地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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2、怪物の進軍

前衛でストームリーダー達化け物の様な使い手三人が暴れているとはいえ。

 

それでも、此方に敵はたくさん来る。

 

流石にヘクトルは来ないけれど、飛行ドローンは山盛りたくさんだ。

 

池口吉野は、旧式キャリバンから顔を出して、あまりの数に呻いていた。この間の房総半島での戦いでは、味方がもっともっとずっとたくさんいたけれど。今回は、味方があまり多くないのだ。

 

ジョンソンさんは、とても大柄な黒人士官。

 

屈強な肉体の持ち主で、見かけ通りの高い戦闘力の持ち主だ。今回も新型のアサルトライフルを自ら撃ち放ちながら、指示を出してくる。

 

「池口、キャリバンから降りて掃射にくわわれ。 ナナコ、お前はスティングレイで敵を確実に落とせ」

 

「イエッサ!」

 

つまり、ナナコちゃんの支援に入れと言う事だ。

 

渡されているAF20の安全装置を外すと、中空にうち込む。光の弾を放つAF20は反動が小さくて、とにかく扱いやすい。弾の威力も、今まで使っていたAF14とは比較にならない。

 

飛行ドローンが、踊る様にして機動を乱す。弾丸が直撃したのだ。動きが止まったところに乱射を浴びせると、爆裂。

 

一機目。

 

だが、敵はとにかくたくさんだ。

 

ふらふら飛びながら、此方にレーザーを放ってくる。次々敵を落としているジョンソンさんが、舌打ちした。

 

「数が多いな。 エミリー、其方は」

 

「支援は続けてるわよ?」

 

「更に続けてくれ」

 

「他のレンジャー隊が苦戦しているの。 其方は自分たちでできる限りどうにかしてネ」

 

空に、無数の光が走っているのが見えた。

 

しかもその光は、自動追尾で飛行ドローンを襲っているのだ。確かウィングダイバーに支給された、非常に強力な多数追尾殲滅兵器だ。名前は覚えていないけれど。他の参戦部隊は、かなり対空攻撃が軽減されていること疑いない。

 

「日高、グレイプRZで支援」

 

「イエッサ!」

 

最近部隊に加わった日高軍曹が、グレイプに飛び込むと、速射砲を撃ち込みはじめる。

 

この人は何というか、とても面倒見が良くて、皆に自然に慕われる。お父さんは無能とか色々悪口を言われている様だけれど。

 

この人の悪い話は、聞いたことがない。速射砲が直撃すれば、飛行ドローンもひとたまりもない。巨大生物は一撃とはいかないらしいけれど、それでも。空を飛んでいるという事は、それだけ防備にハンデが加わるのだ。例え異星の技術を使っているとしても。

 

レーザーが飛んできて、思わず体を庇った。

 

アーマーで軽減されたけれど、直撃だ。歯を食いしばって、中空にAF20を乱射。弾をばらまいているうちに、数機が止まる。止まったところに乱打を浴びせる。また落とす。慌てず、ゆっくり落としていく。

 

だが、敵の数が増える。

 

どんどん増える。

 

落とす以上に。確実に、敵は増えていく。

 

更に、四足が、露骨に近づいてきているのが見えた。

 

辺りには飛行ドローンの残骸が多数散らばっているが、そんなのはお構いなしという風情だ。

 

見るとジョンソンさんも、かなり被弾している。

 

「前線を下げる。 グレイプRZとキャリバンに乗れ」

 

「イエッサ!」

 

遠くの方で、飛行ドローンの群れを引きつけてくれている筅ちゃんのベガルタM3が見えた。

 

だが、構っている余裕は無い。

 

おんぼろキャリバンに乗り込む。一緒に乗り込んできた黒沢さんが、手際よくアーマーを変えていた。

 

バックして、距離を取る。

 

それで分かったが、迫ってくる四足の威圧感が、あまりにも凄まじい。巨大ビルがそのまま、動いて此方に来るかのようだ。あんなのに肉弾攻撃を挑んで、倒したのか。伝説のストーム1リーダーは。

 

途中二回くらい、飛行ドローンの残骸をはねたけど、どうでもいいことだ。飛行ドローンはいたいと思わないだろうし、キャリバンもおんぼろとはいえそれくらいのダメージではびくともしない。

 

「君は意外と雑な性格ですね」

 

「そう?」

 

見ると、グレイプの上にジョンソンさんが上がって、アサルトを乱射している。前線を下げながらも、敵の数を削る努力を怠らないという事だ。

 

