地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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破壊されても際限なく増援を呼ぶアースイーター。

それこそ、マザーシップが際限なく現れるような状況です。

それでも、東京基地に篭もった戦士達は。

最後まで諦めません。

戦士達だけでは無く、民間人も。


1、激戦の中で

病院の中も、地獄絵図だ。

 

運び込まれてくる負傷者。

 

軽傷者には応急処置だけ済ませて、すぐに戦場に送り出さなければならない。私、ヤソコは。

 

殺気だって走り回る看護師達の間を抜けながら。促されて、医師の所に出向いていた。PTSDを押さえ込む方法があると言うのだ。

 

今でも、軍服を着ているだけでも怖いのに。

 

敵を見たら、小便を漏らしてしまいそうなのに。

 

「重傷者!」

 

「培養槽の準備急げ!」

 

「上は激戦が続いてる! 軽傷者は、すぐに手当をして出せ! 重傷者は生命維持だけしたら後回しだ!」

 

怒号が飛び交う中、診察室に。

 

冷酷そうな目をした初老の医師は。豊富な口ひげを揺らしながら、私に冷酷な宣告をした。

 

「これから戦って貰う」

 

「でも、PTSDが……」

 

「無理に直す」

 

小さな悲鳴が口の中で漏れた。

 

確かに、戦うと決めた兵士達と一緒に、シェルターを出た。怖いし、もう何もかもどうでもいいと思いながらも、どこかで手をさしのべてくれた人達が死んでいくのを見てはいられないと考えたからだ。

 

それに何より、もうシェルターの中に、居場所もないと思ったからだ。

 

だけれども。まさか、こんな乱暴な真似をするとは思わなかった。

 

結局、シェルターを出て、戦場に出向くことを決めたのは。兵助少尉という人と、後数人。

 

私と一緒に、ストームチームの手伝いをするという。つまり、最激戦区に、いきなり放り込まれるという事だ。

 

武器は、扱える。

 

体の調整も、済ませてある。これでも戦闘だけを目的に造り出されたクローン兵士だ。戦いのことだけは、何とかなる。

 

心だけがどうにもならない。

 

初老の医師は、続ける。

 

「PTSDというのはな。 恐怖の感情が、脳を圧迫している状態だ。 それを弱めてやれば良い」

 

「でも、それには確か、大きな負担が」

 

「覚悟の上だ。 負けたらみんなジェノサイド砲でドカンだ。 俺の弟もな、前大戦のニューヨーク総司令部と一緒に木っ端みじんにされた。 今は、無理をしてでも何かをしなければならないんだよ」

 

医師が看護師に用意させたのは。

 

何かの催眠装置だろうか。

 

ベッドに横にされて、お椀のような機械をかぶせられる。正直震えが止まらないけれど、医師は知ったことではないと言う様子だ。

 

強烈な刺激が、目の奧に直接叩き込まれる。

 

何度も悲鳴を上げてのけぞる。

 

しばらくして、機械が外された。全身にぐっしょり、汗を掻いていた。これは、きっと記憶を無理矢理、強烈な刺激で上書きしたのだろう。確かに恐怖は消えたけれど。凄まじい疲労感に、全身が包まれていた。

 

「行ってこい」

 

まるで野良犬でも追い払うように。

 

医師に、診察室を追い出される。いくらでも、診なければならない患者がいるからだろうけれど。

 

人間にぞんざいに扱われる事に、私は慣れていた。

 

心が、以前に比べてぐっと静かにはなったけれど。無理矢理心を直したのだから、やはり無理が出来ている様子だ。

 

バイザーを付けるときに、立ちくらみ。

 

頭が酷く痛む。

 

いや、これはひょっとすると。恐怖が、痛みに切り替わったのかも知れない。だとしたら、ずっと痛みに襲われ続けるのか。

 

それは、悲しい事だと、私は思った。

 

「治療は終わったか」

 

「イエッサ」

 

「七番地下通路に集合。 其処から地上に出て、ストームチームの指揮下に入る」

 

指揮を執るのは、兵助少尉だ。

 

戦う事を望んだ者の中で、最高位階級なのだから当然だろう。下士官に分類される少尉だけれど。

 

私は一等兵だし、他の人もあまり階級は高くない。階級が高くても、戦えない人は、みんなシェルターに残った。

 

