地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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実質上たった七年で復興をするために、地球人類はかなり無理をして戦力も国力も立て直しました。

そこには戦前から共通した、色濃い闇があったのです。

クローンによる兵士の増強。更には非人道的な実験の数々。

確かに世界を救ったEDFですが、完全にクリーンな組織というわけではないのです。


迫る帰還の日
序、疑念


黒沢兵司は、強化クローンとして培養槽で生を受けた。珍しい事では無い。人口増加に弾みをつけようと考えた国連が、EDFから提供されたフォーリナーの鹵獲技術を用いて、優秀で才能のある子供達を是非という文句で、広めていたからだ。

 

生まれたときには、既に十二歳まで成長していて。

 

基礎的な生活知識も、身につけていた。

 

両親はEDFの隊員として、三人の息子達が立派に戦って死んでいったと。いつも兵司に言っていた。

 

お前も、あの息子達のように。

 

勇敢に戦い、皆を守って欲しいと。

 

同じように、クローンが二人、後から追加で黒沢家には来た。一人は女の子。一人は男の子。

 

女の子は戦闘能力特化型では無くて、技術者として。現在国連で働いている。

 

そして最後の男は、クローンとは言え、元気な普通の男の子だった。特に能力強化を指定しなかったらしいと、後から聞かされた。

 

何となく、それで両親の真意が見えた。

 

兵司は、前に死んだ息子達の代わりなのだ。

 

他の子供達は、いずれも前の息子達には似ていない。だから、単純にかわいがるつもり、というわけだ。

 

世間体のための、息子の代替品。

 

名前からしてそうだ。兵士とせず兵司としたのは、最後の良心から、だったのだろう。

 

そう気付いても、兵司は荒れることはなかった。親に対して憎悪は抱けないように、作られたときからブロックを掛けられていたからだ。目だけは悪かったが、それ以外は頭でも身体能力でも。

 

クローン以外の相手に、遅れを取ることは無かった。

 

だから、致命的に荒れることがなかったのも、原因かも知れない。

 

高校に入ったころから、前大戦について調べはじめたのは、全くの興味本位から。悪辣な侵略行動を行った宇宙人フォーリナーが、どのような存在か、知りたかったのである。しかし、結果は驚くべきものだった。

 

誰もが。フォーリナーを目撃していないというのだ。

 

勿論、フォーリナーの機械兵器は、山のように地球へと押し寄せた。それらが行った破壊行為も、凄惨たる傷跡を残している。

 

だが、操縦者は。

 

一体何処にいるのだろう。

 

特に顕著だったのは、空を覆い尽くした、フォーリナーの飛行兵器だ。当初それはガンシップと呼ばれていた。昔、攻撃ヘリの中でも、飛行戦艦と呼ばれた一部のものが、そう呼ばれた記録があった。同じような存在と見なされていたのだ。

 

しかし今では、飛行ドローンと呼び習わされている。

 

理由は簡単である。

 

当時は有人兵器だと思われていたそれが。

 

実際には、無人の自動兵器だと反応したからだ。

 

それこそ万を超える飛行ドローンの残骸を調査した結果、そう結論がでたというのだから、間違いの無い事なのだろう。

 

フォーリナーのロボット兵器であるヘクトルについても、同じ結論が出ている様子だった。あれだけの柔軟性を持ち、破壊の限りを尽くした恐怖の対象も。実際には、無人兵器だったというのである。

 

様々な研究があった。フォーリナーの正体という論文を、五十以上は見た。既に大学院生並みの知性を得ていた兵司にとって、読み解くのは難しいことでは無かった。いずれの論文も、満足できる内容を掲載してはいなかったが。

 

誰もが、フォーリナーが何者か、知らないのだ。

 

憶測で好き勝手なことを言っているのに過ぎないのである。

 

EDFに入るしかない。

 

どうせ、親にはそうしろと言われている。順調に階級を上げていけば、EDFの機密にアクセスする権限も、いずれ得られるはずだ。

 

そう考えていたから。

 

ストームチームに入ることが出来たのは。まさに天がくれた好機だった。両親は涙を流して喜んでいたが。それはもうどうでも良かった。

 

一体何が、地球に襲来し。

 

どんな目的で、蹂躙の限りを尽くしたのか。

 

クローンとして、代替品の生を受け。そして今でも、人間としてはいびつな兵司にとって。

 

目的は、今のところ。フォーリナーの正体を知る事だけだった。

 

だから、ストームチームに配属されたのは、願ってもないことだった。両親は泣いて喜んでいたが。それ以上に嬉しかったのは自分だと、密かに心の中で思ってもいた。

 

代替品として生を受けて。

 

名前からして、兵士として生きることを望まれた兵司にとって。

 

数少ない目的をしっかり果たせる場所にいるのは望ましい。

 

此処でなら、階級は他の部署より、遙かに早く上げる事が出来る。

 

