地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
それだけ、事態は切迫していました。
たった七年の平和が、嘘であったかのように。
一定の訓練を受けた新兵達が、私の所に廻されてくる。
武器の使い方を覚え。
渡された高性能リンクバイザーについても使い方をマスターする。
それでやっと、兵士としてはどうにか戦場に立てる。
EDF隊員に共通して渡されるバイザーは、ヘルメットと一体化していて、高機能のリンクシステムが搭載されている。
これにより、周辺にいる味方、敵勢力、それに通信などが、兵士達全員に共有できるのだ。
かって戦車などにも似たような機能があったけれど。
今では全ての兵士に、それが行き渡っている。このため、通信兵という兵種は、事実上戦場から消滅した。兵士と司令部が、そのままやりとり出来るからだ。
整列した新兵達。
入隊した当初より、大分訓練で鍛え上げられて、顔つきも精悍になっている。
戦闘に関しては適正も大きいけれど。
その適正を生かすには、まずは地金となる体力や筋力だ。
大きく戦場が様変わりした今でも、これについては変わっていない。
「それでは、皆に巨大生物と戦って貰う。 シミュレーターだが、これは実戦だと思って欲しい」
「イエッサ!」
応答の声も、かなり様になってきている。
頷くと、私は、シミュレーターに新兵達を入れた。
シミュレーターは大型の卵のような形状をしていて、内部には多くの席が用意されている。
其処に据え付けられたヘルメットを被ることにより、バーチャルリアリティで感覚を代替する。
一種の仮想空間で、巨大生物との戦闘が行えるのだ。
昔は酷い代物だったが、最近はかなりリアルに近づいている。かくいう私も、最高難易度で、時々利用しているほどだ。
まず最初は全員を自由に戦わせる。
一人、小柄な女性兵士。空爆課に行くと言われていた筅木香(ささらこのか)が、敬礼した。彼女はクローン第一世代だが。話していると、普通の人間と変わらない。
普通の家庭で暮らしてきているからだ。
クローンは肉体年齢十二歳ほどまで急速成長させ、基礎知識をインプットした後は、色々な環境に送り出される。
筅の場合は、五年ほど一般家庭で暮らした後、色々考えた末にEDFに来たという。ただデータで見ただけだ。本人とはっきり話をした事は無い。
「教官殿! 何かアドバイスはありませんか」
「まずは実戦を経験することだ。 お前は空爆課だから、兵器も与えられる。 上手く活用して戦ってみろ」
兵器と言っても、歩兵戦闘車両グレイプだ。
いきなり新米の空爆課に、ギガンテス戦車やベガルタ、ヘリは扱わせない。とはいっても、グレイプも、使いこなせば充分な速力と装甲、火力を有している。
頷くと、筅は他の兵士達と一緒に、シミュレーターヘルメットを被る。
私もフェンサースーツのバイザーに、兵士達の状況を映し出した。
新兵達三十名は、まず無人の街に放り出される。
周囲は百を超える巨大生物の群れ。
今回は黒蟻だけだが。
この数の新兵が、勝てる相手では無い。
戦いはすぐに始まった。
新兵達のバイザーには、敵の位置が表示されているはずだが、それでも結果は同じだ。使い方を知っていると、戦場で使えるは、別の話。
黒蟻の思考ルーチンは、実戦を担当した人間がインプットしている。
巨大なムシだから、頭が悪いと思っているなら、それは間違いだと、すぐに戦場に出れば思い知らされる。
奴らは群れで一つの頭。
連携は当然のようにこなしてくるし。
陽動も強襲も自在に使う。更に、人間の弱点が頭上や背後である事も、把握しているのだ。
見る間に状況は、阿鼻叫喚へと陥っていった。
新兵達を捕捉した黒蟻たちは、一気に包囲の輪を縮め、四方八方から酸を浴びせはじめる。何しろ体長十メートルの巨大な蟻が、ビルを自在に這い回りながら、立体的な攻撃を浴びせかけてくるのだ。