凄い衝撃が来た。

 

「池口、もう少し速度を上げろ」

 

「今の、なんですか!?」

 

「掃射砲だ」

 

これが。

 

四足の下にたくさんついているという、おっかない砲台。威力も、飛行ドローンのレーザーとは比べものにならない。

 

「ラベジャー共の四足とは、俺も北米戦線でやりあった。 あれにどれだけの仲間がやられたことか」

 

ジョンソンさんが、英語で呻いている。

 

多分、本当に気分が悪いからだろう。ラベジャーというのは、フォーリナーの向こうでの呼び方だというのは聞いたことがある。

 

英語については、バイザーが翻訳してくれるので問題ない。

 

ようやく少し四足を引き離して、全員降車。私も慌ててアーマーをつけ直した。

 

さっき以上の飛行ドローンがいる。時間は。まだ十分どころか、五分程度しか経過していない。それなのに、こんなに前線が下がったのか。

 

「このままだと、いずれ空軍の支援無しで、あいつらとやり合うことも出てくる。 覚悟は決めておけ」

 

ジョンソンさんの声は据わっていて。

 

ドスが利いていた。それはきっと、地獄を生き抜いた男のすごみだろうと思った。

 

 

 

「レンジャー6、後退! 敵の掃射砲により、数名負傷! 飛行ドローンの猛攻により、戦線が崩されつつあります!」

 

「レンジャー10と合流し、体勢を立て直せ! 負傷者は戦線から下げろ」

 

「イエッサ!」

 

キャリバンが行き交っているのが分かる。

 

ジョンソンの指示で、多分日高が運転しているのだろう。そうなるとグレイプはオートパイロットか。

 

ヘクトル十機目。私はブースターで突進。飛んでくるガトリングの弾を左右にスラスターで避けながら、至近。跳躍し、腹を蹴って頭上に。頭から、ガリア砲を叩き込んでやる。

 

脳天から股下に抜けた弾が、ヘクトルを沈黙させた。

 

着地。

 

呼吸を整えながら、四足を見る。

 

此方のダメージも大きい。

 

だが四足はと言うと、まだまだ平気。次々と、ヘクトルと飛行ドローンを繰り出してきている。あの中に、一体どれだけの敵を蓄えているのか。ヘクトルは此方で引き受けているが、飛行ドローンはもう捌ききれない。

 

ウィングダイバー13から、支えきれないと悲鳴まじりの通信が来た。

 

ミッドナイトの到着まで、まだ少しある。

 

更に、ろくでもない通信。

 

「此方ミッドナイト。 到着が数分遅れる」

 

「何があった」

 

「進路に飛行ドローン多数。 現在ファイターが交戦し排除中だが、進路を変えなければならない」

 

「ちっ……」

 

おそらく、此方で処理しきれなかった飛行ドローンが合流し、制空権を奪ったのだろう。

 

ガトリングとガリア砲の再装填を待つ私の後ろで、ヘクトルが砲を振りかざす。

 

エネルギーが充填された砲を、私に向けてくるが、放っておく。結果は見えているからだ。

 

ヘクトルの側面を、イプシロンの砲撃がぶち抜いて、爆裂。

 

再装填が終わる。残骸になり吹っ飛んだヘクトルを、私は一瞥もしない。機械でも、周囲全てを把握できているわけではないのだ。

 

ただ、私は、倒れた相手に、レクイエム代わりの悪態をつく。

 

「馬鹿が」

 

また、向こうから数機のヘクトルが歩いて来る。次の相手は、あれだ。掃射砲も、出来るだけ片付けておかなければならない。

 

向き直る。敵戦力は先とほぼ同等。そろそろアーマーの替えが欲しい所だ。弟が、通信を入れてくる。

 

「姉貴、もう俺たちで倒すか」

 

「いや、もう少し様子を見よう」

 

ガリア砲で、先頭の一機を狙撃。

 

頭が吹っ飛んだヘクトルは、それでも歩いて来る。其処へ弟が、ライサンダーの弾丸を二発、立て続けにうち込む。

 

ライサンダーを2丁持っているから、出来る技だ。

 

流石にライサンダーの弾を二発、それも同じ場所に叩き込まれて、ヘクトルもひとたまりもない。爆発して吹っ飛ぶが、すぐに次が前に出てくる。同胞の亡骸を、容赦なく踏みにじりながら。

 

四足は既に、側面である。

 

