地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
総司令部を潰したに等しいフォーリナーの強大な戦艦です。
それに立ち向かうは。
ストームチームに並び称される精鋭部隊。
ストライクフォースライトニング。
機動要塞X3は、元々マザーシップとの戦闘を主眼に構築された、大型飛行兵器である。前大戦ではマザーシップに刃が立たなかったが、改良と改造を加え、現在ではマザーシップとの直接戦闘が出来るまでではないにしても、四足歩行要塞を叩き潰すくらいの実力は有している。
ましてやX3改は。
北米最強のストライクフォースライトニングの旗艦としてチューンが加えられ、数多の敵を葬ってきた。
第八艦隊とともにブレインを攻撃した際には、敵を倒しきれず、撤退する事になったが。それ以外で、敵に負けたことは一度もない。
最強のスタッフが乗り込んだ、最強の戦艦。
それがX3改なのだ。
「アルゴ確認! 市谷上空にて、主砲をEDF東京基地に向けています!」
「まずは挨拶代わりだ。 ぶち込んでやれ!」
「イエッサ!」
エルムは、武者震いをした。アルゴとの交戦記録は、EDFの中でもそれほど多くは無い。
ストームチームが二機を葬っているが、その際にも多大な被害を出している。他には、北米での一機撃破記録があるが、これはゲリラ戦で長い時間を掛けてダメージを与え、大きな被害を出しながら倒したものだ。
だが、今回は違う。
支援もなく。
敵には支援がいくらでもある状態で、叩き潰さなければならない。
空中で砲撃態勢を取っていたアルゴが。
此方に向き直る前に、X3改の主砲が叩き込まれる。空を蹂躙し、迸ったエネルギービームが、アルゴの装甲を直撃した。
爆発が巻き起こり、此方まで衝撃波が届く。
アルゴの近くにいた敵攻撃機が、衝撃波で消し飛ぶ。だが、体勢を立て直したアルゴは、此方に向けて、対空迎撃を開始。多数の攻撃機も、向かってくる。
「敵掃射砲多数! 射撃開始!」
「攻撃機およそ500! 此方に接近しています!」
オペレータの報告は正確で、間違えようがない。
指揮シートに座ったエルムは、いつでも肉弾戦が出来るように、武装したままだ。手元にはAF100と、スティングレイMFロケットランチャー。レンジャーとしては、最高レベルの、そして基本の装備。
格納庫で待機しているチームメイト達にも、ようやく情報が共有されたベガルタファイアロードとバスターロードが間に合っている。九州基地で製造されたばかりのおろしたてだ。
まずは、アルゴを空中から地面へと叩き落とす。
勿論、戦艦の形態のまま、撃破してしまうのもありだろう。だが、其処まで上手く行くとは、流石に自信家のエルムでも考えてはいなかった。
「ザコには構うな! 主砲をアルゴに叩き込む!」
「イエッサ!」
敵へと距離を詰めながら、ひたすら殴り合いに興じる。
敵の掃射砲は無視。
迫り来る攻撃機のみを迎撃砲火で叩き落としながら、主砲をまた発射。極太のエネルギービームが、立ちふさがろうとする攻撃機をまとめて薙ぎ払い、アルゴに直撃。アルゴの装甲が、赤熱しているのが見えた。
マザーシップに比べて、実に脆い。
おそらく飛行ドローンや攻撃機の、究極型の兵器として作り上げたのだろう。故に、対処は出来る。火力は大きいが、防御力の貧弱さが、その根拠だ。
アルゴが主砲を放ってくる。
装甲は此方の方が脆い。しかし、アルゴの主砲はあまりにも狙いが分かり易すぎる。最高のスタッフが揃っているX3改なら、主砲の照準からあらかじめ身をそらすことは難しくない。
ただし掃射砲はどうにも出来ない。
攻撃機を叩き落としながら、更に接近。
主砲充填完了。
砲手が言うが、発射は待たせる。アルゴが、指呼の距離にまで迫る。迎撃砲火が苛烈さを増し、此方の装甲も、更に削られていく。
だが、チキンレースは慣れっこだ。
アルゴが、主砲を放ってくる。
至近を掠めた。
装甲が一気に抉られる。激しくX3改が揺動。一瞬停電。だが、エルムが慌てないから、スタッフも動揺しない。