病院を出ると、其処はもう剥き出しのコンクリのトンネル。

 

彼方此方に隔壁があって、通路がつながっている。上からは時々、凄い音がしているけれど。

 

あれはきっと、戦闘が続いているからだろう。

 

武器を渡される。

 

シェルターで抱えていたAF99に加えて、基本のスティングレイ。最新鋭のMFではないけれど、M99型だから、相当な高性能品だ。

 

「こんな高性能兵器、貰ってしまって良いんですか」

 

「私物にするわけじゃあない。 あくまで軍からの支給品だ」

 

「それはそうですけれど」

 

「どうせ長くは生きられそうにないしな。 せいぜい良い武器を渡して貰いたいって言ったら、くれたんだよ」

 

自嘲的な兵助少尉。

 

それを聞くと、他の兵士達は、みんな口をつぐんだ。

 

地下トンネルを歩く。途中、小型のジープで移動。エンジン音が、剥き出しのコンクリが延々と続くトンネルでは嫌に響く。

 

外に出たら、すぐに戦闘だと、兵助少尉は言う。

 

私はバイザーで、戦況を確認しようと思ったけれど、上手く行かない。アースイーターによる妨害だと、年配の軍人が言う。

 

年配だけど軍曹だから、多分最近軍に応募したのだろう。多分五十は超えているだろうに。しかも、強化クローンだとはとても思えない。

 

「俺は近畿の方で戦っていたんだが、アースーイーターが出てくると、通信が駄目になってな」

 

「良く生き残れたな」

 

「生き残っただと? 馬鹿を抜かせ」

 

老人が顎をしゃくる。

 

そして、見えた。顔の左半分が、ごっそりなくなった跡がある。急速医療で治したのだろうけれど。

 

これでは、きっと脳みそが露出しかねない状態だったはずだ。

 

「俺の部隊はジェノサイド砲でドカン、生き残った俺はこの有様だ。 もう、人間としては死んだも同然なんだよ。 覚悟は決めておけよ。 トンネル出た途端に、俺みたいになるかも知れないぜ」

 

「じいさん、ならなんでシェルターから出てきたんだよ」

 

「息子のかたきを取りたいんでね」

 

「……」

 

それ以上は、誰も何も言わなかった。

 

みんな今の状況だ。似たような悲惨な背景を抱えている。私だって、それくらいは分かっている。

 

隔壁を開けると、音が露骨に大きくなる。

 

もうすぐ、戦場だ。ジープから降りて、整列。もう、誰も無駄口をきかない。バイザーを付けて、調整。

 

ようやく、ストームチームと通信がつながった。

 

「天田兵助少尉以下五名、指揮下に加わります。 武装はAF99とスティングレイMF99が全員に行き渡っています」

 

「現在、アースイーターとの総力戦中。 注意せよ」

 

「イエッサ!」

 

声は渋くて落ち着いたおじさんのものだ。

 

多分ストームリーダーだろう。

 

駆け足で、トンネルを飛び出す。ストームチームとの相対位置は分かっているから、すぐに左に向き直る。

 

そして、呻いた。

 

とんでも無い密度のビームが、地上に降り注ぎ続けている。

 

こんなの、どうにか出来る訳がない。だけれど、他の人は、すぐに空に向けて、ロケットランチャーをぶっ放しはじめる。五発まで連射できる上、転送装置で弾を補充できるこのロケットランチャーは。AFシリーズのアサルトライフルと並んで、レンジャーにとっては基本装備だ。

 

スナイパーライフルが欲しい。

 

ハーキュリーとは言わないにしても、MF100くらいのものはほしい。

 

目の前で、コアが破壊される。爆裂の中、ストームチームのイプシロンが、冷静極まりない射撃。

 

ブレインに着弾するけれど。

 

すぐに射撃できる隙間は消えて。アースイーターが、穴を塞いでしまう。

 

走りながら射撃。

 

ストームチームの所まで走れ。

 

兵助少尉の指示が飛び、全員で走る。やはりお爺さんは少し遅れたけれど。ただし射撃の腕は確かで、確実にロケットランチャーで、砲台を吹き飛ばしている。私も全弾撃ち尽くすまでの間に、少しずつコツは掴んでいった。

 

前にいた一人が、吹っ飛ばされる。

 