戦いながら移動して、正面を避けたのだ。新兵達にも教えたとおり、四足の正面には絶対に立っては行けない。

 

四足正面は武器の類が確かに少ない。

 

しかし、その巨体と重量が、充分な武器になるのだ。

 

その上重量は、移動の邪魔にならないと来ている。超科学は魔法と変わらないという話があるが、その見本の様な光景だ。

 

掃射砲が届きはじめる。

 

前の戦いでも、あれには随分手を焼いた。

 

「これから俺が掃射砲の処理を行う。 姉貴、ヘクトルを抑えてくれ」

 

オンリーの回線を切る。

 

涼川はと言うと、とても楽しそうにさっきからU-MAXでグレネードを叩き込み続けている。

 

爆発物を扱わせると、涼川の右に出る者は無い。

 

好きなように暴れさせておけば良い。それで涼川は、最大の破壊力を発揮する。

 

掃射砲の射程に入ったので、スラスターをふかして、立ち位置を調整。先ほどから、射程のぎりぎりに出たり入ったりしながら、敵の攻撃を誘いつつ、ヘクトルを叩いているのだ。

 

飛行ドローンは、味方部隊に向かった奴は放っておく。

 

それ以外は谷山とエミリーに任せる。

 

ガリア砲をうち込み、長距離砲を持っていたヘクトルに直撃させる。その瞬間、ヘクトルが射撃。

 

弾は明後日の方向へ飛んでいく。ヘクトルに対して使える戦術の一つだが、実行できる人間はあまり多くない。卓越した判断力と狙撃技術がともに備わらないといけないからだ。実のところ、私も毎回は成功しない。

 

「さて、そろそろだな」

 

距離を取りながらの時間稼ぎも、此処までだ。

 

今までは上手く行っているが。ミッドナイトが、到着しないことを想定して、此処からは動かなければならない。

 

その時、である。

 

不意に、四足の腹部。見覚えがない位置に、掃射砲がせり上がってきた。

 

「涼川」

 

「あん? おっと、あぶね。 下がるか」

 

涼川も、声を掛けるだけで、意図を理解してくれた。

 

しかし、下がらせないと言わんばかりに、掃射砲がレーザーをうち込んでくる。射程は。明らかに、此方の行動範囲をカバーしていた。

 

スラスターを噴かし、盾でガードしながらさがる。

 

しかし、ここぞとばかりに、ヘクトル数機が、攻撃を集中してくる。盾が凄まじい負荷に悲鳴を上げる中、ガリア砲をうち込む。

 

ヘクトル一機を粉砕。

 

しかし、レーザーのダメージで、盾がオーバーヒート。弟がライサンダーから弾丸を叩き込むが、飛行ドローンが不意に数機、射線に割り込んできて、弾を受け止めて爆発する。

 

それだけではない。

 

不意に、四足が向きを変える。

 

今まで右斜め後ろについていたのに、側面になる形で。しかも、側面には、今の長射程レーザーが、数機ついている。死角になっていて、見えなかったのだ。明らかに、意図的な行動である。

 

「ちいとまずいみたいだな!」

 

涼川の声に応える余力も無く、全力で走る。

 

ビルの影に逃げ込むが、レーザーは容赦なく追ってくる。周囲にいる部隊にも、慌てて指示を飛ばした。

 

「敵が長射程のレーザー掃射砲を出してきた! 距離を取れ!」

 

「わ、分かりました! 後退します!」

 

盾を見て、舌打ち。

 

これはもう使えない。弟も距離を取りつつ、掃射砲を打ち抜いているが。今ライサンダーで砲撃して潰したものを除いて、四機が稼働している。しかも一機は、明らかに上空を狙える。しかもそれに限って、弟の射線から外れている有様だ。

 

ミッドナイトに、敵の向きと、射撃角度について連絡。

 

方向転換をするため、更に数分が遅れると連絡があった。

 

盾を放り捨てると、ずしんともの凄い音。

 

涼川がビルの影から時々顔を出してU-MAXをうち込んでいるが、ヘクトルは容赦なく近づいてくる。

 

「火力がたんねーな。 噂のジェノサイドガンがあればなあ」

 

「噂に過ぎない武器だ」

 

「わーってるよ。 どうする、もっと戦線下げるか」

 

掃射砲からのレーザーが、至近の壁を直撃。

 

赤熱したコンクリートを見て、口笛を吹く涼川。おもしろがっているのだ。

 

