地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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4、異邦人帰還

転々としている民家や小型ビルを盾に使いながら、私はフェンサースーツのスラスターを使ってバック。バックしながら、ガトリングを中空に撃ち放つ。

 

対空戦闘が苦手なのが、フェンサーの弱点。

 

しかしながら、それを克服する武器もある。ただ、今回は持ち込んでいないし、持っていても使う気は無かったが。

 

また、輸送船が、弟に落とされる。

 

投下しているのは巨大生物ばかりだが、既にかなりの数が、周囲に展開している。殲滅は涼川達に任せるしかない。

 

また、横殴りのレーザーを浴びる。

 

どうしても動きが独特で、一定の打撃は浴びてしまう。

 

それが飛行ドローンの怖さだ。

 

確実にアーマーが削られていく恐怖。

 

前大戦初期ではアーマーすらろくになかったEDFの戦士達は。いつ狙撃されたかさえ分からないまま、飛行ドローンに打ち抜かれていったのだ。

 

4隻目の輸送船が落ちると、マザーシップが速度をあげはじめる。

 

ジェノサイドキャノンが起動するのが見えた。

 

あんなに早く、再装填できるのか。

 

前とは違う。

 

そう嘲笑っている様子が、見えるかのようだ。マザーシップも、相当なパワーアップを果たして、戻ってきたのである。

 

だが。

 

その時、巨砲にライサンダーの弾丸が突き刺さる。

 

続けて、イプシロンのレールガンからも、巨弾が撃ち込まれた。

 

神業。

 

同じ箇所に、着弾。

 

向こう側に弾丸が抜けるのが分かった。

 

巨砲が機能停止する。

 

「どうやら、弱点部分に関しては、修正できていなかった様子だな」

 

グレイプが、隣に止まった。

 

私は無言でスラスターをふかして跳躍すると、グレイプの車上に。弟はライサンダーの弾を再装填しながら、狙いを定め。更にとどめの一撃を叩き込んだ。巨大な罅が入る砲に、秀爺もレールガンから、追加の弾丸をおまけする。

 

ジェノサイドキャノンが、半ばから折れる。

 

爆裂。

 

巨大な破片が、宮崎の地に降り注いでいった。

 

だが、それが何だとばかりに、マザーシップは悠然と此方に迫ってくる。当然だろう。あれはマザーシップにとっては、九本ある主砲の一つに過ぎないのだから。

 

しかも、数日もあれば、修復可能なはずだ。

 

「戦略的な目的は達したが、どうする」

 

「涼川、そちらはどうだ」

 

「掃除中だ。 エミリーが輸送船をまた落とした」

 

「こちらは……」

 

見上げると、輸送船はまだまだいる。

 

攻撃に備えてか、ハッチを開ける様子は無い。グレイプにバックを指示。オートで下がるグレイプの車上で、弟と私は、通信回線で会話をする。

 

「どうだ、落とせそうか」

 

「無理だな。 本気になったらマザーシップは、更に輸送船を周囲にかき集めてくるだろうし、第二形態以降になられると手の打ちようが無い」

 

「そうだな。 撤退するか」

 

「それがいい。 ただし、もう何隻か輸送船を落としてからだ。 周辺にばらまかれた巨大生物も、駆逐する必要がある」

 

不意に、空に影が落ちる。

 

それが、マザーシップがいきなり戦闘形態をとったのだと。

 

私も、即座には理解できなかった。

 

鱗状の物体が、マザーシップを離れて、中空を漂いはじめる。

 

鱗の一枚一枚が、浮遊砲台なのだ。その数は、およそ二百。前大戦では末期にならないと見せなかった、戦闘形態である。

 

そう。今までのは、戦闘形態でさえないのだ。

 

「いかん、全員、巨大生物を駆逐しながら撤退!」

 

弟の声から、余裕が消し飛んでいた。

 

無数のプラズマ弾が周囲に降り注ぐ。爆裂するプラズマ弾が、見る間に緑を商店街を、粉みじんに吹き飛ばして行く。

 

ジェノサイドキャノンがなくても。

 

マザーシップは、通った後を余裕で更地にする戦闘力を持っているのだ。

 