さあ、今だ。
立ち上がり、叫ぶ。
「放て!」
「主砲発射!」
三発目の主砲が。
文字通りのゼロ距離から、アルゴを打ち抜く。
わずかな抵抗の後、アルゴの装甲を貫通。必死に舵取りをして、爆発するアルゴから、軌道をそらす。
爆発が、機体を激しく叩くが。
しかし、X3改は耐え抜いた。
喚声が上がった。
「アルゴ撃沈!」
「よし。 だが油断するな!」
嫌な予感。
歴戦をくぐり抜けてきたエルムは、どうにも落ち着かない感触を味わったとき。それを嫌な予感として判断している。
回避運動の準備。
叫ぶと、スタッフがすぐに頭を切り換え、準備に取りかかる。
「右舷後方より、強力なエネルギー反応!」
「回避だ!」
強力なエネルギービームが、機体を掠める。
エンジンの一つが爆裂し、沈黙。舌打ちしたエルムは、敵の存在を確認させた。
地上。
人型形態になったアルゴが、対空砲撃をしてきたのだ。一機だけではなく、二機来ていたというのか。
これは、好機だ。
此奴を潰せば、ストームチームに戦果が並ぶ。それに、敵がこれだけの戦力を投入しているという事は。叩き潰してしまえば、ストームチームの負担も、ぐっと減ることになる。それだけ恩が売れるという事だ。
「高度を下げながら、アルゴに集中攻撃! 旋回して、攻撃開始だ!」
「イエッサ!」
まだ、エネルギーも主砲ももつ。
今のでエンジンを一つやられたが、それくらいはどうと言うことも無い。このX3改は、何度も何度も撃墜されかけながらも。圧倒的な敵との戦闘で生き残り続けた、不沈艦なのだ。
泥臭く戦うのが、北米のEDF。
それはカーキソンが総司令官になったときからそうで。その時以降、ずっと続いている伝統だ。
また多数の攻撃機が纏わり付いてくる。
アルゴへ一直線に進みながら、攻撃機を叩き落とす。しかし、今度は少しばかり、数が多すぎる。
主砲を放つ。
人型アルゴに直撃。巨体を揺らがせるが、まだ撃沈には到らない。
「アーマー損傷率増加! まもなく、イエローゾーンを越えます!」
「カトンボどもが……!」
「隊長、空中の敵は、X3改に任せよう」
不意に、通信が来る。
エルムを入れて、四名だけの実戦スタッフ。その一人からだ。
「ふむ、だが下は敵の海だぞ」
「ファイアロードが三機いる。 俺たちで隊長を護衛する」
「だから、気にしなくていいわよん」
「そう言うことだ」
バスターロードの火力で、アルゴを叩き潰し。
空中の敵戦力は、X3改で、全力で押さえ込む。なるほど、それも確かに手だ。
「ベガルタに乗って出る」
「正気ですか、エルム准将!」
「大まじめだ」
副長に、指揮を任せると。
自身は、格納庫に。
其処では、長い戦いをともに歩んできた戦友達が、既に準備万端の状態で待っていた。
「背中は任せるぞ」
「イエッサ!」
声が重なる。
頷くと、エルムはパラシュートの状態を確認する。問題なし。
「エルム准将、ベガルタM3バスターロード改、出る! ハッチ開放!」
仲間達も、全員が名乗りを上げる。
そして、X3改の下部ハッチが、解放された。
空中に躍り出たベガルタ四機。
ファイアロード三機が、周囲に群がるカトンボ共を、片端から叩き落とす中。エルムは火力特化のバスターロードの操縦桿を握り。
全火力を、解放。
圧倒的な破壊の雨を、アルゴへと叩き込む。
アルゴが混乱しているのが分かる。空中にいるX3改に対応すべきなのか、パラシュートで落下してきているベガルタ四機に対応すべきなのか。
しかし、X3改が二度目の主砲を放って、アルゴの左腕主砲を粉砕したことが決め手となった。
アルゴが、X3改に、集中攻撃を開始する。
だが、それが命取りだ。
「パラシュート解除! ブースターで地上近くにて、着地衝撃を緩和する!」
パラシュートを放り捨てると、ブースターで加速。
纏わり付いてくる攻撃機共を仲間に任せ、リボルバーロケットカノンと拡散榴弾砲の火力を、悉くアルゴにのみ叩き付ける。
見る間にアルゴの負荷が上がっていくのが、目に見えて分かった。