プラズマ弾が、至近に直撃したのだ。もはやコンクリで固められた東京基地の地面さえ、穴だらけになっている。

 

アーマーはもったが、さい先が悪すぎる。私はスティングレイで砲台を破壊しながら、走る。その間もレーザーが何度か体に突き刺さった。アーマーは見る間に、削り取られていく。

 

急げ、急げ。

 

兵助少尉が促している。私は激しい爆圧に背中を叩かれながらも、走る。

 

見えてきた。グレイプがいる。負傷者を、丁度サイドドアから中に収納している様子だ。応急処置だけ、グレイプの中でやってしまうのだろう。

 

グレイプの側に飛び込むと、其処から空に向けて射撃を続ける。

 

見覚えがある人が、ひたすら空に向けてライサンダーを撃っていた。私と同じ、戦闘用強化クローンのナナコさん。

 

長大なライサンダーをよくも使いこなせているものだ。凄い。

 

声を掛けようかと思って、やめる。

 

今はそれどころじゃない。

 

よく見ると、この人だって煤だらけだ。戦闘は苛烈さを増す一方。軽く敬礼して、すぐに本格的な戦闘に入る。

 

ストームチームの皆は、桁外れに射撃も上手い。一緒に加わった人達も、みんな神業めいたストームチームメンバーの射撃を見て、目を剥いていた。

 

少しずつ、痛みが消えてくる。

 

バイザーを付けて、情報を整理しながら、戦闘続行。

 

この人達の役に立てるなら。

 

そう思うと、痛みも和らぐ。

 

 

 

地下シェルターからの増援が加わった。増援と言ってもささやかな数で、標準一チームにさえ満たない。

 

私はそれを横目で見る。増援の内一人には見覚えがあった。北海道基地から引き取って、此方に連れて来たヤソコだ。

 

ナナコが、オンリー回線を開いてくる。

 

「はじめ特務中佐、良かったと、喜ぶべきなのでしょうか。 きっとヤソコも、他の人達も、無茶な治療をして、前線に出てきたんだと思います」

 

「今は考えるな。 戦闘に集中しろ」

 

「イエッサ」

 

回線が切られる。

 

一応、位置を少しずらす。大きめが来た時に、盾で防げるように、だ。見れば強化クローンでは無い兵士も混じっている。そればかりか、中には老人までいるではないか。サポートしてやらないと、戦闘は厳しいだろう。

 

弟は、必死に戦術の練り直しをしている。

 

先ほどの総攻撃で仕留められなかったのだ。同じような状態を作るにしても、敵は簡単にはさせてくれないだろう。

 

更に、悪い通信。

 

バイザーに、戦術士官の声が飛び込んできた。

 

「第五艦隊より通信です」

 

「何だ。 問題か」

 

「マザーシップが速度を上げ、此方に接近中。 このままだと数時間以内に接触します」

 

呻く。

 

この状態で、マザーシップまで相手にしていては、勝ち目はない。すぐに本部も動き出したが、間に合うか。

 

第五艦隊は今、支援攻撃で手一杯だ。攻撃機を対空ミサイルで減らし、温存していた空軍も全て繰り出して、敵の圧力を可能な限り削り取ってくれている。これ以上第五艦隊に負担を掛けると、一気に戦線が崩壊する可能性がある。

 

「何か対抗できる戦力はないか」

 

「検索中です」

 

グレイプが、至近で。大きめの砲台からの攻撃を浴びて、中破。

 

かろうじて自走は出来る様子だが、一旦下げるしかない。飛び込んだナナコが、物資類を外に急いで出すと、操縦をオートで設定。地下トンネルへの入り口へと向かわせる。その途中でかなりの攻撃も浴びるが、何とか耐え抜いた。

 

次のグレイプは、来ないかも知れない。

 

地下の工場は焼け付きそうな勢いでラインを動かして、兵器も弾薬も作成してくれている。

 

グレイプを修理する暇があったら、弾薬を作るのが、今の優先事項だ。

 

バトルキャノンで、手近な砲台を掃討完了。

 

弟もそれを悟り、一斉射撃の体勢に入る。ヤソコ達に、バイザーを通じて指示も出していた。

 

全員で射撃して、コアを粉砕。

 