全速力で下がるグレイプ。

 

イプシロンも後退を開始していた。

 

だが、容赦ない一撃が、グレイプの。旧型で脆い装甲を貫通する。私は盾を展開して、マザーシップから降り注ぐレーザーをどうにか防ぐが、それでも全ては無理だ。今まで輸送機として頑張ってくれたグレイプが、ついに二発目のプラズマ弾を至近に浴びて、吹っ飛ばされる。

 

弟と私も、地面に投げ出された。

 

無言のまま、弟が起き上がると、ライサンダーをぶっ放す。

 

浮遊砲台は、幸い装甲が分厚くない。

 

ライサンダーの弾が直撃すれば、落ちる。だが何しろ、数が数だ。

 

私も用意してきたガリア砲を構える。

 

大威力、超射程を誇る兵器だが。何しろ試運転中の品である。ぶっ放すが、一発ではなかなか命中しない。

 

マザーシップの外壁に命中しても、弾かれるだけだ。

 

また、至近に着弾。

 

吹っ飛ばされる。

 

破壊力が、前より上がっている。当然だろう。向こうだって、七年間でバージョンアップくらいはしているのだ。

 

バックしていたイプシロンが、来た。

 

搭載している機銃を乱射して、纏わり付いてくる飛行ドローンを薙ぎ払いながら。弟はライサンダーで数機の浮遊砲台を撃墜すると、もはや恥も外聞もなく飛び乗る。私も、それに続いた。

 

イプシロンが、再びバックをはじめる。

 

そしてバックしながら、マザーシップが、下部のハッチを開けた瞬間。弟と一緒に、巨弾を叩き込んでいた。

 

あれこそが、マザーシップの弱点。

 

空気を取り込むことで、爆発的な攻撃力を産み出すための場所。

 

勿論分厚い装甲に守られているけれど。イプシロンの弾丸に加えて、ライサンダーの弾丸が、同じ箇所に直撃したらどうなるか。

 

マザーシップ全体が、一瞬だけ停止する。

 

「貫通は、出来なかったか」

 

飛行ドローンも、動きを一瞬だけ止めた。

 

その隙に、一気に下がる。もはやバックでは無い。全速力での撤収だ。それでも途中、巨大生物を投下しようとハッチを開けた輸送船を一隻落としたのは、流石に弟である。

 

マザーシップの攻撃範囲内から逃れたのは、夕方。

 

マザーシップも数十キロを追撃はしてきたが、それ以降は海上に逃れた。輸送船七隻を落とされて、直衛を心許なく感じたのか、それとも。

 

ストームチームの戦力を測ることが出来て、充分と判断したのか。

 

ジェノサイドキャノンを失ったから、修復に掛かったのかも知れない。

 

いずれにしても、これは負けだ。

 

集結を掛ける。

 

集まってきた全員は、満身創痍だった。

 

グレイプRZも、何発か直撃弾を貰ったらしい。側面の装甲を、完全に喰い破られていた。

 

ネレイドも、途中で何機かの飛行ドローンに襲撃されたらしい。

 

どうにか撃墜はしたようだけれど。苦手な相手に纏わり付かれて、流石の名手谷山も、無事では済まなかった。

 

楽しそうなのは、涼川だ。

 

アーマーを喰い破られて、何カ所からか出血しているのに、である。

 

「飛行ドローンも蟻共も、たくさんブッ殺してやったぜえ」

 

けたけたと笑う彼女を見て、新兵達はどん引きしているが、気にもしていないのだろう。涼川はそう言う奴だ。

 

ベガルタM3ファイアナイトは。

 

かなりアーマーに損傷は受けているが、無事だ。

 

戦死者を出さなかっただけ、マシとみるべきなのだろう。だが、グレイプRZを運転していた原田は、左半身を血まみれにして、担架の上で呻いていた。

 

マザーシップの浮遊砲台から放たれたプラズマキャノンの情け容赦ない破壊力が、グレイプの側面装甲を貫通したとき。原田の纏っていたアーマーも、一気に打ち抜いたのである。

 

或いは、内部で爆発が反響し、ダメージが増幅された結果かも知れない。

 