必死に反撃する新兵達だが。
連携など取れているはずも無い。
見る間に酸を浴びせられ、ロスト。ロスト。ロスト。如何にアーマーが進化しているとは言え、これだけの数の蟻から酸を浴びせられれば、ひとたまりも無い。戦車も溶かす酸なのである。
グレイプに慌てて飛び乗った筅が、搭載されている速射砲で周囲を撃ち始めるけれど。蟻の動きは速い。速射砲が直撃すれば効果があるが、それでも一発では倒せない。
これは、五匹も倒せるかな。
私は冷静に、そう判断していた。
一匹、蟻が吹っ飛んだ。
新兵の中にいるクローン兵がやったのだ。第三世代のクローンで、黒沢兵司という。寡黙で大柄な青年で、授業でも無駄口を叩いたことは無い。戦闘能力は高いが、何を考えているかよく分からない。初期に質問をしてきた眼鏡の青年が彼だ。この状況で、中々に冷静な判断である。
彼は支給されているロケットランチャー、スティングレイを駆使して、的確に黒蟻を撃破した。見事な手際だ。覚えておこう。
だが、敵の包囲は分厚い。
パニックに陥った新兵は、フレンドリファイヤするものも珍しくない。
見る間に半減した兵士達を完全に狩りの獲物と判断したらしい黒蟻は。果敢な抵抗を続ける者を集中的に狙い撃ちして、追い詰めていく。逃げ惑う新兵にはお構いなし。この辺りの狡猾さも、巨大生物の恐ろしさだ。
黒沢も数の暴力の前にロスト。グレイプも膨大な酸を浴びせられ、ロスト判定。筅もグレイプから逃げ出したところを、黒蟻に噛みつかれ、振り回されて放り投げられた。地面に叩き付けられたところを、よってたかって袋だたきにされ、ロスト。
抵抗を続けていた者達がやられてしまうと、後は虐殺と化した。
最後の一人がロストするまで、五分と掛からなかった。
最終的な黒蟻の損害は四匹。
それに対して、新人は全滅だ。
愕然としている新人達を、シミュレーターから出して、整列させる。
「思い知っただろう。 これが今のお前達と、敵の戦力差だ。 しかも敵は、次に戦う時は、前より強くなっていると判断した方が良いだろう」
「あ、相手が連携を行っているように感じました。 注意が向いている虫が派手な動きで気を引いて、他は側面や背後に回り込んでくるような」
「そんな馬鹿な! 相手はでかいとはいえ虫だぞ! 虫がそんな、理不尽だ!」
「で、でも」
右往左往する筅に、頭に血が上ったままの他の兵士が怒鳴るけれど。
私が咳払いすると、新兵達は体勢を整え直す。
「筅の指摘通りだ。 黒蟻もそうだが、基本的に巨大生物は連携戦をこなす。 お前達が優秀な装備を渡されていながら、どうしてフォーマンセルの戦術を叩き込まれるか、少しは考えろ。 奴らは人間の弱点を知り尽くしている。 頭上と背後だ。 そして機械以上に正確な連携をこなしてくる。 これは実戦経験者である私が保証することだ。 それに、シミュレーターでは削除しているが、奴らは人間を喰らう」
新兵達が青ざめる。
知っている者も多いはずだ。
あの巨大な蟻たちは。
逃げ惑う市民に襲いかかって。必死に抵抗するEDF隊員に躍りかかって。そして体を食いちぎり。引きちぎり。
その場でばりばり、むしゃむしゃと。
喰らうのだ。
さらわれる者もいた。助かることは無かった。
蟻が餌を巣に運び込んで、次に何をするかなど、わざわざ言うまでも無い事なのだ。
「お前達で相談し、現有戦力で先ほどの数の黒蟻と戦う術について、おのおの考えておくように。 次のシミュレーションは、同条件で明日だ」
このまま、他の四チームも同じ訓練を行う。
本当はもっとペースを上げたいのだけれど。
とにかく、早めに現実を把握させて。
そして、彼らに認識させなければならない。
相手は、人類が有史以降に遭遇した、最強最悪の敵なのだと。
