地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
更に敵は効果的な戦力の運用を実施。
元々兵力が足りないEDFは、高度な連携をとって襲ってくる機械兵器と生物兵器に翻弄されることになります。
序、飛来
まだ寝ぼけ眼の筅を無理矢理ヒドラに乗せて。それが最後。
中部地方の基地に、まず向かって欲しいと、先ほど連絡があった。京都に展開しているフォーリナーの輸送船が、巨大生物を投下しはじめたというのである。大阪基地の戦力だけでは、攻撃すれば大きな被害が出る。
ストームチームが長崎より帰還すると聞いて、大阪支部がぜひにもと、到来を求めたのだった。
此方としては断る理由はない。
ただ前回の戦いで、歩兵戦闘車グレイプを二両失ってしまった。しかも一両は最新型のRZ。幸いRZは中破で済んだが、しばらく動かせない。旧式グレイプは完全にスクラップで、此方はもう駄目だ。
勿論RZはヒドラに乗せているが、修理はまだ済んでいない。ヒドラで輸送中に応急処置はするが、戦闘には耐えられないだろう。
「まるで使い走りですね」
「敵の戦力も無限では無い。 此処で削っておけば、必ず後々に有利になる」
「それはそうでしょうが」
黒沢の発言に、弟が答える。黒沢の返事を聞く限り、納得がいっているようには見えないが。
私はと言うと、涼川に絡まれていた。
「なあ、次の宿舎は、あたしと旦那を一緒にしてくれよ」
「それは難しいな」
「何だよ、あたしと旦那、姉公認の仲だろ?」
「知らん」
実際、弟に、性欲があるのかどうか、私は知らない。
涼川の好意は露骨すぎるほどなのだが。弟が興味を見せたことはあまりない。私はというと、多分性欲そのものがない。
生物として強靱に作られすぎたからだ。
人間とは比較にならない回復力。
並外れた筋力、常識外の思考速度。
いずれもが、地下にいる彼奴が持ち込んだ、よく分からない遺伝子を、両親の遺伝子に組み合わせた結果。
私と弟だけは生き残ることが出来たけれど。
他の兄弟姉妹は、皆命を落とした。
皆の命を背負っているから、とても強いけれど。
その反面、私も弟も。
おそらく、生物としては、子孫を残す事が出来ないはずだ。
「ちえーっ。 なんだかんだでほとんど一緒にいられないしなあ。 まああたしも戦闘が出来れば満足だけどよ」
「次も激しい戦いになる。 それで我慢してくれ」
「へいへい」
兵営の恋なんて言葉もあるらしいけれど。
私はどうにも、ぴんと来ないのだった。
なお、私や弟の子孫については、EDFが厳しく目を光らせていた時期もあった。だが研究結果で、弟の精子には、卵子を受精させる能力がないことが分かっている。多分、人間とは、遺伝子レベルでずれてしまっているのだ。
私の卵子についても、多分同じ。
弟が女に興味を見せないのも、それが故だろう。私も、いろんな男を見てきたけれど、興味は全く持てなかった。
ヒドラが飛び立って数時間。
夜明けが、ヘリの窓から見えた。今のうちに休んでおくよう、新人達には指示。私も壁に背中を預けたまま、少し眠る。
うとうとしているうちに、大阪基地に到着。
既に大阪基地では、臨戦態勢が整っていた。
着地したヒドラから出ると、基地司令官が向こうから来た。弟が敬礼をかわし、ビークルについて聞く。
キャリバンが。
それも旧式のものが一機だけ空いているという。他は全て出払っているという返事だった。
九州と同じだ。
此処も少し前から、全域が飛行ドローンの攻撃に晒されているのである。しかも一部は避難が遅れている人々に襲いかかっており、EDFとしても放置は絶対に出来ない状況だとか。
ヒドラから、順番に兵器を下ろしていく。
司令官が行った後、弟が咳払いした。
「窮状に嘘は無さそうだ。 全員、すぐに出る準備を」
「ルートはどうする」
私の疑念に、弟はバイザーに地図を表示させる。
