。

 

もはや生物として滅茶苦茶だが、フォーリナーの技術を考えると、これくらいの魔獣が登場してもなんら驚くことは無い。

 

更に此奴の表皮に展開されているアーマーは、イプシロンの攻撃にも耐え抜いた。

 

ノヴァバスターでも、仕留めきれるかは微妙な所だろう。

 

「この巨大なドラゴンを、これよりグレーター・ワイルドドラゴンと呼称します」

 

戦術士官が、命名。

 

いや、どうせ科学陣が、既に命名はしていたのだろう。その名前については、別に異存はない。

 

「要塞砲を直撃させてやれば、流石に殺せると思うが」

 

「あの巨体ながら、移動速度は通常のドラゴンとさほど変わりません。 要塞砲を当てるのは、難しいかと」

 

「何か手は無いか」

 

「動きを止めるにしても、あの巨体です。 なおかつ、パワーも凄まじい。 この映像を見てください」

 

立体投影される映像。あの巨大ドラゴンが、飛翔しながら大型のビルを粉砕している様子だ。

 

体当たりで、ビルくらいなら容易に破壊することが出来るほどのパワー。

 

どう対応したものか。

 

おびき出すことは、出来る。

 

ストームチームに、フォーリナーは強い関心を示している。ストームチームが敵の掃討作業をしていれば、確実に姿を見せる。

 

問題はその後だ。

 

小原博士が生きていたらと一瞬私は考えたけれど。いや、あの博士は、こういうことでは役に立たなかったかも知れない。

 

咳払いの音。

 

そういえば、今日は。EDFの誇るマッドサイエンティスト、三島徳子が会議に参加していたのだった。

 

「あの巨体の動きを止めれば良いんですね」

 

「三島君、何か妙案が?」

 

「大きいとは言っても所詮生物。 勿論巨大生物の高性能さは私も熟知していますが、ならばこそ、落とし穴も作る事が出来ます」

 

具体的には、餌を使うという。

 

餌と言っても、巨大生物の好む餌などは無い。連中は人間を喰らうが、あれは別に食糧としているわけでは無い。情報を得るための行動だ。

 

地下の彼奴と融合して、よく分かった。

 

巨大生物は、大気中の物質から、栄養を得ることが出来ている。地下に何年も平然と籠もっていた理由が、其処にある。

 

ドラゴンもその点は同じ筈だ。

 

つまり、ストームチームそのものを、餌として使うのだという。

 

幾つかの手順を説明された。危険はあるが、あのドラゴンを野放しにする方が危険だろう。

 

ならば、試す価値はある。

 

「どうでしょう、日高司令」

 

「分かった、良いだろう。 ストームチーム、頼めるか」

 

「問題ありません」

 

「よし。 支援のため、私もプロテウスで出る」

 

すぐに会議は畳まれ、作戦が開始される。この風通しの良さだけは、日高司令の良いところだろうか。

 

ストームチームは、すぐに出撃。

 

まず向かう先は、池袋だ。

 

その辺りに、黒蟻の群れが現れている。本当は今日、別のチームが処理する筈の部隊だったのだが。

 

今回はストームチームが敵をおびき寄せるために、敢えて交戦する。

 

既に焼け野原になっている池袋で、黒蟻がかなりの数好き勝手をしているのを目視。本来はネレイドを出したいところだが、今回は巨大なドラゴンをおびき寄せるのである。ヘリは使わない方が良いだろう。

 

ネグリングで、遠距離から射撃。

 

黒蟻は即座に反応して、散らばりながら此方に迫ってくる。しかも、ビルの影や地中から、次々に姿を見せる。

 

最初は百程度の数を想定していたのだが。

 

これは、見かけよりもずっと多いとみて良いだろう。

 

しかも散らばって迫ってくるので、広域制圧火器が効果を示しづらい。下がりながら、ネグリングでの射撃を続けて、可能な限り数を減らすしかない。キャリバンの上にタンクデサンドした弟が、確実にハーキュリーで敵を仕留めていく。黒蟻は以前より移動速度が上がっていて、此方のビークルに追いつきそうな勢いだ。

 

谷山が戦車砲をうち込み、数匹を吹き飛ばすが。

 

やはり効率が悪い。散らばって追ってくる敵の内、左右に回り込んだ連中は、曲がり角にさしかかるのを待っているとみて良い。

 

