地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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ついに東京近郊の巨大巣穴の最深部が見えました。

大きな犠牲を払いつつも、東京近郊に敵戦力の空白地帯が出来る瞬間が近付いています。

勿論、最深部には。

最強の巨大生物が控えている事は、間違いないのですが……


4、四面楚歌

顔を上げた弟が、私を見る。

 

私も、すぐに気付いた。

 

この場所はまずい。

 

通路を私が前衛で、弟がその次で。涼川が最後尾で。ストームチームが陣形を作って、進んでいた。

 

そして、此処に出た。

 

マップ上では、ただの曲がり角だったのに。

 

其処は実際には、七つもの通路が交差する、超がつくほどの交差路だったのだ。

 

スカウトチームはかなり後ろにいる。コンクリの打設で手間取っているのだ。かなり複雑な通路になっていて、起伏も激しかったからである。

 

「まずい、引けっ!」

 

弟が叫ぶと同時に、レーダーが真っ赤に染まる。

 

そして、後方の天井がいきなり崩落。

 

閉じ込められた。

 

「ストームチーム! どうした!」

 

日高司令が通信を入れて来るが、声が遠い。

 

それだけじゃあない。後方で指揮を執っている香坂夫妻からも、緊急連絡が来ているのが分かった。

 

巣穴全域で、巨大生物が、一斉反撃を開始したのだ。

 

幾つかの広間を制圧しながら前進していたが、敵の巣穴を完全に潰すときに備えて。幾つかの通路は残していた。

 

勿論セントリーガンを配備して、厳重に守りを固めていたけれど。

 

その守りをぶち抜きかねない数で、敵が反撃を開始したというのである。

 

それだけじゃあない。

 

後方が土砂で埋もれた事で分かったが、下がりつつも追い詰められた通路は、極めて不安定だ。

 

大威力の火器は使えない。

 

まずい。

 

盾を構えて必死に敵の突撃を阻止しながらも、私は見る。もはや物量などと言う次元では無い。

 

完全に、自分たちごとストームチームを生き埋めにするつもりで、敵が迫ってきているのだと。

 

弟が必死にAF100を乱射。

 

涼川が舌打ちして、アサルトに切り替えた。この状況で、爆発物は使えないからである。巨大生物は無茶苦茶な勢いで、此方に迫り続けている。このままだと、食い殺されるどころか、押し潰される。

 

隣に並んで盾を構えていた矢島が、吹っ飛ばされる。

 

筅や日高は、単独戦力としてはもともと心許ない。

 

ジョンソンが零式レーザーで敵を焼き払っているが、それでも足りない。最悪なのは、明らかに空気が薄くなってきているのが、分かる事だ。

 

「ストームチーム、移動しろ! その場はまずい! 敵に包囲される!」

 

「とっくに包囲されている!」

 

「何っ!? 諦めるな、すぐに増援を向かわせる!」

 

悲鳴が聞こえた。

 

盾の上を飛んだ凶蟲の糸が、日高少尉を吹っ飛ばしたのだ。凄まじい運動エネルギーを秘めている悪魔の糸は、至近からうち込まれれば、バズーカで撃たれるのと同じ。吹っ飛んだ日高少尉は、壁に叩き付けられ、ずり落ちる。意識は明らかに手放してしまっている。

 

「この……!」

 

ナナコが抱えたのは、火炎放射器。

 

通称マグマ砲。フォーリナーの鹵獲技術を用いた大火力火炎放射器だ。文字通り、マグマのような熱量で、前方を焼き払う。

 

噴き出された火炎竜が、敵を焼き尽くしていくが。

 

分かる。これは悪手だ。

 

見る間に酸素がなくなっていく。

 

普段冷静な分、ナナコは自分にとって一番大事な人間が傷つくと言う事は、それだけ我を忘れるという意味も秘めていた。いや、感情が育ちつつある今だからこそ、なおさらなのだろう。覚えは、私にもある。

 

弟が、バックパックから、ガスマスクを引っ張り出す。酸素ボンベと一体化しているタイプの装備だ。今回の地底侵攻に際して、全員に配備されている。

 

「全員、ボンベを付けろ! 時間は稼ぐ!」

 

下がる余地は、もう殆ど無い。

 

その上、赤蟻が突進してきて、矢島が吹っ飛ばされる。弟が即座に蜂の巣にするが、盾に掛かる負荷が単純に倍加。

 

更に、戦術士官から、ろくでもない連絡が来る。

 

「東京の留守居部隊から入電! かつてない規模で、巨大生物が巣穴から噴出!」

 

「場所は何処だ!」

 

「栃木の山奥です! 既に周囲の民家からの避難は完了しているようですが、数はおよそ二万五千!」

 

「に……二万五千!?」

 

絶句する原田。池口も青ざめている。

 

エミリーが雷撃を敵に連射して、乱反射する光が巨大生物共を焼き払う。だが戦意旺盛な敵は、次々に突進してくる。

 