どれだけ危険でも、それに変わりはなかった。

 

怪我の応急処置を済ませて。早朝から、作戦に出る事になった。東京支部のすぐ近くの地区に、かなり大規模な敵が現れたというのである。幸い住民の避難は既に済んでいるので、後は敵を蹴散らすだけだ。

 

グレイプに乗って移動。

 

向かいに座っているのは、フェンサースーツに身を包んだストームのサブリーダー。はじめ特務大尉。間もなく特務少佐になるという話も聞いている。

 

一等兵の自分から見れば。

 

それこそ、中佐待遇の相手なんて、雲の上の存在だ。

 

それが此処に向かい合って座って。会話できるなんて、何て幸運だろう。

 

勿論それは、兵司の目的にとって、の話である。

 

「はじめ特務大尉」

 

「どうした」

 

「貴方は、フォーリナーという存在を、見た事がありますか? 無人兵器ではなくて、フォーリナーという宇宙人を、です」

 

「ない」

 

多分嘘はついていないなと、兵司は判断した。

 

このスーツの中身が、十代にしか思えない小柄な体だと、兵司は知っている。女性としてはせいぜい中肉中背という所だろう。この間の戦いで、スーツの左腕をパージして戻ってきたはじめ特務大尉を、ちらっと見ただけだ。腕だけ小さいという様なことは、流石にないだろう。

 

本人は否定していたが。

 

多分同じようにクローンでは無いかと、兵司はにらんでいた。

 

「どうしてフォーリナーは、侵略してくるのでしょう」

 

「さてな」

 

「そもそも、侵略をするには、採る手段が妙だとは思いませんか」

 

はじめ特務大尉は。

 

面倒くさそうに、此方を見た。

 

スーツ越しでも、そろそろ黙れと無言の圧力を掛けてきているのが分かる。中身が小柄な女性でも。

 

戦士としては超一流。

 

此処にいる新兵が、束になっても勝てる相手ではない。

 

ストームリーダーは更にその上を行く怪物だが、それでも。兵司が勝てる相手ではないのだ。

 

「余計な事を考えるのは、もっと腕を上げてからにしろ。 今の段階でそんな事を考えていると、死ぬぞ」

 

「分かりました。 肝に銘じます」

 

現地に到着。

 

グレイプを出て、整列。

 

既に、この話をする前に、ブリーフィングは済ませていたから、即座に作戦に取りかかる事が出来る。

 

ビル街の中を我が物顔に飛び回る凶蟲の群れ。

 

何カ所かに、アスファルトが喰い破られている場所がある。地下の巣穴から、彼処に出てきたという事だ。

 

勿論。道路を作るとき、地下については調べている。

 

長い年月を掛けて彼処へ忍び寄る様に穴を掘り。

 

そして機会を見て、一気に出てきた、という事だ。

 

セメント弾入りの擲弾筒を構える。

 

今回、兵司は他のメンバーが周辺の敵を掃討した後、上空にいるネレイドがバンカーバスターを投下するのを確認。その後、地下からの出口を、特殊セメント弾で塞ぐ役割を貰っている。

 

昔は航空機からでないと、バンカーバスターは打ち込めなかったのだけれど。

 

今では、攻撃ヘリからも投下が可能だ。

 

「よし、行くぞ。 攻撃開始!」

 

ストームリーダーが叫ぶ。

 

戦いが、すぐに始まった。

 

 

 

真っ正面から突入したベテラン達が、敵を薙ぎ払っていく。

 

どうにか指示通りに動けている新人は筅くらいだ。兵司も、冷静でいるのが精一杯である。

 

勿論、敵もやられっぱなしではない。

 

レーダーを見ると、側面や背後に、かなりの数が回り込んできている。しかしそれらにも、即応して、ベテラン達は対処していた。

 

一個目の穴に、ネレイドがバンカーバスターを投下。

 

耳を塞いだのは。

 

強烈な直下型地震を思わせる揺れと、轟音が来たからだ。

 

走り寄ると、セメント弾を、煙を上げている穴に叩き込む。かなり重い擲弾筒だが、どうにか使える。

 

噴き出した膨大なセメントが、穴を塞いでいく。

 

これで応急処置にはなったはずだ。

 

このセメント弾は、EDFに支給されている幾つかの武器と同じく、転送技術を用いている。

 

セメントを本部の倉庫から転送して、放出しているのだ。

 

速乾性で、一旦固まってしまえば、巨大生物でも簡単には溶かせない。強アルカリ性なので、触ることは推奨されない。

 

穴を塞ぎ終えて、次と思い、顔を上げた途端。

 

いきなりグレイプが急発進して、兵司の前に飛び出してくる。

 

至近にまで迫っていた凶蟲が、糸を叩き込んできたのだと、ようやく気付いた。グレイプの側面に直撃するが、幸いレタリウスのものほどの破壊力はない。速射砲が応じ、吹き飛ばす。

 