それに、である。

 

殲滅が遅れれば、巨大ドラゴンとの交戦が始まった際に、罠を張る余裕が無くなる。

 

弟が、判断した。

 

「反転迎撃。 一気に敵を駆逐する」

 

「イエッサ!」

 

ビークル類が全てブレーキ。黒蟻が、さっと包囲網を縮めてくる。

 

私が先頭に立って飛び出し、ハンマーを振るって前方の敵を粉砕。零式レーザーを起動したジョンソンが、それに続いた。

 

焼き払い、吹き飛ばし。

 

敵が逃げ出しはじめるまで、ひたすらに叩く。

 

十分ほどの死闘で、戦闘は終了。

 

半数ほどの死体を残して、黒蟻は撤退していったが。

 

此方も損害は決して小さくなかった。

 

特にネグリングが、要領よく立ち回ったにもかかわらず、かなり酸を浴びている。前線で攻撃を受け止めていたギガンテスもである。

 

別の場所にふせていた筅が、心配して通信を入れてきた。

 

「此方筅。 まだ状況は整いませんか?」

 

「もう少し待て」

 

「実は、問題が発生しています。 赤蟻の集団が、其方に向かっているのを、偶然捕捉しました。 私、出た方がよくありませんか?」

 

「良いからふせていろ」

 

今度は赤蟻か。

 

ストームチーム以外の戦力が来たら、袋だたきにするつもりだったのだろう。相変わらず狡猾な連中である。

 

すぐにビークル類の応急処置。

 

敵は此方がストームチームだと言う事は理解しているはずだ。つまりあの巨大ドラゴンがほぼ間違いなく来る。

 

問題は、いつ来るか。

 

来たタイミングで、罠を発動しなければならない。

 

赤蟻の群れが見えてきた。

 

まずネグリングで射撃を浴びせ、その後は準備しておいたセントリーガンで削りながら、火力投射。

 

涼川と原田がスタンピートを浴びせ、それでも火力の網を抜けてきた相手を、アサルトで打ち据える。

 

百を超える赤蟻が、全力で突進してくる。

 

一部は、セントリーガンの防衛網を蹴散らして、ギガンテスに突進してきた。重量五十トンを超えるギガンテスが、突進を浴びて少し下がるが。それでも、横並びにしたビークルの火力は敵を上回る。私はキャリバンの上に立ってガリア砲を放ち続けるだけで良かった。機動戦にまでは持ち込まなくて大丈夫だ。

 

隣では、エミリーがサンダースナイパーからエネルギービームを乱射している。地面を這いながら進む稲妻状のエネルギーは、赤蟻をしこたま傷つけていた。

 

「闘牛士の気分ネ」

 

「油断だけはするなよ」

 

「OK」

 

エミリーも、ここのところ苛烈な戦いが続くせいか、無口になりがちだ。三川は更に負傷が多い。

 

だから時々話しかけて、大火力を実現できる二人を、勇気づけなくてはならない。

 

赤蟻の群れを処理完了。

 

まだ、巨大ドラゴンは姿を見せない。

 

応急処置をその場で済ませる。今の時点で、池口が軽傷。ネグリングに赤蟻が体当たりして、ひっくり返されたのだ。なおネグリングは、一旦合流したベガルタによって、起こされている。後は矢島が一度赤蟻に噛まれて振り回されているが、それだけだ。アーマーをちょっと削られたくらいである。

 

まだまだ、全員が戦闘続行可能だ。

 

「次に行くぞ」

 

弟の指示も、若干の精彩を欠く。

 

次は麻布だ。

 

近くで凶蟲の群れが目撃されている。これを叩く。それに伴って、筅にも移動して貰う。

 

彼女が、今回の罠の肝だ。

 

ベガルタが前線で盾にならないのは大きいのだけれど。それを補ってあまりあるほど、重要な役割を、果たして貰わなければならないのである。

 

麻布に移動。

 

途中、黒蟻の小集団を見つけたので、強襲して殲滅。

 

敵を少しでも削っておくことは重要だ。この小集団も、集まれば他のレンジャーチームにとって、大きな脅威となるのだから。

 

麻布に着くまでに、そうやって、七度の小規模戦闘を経験。

 

東京近郊でこれだ。

 

