地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
港湾地帯での戦闘が始まる。
長距離砲を装備したヘクトルばかり、山の様に押し寄せてくる。味方の迎撃部隊も長距離兵器が中心になる中。ストームは、狙撃を秀爺のイプシロンに。高空戦力をバゼラートの谷山に任せて。
後は近接戦を挑んでいた。
ただし、矢島だけは高高度強襲ミサイルを装備させて、後方支援だ。フェンサースーツでの機動戦前提の装備が整うまでは、こうして固定砲台になってもらうしかない。シミュレーションでガリア砲も扱わせたが、此方も命中率が高いとは言いがたい。
念のため、もう一つ装備も渡してある。
ディスラプター。
フェンサー用に開発改良された、一種の近接戦闘用決戦兵器。レンジャーのフュージョンブラスターに等しい運用を想定された武器である。いざというときは、接近した敵をこれで焼き払え。
そう矢島には指示してある。
実際の破壊力はそうフュージョンブラスターに劣るものではなく、継戦能力こそないが、ヘクトルだったら簡単になぎ倒せる。
矢島の放つミサイルが、次々ヘクトルに着弾するのを横目に、私はスラスターをふかして横移動。
ガトリングをぶち込みつつ、時々ガリア砲を入れる。
弟は近くの倉庫の屋上に陣取って、其処からライサンダーでの狙撃を継続。側には、エミリーもいて、MONSTERでの狙撃を行って貰う。
敵を効果的に削り続けていた。
今回、ベガルタは後方待機。いざというとき、前線に乱入してきたヘクトルと戦って貰う。
逆にグレイプRZは、涼川を乗せて、彼方此方を疾走。
涼川は楽しそうにスタンピートで、至近距離からヘクトルを爆破して廻っていた。勿論ヘクトルからの反撃も山の様に飛んできているけれど。見事なドライビングテクニックで、全てかわしている。
池口に任せておいて、正解だったか。
中距離には、ジョンソンと新人達が位置して、主にスティングレイで攻撃を続けている。
戦況は順調に推移。
ストームだけでは、これだけの大群を抑えきれない。味方の支援部隊が、かなりの数いる事が大きい。
間もなく、四割ほどの戦力を喪失したヘクトルの部隊は、撤退を開始。
味方もそれなりの被害を出しており、追撃の余裕は無かった。後は海上に展開している第五艦隊に任せる。
敵の撤退と同時に、秀爺から連絡が来た。
「イプシロンに被弾。 幸い此方は無事だが、次の戦いまでに修理が間に合うかはわからん」
「分かった。 無事で何よりだ」
「此方も被弾」
谷山からだ。
見ると、バゼラートが火を噴いている。着地はしたが、かなり手酷い打撃を受けていた。谷山ほどの名手でも、失敗することがあるのか。
ヘクトルの長距離砲が掠ったのは、一目で分かる。
まあ、今回の敵は、物量が相応だった。谷山ほどの達人でも、完勝は難しかった、そういうことだ。
味方の戦車、自走ロケット砲、イプシロンにも、損害がかなり出ていた。
ストームが前線にもう少し早く到着していれば、どうにかなっただろうか。いや、そうもいくまい。
幸い、長距離戦主体だったため、人員被害は最小限だったのが救いだ。ただ、これから整備班は、寝る暇も無いだろうが。
バゼラートから谷山が降りてくる。
話しかけようとした私に。真っ青になった日高軍曹が、駆け寄ってきた。
「は、はじめ特務少佐!」
「どうした?」
「父から通信です! 急用だと……」
何だろう。
バイザーを専用回線に切り替える。すぐに、惨状が飛び込んできていた。映像付きの連絡だったのだ。
戦闘が行われた、静岡北部平原地帯の映像である。
破壊されたベガルタM2の残骸から、煙が上がっている。
対して、ヘクトルの部隊は、半数以上が健在。
まさか。
あのベガルタの部隊には、エース級のパイロットも少なからず搭乗していたのだ。
もう一度、結果を確認する。
ベガルタM2による、ヘクトル迎撃部隊が壊滅。
指揮を執っていた極東司令部プロテウスは、中破していた。
山梨戦線は、完敗である。今の時点で四足は動いていないが、ベガルタによる機甲部隊の壊滅は、大きな衝撃を、EDFに与えていた。
慌てて、弟も此方に来る。
おろおろしている日高は、此方に来たエミリーに任せる。キャリバンが走り回っている音が、妙に遠くに聞こえた。
弟が、日高中将との通信確保に成功。
日高中将の声は、疲れ果てていた。
「ストーム、チームか」