現時点で、かなりの数の飛行ドローンが南下している。数は三百を超えている。彼方此方に出払っているファイターでは、手が足りない状況だ。
この飛行ドローンを、まず叩く。
ただし、それは弟とエミリーだけで良いと言う。
「姉貴は他のメンバーを連れて、京都地区に急行して欲しい。 巨大生物が地面に潜って、繁殖でもはじめたら一大事だ。 可能な限り殲滅を早めてくれ。 俺は北上しながら、飛行ドローンを叩きつつ、京都地区に向かう」
「分かった。 任せろ」
グレイプRZは、修理班に廻す。
キャリバンの操縦は池口に任せて、私は後部座席から乗り込んだ。ジョンソンや黒沢もそれに続く。
イプシロンに乗り込んだ香坂ほのかから、通信が来た。
「今、情報が入ってきたのだけれど」
「どうした」
「京都地区の担当部隊、苦戦しているようよ。 急ぎましょう」
「池口、出してくれ」
すぐに発進するキャリバン。
若干筅より運転が荒い。筅も、ファイアナイトを起動させ、すぐに後を追って発進した。
幾つかの有料道路を経由しながら、京都に向かう。
途中、飛行ドローンによる攻撃の跡が、彼方此方に見て取れた。
道路がかなり傷つけられている。
建物も。
巨大生物と違って、どうしても飛行ドローンは足が速い。民間人が逃げる上から、レーザーを降らせてくる。
前大戦の時は、民間人に逃げる時間を稼ぐアーマーが支給されていなかったから、とにかく悲惨だった。
今は状況が違うから、空襲による被害はかなり減っているはずだ。
それでも、死者が出ることは避けられないだろう。
制空権は、確保できているとは言え。
その間を縫う様にして、無数の飛行ドローンが暴れているのは事実。
ファイターは確かに、飛行ドローンに対しては、圧倒的という次元での優位を確保した。今回の戦いで、飛行ドローンと戦い始めてから、優位が正しかったことは証明されている。しかし、それでも。
数の暴力を、敵は有効に生かしていて。
それが故に、被害が出ることは避けられなかった。
弟から通信が来た。
「飛行ドローンと交戦開始。 情報より数が多い。 味方レンジャー部隊が交戦中のため、これを支援する」
「頼む」
「味方には旧ストームの本田がいる。 勝つことは難しく無さそうだ」
「本田がいるのか」
そういえば、大阪支部に異動したのだった。
本田は大戦後にストームに配属されたメンバーの一人で、この間のストームの一旦解散に伴って、大阪に移った。大阪支部での中核戦士として、活躍を期待されたのである。
ストームでは珍しい、多弁でとにかく明るい男で、周りを笑わせるのが大好きな性格をしていた。
寡黙な弟を笑わせようといつも苦労していたが。
結局本田の冗談で、弟が笑っているのを見たことが無い。
部隊解散の時に、ついに弟を笑わせられなかったのが心残りだと、本田は言っていた。
いずれにしても、高い戦闘力を持つ本田がいるなら、問題ない。
「現地に急いでくれ」
運転席の池口に、声を掛ける。
キャリバンが速度を上げた。
京都駅上空に、数隻の輸送船が停泊している。時々ハッチを開けては、黒蟻を投下しているようだ。
展開したレンジャー部隊が、長距離からのスティングレイの射撃によって、黒蟻を落とされる矢先から爆破しているが。それでも、とても手が足りているようには思えない。確実に、黒蟻は増え続けている。
戦場に、乱入する。
キャリバンから真っ先に飛び出した涼川が、もはや何の遠慮も無く、スタンピートをぶっ放す。
今、丁度攻撃態勢に入ろうとしていた黒蟻の群れが。
民家数軒もろとも、吹っ飛ばされる。
ビルが倒壊し、凄まじい土煙が上がる中を、涼川は舌なめずりしながら、アサルトを乱射して突撃。
ジョンソンが、周囲に冷静に指示を出した。
「涼川少佐を援護」
ファイアナイトが跳躍。
苦戦している味方レンジャー部隊の前に躍り出ると、敵に火炎放射器の洗礼を浴びせた。一気に形勢が逆転する。
私はキャリバンを飛び出すと。無事だった大型ビルの屋上まで、スラスターをふかして上がる。