黒蟻より脆い凶蟲は、速射砲でも一撃で打ち抜ける様だった。

 

「大丈夫ですか、黒沢一等兵」

 

「問題ありません」

 

とろい奴だと思っていた筅だけれど。一緒に戦ってみて、臆病だが案外肝が据わっていることには気付いた。

 

だから、感謝もすることが出てきた。

 

同じ場所で訓練を受けていたときには、考えもしないことだった。

 

目の前に迫っていた凶蟲の群れが、上空からの機銃に薙ぎ払われる。旧時代の戦車の装甲など紙の様に貫く弾丸が、容赦なく巨大な蜘蛛の化け物を、打ち抜いていく。黒蟻だったら耐え抜いたかも知れない弾丸も、凶蟲では耐え抜けない。

 

上空のネレイドの活躍が凄まじい。

 

乗っている谷山は、ヘリの達人と言われるほどの人物らしいが、それも頷ける。

 

「前線を押し戻す」

 

「爆発物、使わせろよ」

 

「駄目だ」

 

ストームリーダーが、物騒なことを言う涼川に釘を刺す。

 

舌打ちした涼川は、荒っぽく目の前にいる凶蟲を、アサルトで蜂の巣にした。

 

今回の戦いは、負ける要素がない。

 

ビルの間を飛び回りながら戦っているエミリーは、ランスと呼ばれる武器を使って、凶蟲を一撃必殺で叩いている。近距離に高熱量を叩き付ける一種のレーザー兵器だ。近距離にしか効果がないが、巨大生物を一撃必殺する火力を有している。

 

そもそも近づいてくる凶蟲は、涼川とジョンソンが蜂の巣にするし。

 

遠くにいる凶蟲は、香坂夫妻が近づけさせない。

 

だが、それでも。

 

時々、音もなく、近くまで凶蟲が飛来する。レーダーを見ても、いつ近づいてきたか、分からないほど。音も立てず、一気に近寄ってくるのだ。

 

しかしそれさえも。

 

最後の壁となっているはじめ大尉が、確実に打ち抜く。

 

新兵は牽制射撃しか、する事がない。

 

二時間ほどの戦いの後。

 

地区の奪回には成功した。

 

とはいっても、今回も同じだ。

 

ストームチームが手強いとみるや、大きな被害を出す前に敵は引いた。敵が出てきた穴をコンクリで塞いで、それでおしまい。

 

スカウト率いる測量チームが、調査をしている。

 

幾つかの、次に敵が使おうとしていた穴を発見。勿論外側から分からないので、特殊な探知機を使っているのだ。

 

事前に処置をして、それで終了。

 

ただし、優秀なスカウトといえど、全ての場所を探索するのは不可能だ。

 

今までも奪い返した地区の徹底再調査を行っているようだが。

 

それでも、再び敵がわき出すことは多く。戦いは泥沼を通り越して、いたちごっこの様相を見せ始めていた。

 

しかも、地下にいる敵は七万を超えているのだ。

 

ストームリーダーが来る。

 

先ほどまで、以前カメラを取り上げた記者がきていて、話を聞かれていたのだ。EDFの公認戦場カメラマンに志願したとかで、戦闘終了後の今、追い払う事は出来なかったらしい。

 

なかなかの行動力だ。

 

余程に、ストームに密着して、情報を調べたいのだろう。

 

「皆、聞いて欲しい」

 

「イエッサ」

 

「すぐに東京支部に戻り、負傷の回復と休養に務めてくれ。 わずかに時間が出来たから、それを無駄にしたくない」

 

何かあったな。

 

そう気付いたのは。殆ど勘からだ。

 

だが、わずかな時間も無駄にしないというストームリーダーの言葉は正論だったし、逆らう理由もなかった。

 

それに、巨大生物との戦線が開かれてから、ろくに休憩をしていないのも事実。

 

特大の凶報を受ける前に。

 

休みを取りたいのも、また本音だった。

 

支部に戻ると、筅が戦闘車両類を、整備班に引き渡す。

 

弾薬の備蓄は充分。

 

ただし、それは今の時点では、だ。

 

七年を掛けて弾丸を備蓄してきたEDFだが、敵が本格的な侵攻を開始したら、いつまで保つかもわからない。

 

病院に出向いて、診察を受ける。酷い怪我をしている兵士は、日に日に増えている。サイボーグ技術が発展し、生体パーツの作成も出来る今。手足を失っても、戦線離脱とは必ずしもならない。

 

親からの連絡が来ていた。

 

高名なストームチームで活躍していると聞いて、お父さんもお母さんも涙を流して喜んでいます。お前の事を誇りに思います。

 

前の大戦で立派に戦った兄さん達も、きっとお前の話を聞けば、喜ぶことでしょう。

 

そんな事が書かれていた。

 

あまり、感慨は湧かない。

 

自分にとっては。

 

関係がないことだと、兵司は思っていた。

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