翌日。
筅の所属する班が、少しマシな成果を出した。
状況になれた、というのもあるだろう。
グレイプの装甲と火力を中心にして、円陣を組み、集中的に一体ずつ狙うようになったのである。
しかし蟻も即座に対応。
グレイプに集中攻撃を浴びせて破壊し。後は包囲から、ゆっくり追い詰めて、戦力を削り取っていった。
十六体の蟻を倒したが、チームは全滅。
他の班よりも、多少はマシな成果をだした。二日目でこれなら充分だろう。三日目は、撃退が出来るかも知れない。
ウイングダイバーに所属が決まっている三川仙(みかわせん)の所属するチームは、苦戦が続いていた。
三川はクローンでは無い、前の大戦では子供だった世代の人間だ。
ウイングダイバーの特性を見いだされて、配属が決まっているけれど。中空からの強襲を得意とするウイングダイバーも、支援が無ければその力を発揮しきれない。
二日目からは、それぞれにアドバイスを出していく。
徐々に、訓練が実際のものに近くなっていく。
あくまで武器などを使った実機訓練は、他の教官に一任する。私は実際に近い巨大生物に、新兵達をなれさせる訓練に集中した。
七日目。
ついに筅の班がやった。
半数を失いながらも、ついに黒蟻を全滅させることに成功したのである。
最初に敵の包囲を突破して、後はグレイプを最後尾に配置。敵の火力を可能な限り削ぎながら、後退を続け。追いすがってくる敵や、後方に回り込んでくる敵を優先的にたたくという方法を採った。
いわゆる引き撃ちである。
EDFでは伝統的に用いられている戦術だが、後ろ向きに走りながら正確な射撃をする技術と、その最中も敵の位置を把握する集中力が求められる。その上、基本的に敵の足の方が遙かに早いので、味方と連携が上手く行かなければ死ぬだけだ。敵を的確に処理できなくても、同じ結果が出る。
引き撃ちは四日目からやっていたのだけれど、上手く行ったのは今回が初めて。
へとへとになってシミュレーターから出てきた新兵達に、私は激励を飛ばした。
「よくやった。 大きな一歩だ」
「イエッサ!」
「配置換えをする。 優秀な働きをした何名かを、苦戦している別の班に移す。 戦場では、常にベストメンバーで戦えるとは限らない。 全ての班で黒蟻を処理できるようになったら、次の段階に移る」
フォーリナー共が来るまで、どれだけ時間の猶予があるか分からない。
出来れば対ヘクトル戦までこなせるようにしておきたいのだけれど。敵は、当然待ってはくれないだろう。
訓練を急ぐ。
翌日。筅が抜けた班は、意外な連携を見せて、勝利。ただし前回とほぼ同数の被害を出した。
コツを掴みはじめたのだ。
三川のいる班には、筅が所属。此方は連携が上手く行かず、全滅。しかしその翌日、十名を失いながらも敵を全滅させることに成功した。
ラビットジャンプと呼ばれる、ウイングダイバー式の引き撃ちを、筅が提案したのである。
それに伴い、ウィングダイバーに通常支給されている近距離武器から、中距離武器に切り替えたことも大きかった。
いきなり今までで最大の戦果に、他の班からもどよめきが上がる。
フェンサー適正者である矢島久助の班も、当初はかなり苦戦していたが。此方もシャッフルで黒沢が入ってから、かなり綺麗に連携が出来るようになった。
訓練開始から、十二日目。
五つの班全てで、百二十の黒蟻に勝利することが出来た。
新兵達は、今までは互いの班をあまり良く想っていなかったようだけれど。団結しなければ死ぬと言うことを、身に叩き込んでやったからか。多少は考えも変わったようだ。女子達は会話が多くなっているし、男子も集まって話している事が多くなった。同年代の人間だけでは無く、多少年かさの人間も、集まりに混じるようになっているようだ。
良い傾向だ。
