地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
圧倒的物量を相手にする名物ミッション「烈火」。そして「灼熱」。
本作でも当然扱います。
文字通り人類の戦力を絞り尽くしに来るフォーリナー。
迎え撃つ戦力は、東京に集結しストームチームとともに戦う生き残りの僅かな戦士達です。
序、切られる戦端
膨大な数の巨大生物がひしめいている。
ありとあらゆる種類がいて。その全てが、こう考えている。戦いを好む種族がいて良かったと。
相手が同意した上で。
戦う事が出来る。
データを取ることが出来る。
そして昇華した体は、やがて神と一つになる。おお、それはなんと幸運なことなのだろう。相手も戦いを喜び、自分たちも神へと近づいていくのだ。
だから、早く早く早く。
自分たちと戦え。
私は東京基地の外壁から、敵のおぞましいほどの大軍勢を見下ろしながら、その声を聞いていた。
「姉貴、此処にいたか」
弟が上がってくる。
外にいる敵は、まだ壁から一定距離を置いて、じっと待っている状態だ。欧州の戦況が分からないうちは、手を出すなと日高司令にも言われている。
というよりも、出来るだけ手は出すなとも。
まだビークル類の大半が修理中で、それは主力となっているプロテウスやホエールでも例外ではないのだ。
「何か進展が」
「欧州からの通信が途絶えた。 少し前の情報を解析する限り、どうやらドイツ上空のブレインに仕掛けて、それ以降のようだな。 以降のことを話し合う。 作戦会議に出てくれるか」
「そうか……」
生き延びてくれていると信じたいが。
極東もこの状況。
そして欧州が陥落したとなると。嬉々として、ブレインが此方に来ることだろう。撃墜する最大のチャンス。
オメガチームが、簡単に破れるはずがない。
必ず手傷を負わせているはずだ。
促されて、外壁を降りる。外には蜂やドラゴンもいる。迂闊に仕掛けると、対空能力が著しく減殺されている現状、一気に東京基地は潰されかねない。
地下にある司令部に出向く。
顔が土気色をした日高司令が、腕組みをしたまま待っていた。
ジョンソンはもうとっくに来ていて、テーブルの一角に座っている。日高司令は、すっかり精気が失せた目で言う。
「来たか……」
「作戦については」
「君達に、一任する」
「総司令官がそれではいけません」
弟が言うが。
日高司令は、もはやこれ以上、戦い続ける勇気が残っていないようだった。いや、それはない。
少し、ストレスでおかしくなっているだけだ。
欧州からの通信が途絶したことが原因だろう。これでもはや極東しか、EDFのまとまった戦力はない。
欧州にいた第十六艦隊も、どうしているか分からない状況だ。
この状況で、平静でいられる私や弟の方が、むしろどうかしているのだろう。
他の指揮官達も、皆青ざめていた。
日高司令は立ち上がると、頭を振る。
「もはや、手など何も無い。 あの膨大な軍勢を相手に戦うのは、怖くは無いのかね」
「前大戦では、もっと絶望的な状況だったではありませんか」
「……」
「少しお休みを」
頷くと、日高司令は少しおぼつかない足取りで、会議室を出て行った。
咳払いすると、三島がしらけた様子で言う。
「それで、何か妙案は?」
「あるにはある」
「聞かせてくれるかしら」
「現在、この周辺は、我々にとっては全てが基地と同じだ。 それを最大限に利用する」
しばらく理解できないでいたようだが。
やがて三島は、頭を振る。
正気と聞かれたので、頷いた。
弟が具体案を示す。
私も少し驚いた。此処まで大胆な策に出てくるとは、思わなかったからだ。
「機動戦そのものは、我々だけで行う」
「尋常じゃなく厳しい作戦よ。 それに」
「危険は承知の上だ。 東京基地から急いで指示も出して欲しい。 他に名案があるなら提案してくれ」
誰も、挙手はしない。
弟だって、こんな危険な作戦、絶対に採りたくは無いだろう。だが、もう他に手がないのである。
「やろう。 他に妙案がないなら、やるしかない」
そう言ってくれたのは、親城准将だ。
もう数名しか残っていない極東地区幹部は。皆、顔を見合わせるばかりであった。
作戦内容が内容なので、実行までは少し時間も掛かる。実務面は、親城准将をはじめとする何名かが動いてくれた。