爆散したアースイーター。その隙間を縫って、ブレインにうち込む。ダメージは、確実に蓄積している。それが見える。

 

しかし、ブレインは、まるで攻撃の手を休めない。

 

「検索完了。 ノートゥングが、軌道上に。 丁度マザーシップの侵攻路上空に停泊しています」

 

「まだノートゥングが無事なのか!」

 

「しかし、ノートゥングは今、通信途絶状態。 中途にあるEDFの衛星がマザーシップに破壊され、連絡が出来ない状態です」

 

「どうにか出来ないのか。 ノートゥングの主砲であれば、或いはマザーシップを打ち抜けるかも知れない!」

 

私は無言のまま、三島に通信をつなぐ。

 

此奴ならどうにか出来るかと思ったが、しかし駄目だと答えが返ってくる。

 

「本部の衛星をハッキングするとなると、此処のスパコンじゃ力不足よ。 ましてや中継衛星も潰されているとなるとね」

 

「万事休すか」

 

「! ノートゥング起動!」

 

三島の言葉を否定するように。戦術士官の声が興奮を帯びる。普段は鉄仮面とまで揶揄される戦術士官が、こんなに声に興奮を含ませているのは、はじめて聞いた。

 

アースイーターが降りてくる。

 

ブレインへの射線が閉ざされた。消耗が大きくなっていく中、またやり直しだ。しかし、気付く。

 

明らかに、アースイーターの質が落ちている。

 

これはひょっとして、予備として準備していた精鋭アースイーターが、底をついたのか。フェンサースーツの中で、舌なめずり。

 

弟も、気付いたようだった。

 

「此処が踏ん張り所だ! 敵の質が落ち始めた! 各員、総攻撃を続行!」

 

「ノートゥングの出力上昇! マザーシップ、シールド展開を確認! ノートゥングの動力炉、臨界出力!」

 

「よし、今だ! 行けっ!」

 

日高司令も興奮して、おそらくデスクを叩いたのだろう。どんと音がした。オペレーターが、興奮して何か叫んでいるのが聞こえるが、聞き取れない。

 

アースイーターのハッチから、ディロイが顔を見せるが、させない。

 

私がその場でバトルキャノンを叩き込み、更にジョンソンが温存していたノヴァバスターの1丁で打ち抜く。

 

ハッチから出る事も出来ず、爆砕されるディロイ。

 

コアが一瞬で多数破砕され、再び青空が上に。

 

ブレインに、基地全体からの対空砲火が、再び叩き込まれる。無敵を誇った下部の装甲にも、ついに亀裂が走った。

 

「マザーシップのシールド、ノートゥングからの砲撃を防御! ノートゥング、炉心融解!」

 

「だめか……!?」

 

「いえ、これは」

 

遠くで、閃光が瞬くのが見えた。

 

マザーシップのシールドを、ノートゥングが沈黙するのと引き替えに貫通。そして、マザーシップを、瞬時に粉砕したのだ。

 

「マザーシップ撃破を確認! ノートゥングも爆発四散しましたが、マザーシップも消滅した模様! 付近の敵部隊も、まとめて消し飛びました!」

 

「やった! 俺たちは、俺たちは勝った! 勝ったぞー!」

 

「EDF! EDF!」

 

ブレインも、沈黙。

 

対空砲火を容赦なく叩き込まれながらも、動きを一切見せない。機能を停止したのか。しかし、嫌な予感がする。

 

そういえば此奴が連れていたというアルゴはどこに行った。

 

まさかとは思うが。

 

此奴はまだまだ、本気を全く出していないのではないのか。

 

衝撃が、基地全体に走る。

 

外壁に何かとんでもないものが直撃したのだ。基地が揺れる。そして同時に。ブレインの声が、脳裏に響く。

 

「お見事。 どうやら、あなた方の奮戦のおかげで、予想よりも遙かに早く、目標が達成できそうです」

 

「貴様……」

 

「これは投入するか迷っていたのですが、あなた方なら問題は無さそうです。 これよりアルゴも戦線に投入します。 さあ、存分に楽しんでください」

 

ブレインは言うだけ言って、通信を切る。

 

今の砲撃は、ひょっとして。

 

「スカウトより通信! 攻撃をしてきたのは、ブレインの護衛をしていたアルゴの模様!」

 

「被害は!」

 