いや、むしろ東京近郊には、今敵の部隊が、目だって集まってきているのかも知れない。戦闘経験を欲しがっているフォーリナーだ。他の場所には押さえだけおいて、激戦区にむしろ嬉々として巨大生物を集めているのだろう。

 

到着後、凶蟲の群れを確認。

 

本部に通信を入れるが。まだ巨大ドラゴンは、姿を見せていないという。まあ、それならば。池袋に続いて、麻布の敵も掃討するだけだ。

 

 

 

夕刻。

 

麻布の敵は掃討完了したが、巨大ドラゴンは姿を見せない。涼川などは、まだかよと吐き捨てて、露骨に機嫌が悪くなってきていた。

 

凶蟲の群れは火力が大きく、接近前に叩かなければならない分、他の巨大生物よりも厄介だ。しかも非常に機動力が大きいので、油断も一切出来ない。

 

五十匹ほどいた群れを片付けた後、それでも損害が出た。

 

キャリバンから、不満げにジョンソンが出てくる。

 

戦いの最後で、流れ弾を喰らったのである。応急処置を終えて、もう大丈夫と言う事だが。

 

積み込んできているアーマーが、そろそろ限界である。

 

弟にオンリー回線をつなぐ。

 

「おい、まだやるつもりか」

 

「もう三十分だけ待って、それでも姿を見せなければ、一度撤退する」

 

「それが妥当だな」

 

「無意味にならなかったことだけは幸いだ」

 

作戦としては、大いに意味があった。

 

今回叩いた敵は、他のチームが大きな損害を出すことを覚悟しなければならない規模の群ればかり。

 

それを犠牲無しで潰したのだから。

 

噛み煙草を口に放り込む涼川。

 

原田はスタンピートの弾丸装填を練習している。流石に体の一部と言って良いほど使いこなしている涼川に比べると、充填速度でもかなり差があるからだ。少しでも練習するのは良い事である。

 

黒沢は香坂夫妻の側で、狙撃のアドバイスを熱心に受けている。

 

元々素質はあった奴だ。

 

世界最高のスナイパー夫妻に教わることで、更に技量は伸ばせるだろう。

 

既に東京は焼け野原。東京基地だけは構造物が残っているが、それ以外の地区は歴戦に続く歴戦で、殆ど建物が破壊され、何も残っていない。

 

この辺りから巨大生物は一掃したけれど。

 

しかしまた巨大生物が進出してきたとき。止める方法は存在しないのだ。

 

「此方筅」

 

「どうした」

 

「どうやら現れたようです」

 

「警戒態勢! 奴が来るぞ!」

 

全員が、さっと警戒態勢に入る。

 

既にこの辺りで交戦するシミュレーションも実施済み。ビークル類もろとも、高架の残骸や、ビルの影に逃げ込む。破壊されていても、充分に盾に出来る構造物は存在しているのだ。

 

上空に、姿を見せる巨影。

 

間違いない。奴だ。

 

そして奴は、ストームチームにめがけ、遠距離からプラズマ火球をうち込んでくる。数発が、至近に着弾。爆裂。

 

着弾地点には、赤黒く溶岩が泡立つ、クレーターが作られていた。

 

流石にやばい。

 

直撃を喰らったら、アーマーごと蒸発だ。

 

一度ドラゴンは此方の真上を通り過ぎると、旋回を開始する。

 

だが、其処が狙うところだ。

 

「筅!」

 

指示が飛んだ瞬間である。

 

巨大竜の目前に、火力の滝が出来る。砲兵隊による、キャノン砲の一斉射撃である。わざわざ戦場から離れたところに、筅を待機させたのはこのためだ。

 

現在、配備されているキャノン砲は、クラスター弾より格段に口径が大きく、破壊力が段違いである。

 

流石にそれに突っ込む勇気は巨大ドラゴンにもないらしく、翼を広げて急停止する。

 

其処へ。

 

新型の兵器が炸裂した。

 

以前から実戦投入はされていたが、まだ実験兵器に過ぎなかった、ウィングダイバーの最大火力。

 

グングニル。

 

MONSTERシリーズを更に発展強化させた超高出力収束ビーム砲である。火力は、現時点で小型の要塞砲にも匹敵する。

 

放った後は、長時間身動きが取れなかったグングニルだが。

 