「何がありました」
「敵の新型だ。 正体は解析中だが、空爆もベガルタの攻撃も、ことごとくを防ぎ抜いた」
いくら何でも、そんな馬鹿な。
三脚の移動マシンで、それほど素早くはないそうなのだけれど。ドーム状のシールドを展開することが出来、それで此方の攻撃全てを防ぎ抜いたのだという。
プロテウスは殿軍となって、敗走する味方を支援。
敵を相当数は破壊したが、中破し、今はどうにか逃げ延びて、山中にて孤立しているという。
このプロテウスが孤立すると言う事は。
極東司令部が、敵の中に取り残されているという事に等しい。
「日高中将はご無事ですか」
「今はどうにか。 すぐに、山梨へと来て貰えるか。 今最終防衛ラインを構築している所だが、心許ない」
「分かりました。 直ちに向かいます」
もしもヘクトルが山梨までのラインを確保したら、その時点で四足が動き出す。
そして四足が山梨に到達したら。
関東は、今度こそ消滅する。東京支部も、無事では済まないだろう。
舌打ちすると、弟は叫ぶ。
「すぐに総員ヒドラに乗れ! 山梨に向かう!」
イプシロンもバゼラートも、次の戦いには間に合わないだろう。グレイプRZも、整備が間に合うかどうか。
その上敵には正体不明の新型。
連戦に等しい状況。
更に、エース級のパイロットが乗ったベガルタでも、歯が立たなかった相手。
条件があまりにも酷すぎる。フォーリナーは物量を生かすことを全く躊躇わない。分かってはいるけれど。
此処までの悪条件が、まさかこんな開戦から間もない時期に来るとは。
ヒドラは戦場の隅で待ってくれていた。
煙を上げているイプシロンは、牽引用のギガンテス改良型が、ヒドラに引っ張り込んでくれる。
山梨で作られているという防衛ラインには、整備班くらい来ているだろう。秀爺夫妻は。探すと、いた。
確かに無事だ。
「これは困ったわねえ」
ほのかが、目を細めてイプシロンを見やる。
しかし、意外に秀爺は落ち着いていた。
「何、山での戦闘は儂らの独壇場だ。 敵を一匹たりとて生かしてはかえさん」
「あなた、それはそうですけれど。 ただ、孤立しているプロテウスが心配だわ」
「まずはその救出から、だな」
グレイプRZが来る。
車上に乗っていた涼川が、不愉快そうにしている。というのも、最後の最後で、ヘクトルの長距離砲を至近から喰らったそうなのだ。
アーマーは耐え抜いた。
グレイプRZも。
しかし、速射砲が機能不全を起こしているという。
最悪だ。
まだ涼川は、急な移動の理由を知らない。弟が説明すると、唖然としていた。
「なんだと」
「おそらく、次の戦いでは、山中で正体不明の相手に、肉弾戦を挑む事になる」
「上等だぜと言いたいが、正直洒落にならんな」
「プロテウスの撤退支援もおまけ付きだ」
噛み煙草を吐き捨てる涼川。
ヒドラの発進準備が整う。
今日は最悪の状態での連戦が続いているが。最後に本命が残っていたことになる。
全員を整列させると、弟は咳払いした。
「少し前に入ってきた情報だ。 静岡北部で、ヘクトルの大部隊に味方ベガルタ部隊が大敗。 指揮を執っていたプロテウスは中破。 幸い司令部は今だ健在だが、山中にて孤立し、撤退支援を待っている。 これよりストームは日高司令を救出するために、山梨に飛ぶ。 事は一刻を争う。 遅れれば日高司令は命を落とす事になるだろう」
「……っ!」
口を押さえた日高軍曹が痛々しい。
普段は社交的で明るいだけに。落ち込みも激しいのが分かった。
「見ての通り、味方はビークルをほぼ活用できない。 敵には正体不明の新型がいる事が分かっていて、おそらくそれと山中で近距離肉弾戦をする事になる。 勿論我々が前衛に立つが、支援も重要になる。 新兵諸君も、今まで以上の奮闘を期待する」
ヒドラに乗り込む。
慌ただしく、巨大な輸送ヘリが動き始めた。
今、EDFの科学班はてんやわんやの筈だ。すぐには流石に敵の正体を分析しきれないだろう。
最悪のアンノウンとの、近距離戦。
かってない悪夢が、迫ろうとしている。私は、これは四足とはじめてやり合ったとき以来だなと、心中で呟いていた。
(続)
苦戦するEDFですが、四足歩行要塞の撃破にも成功。
大気圏突入中のマザーシップ撃墜も含めて、大きな戦果と言えます。
しかし、確実に消耗していくEDF。
フォーリナーは余裕綽々のまま、確実に駒を進めていきます……
新兵器まで、悠々と投入しながら……