「外壁の一部、G5エリアが破られました! 貫通です! 付近の部隊に、多大な被害が出ています!」

 

「くそ、アルゴに対抗できる戦力など残っていない! 巨大生物が外壁を越えたら、終わりだぞ!」

 

日高司令は余程興奮しているのか、まずい事をそのまま喋ってしまっている。戦術士官も、相当に慌てているのだろう。

 

弟は冷静だ。

 

無言のまま、ブレインへの砲撃を続けている。

 

秀爺も。

 

しかし、周囲が影に閉ざされる。何かが、来る。

 

「何だアレ……!」

 

矢島が、うめき声を上げた。

 

私も、バトルキャノンをブレインに叩き込んでから。それを見て、愕然とした。

 

アースイーターが降りてくる。

 

それも、先ほどまでとは、武装密度がまるで違う。先まで戦っていたアースイーターも、相当に強力な武装をしていたが。これは根本的に別物だ。今まで見たことが無い、超大型の砲台も多数装備されている。

 

愕然とするストームチーム。

 

また、アルゴからの砲撃。外壁が吹っ飛ばされたのだろう。基地が激しく揺れる。へたり込むヤソコの腕を取る。

 

かくいう私も、一瞬動きを止めてしまったが。

 

まだ、体は五体満足。弾もある。

 

戦いを止める理由には、ならない。

 

「今まで、何処の戦域でも確認されていないアースイーターです! 武装も全くデータにありません!」

 

「先ほどまでとも更に格が違うアースイーターか! ブレインを守る最終親衛隊とでもいうのか!」

 

「もうやだ! もう無理!」

 

「此方ストームリーダー、聞いて欲しい」

 

不意に。

 

恐怖に彩られる通信に。弟が、冷静極まりない声で、冷や水をぶっかけた。しんとなる通信。

 

弟は、ライサンダーで大型の砲台を一つ打ち抜きながら、言う。

 

「あのようなアースイーターが、そう多くあるとも思えない。 敵は本気になったが、つまりそれだけ追い詰められているという事だ。 外壁は破られたが、まだ巨大生物に侵入は許していない。 我々はまだ、負けていない」

 

空気が、張り詰める。

 

そうだ。あれさえ叩き潰せば。

 

兵士達が、上空へ攻撃開始。親衛隊アースイーターの火力は圧倒的だ。しかし、味方も完全に覚悟を決めた。

 

壮絶な殴り合いが始まる。

 

「……試作型プロテウスを出せ」

 

「まだ、調整中ですが」

 

「かまわん。 私が操縦する」

 

「ならば私が砲手を務めようか」

 

これはエッケマルクの声か。

 

なるほど、どちらもプロテウスの操縦には慣れている。破られた外壁は二カ所。まだ巨大生物は攻撃してきていないが、プロテウスがいれば、或いは。

 

更に、通信が入る。

 

「アルゴは、此方に任せて貰おうか」

 

この声は。

 

少し通信が遠いが、間違いない。生きていてくれたのか。

 

「これより機動要塞X3改、戦線に突入する! 東京基地に攻撃を行うアルゴを叩き潰し、ブレイン撃破に弾みを付ける!」

 

ストライクフォースライトニング隊長、エルム。

 

前大戦では最後まで決戦には間に合わなかった。だが、今回は間に合ってくれたか。そして地上での戦闘を想定したX4ではなく、空中での戦闘を主眼に置いたX3改であれば、アルゴとも互角以上に渡り合えるかも知れない。

 

「生きていてくれたか、ストライクフォースライトニング!」

 

「危ないところだったが、どうにか戦線を離脱できたのだ。 九州の福岡基地で補給を受けて、直接此処に来た。 君達を嫌っている基地司令官から、伝言だ。 これでこの間の借りは返したからな、だそうだ」

 

「ストームチーム、何のことだ」

 

「奴は正直では無い。 という事ですよ」

 

嵐のように降り注ぎはじめる、親衛隊アースイーターからの砲撃。

 

生き残っている攻撃機も、容赦のない砲撃支援をはじめる。だが、もはや怖れる事はない。

 

アルゴは押さえ込んだ。

 

そして、破損した外壁にも、命を賭けた日高司令とエッケマルクが、立ちふさがってくれている。

 

不安要素は、消えたのだ。

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