何度かの実戦投入を経て、ついに配備が始まった。ストームチームでも、正式に配備された。

 

流石に正式配備品は、試作品とは火力が違う。

 

ドラゴンを直撃したエミリーと三川のグングニルは、流石の巨大ドラゴンもたじろかせることに成功する。

 

更に其処へ、残ったメンバーで集中射撃を浴びせる。

 

巨大ドラゴンが、反撃に転じようとした瞬間。

 

要塞砲が、その体に直撃していた。

 

今までの攻撃は、全て巨大ドラゴンの動きを止めるための布石。そして、この一撃こそ、本命だ。

 

流石に、特大口径の要塞砲をまともに浴びて、ドラゴンが絶叫。

 

地面へと墜落していく。

 

「よし……!」

 

弟が、わずかに興奮を湛えて言うが。油断はしていない。

 

即座に全員、近接武器へ換装。プラズマジェネレーターが焼き付きかけているウィングダイバー二人は、すぐに後方へ退避。

 

地面に直撃した巨大ドラゴンは、動きを止めたが。

 

死んでいるかは分からない。谷山が戦車砲を、容赦なく倒れている巨大ドラゴンの腹に叩き込む。一撃、二撃。

 

煙が晴れてくる。

 

そして、驚くべき光景が、其処に広がっていた。

 

腹に穴が開いていない。

 

つまり、アーマーはまだ健在と言う事だ。

 

跳ね起きたドラゴンが、横殴りに炎を放ってくる。

 

その場に飛び込んできたベガルタ。

 

盾になって、炎を受け止めるが。AXの圧倒的な装甲を持ってしても、巨大ドラゴンの炎は凄まじい貫通力を示した。数歩下がったベガルタAX。筅が、悲鳴に近い声を漏らした。

 

「一撃でアーマーを抜かれました! もう一度は耐えられません!」

 

「突貫!」

 

弟が叫ぶ。

 

谷山の戦車が、突進しながら戦車砲を連射。まだかろうじて動いているグレイプも、速射砲でそれに倣う。

 

歩兵は全員フュージョンブラスターで。

 

私と矢島は、ディスラプターで。

 

敵との距離を詰めながら、大火力での熱量攻撃を叩き込む。

 

だが、ドラゴンは緩慢ながら立ち上がると、大きく息を吸い込む。また、ブレスで薙ぎ払うつもりか。

 

真っ先に敵に突入したのは、谷山のギガンテス。

 

ゼロ距離からの戦車砲を、一撃。

 

だが、弾かれる。

 

現在の戦車砲は、あのヘクトルでさえ、無事に喰らえば只では済まないのに。それでも、至近からの一撃が、弾かれた。

 

慌てず、第二撃。

 

鈍い音がしたのは、ギガンテスを五月蠅そうに巨大ドラゴンが踏みつけたからだ。履帯を高速回転させ、脱出しようとする谷山だが。更に体重を掛けて、巨大ドラゴンがギガンテスを踏みつける。

 

其処へ、要塞砲の第二射が、巨大ドラゴンの左脇腹を直撃。

 

大きく傾ぐ巨大ドラゴン。

 

しかし、アーマーが抜かれる気配は無い。

 

迫る全員が、大火力の射撃を浴びせ続けているのに。なおも、敵アーマーは健在だ。これは、万事休すか。

 

ならば、伝承に頼るしかないか。

 

私が、跳ぶ。

 

そして、ドラゴンの口にめがけて、驀進する。

 

ドラゴンが息を吸い終える。

 

奴も見るはずだ。私の姿を。

 

ディスラプターを、残りの火力全てを込めて、起動。

 

灼熱が、ドラゴンの口の奥に。光のランスとなって、叩き込まれる。

 

絶叫したドラゴンの口の中で、放とうとしていた火球が爆裂するのが分かった。飛び退こうとするが、間に合わない。

 

吹っ飛ばされる。

 

地面に叩き付けられた私は、身を起こそうとして、それを見た。

 

舞い上がったドラゴンが。口から煙を上げながらも。人間の言葉を喋ったのである。

 

「やるな。 どうやら我等が神と一つになるための、最高の競争相手という話は、嘘では無さそうだ」

 

「貴様、人語を解するのか」

 

