地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
それでも容赦の無い攻撃を繰り出し続けるアースイーター。
最後に駆けつけるのは。
ともに各地を駆けた仲間達でした。
序、滅び呼ぶもの
立ち上がる。
何度目のことだろうか。至近に着弾した敵の稲妻状のビームが、辺りを吹き飛ばした。もう、アーマーは全損。
フェンサースーツも、殆ど崩壊状態。
全身も、ズタズタ。
それでも、どうしてだろう。私は、立ち上がる。
お前は、戦うために作られた。
多くの兄弟姉妹の屍の上で、私は弟と、それを聞かされた。いや、勿論そんな事はなかったのだろうけれど。
起きた出来事は、間違いなくそれだ。
見上げる。
まだまだ、無数に浮かぶ最終攻撃アースイーター。
禍々しい内臓を思わせる、六角柱の巨大飛行物体。下部にある口から稲妻状のビームを放ち。
もはや崩壊状態にあるブレインを、守ろうとさえしていない。
「姉貴!」
声がする。弟だ。
バイザーがもう壊れてしまっていて、直接会話するしかない。
「何とか生きている」
「そうか。 もう俺にも、周囲に構う余裕が無い。 何とか、生き延びてくれ。 頼むぞ」
「そうだな」
周囲は。
ジョンソンは先ほどエミリーを庇って、その結果大けがをし、今は倒れている。血だまりが出来ていて、バイザーが死んでいる現状、生きているかどうかも分からない。
その助けられたエミリーは三川と一緒に、近くのまだ倒壊していない倉庫の影に。腹を押さえているのは、相当な傷を受けたからだろう。
原田と涼川は。
涼川は、キャリバンに寄りかかったまま、動かない。生きてはいるようだが、もう戦える状態にない。
もっとも激しく戦い、敵を殺しまくったのだ。これ以上の体の酷使は無理だろう。
原田は。
見回すが、いない。キャリバンも大破しているし、酷い有様だ。多分その辺りに倒れてはいるのだろう。
ベガルタAXはまだ戦っている。
その側には、池口とナナコ。ヤソコもまだ無事。
日高中尉は。
近くの倉庫の上で、射撃を続けている。まだまだ戦える様子だ。若いというのは、羨ましい事だ。
多分彼奴は、涼川の後継者になる。
弟は。
まるで不死身の魔神のように立ち尽くし、二丁のライサンダーで、交互に射撃を続けている。
近づくアースイーターを破壊し。
ブレインに射撃し。
涼川の予言は当たったなと、私は自嘲する。もうすぐ、戦えるのは、弟だけになりそうだ。
フェンサースーツを捨てる。
倒れているジョンソンの側へと歩く。全身が酷くいたい。回復能力が追いつかないほどのダメージを受けているのだ。
ジョンソンが呻いた。
ジョンソンを引きずっていく。相当な長身だから重いけれど、このままにしておいたら死んでしまうだろう。
「放っておけ……」
「そうはいかない。 お前には、後でやって貰いたい事があるからな。 恩の一つは明確に売っておきたい」
「……? 良く、分からないが」
トンネルの入り口。
この辺りの散々砲撃されていて、滅茶苦茶な有様だ。数名のレンジャーがまだ立てこもって、戦っているが。彼らも満身創痍。それだけアースイーターからの攻撃が凄まじいのである。
原田がいた。
「ジョンソンを頼む」
「はじめ特務中佐は」
「弟一人を戦わせてはおけないんでな」
見ると、ジープも中破してしまっている。あれでは、病院までジョンソンを運べるかどうか。
とにかく、負傷者を任せると。
私は、アースイーターへと向き直る。武器は、まだある。
ジョンソンが使っていたハーキュリーだ。全身が酷く痛む。アーマーもやられている今、もはや一撃喰らっただけで、即死である。
それでも、まだ戦う。
射撃。
最終攻撃アースイーターは脆い。ハーキュリーでも、かなりの打撃を与える事が出来る。元々傷ついていたアースイーターが、爆散。
二射目。
同じようにして、傷ついていたアースイーターを屠る。
側にいたレンジャー達が、勇気づけられたようで、射撃を続行。呼吸を整えながら、フェンサースーツの予備が欲しいと思った。
地下から来るのは、キャリバンのサイレン。
まだ、無事な機体がいたのか。
もう一射。
