地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
翌朝。
一晩眠ったことで、大分調子も良くなった私は。三島が持ち込んだ新しいフェンサースーツを着込んで、地下にいる彼奴の元へ向かった。
まだ陽が昇っていない早朝だ。巨大生物は、今の時点では動きを見せていない。
用事を済ませておくなら、今の内だ。
厳重なセキュリティの先に、彼奴はいる。
殆どのEDF兵士が知らない、トップシークレット。そして、私にとっても、重要な存在でもある。
培養液に浮かんだそいつは。
見えているかも分からない目で、私を見たのか。声を掛けてくる。無数の機械類がつながれている体は、ますます病み衰えているように見えた。
此奴の技術で、私達は作られたのだ。
「やあ、どうしたんだい。 はじめ」
「どうもこうもない。 ずっと此処に通っているのだ。 そろそろ、真実をもっと教えてくれてもいいのではないのか」
「君は優しい子だ。 真実を知ったときに、戦い抜けるのかい」
「やるしかない」
沈黙が、流れた。
私にとって此奴は、色々な感情が渦巻く相手だ。全てを知っている事については確信しているし、それを喋らないことには腹も立つ。
それ以上に、苛立ちを覚えさせられるのは。
此奴がいなければ、おそらくEDFは設立も出来ず。そればかりか、国連主導で地球人類が足並みをそろえる事も出来なかったこと。
何より、自分たち姉弟が、この世に生まれる事も。
EDFで戦う事もなかった、ということだ。
WW2が終わってから、人類は急速に統一へと向かった。本来だったら米国とソ連が、激しい主導権争いをしていただろうに。二国が国連を通じて誰もが驚くほど急ピッチに友好関係を構築したことが呼び水になって、各国は協調体制に進んでいった。進めない国には、強引な手を使ってでも、足並みを揃えるように強要もした。
そうして五十年ほどで、地球人類は、足並みを「揃えさせられた」のだ。
地球人類は、万物の霊長などと称しているけれど。実体はこんなものだ。此奴という特級のスペシャルが関与して、ようやく足並みをある程度そろえる事が出来た。WW2という地獄を経てなお、反省などしなかった人類なのだ。フォーリナーが攻めてきたら、それこそ本来だったらどうにもならなかったのだろう。
そして、此奴がいてもなお、一部の人類は足並みをそろえる事が出来ていない。足並みを揃えずして、勝てる相手ではないというのに、である。
「まだ、その時期では無いよ。 いずれ、君にも全てを話す。 一郎にもね」
「そうしてくれ。 出来れば今話してくれれば嬉しいが」
「それよりも、一郎を特務中佐、君を特務少佐になるように、申請しておいた。 その方が、今後更に動きやすいだろう」
「……余計な事を」
確かに、特務がついて中佐となると、准将扱いだ。
ストームは更に動きやすくなる。将官扱いの人間が司令官となれば、ストームは作戦行動の幅が広がる。
人員も、増やせる。
一礼だけすると、地下を出る。
すぐに、通信が入った。
「姉貴、動けるか」
「ああ。 どうした」
「出撃命令だ。 東京支部の近くに、敵の大規模な群れが出現。 レタリウスが陣地を構築する前に、掃討せよという事だ」
神出鬼没のゲリラ戦で、確実に此方の神経を削ぎに掛かってくる。
この辺り、巨大生物の組織戦に関する実力については、舌を巻かざるを得ない。
新兵達のうち、三川は今日休ませる。
PTSDの専門医師に診せると言う事だ。
他の新兵達は、応急処置だけして、戦場に出て貰う。動きは悪くなるだろうが、仕方が無い。
「オメガチームは、ドイツの巣穴を攻略すべく、現地のEDFと掃討作戦を開始したそうだ。 ドイツのEDFは精鋭揃いと聞いている。 今回は南米よりは容易に作戦が進むといいな」
「そうだな」
基地の出口には、既に今回の作戦のために動員許可を得た戦闘車両が、数台待っていた。
補修を急ピッチで済ませたグレイプRZ。
更に今回は、谷山用に、ついに戦闘ヘリが支給されている。制圧輸送ヘリのブルートでは無い。
谷山一人で操作できる、強力な空の狩人。
ネレイドである。
今回は敵の空戦戦力を警戒する必要がないため、対空戦闘能力をもつバゼラートではなく、対地戦闘に特化したネレイドを使用する。
その代わり、人員輸送が遅れるため、前回同様旧式のグレイプも配備されている。そして秀爺用に、引き続きイプシロンを活用する。
他の戦場でも、戦闘車両は使用している状況だ。
これだけ準備してくれた、東京支部には感謝せざるを得ない。MBTギガンテスはいないが、それでも充分だ。日高は無能だと自嘲していたけれど。
この戦力を準備するのは、苦労しただろう。
戦闘に出られる人員は、既に集まっていた。顔色が悪い者もいる。だが、それでも、戦いに出る意思は衰えていない。
「集まったな」
弟が、全員を整列させる。
そして、今回の作戦について、説明した。
今日も、戦いが始まる。
歩兵はグレイプに分乗。そして、先行する谷山。
私は筅が運転するグレイプRZに、弟と一緒に乗り込んだ。
「姉貴、傷は平気だな」
「案ずるな、無理はしないし、この程度でどうにかなるほど柔でもない」
まだまだ、戦いは序盤なのだ。
こんな所で、命を落とすわけには行かなかった。
(続)
徐々に本気を出し始めるフォーリナーの巨大生物たち。
それに対してEDFも総力を挙げるものの、敵の戦略は明らかに人類の一枚上をいき続けています。
更に敵には本隊であるマザーシップ艦隊までも控えている状況。
まだまだ序盤であるのに。
力を蓄えてきた筈のEDFは、善戦が精一杯の状況です。
例えストームチームがいても。
戦況は、更に悪化の一途を辿ります。