「少なくとも日本語は流ちょうに話す事が出来るつもりだ。 いずれにしても、このまま戦闘を続けると命を落としかねん。 同胞に今の戦闘経験は届け済みだが、この身はまだ滅びを許さぬ状態。 今死ぬわけには行かぬ」

 

小さな火球を、目の前に叩き込んでくる。

 

爆裂。

 

煙幕が作られ。その隙に、巨体は飛び去っていった。

 

呼吸を整えながら、立ち上がろうとして失敗する。最後に浴びた爆発で、かなり体の方がやられてしまっている。

 

三川が駆け寄ってくる。

 

「無理をなさらず、はじめ特務中佐」

 

「問題ないと言いたいが。 肩を貸してくれるか」

 

「はい」

 

肩を貸してもらって、キャリバンまで歩く。

 

日高司令は、今の結果に愕然としているようだった。

 

「要塞砲を二発浴び、グングニル二発に、それにフュージョンブラスターとディスラプターの集中砲火を受けても、なおも倒れなかったというのか。 その上、人語を解して、喋っただと」

 

「喋ることは兎も角、奴のアーマーは既に限界でした。 そしてあれほどのアーマー、短時間で張り直すことは不可能でしょう。 当分は姿を見せないはずです」

 

「それはそうかも知れないが、次に現れたときの対処策がない」

 

「それよりも、気になることを言っていたわねえ」

 

不意に、三島が、通信に割り込んできた。

 

三島が苦手な弟が、好きなように喋らせる。

 

「神と一つになるって、要するに自分たちがどうなるか、分かっているという事よね、あのデカブツ」

 

「そう見て間違いないだろう」

 

「なるほど、それで知能があるのに、こんな事を続けていることの納得がいったわ。 彼奴らにとって、進化を続けて、フォリナ現状打開派の肉体になる事は、一種の宗教と言う訳よ」

 

そうなると、其処を崩すのも難しいか。

 

知性がある生物だったら、説得してどうにか出来る可能性もあると、考えている学者もいた。

 

しかし敵が一種の宗教に基づいて動いているとなると、難しい。

 

その上連中の宗教は、ある意味正しいのだ。この銀河系において最も神に近しい存在と、融合できる。

 

その事実に代わりは無いのである。

 

家畜は人間に飼われて繁栄する路を選んだが、巨大生物もそれと同じ。其処を理論で崩すのは、不可能に近い。

 

三島が日高司令に、次にグレーターワイルドドラゴンが現れたときの対策については、自分が考えると言っている。まあ、それについてはどうにかしてはくれるだろう。三島は頭がいかれてはいるが、技術力には定評がある。

 

とにかく、戦いは終わった。

 

損害を確認。

 

私はキャリバンの中で、休みながら、バイザーに流れる情報を、漠然と見ていた。

 

悲鳴が聞こえる。三川の声だ。

 

「筅ちゃんが!」

 

ベガルタから、筅が引っ張り出される。

 

コックピットが超高温になっていたとかで、ぐったりしていた。AXが試作機である故の事故だ。先ほどの攻撃を受けた際の影響だろう。

 

筅はぐったりしているが、意識はある。キャリバンに運び込んで、民間の協力者に手当を任せる。

 

命に別状はないと確認は出来たが、あまりのんびりも出来ないだろう。

 

ギガンテスは半壊状態。

 

ビークル類は、どれも少なからず傷ついていた。

 

ヒドラに迎えに来て貰い、後は空路で戻る事にする。夜になると、巨大生物が行動を止めるのは、前から代わらない。

 

ヒドラで帰路につく途中、凶報が入る。

 

戦術士官は、淡々と状況を読み上げた。

 

「太平洋上で、第八艦隊がブレインと交戦。 ブレインはアースイーターを大量に呼び出し、結果五千を超える攻撃機が出現、途中から海上移動可能なヘクトルの部隊も加勢した模様です。 第八艦隊は善戦しましたが、戦闘を継続できなくなり、壊滅的な打撃を受け撤退。 旗艦は撃沈、司令官は戦死。 参戦したX3改は殿軍として残り、通信が途絶しています」

 

第八艦隊は、継戦能力を残していた三つの艦隊の内一つ。

 

それが壊滅的な打撃を受けたという事は。

 

一層、EDFの受けた損害が、深刻になったことを意味している。

 

第八艦隊の残存戦力は、かろうじて秩序を保ちながら、此方に向かっているという。戦闘のデータを此方に引き渡すこと。

 

