地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
夜11時、掃討戦終了。
参加した敵戦力は、全滅。参戦した敵主力のヘクトルは644機に達したが、その全てが水際殲滅によって爆散。敵高空戦力は推定700機ほどが来ていたが、此方については半数ほどが撃墜、残りは何処ともなく飛び去った。マザーシップへ、情報を届けに戻ったのかも知れない。
いずれにしても、敵にとっては少なくない損害の筈だ。
サテライトブラスターによる掃討を除くと、ストームチームが倒したヘクトルは合計で79機に達した。これは全体の一割を超える数で、如何に桁外れの戦果かは、わざわざ言わなくても分かる事だ。
ヘクトルの残骸は、山と積み上がっている。海にもかなりの残骸があり、海軍から派遣されてきた無人フリゲートが、忙しく残骸を引き上げていた。飛行ドローンの残骸も、山のようにある。
これらは全て改修して、活用するのだ。武器にも装甲にもなる。また、テクノロジーを解析することで、新しい武器を作る事も出来る。
味方の損害も、その一方で小さくない。MIAも含め、戦車22両、ネグリング9両、レンジャー199名、ウィングダイバー14名、フェンサー17名に昇っていた。墜落したアルテミスの乗員は脱出に成功したが、アルテミスそのものは大破した。
参戦戦力の一割にはかろうじて達しなかったが。
しかし、負傷者は多く、かなりの損害である事に違いはない。今必死にスカウトが二次攻撃の可能性を探っているが、その畏れはないという報告も出ていた。
新人達は延々と続いた敵の波状攻撃で、ぐったりしていた。
私はむしろ体がやっと温まってきた感触である。しかしキャリバンに入ると、バイタルがイエローになっていて、閉口した。
「姉貴、無理をしたか」
「分からん。 疲れが溜まっていたんだろ」
「皆、今のうちに休め。 これだけの大規模な攻撃、フォーリナーが無計画に行うとは思えない。 きっと何かしらの形で、大規模な第二次作戦があるぞ」
「そうだな」
弟の意見に、私も賛成だ。
とりあえず、今回も部隊に死者はいなかった。ベッドに横にされて、点滴を打たれる。医師は渋い顔をしていた。
「体への疲弊がかなり溜まっています。 貴方は脳を戦闘時、フル回転で使っているようですが、普通だったら体が保ちません。 ましてや貴方の身体能力は、幾ら優れていると言っても、人間の範疇を超えていないんですよ」
この医師は、私の事情を知っている古株だが。
キャリバンで治療所に搬送されてきた私に、そうくどくどとお小言を浴びせかけた。仕方が無いので、今のうちに休んでおく。カプセルは使わない様にと言われたので、ベッドに横になるが。負傷兵扱いされて、ちょっと口がへの字になる。今回はバイタルがあれだったが、怪我なんかしていない。
弟だって、条件は同じ筈なのに。
ただ、彼奴が私より強いのは事実だ。ふと、一つだけ、疑念を覚えた。まさか弟の老化があれほど早いのは。
頭を振って、その恐ろしい考えを追い払う。
気分転換のために、ベットに横になったまま、状況を確認することにした。
戦果をそれぞれ確認していくと、面白い結果が出ていた。
新参のナナコが、長距離からのスティングレイの射撃を、的中率71%という高確率で成功させていたのだ。
スティングレイでは、一発や二発ではヘクトルは倒せないが。外した数値の殆どは、中空にいる飛行ドローンを狙った場合である。
ヘクトルへの的中率は、実に97%に達していた。それも、味方を狙っている攻撃をそらしたり、弱った相手にとどめを刺したりと、的確に動いている。
また、日高軍曹も、キャリバンで走り回って、けが人を的確に多数救助した実績を残していた。