今度はかなり大きいアースイーターという事もあって、落とせない。最終攻撃アースイーターは大きさもまちまちで、脆いと言ってもハーキュリーでは簡単には墜ちてこない。狙いを付けて、もう一度。
大きな傷がつき、縦横に罅。
もう一撃くらいで墜ちるか。しかし、である。
振り返る。
レンジャー達が、息を呑んだのが分かった。
至近にドラゴン。どうやら、第五艦隊の作ってくれている防御網を抜けて、ここまで来た個体らしい。
噛みついてくる。
狙いは、私だ。
アーマーがない今、もはや助かるすべは無い。しかも、ハーキュリーは、今丁度撃った所なのだ。
死んだな。
冷静にそう考えた瞬間である。
キャリバンが、ドラゴンの横っ腹に突っ込んでいた。
そのまま、ドラゴンを押しながら、近くの建物にまで突進する。私はハーキュリーの引き金を引いて、抵抗するドラゴンの頭を打ち抜いていた。
だが、ドラゴンも、最後のあがきに、火球を放ってくる。
吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられた。
意識が飛びかける。
だが、キャリバンのサイドドアを開けて、此方に来る奴を見て。少し驚いていた。
柊だ。
重そうに運んでいるのは、トランクケース。いや、アレはおそらく、予備のフェンサースーツだろう。
「特務中佐、無事では無さそうですね」
「……どういう、風の、吹き回しだ」
「貴方たちが負けたら、もう取材も出来なくなる。 どうやらかなり危ないみたいですし、私にも出来る事をしただけです」
キャリバンがバックしてくる。
民間スタッフが出てきて、私を収容。アーマーを吹き付けるが、かなり量が少ない。これはもう、殆ど在庫がないのだろう。生きているEDF戦士は多くないし、何より病院も満員。
それだけ戦闘が激しく行われ。
在庫として蓄えられていたアーマーも、消耗したという事だ。
怪我は酷いと言われたが。
まだ動けるし、治療は拒否。
フェンサースーツを纏う。武装は、先ほど捨てたところにまだある。だから、スーツを着るだけでいい。
バイザーもフェンサースーツに付帯しているから、これで通信もまた出来るようになった。
徹底的に痛めつけられている体そのものは、どうしようもないが。
「無茶です! もうストームリーダーと、健在なメンバーに任せなさい!」
「私は、彼奴の姉だ。 力は彼奴に及ばないかも知れないけれど。 それでも、最後まで、姉らしくはいさせてくれ」
スタッフの手を振り切ると。
私はキャリバンを出た。そしてブースターをふかして、先ほどの戦場に向かう。
まだ、日高中尉は戦っているが。
ベガルタがまずい。武装がつき掛けているようだ。
バイザーを動かして、三島を呼び出すが、出ない。何しろ最終攻撃アースイータの火力は強烈だ。それに電波障害も酷い。
これでは、通信が出来なくても、おかしくない。
武装を拾う。バトルキャノンはまだ動く。
弟を狙っていたアースイーターを打ち抜く。
「姉貴、もう下がれ」
「ドラゴンが、防空網を突破しはじめている。 気をつけろ」
「何……」
「ブレインはまだ壊れないか」
弟は、此方を振り返りもしない。
最終攻撃アースイーターは、ブレインを防御していないから、見える。既に元の三分の一以下にまで削り取られたブレインだが。
まだ空中に浮いている。
彼奴を破壊しきらないと、多分敵の攻撃は止まらない。
「エミリー!」
叫ぶ。
三川が、代わりに通信を入れてきた。
「エミリー中佐、意識がありません! さっきから、ずっと怪我を押して戦い続けて、それで」
「ならばお前が代わりにやれ!」
三川が、グングニルを構える。
しかし、プラズマジェネレーターがもう破損寸前の有様だ。もう一発撃ったら、もうもたないだろう。
私はその間、バトルキャノンでアースイーターを撃ち抜く。
小型の最終攻撃アースイーターなら一撃で墜ちてくるけれど。数が多すぎる上に、ずっと動き回っている。
心なしか、だが。
東京基地の外側からも、集まってきているように思えてならない。
いや、気のせいではないはずだ。その証拠に、上から降りてきてもいないのに。落としても落としても、レーダーから赤点が消えないのである。
三川が、グングニルをぶっ放す。