キャリバンが来る。傷だらけの機体は、今日の九州が、全域で戦闘をしていたこと、キャリバンが少なからず攻撃を浴びていたことも物語っていた。しかしキャリバンは生半可な攻撃ではびくともしない。MBTをも上回る装甲を有している事もあって、中には傷一つなかった。

 

キャリバンの広い車内には、数人が既に格納されていた。手足を失っている者もいるようだった。

 

応急措置を済ませた原田を運んでいくキャリバンを見て、弟が小さく嘆息した。

 

グレイプRZも、キャリバンが牽引していった。旧式グレイプは完全に壊れてしまったので、後でスカウトが回収するということだった。回収専用車両を用いて基地に牽引し、その後工場でスクラップに変えるのである。

 

どうせ前線に投入することを想定していなかった旧型だ。ストームでは頑張ってくれたが、残念ながら此処までで寿命である。

 

原田がいなくなると、弟の嘆きがよく理解できた。

 

原田に、グレイプRZに乗るように指示したのは弟だ。

 

勿論戦場でのこと。原田だって恨んではいないだろう。弟が判断ミスをしたわけではないのだから。

 

それでも、簡単には割り切れない。

 

弟を戦闘兵器と罵る者もいるけれど。こういう弱さがある事を、私は知っている。だから、弟の悩みも聞く事は多かった。今日も、愚痴くらいなら、つきあうつもりだ。

 

負けはしたが、戦略的な目的は達した。

 

前大戦より遙かにマシだ。

 

前大戦では、負けて逃げて、必死に生き延びたような戦いが、それこそいくらでもあった。弟も私も、それを散々経験した。

 

今回は負けはしたけれど。マザーシップにダメージも与え、ジェノサイドキャノンも一時使用不能にし。輸送船も相応の数落とした。

 

充分な戦果なのだ。

 

長沼から通信が入る。

 

「死者を出さずにマザーシップを海上へ追い払ったそうだな」

 

「負傷者が数名います」

 

「それがどうした。 飛行ドローンもほぼ掃討が終わった。 これから、そちらに残っている巨大生物共の残党を、数に物を言わせて潰すところだ」

 

何を脳天気な。

 

私はぼやきたくなったが、長沼の声は据わっていた。或いは、マザーシップを撃退するという活躍をしたストームチームへの憎しみを、更に強めたのかも知れない。

 

何も言わず、弟は通信を切る。

 

「一旦九州支部に帰還する。 軽傷者は其処で手当。 その後、極東支部の指示を待つ」

 

「ストームリーダー」

 

「以上だ」

 

掃討作戦には参加しない。

 

しろといわれていないのだから、当然だろう。

 

実際、あの程度の残党なら、九州支部の戦力で充分に対処できる。既に飛行ドローンの群れも海上に去った様子だし、東京とは根本的に状況が違うのだ。

 

九州支部には、深夜に着いた。

 

私も軽くメディカルチェックを受ける。負傷はほぼしていないけれど。肋骨の状態が気になったのだ。

 

回復はしている。

 

ほぼ大丈夫だと、医師に太鼓判も押された。

 

服を着て、与えられている宿舎に。

 

先に戻った弟は、珍しく酒を口にしていた。

 

部屋の隅にあるシャワー室は使った形跡があった。私もシャワーを適当に浴びることにする。

 

傷の痛みは、殆ど残っていない。

 

厳密な意味では人間では無いのだから、当然か。人間だと自負していても、こういうときに、自分の異常さを、思い知らされる。

 

「傷の具合は」

 

「何ら問題は無い。 老化速度が早いという事は、それだけ新陳代謝も回復も早いという事だ」

 

「そうか」

 

私は弟の向かいに座ると、酒をついでやる。

 

無言で、酒を飲み干す弟。

 

私は飲まない。

 

酒はどうにも苦手なのだ。

 

多分肉体年齢の問題だろう。実際年齢と肉体年齢が釣り合わない不具合は、こういった所でも、影を落としている。

 

「今日は手酷い負けだったな」

 

「長沼め、何故我等を憎む」

 

「お前がスペシャルだから、だろう」

 

「……」

 

酒を飲んだからか。

 