十三日目の訓練では、全てのチームが、損害五名以下で勝利した。覚えが遅い新兵もいるが、それでも現時点で敵を撃破していない者はいない。
次の段階に、移るときだ。
私はそう判断した。
「今日からは、赤蟻を相手にする」
緊張が走る。
赤蟻は、黒蟻よりも強固な装甲と、突進力を誇る強力な巨大生物だ。赤蟻の次は蜘蛛。蜘蛛の次は飛行ドローン。
その後は混成部隊を相手にさせ。
最後に、ヘクトルとの戦いを経験させる。
本当は四人で百数十の黒蟻を倒すところまで進めたかったのだけれど。
それには高度な連携と、敵の動きを読む力。何より、各個撃破を可能にする、冷静な判断力が必要になる。
既に兵士として配属されている者達なら兎も角、新兵にそれを期待するのは、流石に厳しいだろう。
赤蟻との訓練を開始。
黒蟻とは一線を画する強固な装甲に、新兵達は恐慌に陥るとかと思ったが。意外に善戦している。
しかし、奴らの真骨頂は、面制圧を可能にする防御力だ。
戦車砲にも耐える装甲は、生半可な攻撃で倒せる相手では無いし。動きは黒蟻よりも遅くとも、奴が進んだ分、味方は下がらなければならないのだ。
歩兵達の主力はアサルトライフルだが。
火力が少し足りないかも知れない。
事実、初回は全ての班が全滅した。最初のように、パニックに陥ってフレンドリファイヤまで起こすようなことは無かったけれど。
シミュレーターから出てきた新兵達は、みな愕然としていた。
まさか、これほど頑強だとは思っていなかったのだろう。
「何て奴だ。 スティングレイの直撃を浴びたのに、平然と動き回ってやがった……」
生物の常識なんて。
奴らには通用しない。
アドバイスを求められたので、幾つか教えておく。
「基本的な対処は引き撃ちになる。 動きが遅いと言っても、相手の足は此方以上だから、まずそれを止めろ。 そして気をつけるのは突進だ。 普段は動きが鈍いが、体勢を下げてからの突進攻撃は急に素早くなる。 力をため込んで、攻撃時に爆発させているのだろう」
如何に装甲が強固でも、攻撃を激しく浴びれば、少しは鈍る。
つまり面制圧を行う火力を浴びせつつ、集中的に叩いていけば、少しずつ数を減らすことが出来るのだ。
黒蟻の時で連携戦を覚えていた新兵達の向上は早かった。
四日目で撃破する班が出る。
そして、十日目には。黒蟻と同様に、敵を葬るようになれていた。
蜘蛛との戦いを教えている最中に、呼び出しが来る。
日高から直接だ。
何か嫌な予感がする。
地上戦で猛威を振るったヘクトルとの戦いを、新兵達に教えたかったのだが。まさか、もう敵が来るというのか。
すぐに司令部に向かう。
オフィスに入ると、日高は深刻な顔をしていた。
「フォーリナーが、集結を早めている。 おそらく一ヶ月以内に、何かしらの動きを見せるはずだ」
「そんなに早いのですか」
「月面に集結したマザーシップは十隻。 奴らがいつ動き出しても、おかしくはないだろう」
最悪だ。
当たって欲しくない予想が当たってしまった。
単純な数だけでも十倍来るとみて良い。しかも、単体の力はどう考えても上がっている筈だ。
「迎撃の態勢は」
「既に対マザーシップ用の戦略兵器は、いつでも稼働可能になっている。 問題は、それよりも。 潜伏していると思われる巨大生物の活性化だ」
「……やはり来ますか」
「今の時点では、発見できていないのだ。 来るとみて良いだろう」
七年前。
大戦が終わってから、人類がこれほど喜んだ日は無い。地上で巨大生物は駆逐されたと、EDFに発表された。
アリゾナの戦いで、地上で活動していた最後の巨大生物が、討ち取られた日である。
しかし、である。
私は知っている。
それはあくまで、存在が認識されていた巨大生物が、である。
元々巨大生物は地底を主要な活動範囲にしていて、その巣は極めて強力な電波妨害をおこなう物質にコーティングされている。