日高司令はその間に、カプセルで休んできた。
日高司令が戻ってきたとき、会議室に残っていたのは、私と弟、ジョンソンだけ。親城准将をはじめとする数名は、実務のために。
他の面々はなんやかやの理由を付けて、会議室を出て行った。
今更逃げようとしても、逃げられる場所なんてありはしないのに。
相手に言葉が通じることは分かったが。降伏など受け入れてはくれないことは、既に確定済みなのだ。
戻ってきた日高司令に、状況を説明。
作戦の内容を聞いて、流石に日高司令も顔を青ざめさせたが。他に方法も無い以上、これでやっていくしかない。
「君達なら問題は無いと思うが。 くれぐれも、気をつけてくれ」
「はい。 ただ、全面的なバックアップをお願いいたします」
「それは任せて欲しい。 作戦の内容が内容だから、プロテウスは使えないな」
「プロテウスは基地の守りに。 基地への攻撃は、此方で可能な限り緩和しますが、それでも敵が押し寄せるのは防げないでしょうから」
頷くと、日高司令も、会議室を出てくる。
三島が通信を入れてきた。
「データを送るわ」
「作戦を開始できそうなのは、どれくらい後だ」
「補強工事なんかを今急ピッチでやっているから、その後になるわね。 第五艦隊との連携については、貴方たちがやってよ」
「それは大丈夫だ」
弟が立ち上がる。
そして、弟に促されたので、会議室を一緒に出た。
棟を出た後、ヒドラの前に、ストームチームの面々が集められる。ヒドラの中は空っぽ。中の人員は基地の工廠や病院、他の手が足りない場所に、全員が出向いている。専用機となっていたこのヒドラも、激戦に次ぐ激戦でぼろぼろだ。
整列した皆に、作戦内容を通達。
涼川は非常に楽しそうにしていたが。
後、日高中尉もわくわくを抑えきれない様子だったが。
他の面々は、皆苛烈すぎる作戦内容に、青ざめていた。
「分かっているだろうが、この作戦では、一歩のミスも許されない。 故に前線での戦闘は、ストームチームだけで行う」
「本当に、大丈夫、なのですか」
「理論上はな。 東京基地の全面バックアップもある。 だが、良くても三日三晩連続での戦闘になる。 物資については豊富に用意してくれているから、問題は無いが。 踏みとどまらなければならない場面がかなりある。 各自、気をつけてくれ」
一度解散となった。
何度か、基地の外で大きな音。
小競り合いがあったのだろう。本格的な戦闘には発展しなかったようだし、放っておく。極東最大の規模を誇った東京基地も、既に人もまばらだ。地下の工場はラインが焼け付きそうなペースで作業をしているが、それでも何もかも、時間が足りなさすぎるのだ。
翌日、ストームチームのビークル類は全て修復が完了。
また、それ以外のチームにも、ようやくロールアウトしたベガルタファイアロードとバスターロードが支給されはじめたようだ。ただし、現状では、とても大量生産などは不可能だが。
それでも、ファイアロードの制圧力は貴重だし。
スペックを見る限り、バスターロードの火力は、ディロイ数機と互角に渡り合えるほどのものだ。
ただ、人員が足りない。
シェルター地下に移された強化クローンの生産設備からも、あまり多くの補充人員が上がって来ていない。
何しろ、現在東京基地地下のシェルターには、百万を超える民間人が収容されているのだ。
彼らの保護と管理だけで、精一杯なのである。戦闘要員を最大のペースで生産するなんて事は難しい。
今回は、基地での戦闘という地の利があるが。
それでも、果たしてやりきれるかどうか。
寮でぼんやりしていると、弟がひょいと部屋を覗き込んできた。
「姉貴、来て欲しい」
「どうした」
「準備が整った。 戦いの方じゃなくて、その後のな」
腰を上げて、バイザーを手に取る。
内容を確認する。
なるほど、準備してくれたのは、恐らくは三島だろう。忙しい中、手を割いて良くやってくれたものだ。
これで、後は戦うだけだ。
もう失うものはない。
後ろには決して有能とは言いがたい味方。
前には、考えるのも馬鹿馬鹿しいほどの敵戦力が、手ぐすねを引いて待っている。
文字通り天文学的な数の巨大生物による絶対的包囲網。
地下に潜む市民を守るためにも。
もはやこの最後の砦を、EDFは守るしかありません。