珍しく、弟の口から他人を罵る言葉が出た。七年に達する軟禁同然の生活でも、文句を滅多に言わなかった弟なのに。

 

EDFの内部では、弟を暗殺する計画さえあったと聞いている。

 

それだけ、マザーシップを落とした「超人」は、恐怖の対象だったのだ。

 

「長沼の用兵次第では、今日マザーシップを落とせたかも知れないな」

 

「その代わり、民は全員見殺しか?」

 

「……そうだな。 今の言葉は忘れてくれ」

 

「良いんだ。 私はお前の唯一血を分けた肉親だ。 それくらいの愚痴なら、何時でも聞くさ」

 

もう一杯酒をついでやる。弟は、相当に腹が立っているのか、ぐいっと飲み干した。

 

もう休め。そう言っても、もう一杯をコップを此方に差し出してくる。

 

弟も、酒には強い方では無い。

 

もう顔は真っ赤だ。

 

「マザーシップの目的は、人類側の対応力を見る事だろう。 多分近いうちに、ヘクトルと四つ足が大挙して極東に上陸するぞ。 あまり今のうちから思い詰めるな」

 

「分かっているさ、姉貴」

 

「はき出すだけはき出したら早く寝ろ。 そんなでは、今後の戦況に、対応できんぞ」

 

頷くと、弟は、今日の長沼に対する文句をあらん限りはき出しはじめた。

 

そして徹底的に愚痴を言い終えると。

 

カプセルに入って眠った。

 

私も少しだけ酒を口にすると。こんなものの何が良いのだろうと思いながら、自分用のカプセルに入る。

 

原田の容体については、既にさっき聞いた。

 

三川とは違う意味で重症だ。ただ、今の医療技術は進歩している。一週間ほどで、前線に復帰出来るはず。

 

負傷者が、案の定増えてきている。

 

今後は死者だって出るだろう。

 

増員も考えているが。できる限り、新人をベテランに育てて、主力の補助になるようにしないと。

 

今後の戦いは、勝てない。

 

カプセルの睡眠効果で、すぐに落ちる。

 

今度の戦いも地獄になる。明日もきっと、地獄になる事に変わりはない。だから、今だけは、休もう。

 

しかし、夢心地をさまよっている中。

 

警告音で叩き起こされる。

 

カプセルから這い出ると、まだ四時半だ。何か大きな事件があったとみて良いだろう。

 

弟も起き出していた。

 

すぐにバイザーを付ける。

 

「緊急事態です」

 

「ああ、何が起きた」

 

「太平洋上の第十六艦隊が、敵の大軍団を確認! このままだと、房総沖に翌日には出現します! 敵は四つ足歩行要塞を中心に、ヘクトルおよそ500! 飛行ドローンも、3000以上はいる模様です! 輸送船二十五隻も、護衛として確認!」

 

乾いた笑いが漏れる。

 

さっそくだが、仕掛けてきたか。

 

更に、中部地方にも、敵の一群が向かっているという。

 

此方の兵力を分散させるもくろみだ。全てにEDFは対応しなければならない。

 

その上、全世界中のEDFが、今は巨大生物と、マザーシップが繰り出した殺戮機械軍団に対応しているはず。

 

援軍は、期待出来ない。

 

「総力戦がしばらく続くな」

 

「新兵達を叩き起こしてこないとならないのはつらいが、私がやる。 お前はすぐに出立する準備を頼むぞ」

 

「ああ、分かった。 頼むぞ、姉貴」

 

二人、すぐに軍服に着替え。私はフェンサースーツを纏って、宿舎を出る。

 

まだ陽も昇っていないが。

 

すぐにヒドラの手配をして、東京へ戻らなければならない。或いは、中部地方に来た敵の撃退が先だろうか。

 

いずれにしても、敵はついに本腰を入れはじめた。

 

此処から本当の地獄が来るのは、もはや避けられない未来だった。

 

 

 

(続)




日本を始め各地に迫るフォーリナーの機械化部隊。

自動戦闘型の兵器ばかりとは言え数が多く、戦闘力は地球産兵器よりも数段勝っています。

どうにか迎撃をしなければいけません。

加速する地獄の中。
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