今までもボーリングなどで奴らの巣を探る試みが行われ。
実際に四年前。
非公式ながら、奴らの巣が一つ、見つかっているのだ。
場所はモンゴル。
大戦の中、殆どこの地域は無人になるまで痛めつけられており、巨大生物が潜伏するのはあまりにも容易な場所だった。
その時は私と弟が、オメガチームとともに極秘で対応。巣に潜って、奴らを殲滅した。
しかし、同じような巣が、世界の各地にあっても、不思議では無い。
「いい加減、弟の軟禁を解いて欲しいのですが」
「勿論、総司令部に掛け合っている。 勿論、彼の戦力はフォーリナー撃退のために必要だという以上に。 私としても、彼にはどれだけ助けられたか分からない。 忸怩たるものはある」
「お願いします」
一礼だけすると、新兵達の訓練に戻る。
これは、訓練のペースを上げた方が良いかもしれない。いつフォーリナーが来るか分からない状況で、巨大生物にさえ対処できないようでは、話にならないからだ。
それに、である。
今まで一人前として各所に配置された兵士達だって、どれだけやれるか分からない。
四年前の戦いでは、精鋭のはずのオメガチームに配属されている隊員にさえ、実戦で怖じ気づいてフレンドリファイヤした者が出た。
三十万まで兵力が回復したEDFだが。
額面通りの活躍が、本当に出来るのだろうか。
こういうとき、フェンサースーツで表情を周囲に見せずに済むことは救いだ。
新兵達の所に戻る。
蜘蛛との戦いは、案の定かなり手こずっている様だった。
シミュレーターから出てきた兵士達が、げっそりしている。信じられないと、顔に書いてある。
蜘蛛。通称凶蟲。
黒蟻や赤蟻とほぼ同じ体格ながら、かなり柔らかい。その点は与しやすいのだけれど、その真の恐ろしさは機動力にある。一度の跳躍で数百メートルを飛び、飛ばしてくる強い酸を帯びた糸も、射程が恐ろしく長い。
特に中空から敵を撃つヘリや攻撃機にとっては、天敵に等しい相手だった。
勿論地上の兵士達にとっても、である。
音もなく周囲を飛び交う巨体が、おぞましいほど正確に狙撃してくるのである。
これにやられて発狂してしまった兵士も、実戦では多く出た。そして発狂してしまっては、まず助からなかった。
だが、アドバイスはあまり多く必要ない様だった。
蜘蛛の群れに対しては、初日から殆ど全員を失いながらも、勝利する組が出たからである。
蜘蛛は着地の瞬間、短いが、隙が出来る。
此方に対して射線が確保できているか確認してから、撃ってくるのだ。
巨大生物は、蜘蛛と蟻で絶対に同士討ちをしない。これは私が戦場で見ているので断言できる。
奴らは姿こそ違えど、別種の生物では無いのだ。意思を持っていて、互いに強烈な仲間意識で結ばれているのである。これは、新兵達には教えられないことだ。しかし、それ故に、対策も出来る。
対策としては、レーダーを冷静に確認すること。
EDFに配備されているレーダーは優秀で、少なくとも平面的な敵の位置は捉えることが出来る。
周囲の地形を把握して。
蜘蛛が、狙撃可能な位置に来た瞬間、狙い撃つ。
先に手さえ出せれば、即座に撃破可能だ。
四日目に、全チームが三十体の蜘蛛に関しては撃破成功。
百体に増やしても、一週間目には全チームが攻略完了した。
残り時間は、あまり多くない。
飛行ドローンについても、シミュレーションをやらせる。
これについては、とばすつもりだった。三日だけ、あまり多くない相手と戦わせて、自信だけ付けさせる。実際問題、飛行ドローンは空軍にとってはその数が問題だが、巨大生物に比べればむしろ与しやすい相手なのだ。
問題はヘクトル。最悪の相手を戦場で目の前にして、どれだけ冷静にやれるか。せめて、戦い方を仕込まなければならない。
もう、実戦まで間が無い今。
私に出来るのは、それだけだった。