心が折れかける部下達を、弟が叱咤。

 

「つまり、この巣穴の敵は、此方への攻撃を諦めたという事だ! どういうつもりかは知らんが、敵は此処に留守居だけを残して、他へ移動すると決めたらしい! つまり此処を凌げば、勝てるぞ!」

 

そう言うことだ。

 

だが、私の体に、今までに無い負荷が掛かっているのも事実。盾はとっくに限界を超えている。

 

スピアに切り替え、間近に迫る敵を、何度となく打ち据える。

 

心を振り絞った皆が、一斉射撃。突撃してくる敵と、均衡しかける。酸素ボンベが、もうあまり長くはもたない。

 

前に飛び出したのは、筅だ。

 

黒沢が、手を伸ばすが、遅い。

 

筅がぶっ放したのは、フュージョンブラスター。

 

女王戦に備えて温存していた、決戦兵器。その一つ。

 

白熱する殺戮光が、迫りつつあった巨大生物を、一気に押し返していく。文字通り溶けながらも、巨大生物は、何を考えてか。

 

味方の死骸を踏みにじり、進んでくる。

 

酸欠なんて、此奴らには、関係がないのだ。

 

「ストームチーム、もう少しだ、増援が行く! 持ちこたえろ!」

 

「ハッ、増援なんぞ、期待してねえんだよ!」

 

涼川が飛び出すと、アサルトを乱射。筅に飛びかかろうとしていた赤蟻が、蜂の巣になって吹っ飛ぶ。

 

ただし、代償も大きい。

 

無数の凶蟲が乱射した糸が、もはや盾もない此方を、滅多打ちに打ち据えたのだ。全員が酷い打撃を喰らって、吹っ飛ばされる。

 

私は、立ち上がる。

 

アーマーは限界近い。

 

「黒沢、まだ起きているな」

 

「何とか」

 

「少しだけ、時間を稼ぐ。 フュージョンブラスターを惜しまず使って、敵を焼き払え」

 

「正気ですか! それでは、女王蟻が」

 

女王蟻くらい、それも二匹程度なら、どうにでもなる。

 

敵は主力をこの巣から逃そうとしていると見て良い。それならば、おそらく。この巣を取り仕切っていた最強の敵は、既に脱出済みだ。

 

そしてフォーリナーも、すぐにそれを察知するはず。

 

戦術士官からの通信が入ったのは、その時だ。

 

「栃木に輸送船が多数飛来! 防空網を無理矢理突破してきた模様です! 巨大生物を回収しています! 回収している巨大生物の中には、全長六十メートルを超える者もいる模様! 巨大生物は、卵をくわえている個体が、多数観測されています!」

 

女王蟻も、脱出していたか。

 

いや、全てが脱出したとは思えない。巨大生物にとって、もっとも価値がある戦力を、脱出させたのだろう。

 

ブースターを吹かし、前に出る。

 

弟が後ろから援護してくれるのが分かった。

 

ハンマーを振るって、一心不乱に敵を叩き潰し続ける。赤蟻を吹っ飛ばし、叩き潰し、押し潰す。

 

蜘蛛には、もはや崩落を怖れず、至近でハンマーを振るい、まとめて粉々に。

 

全身の肉が押し潰される感覚。

 

骨が軋む。

 

内出血。

 

内臓が、酷く痛む。

 

少しは回復してきたのに。これはまた、培養槽行きだな。自嘲しながらも、私は。立ち上がった黒沢が、フュージョンブラスターを此方に向けるのを見た。

 

スラスターを使って、飛び退く。

 

殺戮の閃光が。

 

最後の突撃をもくろんでいた集団を、一気に焼き払っていた。

 

後ろで、大きな物音。

 

シールドマシンだ。ばらばらと飛び出してきたのは、スカウトだけではない。フェンサー部隊もである。

 

「加勢します、ストームチーム!」

 

残っていた敵戦力に、数にものをいわせて、味方が躍りかかっていく。

 

呼吸を整えながら、どうにか倒れるのだけは防ぐ。スカウトが、周囲にコンクリを打設しはじめるのを横目に、叫ぶ。

 

「負傷者は!」

 

「日高少尉が、目を覚ましません!」

 

ナナコが泣きそうな声を上げた。

 

まあ、あれだけ激しく叩き付けられたのだ。無理もない。

 

ただ、死にはしないだろうと、私は冷静に考えていた。アーマーは直前まで生きていたし、その程度で死ぬほど、人間はヤワでは無い。問題は日高司令が取り乱すかも知れないが。

 

前線には、あまり関係がない。

 

少し遅れて、医療班も来る。

 

彼らが日高少尉を診察したところ、どうにか生きている。が、病院行きだ。回復までどこまで掛かるか、正直分からない。

 

全員が負傷している。

 