それに、合流して反撃することが目的だろう。

 

ブレインを一度逃してしまったことは、そう考えると本当に痛い。

 

今は、ただやるべき事を、一つずつこなしていくことしか出来ないのが、とてつもなく口惜しかった。

 

 

 

太平洋上で、第八艦隊の残存戦力と合流した第五艦隊が、東京基地に戻ってきたのは。巨大ドラゴンとストームチームが交戦してから、三日後のことだった。

 

第八艦隊は、開戦時に四十三隻の戦力を有していたが。戦闘終了後には、十七隻にまで撃ち減らされていた。旗艦である大型強襲揚陸艦ブルーオアシスは事前情報通り撃沈を確認。艦隊司令官であるハドゥン中将も、旗艦と運命をともにしていた。

 

空母エイブラハムが無事なのは僥倖。

 

艦載機も、まだ三十機ほどが無事だ。

 

しかし、戦力が大幅に失われたのも事実。殆どの艦は即時での戦闘が不可能で、ドッグでの大規模修理が必要になるという。

 

そして最悪なことに。

 

X3改および、ストライクフォースライトニングの消息は、掴めていない。

 

最後尾に残って撤退を支援した戦艦ハリウッドの乗員によると、X3改は敵攻撃機を撃墜しながら、北米の方へ逃れたという。

 

今、北米は通信が一切出来ない状況だ。

 

其方で上手く身を隠し、機体の修復に当たってくれていることを祈るほかないだろう。

 

ストームチームの方でも、東京基地近郊の巨大生物を撃破して廻っていたが。

 

連日のように、戦闘の負荷が上がっている。

 

敵の数が、露骨に増えてきているのだ。

 

極東中の巨大生物が、東京に集まってきているとみて良い。勿論ヘクトルやディロイも、姿を見せるようになってきている。

 

六回の小規模戦闘を経て、基地に戻った私は。

 

デスピナ艦長でもある第五艦隊司令官に会うべく、東京基地のドッグへと向かった。弟には、会議に出て貰う。私は元々デスピナ艦長とも友人だし、情報を集めて欲しいと弟に言われたのだ。

 

案の定、ドッグは修羅場になっていた。

 

第五艦隊は海上に停泊して。

 

ドッグの機能全てが、第八艦隊の残存戦力の修復に当たっている。

 

働いているのは、殆どがパワードスーツを身につけた、民間の協力者だ。いずれもが、シェルターで協力者を仰いだ結果、集まった人員だろう。幸い、現状で専門技術はあまり必要ない。

 

パワードスーツの操作も、技術的な話も。

 

バイザーがだいたい情報を表示してくれるので、その通りにやっていけば良いのである。

 

空母エイブラハムは、かなり手酷くやられていた。これは本来は一月は修理に掛かる損害だが。今は非常時だ。

 

可能な限り早く、無理矢理にでも動かせるようにするのだろう。

 

駆逐艦やフリゲートも、酷く傷ついている。

 

一部の艦船は、いわゆる共食い装備に用いる様子だ。既に陸上にあげられ、解体作業が始まっている。

 

デスピナ艦長は、ドッグの一角にいた。

 

私が姿を見せると、少しだけ嬉しそうにする。ここのところ支援任務ばかりで、華々しく戦えないと嘆いていたから。少しでも鬱憤が解消できる話し相手が来れば、それはそれで嬉しいものらしい。

 

「第八艦隊の生き残りに、話が聞きたい」

 

「大体の話は、私が聞いているが」

 

「そうか」

 

話の流れについては、既に聞いている。

 

太平洋上に出現したブレインに対し、まずはX3改で攻撃を実施。隙を突いて、少し離れた場所に展開した第八艦隊が、一斉攻撃を敢行したという。

 

しかし、である。

 

一個艦隊の火力を浴びても、ブレインは墜ちなかった。

 

勿論。此方で送ったデータに基づいて、冠状構造に対する攻撃を実施したのだ。艦砲による精密射撃も行った。

 

しかしその殆ど全てが、アースイーターに防がれた。

 

アースイーターを叩きながらの攻撃も行い、何発か命中弾も入れたという。しかし、ブレインを落とすには到らなかった。

 

X3改の主砲が、一度弱点部分を直撃している。

 