池口は、地味ながらも。渡された連射小型ミサイルエメロードを着実に使い続け、飛行ドローンを的確に制圧。十二機を落としていた。エメロードは高度な情報処理が必要な火器で、自爆する兵士も何名か出ていた。渡されていたエメロードは最新鋭のものではないけれど、それでも一度に同時に四発の小型ミサイルを発射する。長い戦闘で最後までこれをミスせず使いこなしたのは立派だ。
黒沢は状況に応じてスティングレイとエメロードを使い分けて、池口やナナコに負けない戦果を上げていた。
新人達。
皆やるじゃないか。
筅は案外活躍が渋かったが、それでもファイアナイトを大破させたりする様な事もなかったし、充分に活躍している。
被害は小さくなかったが、久しぶりの完勝だった。
だからこそに、不安が大きい。
弟が言うように。フォーリナーは、これだけの戦力を使い捨てる様な阿呆では無い。必ず何か仕組んでいるはずだ。
しばらく寝ていると、もう明け方になっていた。
弟が病室に来る。
案の定、険しい顔をしていた。
「姉貴、すまんが、出る準備をしてくれ」
「何かあったな」
「静岡に四足歩行要塞が上陸した。 似た様な戦法で、イギリスにも四足が上陸したそうだ」
なるほど、そう言うことだったか。
此方の戦力は、全て捨て石だったという事だ。しかも捨て石ではあっても、充分に戦力を消耗させ、動きを止めることには成功していた。
この戦場では勝ったが。
敵の目的そのものは、達成されたことになる。本命の敵戦力は、上陸に成功したのだから。
四足の戦闘力は、前大戦で嫌と言うほど見せつけられている。ヘクトル数百を犠牲にする価値は充分にあった。
EDF総司令部も、今頃青くなっているはずだ。
「すぐに向かうか」
「ああ。 ただ我々で撃破するのでは無い。 今、極東司令部が敵を撃破するための準備をしている。 今回は新型のバンカーバスターを用いて、四足を撃破する予定らしい」
「ああ、噂の」
四足に対する戦術は研究が進んでいる。その中の一つが、新種のバンカーバスター、グラインドバスターによる一挙撃破だ。
今回は制空権が味方にあるので、爆撃機で敵の頭上を襲うことが出来る。
四足は広域制圧能力には長けているが、対空戦闘力に関しては、さほどでもないはずだ。冷静に対処すれば、充分に何とかなるかも知れない。
ベットから起き出す。
バイタルは多少は改善していた。ただ自分では、あまり体の調子が良くないとは想わない。
ヒドラが来る。
これに乗って、静岡に向かうのだ。
海岸線の防衛部隊は、各地に散って、また転戦を続ける事になる。
ヒドラに乗り込む際。
親城に敬礼された。敬礼を返すと、戦場に出向く。
グラインドバスターの投下作戦が、上手く行くかは分からない。
ただ、どちらにしても。
四足は確実に仕留めなければ、水爆並みの威力を持つ長距離射撃で、街が一つずつ灰燼と帰していく事になる。EDFの東京支部も危ないだろう。
日高軍曹が、遠ざかっていく房総を見つめている。
何をしているのかと聞くと、少し感傷を込めて言う。
「助けて廻った兵隊さんたち、全員助かるといいなと思って」
「そうか」
フォーリナーの技術のおかげで、医療は著しく進歩した。余程のことがない限り、負傷者は助かる。
それでも、助からない場合はどうにもならない。
日高軍曹がうつむいている。これから、ずっとこの手の悲惨な戦場で、最低でもマザーシップを全て叩き落とすまでは、地獄を見なければならないのだ。
それが、選んだ路。
そして、人類が超えなければならない、坂だ。
ヒドラが速度を上げる。
静岡に着いたら、すぐに作戦行動開始だろう。私はフェンサースーツを今回も駄目にするのだろうかと思いながら、武器の使用結果データを、本部に送った。
(続)
激しい戦いが続く中、当然最精鋭部隊ストーム1は各地に火消しに走り回る事になります。
まずはじっくり戦力の消耗を待つ余裕があるフォーリナーと、穴が開いたら塞ぎようがない人類。
じりじりと差は広がっていくことになります。