不死身の怪物と怖れられる涼川までもが、だ。

 

私は、シールドマシンの側にまで自力で歩いて行くと、其処で壁にへたり込んだ。見ると、皆も、立っているのがやっとだ。

 

「すぐに替えのアーマーを。 他の箇所での戦況は」

 

「乱戦が続いています。 しかし、どうにか互角にまで持ち直しました。 増援部隊が多数地下に入っていて、敵を押し返しています」

 

「制圧地域からは絶対に出るな。 敵の撤退に釣られると、死ぬぞ」

 

「分かっています……」

 

秀爺から通信が入る。

 

全戦域での、敵の撃退に成功したという事だった。ただし、味方の損害も小さくない。今の戦いだけで、百人近くが死んだという。

 

弟が、コンクリの打設を見届けると、周囲に言う。

 

「先に進む。 今、この巣穴はこれ以上もないほど弱体している。 落とす好機だ」

 

「行きます」

 

最初に手を挙げたのはナナコだ。

 

唇を噛んで、もの凄い殺意を目に込めている。今まで散々敵を殺してきただろうに、日高少尉が目の前であのような目に会ったのが、よほど腹に据えかねたらしい。

 

ジョンソンも挙手。

 

負傷しているが、まだ動けるという。

 

涼川も当然。

 

更に、矢島が、手を挙げた。黒沢も、まだ進めるという。

 

エミリーはジェネレーターが壊れたという事で、一度引く。先ほどの戦いで、あまりにも大威力火器を乱射しすぎたのだ。三川は、残るという。青ざめているが、負傷も浅く、まだ戦えるという。

 

原田と筅、池口は此処で一旦撤退。

 

秀爺と合流して、後方の支援に当たるという。

 

「我々が同行します!」

 

代わりに声を張り上げたのは、増援として来てくれたレンジャーチームと、フェンサーチームだ。

 

彼らは今、敵の残党を狩るのに、確かな力になった。

 

それに、ここから先は、おそらく巣の最深部。

 

傷ついた今のストームチームだけでは、どうにもならないだろう。支援戦力が必要となる。

 

進撃の体勢を整える。

 

あと少しで、この地獄の、最深部に達するはずだ。

 

「はぐれないように、一丸となって行動して欲しい。 ここから先は、敵の巣の最奥だ」

 

「イエッサ!」

 

行動開始。

 

弟が、通信を入れてくる。オンリー回線である。

 

「姉貴、大丈夫か」

 

「どうにか。 お前は」

 

「全身が内出血だらけだ。 内臓も多分やられているな。 多分この巣穴を出たら、二人仲良く培養槽行きだろう」

 

苦笑い。

 

アーマーを変えても、フェンサースーツの負荷までは減らない。

 

「巨大生物共は、何をもくろんでいると思う。 他の巣と違って、どうして此処では、女王を脱出させた」

 

「さあな。 だが、嫌な予感がする。 しかも、今までで感じたもので、最大級の嫌な予感だ」

 

「……まずは、此処の留守居共を片付ける事からだな」

 

通信を切る。

 

周囲は確実に熱くなってきている。

 

この熱は、地獄そのもの。

 

異説によると、この熱によって、巨大生物は繁殖しているとさえいうではないか。忌々しい熱である。

 

日高司令が、通信を入れてきた。

 

「娘が負傷したと聞いたが、君達のおかげで戦死を免れたとも言える。 すまない」

 

「日高司令、今は感情を切り替えてください。 あと少しで、女王のいる最深部に到着します。 冷静な指揮を」

 

「うむ……」

 

確実に、最深部へと。

 

時々現れる敵の防衛線は、踏みつぶして進む。

 

私も弟も、体が限界近い。その上、切り札のフュージョンブラスターは、半減してしまっている。

 

やれることはやれる。

 

しかし、その後は。

 

私はいつまで生きていられるのだろう。

 

死は、いつもそばにあったけれど。

 

前の戦いの末期と、同じ臭いがするような気がする。いつ自分が死んでもおかしくない臭い。

 

その臭いは。

 

七年の時を経て。

 

また、身近なものとなりつつあった。

 

弟が足を止める。舌打ちしたのが分かった。

 

迷路も同然の空間が現れたからである。既にスパコンがたたき出した地図とは、似ても似つかない。若干慌てた様子で、小原が通信を入れてきた。

 

「此方小原。 再計算をする。 少し待て」

 

「いや、ここまで来ればもう間近だ。 シールドマシンを使って、一気に敵への路を作る」

 

「危険だ、そんな」

 

「秘策がある」

 

私は、鼻を鳴らす。

 

周囲の戦士達が。敵の首魁との対面を前にして、武者震いするのが分かった。

 

 

 

(続)




激戦を制して、更には敵の拠点深くへ潜る事にも成功したEDF。

ついに懐に突きつけられた刃をはねのけることが出来るのか。

全てはストームチーム次第です。
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