位置を取り直したらしい秀爺からの支援狙撃で、ヘクトルが一機消し飛ぶ。だが、四足はまだまだこれからと言わんばかりに、追加のヘクトルを出してくる。

 

掃射砲も凄まじい稼働を示していて、殆どレーザーが雨の様に此方に降り注いできていた。これでは迂闊に近づけないが。

 

一瞬だけ顔を出すと、私はガリア砲をうち込み、掃射砲を一つぶちぬいて黙らせた。だが、である。ヘクトルの接近が早い。しかもヘクトル共は、此方が隠れているビル以外に射撃を浴びせ、射角を確保していた。逃がさないという意思表示だ。

 

「こちらウィングダイバー13! 敵との交戦で損傷率大きく、撤退を希望!」

 

「こちらレンジャー10! 同じく損害大きく! 援軍をこう!」

 

「ちっ、なさけねーなあ」

 

涼川がぼやく。

 

また一機、ヘクトルが秀爺の狙撃で破壊される。弟も、掃射砲を一つ打ち抜くが。四足がまた向きを変えはじめる。ミッドナイトにはリアルタイムで四足の向きがリンクされているから、大丈夫だとは思うが。しかしこれは厄介だ。

 

ヘクトルが一機、大口径砲を此方に向けてきた。

 

とうとう隠れているビルを吹き飛ばし、此方を一網打尽にするつもりだ。少し離れた位置にいる弟が、大口径砲ヘクトルを打ち抜いて、爆破するが。次の瞬間、その死角にいたヘクトルが、両手の巨砲を撃ち込んでくる。

 

ビルが倒壊。

 

濛々たる煙を斬り破る勢いで、射撃が此方に飛んでくる。

 

涼川と二人、下がりながら射撃。

 

辺りは既に、隠れる場所もない。何発か、大威力の射撃が、フェンサースーツを掠める。涼川が下がりながら、U-MAXをうち込む。

 

その時。

 

私は却って、前に出ていた。

 

アーマーの防御能力は、そろそろ限界に近い。フェンサースーツも、負荷が間もなくイエローに達する。

 

だから、こそだ。

 

弟も意図を察してくれる筈。私はガトリングを回転させるヘクトルに、接近。ブースターを全力でふかし、飛ぶ。掃射砲が。私を狙っていた奴が、一つ弟の援護射撃で吹っ飛ぶ。秀爺の狙撃で、ヘクトルの上半身が消し飛ぶ。

 

ガトリングを発射しようとしていたヘクトルの真上に跳んだ私が。

 

真下に、ガリア砲を叩き込んだ。

 

脳天から足下へ弾が抜け、ヘクトルが糸が切れたマリオネットの様に倒れ、爆裂。ブースターで地面に加速し、着地。ハンマーを振りかぶると、一体の足を掬う。体勢を崩したところに、涼川のU-MAXのグレネードが着弾。爆破で、傾いだヘクトルが地面と接吻した。

 

至近。

 

真後ろに、今の猛攻を耐え抜いたヘクトル。

 

射撃などせず、腕を振るってくる。

 

スラスターをふかすが、掠った。それだけで、吹っ飛ばされる。空中でどうにか体勢を立て直すが、アーマーは根こそぎ持って行かれた。

 

「此方ミッドナイト! よく持ちこたえてくれた! まもなく戦線に突入! ファイターαβγ、支援頼む!」

 

ミサイルが多数飛来、飛行ドローンを根こそぎ吹き飛ばした。

 

上空にわずかに顔を向けたヘクトルの横面を、弟のライサンダーから放たれた砲撃が直撃し、吹き飛ばす。ヘクトルがよろめいたところに、涼川が長距離からにもかかわらず、的確にU-MAXのグレネードを直撃させた。

 

上半身が綺麗に吹っ飛んだヘクトルが、隣にいた奴に持たれる様にして倒れかかる。其処へ、秀爺の狙撃が完璧なタイミングで炸裂。まとめて粉々に消し飛ばす。

 

直衛のヘクトルが、いなくなる。

 

まだ、支援のヘクトルを出そうとする四足だが。

 

既に遅い。

 

「総員、集中攻撃! 攻勢に出て、残余を狩れ!」

 

「イエッサ!」

 

味方が、最後の気力をふるって、反転攻勢に出る。

 

私も、掃射砲の射撃を浴び、フェンサースーツのダメージが見る間に限界に向かっていくが、それでも攻勢に出た。

 

ガリア砲で、ぶち抜く。掃射砲が粉々になって落ちる。

 