それでも墜ちなかったのである。どれだけブレインが頑強か、それがはっきり思い知らされた形になる。

 

そうこうするうちに、アースイーターから際限なく出撃してくる攻撃機と、設置されている大砲による射撃が、第八艦隊を消耗させていった。最終的に、旗艦が撃沈されたのを切っ掛けに、撤退が決まった。

 

これらの情報については、既に受け取っている。

 

だが私としては、それ以外に何か有用なものがないか、知りたいのである。

 

「そうか。 それだけ勝利への意気込みが強いのだな」

 

「それもある」

 

ブレインが何を考えているかは、この間の邂逅でよく分かった。

 

そしてその思考は、フォリナ現状打開派と、殆ど一致しているとみて良いだろう。だから、それについてはもう良い。次に話しても、多分相手の考えを変えさせることは出来ないと思うし、何より互いに正義があると分かっただけだからだ。

 

だが、それ以上に。

 

ブレインはどういうわけか、隙のようなものを多く見せている気がするのだ。

 

「此方だ。 来て欲しい」

 

艦長に案内されたのは。

 

湾岸地区にある病院だ。

 

東京基地は敷地面積が広く、その中に幾つか病院がある。いずれもが地下シェルターにつながっている状況だが。現在は、手軽に診察が受けられる休息用カプセルが出回っている事もあり、病院に入っているのは傷病軍人が殆どである。

 

一室に案内される。

 

非常に筋肉質な、男臭い軍人が、ベッドに横になっていた。頭に包帯を巻いている。

 

「戦艦ハリウッドの艦長、ジョナサン=バーター准将だ。 准将、こちら、嵐はじめ特務中佐」

 

「おお、名高いストームチームの勝利の女神か」

 

「そんな風に私は呼ばれているのか」

 

「この男がそう呼んでいるのだろう。 私は聞いたことがない」

 

苦笑しながら、デスピナ艦長が、席を外してくれる。

 

軽く話した後、ベッドの脇に椅子を準備して貰い、其処に座る。筋肉質な大男であるにも関わらず。男は私のファンだとか言うので、辟易してしまった。

 

「是非サインをくれ」

 

「貴殿と私は、階級が同格だろう」

 

「それでもくれ」

 

「分かった分かった。 それでは、引き替えに。 先のブレイン戦での話を、可能な限り聞かせて欲しい」

 

交換条件としては、これで妥当だろうか。

 

ジョナサンは頷くと、何でも話すと言ってくれた。

 

順番に、聞いていく。

 

戦闘の経緯について、流石に戦艦の艦長だ。主力となって攻撃を行っていただけあって、詳しく知っている。

 

ただし、デスピナ艦長もプロだ。

 

目新しい情報は、これといって出てこない。それだけ、しっかり聴取が行われたという事である。

 

だが、一つだけ、気になることがあった。

 

「X3改の主砲が命中した直後だが、一瞬だけ全ての敵が動きを止めたように見えたな」

 

「冠状構造にか」

 

「そうだ。 それにこれは私見だが、君達との戦闘でついたダメージは、回復していないようにも思えた」

 

「……なるほど」

 

データを確認する。

 

確かに交戦開始時から、傷はそのまま残っているし。それが戦闘中、修復しているようには見えない。

 

ひょっとすると、これは。

 

ブレインの装甲はあまりにも強力すぎるため、修復が不可能なのか。

 

しかし、敵は無数のアースイーターを召喚し続ける事が出来る。恐らくは地球の大気圏外に展開しているものを、次々に呼び寄せているだけだろうが。それでも、その攻防に関する能力は圧倒的だ。

 

どうすれば、崩せる。

 

ジョナサン艦長と握手をした後、ドッグを離れ、歩きながら三島と通信回線を開く。三島はかなり忙しいようだったが。私の通信であればと、すぐに受けてくれた。

 

「何か分かったことがある?」

 

「データを送る。 解析を進めてくれ。 欧州にも廻して欲しい」

 

「難しいけれど、どうにかするわ」

 

「頼むぞ」

 

第八艦隊は、文字通り命を賭けて、敵の情報を集めてくれた。

 

無駄には出来ない。

 

この情報は、文字通り地獄に垂らされた一筋の糸だ。カンダタのように、無為に切ってしまうようなことを、してはならなかった。

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