「アルゴ、主砲を此方に向けています!」
「散開! 回避!」
ブースターを生かし、回避に掛かるが。
敵主砲の精度は高く、空中戦特化では無いベガルタでは避けきれない。
それでも、どうにかかわす。
しかし掠めたことで、一気にアーマーを持って行かれた。
舌打ち。
ロケットカノンの火力を集中し、アルゴを後ずさりさせる。下では、考えたくも無いほどの巨大生物が、此方が墜ちてくるのを待っている。だが、それでもだ。怖れる事はない。ブレインとガチンコの勝負をしているストームチームに比べれば、この程度の負荷。何でもない。
敵からの掃射砲。
更に、チームメイトが処理しきれない攻撃機からの容赦ない射撃。
何度も、バスターロードに直撃弾。
これは、もたないか。
だが、もたせる。
着地。
三機のファイアロードが、周囲の巨大生物をコンバットバーナーで薙ぎ払う中、全速力で進みながら、ロケット砲を連射連射連射。爆裂したアルゴの装甲が、軋んでいるのが此処からも見える。
X3改に通信。
「上空の攻撃機だけを倒せ。 後は此方でどうにかする!」
「ご武運を!」
アルゴが、片膝をつく。
それでも主砲で、此方を狙ってくる。
チキンレースか。
いいだろう。大好物だ。
残った火力を、全てアルゴに叩き付ける。アルゴも主砲にエネルギーを充填。全身が崩壊していく中。
それでも、主砲を向けてくる有様は、流石だ。
だが、負けてやるつもりはない。
アルゴの主砲が放たれる。砲身に、光が集まっていく。
だが、雄叫びを上げながら、エルムが放った拡散榴弾砲の弾が。アルゴの全身を打ち据え、ついに力尽きたアルゴが、その場で消し飛んだ。
衝撃波が、此処まで叩き付けられる。
呼吸を整えながら、味方の状態を確認。
全員生きているが、既に満身創痍だ。
「よし、東京基地まで下がりながら、途中のザコ共を薙ぎ払う!」
「其処で補給ですね」
「分かってるじゃないか。 補給を受けて、アーマーを張り替えたら、即座に再出撃だ!」
上空では、X3改が圧倒的な数の攻撃機に対して、反撃に出ている。
周りにはおぞましいまでの数の巨大生物。ヘクトル。ディロイ。
だが、負ける気はしない。
このチームは無敵だと、エルムは知っていた。
「アルゴ二機目、撃沈! ストライクフォースライトニングがやってくれました!」
「流石だな……。 我々も出るぞ!」
東京基地の床を割って、姿を見せる巨体。
BMX10プロテウスγ改。
プロテウスの最終強化形態。今まで、ストームチームから提供されていたベガルタファイアロードのデータをフィードバックし、全体を圧倒的なまでに強化した機体である。完成さえしていれば、この機体だけで数万の巨大生物を相手取ることさえ、想定されていたが。
残念ながら、完成までには致命的なまでに時間が足りなかった。
今の能力は、動かせることを前提にしたものだけ。だから、本来の三割程度の性能しか発揮できない。
それでも。
ないよりはまし。
指揮シートに着いた日高司令は。砲手になったエッケマルクを一瞥だけする。
壊された外壁は二カ所。
そして、報告を受けている。周囲の巨大生物が、進撃を開始していると。
一カ所の外壁は、ベガルタファイアロード三機、バスターロード三機が引き受けてくれる。
もう一カ所は。
このプロテウスで、絶対死守しなければならない。
「移動開始!」
ベガルタの倍以上ある巨体が、歩き始める。
あまり早くは無いが、外壁の外側には、多数の地雷が仕掛けられ、セントリーガンの縦深陣も構築されている。
到着には間に合うはずだ。
破壊された外壁が見えてきた。上空にいるアースイーターも攻撃してくるが、意に介さず進む。
装甲だけは、想定通りのものが積まれている。
マザーシップのジェノサイド砲にさえ耐え抜くことを想定しているのだ。多少の砲撃くらい、どうにでもなる。
外壁は酷く抉られて、周囲の防御装置も全滅している。
切れ目に入り込むと、そのまま外に。
おぞましい。