ミッドナイトが見えてきた。三機のファイターも。

 

ファイターはずんぐりした機体をしているが、頑強で動きも速い。1対百の兵力差でも、制空権を維持というコンセプトで作られただけに、生半可な数の飛行ドローンは寄せ付けないのだ。

 

四足の、二連砲が動き出す。

 

最後の一撃をとでもいうのだろうか。

 

「悪あがきを……!」

 

「いや、あたしに任せな」

 

煤だらけの涼川が、前に出てくる。

 

そして数秒だけ狙いを定めると、U-MAXからグレネードを撃ち放つ。

 

曲線を描いて、グレネード弾が飛ぶ。

 

これの扱いについて、涼川の右に出る戦士などいない。

 

見事。

 

二連砲の筒に入り込んだグレネードが、一瞬だけ、四足の動きを止めた。勿論頑強な四足だ。あの程度で壊れるほど柔ではないが、機械にパニックを起こさせるには、充分な、異常すぎる精密狙撃だったのだ。

 

そして、四足が再び動き出したときには。

 

その掃射砲は丸裸に剥ぎ取られ。

 

周囲には、EDF隊員が殺到して、投下したばかりのヘクトルをよってたかって叩き潰し。

 

上空では。

 

ミッドナイトが、新型バンカーバスターである、グラインドバスターを投下していたのだった。

 

わずかに動いて直撃を避けようとする四足を。

 

情け容赦なく、異常なほどの精密さで直撃したグラインドバスターは。かって戦術核にも耐え抜いた装甲を貫通し、内部で気化爆弾並みの爆発を起こした。

 

閃光。

 

轟音。

 

世界から、一瞬だけ。

 

音も光も、消えたかと思えた。

 

だが、再び音も光も戻り。

 

世界が動き出す。

 

内側からずたずたにされた四足は、格納していたらしい大量のヘクトルや飛行ドローンもろとも、全体の装甲から煙を噴き上げつつ、その動きを止めた。

 

おそらく、反重力による姿勢制御装置も破壊されたのだろう。

 

右に、傾きはじめる。

 

「退避!」

 

弟が叫んで、レンジャー部隊を避難させる。

 

傾きは徐々に大きくなり。そしてほどなく、膨大な瓦礫を吹き飛ばしながら。以前の戦闘では、極東の戦力の大半を容赦なく踏みつぶしていった怪物は、地面との抱擁を余儀なくされたのだった。

 

「四足歩行要塞、沈黙! 勝利です!」

 

「うぉおおおおおおおおーっ!」

 

「EDF! EDF!」

 

喚声が爆発する。

 

立ち尽くす私は、息を整えながら、だが思う。

 

敵の動きは、やはり鈍い。

 

グラインドバスターも、本当に今後効き続けるか分からない。勝ったと思うには、まだ早すぎると。

 

 

 

すぐに調査部隊が、戦場に到着。

 

敵の残骸を回収していく。四足は、おそらく重機として開発されたらしい、大型のベガルタが数機がかりでトラックに運び、持っていった。東京基地に運び込み、解体して分析するのだろう。

 

エミリーが側に着地。

 

私と並んで立っている弟に、状況を説明しはじめた。

 

今回の戦いでは、死者は十名を超えなかったという。

 

「以前あれだけの被害を出した四足要塞を相手に、画期的戦果よ。 ただ、悪い知らせが、一つ」

 

「嫌な予感がするが」

 

「もう一機、四足要塞が先ほど上陸したらしいわ。 しかもヘクトルの大部隊がいる静岡によ」

 

「おかわり、というわけではなさそうだな」

 

橋頭堡は橋頭堡として確保しておく、という事か。

 

その上、また四足が来たと言うことは、簡単に攻撃はできない。房総での迎撃戦並の戦力を集中し、相当な被害を出す事を覚悟しなければならないだろう。四足は直衛を従えて進撃するとき、最大の実力を発揮するのだ。

 

日高司令から通信が来る。

 

「勝報を受け取った。 さすがはストームチームだ。 今の時点で敵の動きはない。 出来るだけ今のうちに休んでおいてもらえるか」

 

「そうさせて貰います」

 

「幾つか、各地のEDF部隊から対処が難しいと報告がある案件がある。 君達に対応して貰う事になるかも知れない」

 

日高司令の宣告はもっともであり。

 

そして、静岡に敵の大部隊が居座っている以上、いつストームに撃破命令が来てもおかしくないという事実も物語っていた。

 