ブレインに直撃。貫通して、複数の罅から閃光を迸らせる。
かなり巨大な塊が剥落し、墜ちていく。半減したと見て良いが。それでもまだ、ブレインは浮いている。
どれだけ頑丈なのか。
一気に、レーダーの赤点が増える。
最終攻撃アースイーターだけではない。多分これは、ドラゴンの群れが、防空網を突破して来たのだ。
まずい。今の状態でドラゴンの群れにまともに襲われると、もう対抗手段がない。
幸い、百匹単位での群れではないようだけれど。
それでも、今はもう、ドラゴンと戦う力が残っていないのだ。
見える。
上空を舞う、終焉の竜が。
「どうやら、このアースイーターでも物足りないようですから、更に増援を投入しますよ」
ブレインの嬉しそうな声。
此奴は、本当に。人間のような奴だと、私は思った。
弟に、無数の火球が降り注ぐのが見えた。
超人的機動でかわしているが、それでも限界がある。着弾する。その間に、私はガトリングに切り替えてドラゴン共を落とすが、落としきれるはずもない。
三川が、悲痛な声を上げた。
「ジェネレーター、破損!」
大破しながらもまだ動いていたキャリバンが、ついに壊れる。吹っ飛びはしないが、駆動系がやられて、身動きできなくなった様子だ。
必死に盾になるベガルタも、装甲がもうもたない。
万事休すか。
閃光が、空に向かって走ったのは、その時だった。
舞い降りたのは、翼を装備した戦士。ウィングダイバー。それもこの武装は。ウィングダイバーの最新鋭武器の一つ、イズナ。それに、MONSTERやグングニルを装備している者もいる。
「ペイルチーム!」
「遅れました。 しかし、以降は、ドラゴンは此方で引き受けます!」
まだ残存戦力がいたのか。
戦況が混迷した頃から、所在が分からなくなっていたが。おそらく世界各地で、悲惨な戦闘を続行していたのだろう。
以前は私に反発することも多かったカリンも。
姿が見える。
立派に隊長をやっていたと言うことだろう。
新しいキャリバンが来る。
牽引しているのは、ベガルタの武装か。先ほどの、柊が使っていたキャリバンらしい。どうやらジョンソンを病院に届けた後、武装を持って戻ってきたという事か。
ドラゴンの群れが、圧倒的な火力で、駆逐されていく。
ペイルチームの最新鋭装備の火力は凄まじい。弟に苛烈な攻撃を加えていたドラゴンの群れが、消え去るまで、ほとんど時間が掛からない。
しかし、新手は次々に湧いてくる。
三川が、新しいプラズマジェネレーターを受け取っているのが見えた。これで、三川は満身創痍だが、まだ戦える。
ペイルチームが乗って来たヒドラから、キャリバンが出てくる。これで二両目。壊れてしまったキャリバンから装備を移し、更に防御陣を組む。涼川を収容し、奥の方に倒れていた矢島も。
此方に来るのは、ギガンテス戦車か。
乗っているのは、谷山だ。
今回の作戦では、全体の火力支援指揮をしていたのだが。もう、此処に集中して注力した方が早いと判断したのだろう。
戦車から顔を出す谷山。
「もう一息ですね」
「何を、脳天気な……」
「いえ、もう勝ちは確定しましたよ。 ほら」
谷山の後方。
赤いレーザーが閃き、次々とアースイーターが爆裂している。あれは、間違いない。オメガチームの、零式レーザー。
あれはオメガチーム以外には、ほぼ配備されていないはず。
あの数がいると言うことは、間違いない。生き残りのオメガチームが、ついに到着したという事だ。
ブレインの周囲から、見る間に護衛の敵が消えていく。
弟のライサンダーの弾が、ブレインの傷を確実に増やしていく。また、大きな傷が出来、ブレインの欠片が崩落する。
行けるかも知れない。
私は最後の気力を振り絞ることにした。此処を、乗り切りさえすれば。
「空を!」
だが。
その瞬間。希望がまたしても、踏みにじられた。
辺りが闇夜と見間違うばかりの状況になるほどの数。最終攻撃アースイーターが、空より舞い降りはじめたのだ。
ブレインが高笑いしているのが、聞こえるかのようだ。
希望などどうでもいい。
ただ、データを搾り取れるだけ搾り取りたい。
冷徹なAIの思考が。
圧倒的物量となって。湿った恐怖を、辺りにばらまきはじめていた。