あまりにも圧倒的な数の巨大生物が、外にはいた。爆発が連鎖しているのは、地雷を踏んでいるから。
勿論気にせず、巨大生物共は進撃してくる。
「攻撃、開始!」
「攻撃開始します!」
戦術士官が、いつも通り淡々と言う。
彼女はいつも冷静だが。実際には、悲しみも苦しみもする。だが、心が壊れてしまったのだ。
前の大戦で恋人は巨大生物に食い殺され。
家族もみな、命を落とした。
自分は灰色の人間ですと、一度言われたことがある。その悲しみ、日高司令にも、よく分かる。
エッケマルクは対して陽気極まりない。
プロテウスの主力装備であるバスターカノンで、敵を攻撃開始。凄まじい大口径砲であるバスターカノンは、連射機能も有している。
爆発が巻き起こり。
一撃ごとに、巨大生物が多数消し飛んでいく。
大喜びしながら攻撃を続けるエッケマルク。だが、早くもアラート音。
「バスターカノンの温度上昇! 冷却機能が、動作していません!」
「私が見てきます!」
オペレーターが立ち上がると、はしごを上がって機関室に。舌打ちすると、エッケマルクは、今度はミサイルに切り替えた。
誘導ミサイルも、プロテウスの強力な武装だ。エメロードの極大型とでも言うべき装備で、敵を容赦なく追尾して破壊する。どのみち、蜂やドラゴンには此方の方が有効だ。ミサイルが、連射されはじめる。
オペレーターから報告。
「冷却機能のバルブが、壊れています! すぐに取り替えます!」
「急いでくれ」
「敵、上空に多数接近!」
ドラゴンの群れだ。
火球を乱射してくる。
勿論ミサイルで迎撃するが、それでもプロテウスに直撃。最強を誇るプロテウスのアーマーでも、無敵ではないし、無限でもない。
ドラゴンの群れに狙いを絞ったエッケマルクが、ミサイルを連射。
一群をわずか数分で撃滅するが、敵の数はその程度では無い。次から次へと、新手。
ついに地雷を喰い破った巨大生物の群れが、突進してくる。
冷却機能は、まだ回復しないのか。
不意に、上空。
突進してきたのは、ホエールだ。海軍からの支援機か。
地面を薙ぎ払っていくホエールの機関砲。勿論ドラゴンが食いつくが、それはエッケマルクが即応。ミサイルで狙っているドラゴンを撃ちおとし、支援を成し遂げる。ホエールが、旋回して、再びミサイルと大口径砲を連射。巨大生物を吹き飛ばした。
「支援感謝する!」
「冷却バルブ、もう少しで修理できます!」
オペレーターの声が、生き生きしている。
そういえば此奴は、確か。どちらかと言えば、工場の方で技師をしたかったとか言っていたことを聞いた。
勿論オペレータの方がより好きだったのだろう。
だが、結局の所、実際に務めてみれば、特性はなかった。だから、いつからか。技師の方に、心が傾いていたのかも知れない。
「海軍より通信! ヒドラが二機、此方に向かっています!」
「援軍か」
「はい! 通信によると、これは!」
一機は、東南アジアのチーム。
東南アジアでは、ストームチームが各地で転戦。大きな戦果を上げ、現地のチームを随分と救助した。
その救助されたチームが中心となって。
今、援軍となっている、ということか。
そしてもう一機は。
各地の残存戦力を経由して、補給をしながら、はるばる欧州から来てくれた。
実に心強い。
「オメガチームです!」
「無事でいてくれたか」
「此方第五艦隊。 空軍を出し、ヒドラを護衛する! 君達の元へ、必ず無傷で届けさせる!」
「頼むぞ!」
バルブ交換が終わったと、オペレータの声。
バスターカノンを連射しはじめるエッケマルク。巨大生物が一機に押し戻されていく。勿論反撃してくるが、プロテウスは鉄の巨神。まだまだ、屈しない。屈してはならないのである。
いくらでも来い。
それで、ストームチームの負担を減らせるなら。
私は鬼となって、此処に立ちふさがってやる。
ヘクトルとディロイが多数、迫ってきているのが見える。だが、このプロテウスγなら。
地雷はもう全て、巨大生物に駆逐された。だから、問題ない。
プロテウスは前進を開始。
東京基地には。
巨大生物を、近づけさせない。