一度基地に戻る。

 

全員ぼろぼろになっていた。特にエミリーは、左腕に包帯を巻いている。さもありなん。有利な位置を確保していたとはいえ、ずっと殲滅火器を撃ち続けていたのだ。近寄られた場合、対処が難しかったことは、容易に想像できる。

 

弟が、皆を見回した。

 

負傷よりも、疲弊が酷い者が多い。特にレンジャーチームを助けて廻っていた筅は、ぐったりして、顔も上げられないようだった。

 

「敵は今のところ、動きを見せていない。 静岡の一角は占拠されたままだが、膠着状態に落ちたと見て良い。 敵が動けば連絡が来る。 今のうちに、休んで貰いたい。 医療チームに、診断も受けるように」

 

「イエッサ」

 

数時間だけ自由時間が与えられるが、涼川でさえグレイプの中で座るやいなやに落ちてしまったほどだ。

 

一時間ほどグレイプを走らせる。それも、私が運転した。

 

ベガルタは弟が。秀爺夫妻は、イプシロンをオート操縦にして、眠っているようだった。

 

日高軍曹だけは少し事情が特殊だ。

 

彼女はまだ余力があると言う事で、レンジャーチーム、ウィングダイバーチームの負傷者をピストン輸送する作業に加わって貰っている。ぼろぼろのキャリバンだが、機能だけは低くないのだ。

 

いずれにしても、浜松基地に戻り、其処で休む事になる。

 

弟が、オンリー回線で話しかけてきた。

 

疲れているのは、弟も同じ。星の船を落とした弟であっても、体力には限界があるのだから。

 

「姉貴、一つ気付いたことがある」

 

「どうした」

 

「今回、途中で四足が新型の武器を出してきただろう。 やはり彼奴らは、此方に合わせて戦っていると思う」

 

「……そうか」

 

以前、一度だけ、弟に言われたことがある。

 

フォーリナーは、人類の文明規模に合わせた軍を出してきて、戦っているように思えると。

 

そして一度兵器のバージョンアップが行われると。

 

それは即座に、全体に波及するのだ。

 

この事に関しては、私もそう肌で感じてはいる。だが、巨大生物は全て同じ種類の生物では無いのだろうかという疑念と同じ。確固たる証拠はない。それに、あったとしても、口にするつもりは無い。

 

本部が信用できないのなんて、昔からだ。

 

何もそれは、自分たちだけが考えていることでは無い。

 

ジョンソンが、少し前から、言っている。

 

黒沢が、余計な事を嗅ぎ廻っていると。場合によっては、口を塞がなければならなくなるとも。

 

そんな事はしたくないし。ジョンソンにもするなとは言ってある。

 

確かに機密にハッキングしたりしなければ、黒沢を殺す理由にはならない。本部から目付役として派遣されているジョンソンにも、そんな事はさせない。黒沢を選んだのには理由があるし、ある程度行動も見逃せとも。

 

ジョンソンだって、本部に無償の忠義を誓っているわけではない。

 

いずれ、真相には、誰かが近づかなければならないのだ。

 

浜松基地が見えてきた。そのまま、全ビークルに指示を出して。待機しているヒドラへと直行。

 

ヒドラにビークルごと乗り込むと、全員を起こした。

 

弟が、皆に指示を出すのを横目に。私は、あくびをしている皆と一緒に並んだ。

 

「制空権は確保できている。 すぐに東京基地に向かう。 向こうで休憩とする」

 

「イエッサ!」

 

「道中はする事もないので、しっかり休んでおくこと。 私も休むことにする」

 

新兵達、筅、黒沢、池口を呼ぶ。前に出た三人に、辞令を発行。

 

今日から三人は軍曹だ。

 

こなした戦闘、倒した敵の数。いずれもが、軍曹になるに相応しいからである。此処に三川と原田がいないのは、本当に惜しい。

 

だが、東京基地に、もう矢島が来ていて。そして原田も間もなく復帰出来るという事なので。二人もすぐに、軍曹になる事が出来るだろう。

 

ヒドラが出る。

 

臨戦態勢のままの浜松基地を離れる。

 

兵士達が敬礼している。私は部隊の皆と一緒に、敬礼に応えた。




死闘の末に四足歩行要塞を撃破。

しかし即座にお代わりが登場です。

八年前の戦闘でも、複数が同時に出現した兵器です。驚くには値しませんが……

そもそも八年前よりも強化されている状況である事が確認されています。

楽観は出来ません。
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