少し遅れているイプシロンの代わりに、輸送船を落としておく必要があるだろう。
輸送船の一隻が、下部ハッチを開けた。
昨日から引き続き装備しているガリア砲を、ハッチに向ける。これは大威力の、レンジャーで言うライサンダーに相当する長距離射撃武器を目指して開発された兵器だが。何度か使って見た感触では、とにかく扱いづらい。
妙な慣性がついているし、放つとどうしても射線が定まらない。
文字通りのじゃじゃ馬だ。
だが何度か使っているうちに、コツは掴んだ。今回もぶっ放した第一射は。容赦なく輸送船の内部に飛び込んで、爆発を引き起こした。
更に第二射。
輸送船が、内側から吹き飛ぶ様にして、爆発した。
「下は任せる。 輸送船は此方で落とす」
ジョンソンに指示を出すと、私はスラスターをふかして、移動。別のビルの屋上に立つと、ガリア砲の薬莢を捨てた。破壊力が大きいだけあって、薬莢のサイズも凄まじい。拳大ほどもある。
輸送船の二隻目を射程に捕捉。
だが、その時である。
上空から、更に二隻の輸送船が降りてくるのが見えた。
それだけではない。
四方から、輸送船が集まってくる。
どうやら、簡単には勝てそうにないらしい。周囲に集結しつつある輸送船からは、黒蟻が先に倍加する勢いで、投下されはじめていた。
「慌てるな。 輸送船は私が一隻ずつ落とす。 お前達は、レンジャーチームと合流し、黒蟻の掃討に努めろ」
ガリア砲をうち込む。
二隻目の輸送船が火を噴き、炸裂した。爆発の中に、蟻の粉々になった破片が混じっており、地上に金属片と一緒に降り注ぐ。
蟻共が、徐々に地上部隊では処理できない数になってきているが。
其処で、此方にも援軍が来る。
閃光が、三隻目の輸送船を貫く。角度が少し浅くて、外壁に直撃。しかし、頑強を誇る輸送船の外壁でさえ、大きく抉った。
イプシロンだ。
秀爺達が、狙撃地点を確保したらしい。
大きく揺らいだ輸送船の傷に、ガリア砲を連続で叩き込む。
三発目で、輸送船の内側から火が出た。
そのまま爆裂し、地上に落ちていく。
スラスターをふかして、移動。次に狙うのは、先ほどから黒蟻を最も多く落としている輸送船だ。
星の海を渡りながら、あの蟻共を培養していたと思うと、反吐が出る。
ビルが爆裂。
慌ててスラスターをふかして、隣のビルに移動。
「悪い。 巻き込み掛けた」
「気にするな」
「そう言ってくれると助かるぜ」
涼川の攻撃で、ビルが倒壊したのか。
まあ、どうにかなるから、別に良い。ギリギリ、スラスターでの移動が間に合うが。しかし、其処は周囲に大量の黒蟻が群がっていた。
膨大な酸が、着地と同時に飛んでくる。
アーマーで防ぐが、見る間に負荷が上がっていくのが分かった。舌打ちすると、跳躍。ブースターを使って、高度を上げる。
そして空中でガリア砲を構えると、今正にハッチを開けた四隻目に、至近距離から叩き込んでいた。
至近からの一撃である。
貫通した弾丸が、輸送船を滅茶苦茶に内側から破壊したのが、よく分かった。
連鎖する爆発の中。
怨嗟の声にも聞こえる軋りを挙げながら、輸送船が落ちていく。落ちていく輸送船を蹴って、ブースターをふかす。
別のビルに着地。
背後で、巨大な爆発が巻き起こった。輸送船が、黒蟻を多数巻き込んで、爆発したのである。
予想より、かなり数が多い。
だが、この時、少し遅れていた谷山が追いついてきた。飛行ドローンを警戒して、慎重にコースを選びながら飛んできていたのだ。
谷山のネレイドから放たれたミサイルが、群がる巨大生物を打ち砕く。
吹っ飛んだ巨大生物の死骸を蹴散らす様に、重機関銃が咆哮し、更に敵の損害を増やしていった。
上空にいる輸送船が、戦況不利とみたか。
戦術を切り替えてくる。
「飛行ドローン飛来! 数、およそ六十!」
「ジョンソン、谷山の支援、頼めるか!?」
「任せろ!」
戦況が加速していく。
京都近辺での死闘は、しばらく終わりそうにもない。