地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
そこへ、残存メンバーの再招集が掛かる事になります。
意味は、言う間でもないことでした。
ただし集まるのは歴戦の猛者達。
ストーム1と戦い、ともに生き抜いた戦士達です。
自宅に戻った私は。フェンサースーツの戦闘形態を解除する。
EDFの装備の多くには、フォーリナーの技術が応用されている。表向きには解析に成功した科学陣の功績だけれど。
それだけで、此処まで短期間で、宇宙人の技術をものに出来るはずがない。
真相は誰にも言えないが。
私は、それを知っていた。
スーツの解除は簡単だ。幾つかの手順を経た後、解除と考えれば良い。
そうすれば、自動的にスーツはパーツ事に分解され、手元にボックス状になって置かれる。
重さそのものも、それほどはない。
精々三十キロほど。
いにしえの時代のプレートメイルと、さほど変わらない。これを着られるのは精鋭ということだけれど。
この程度だったら、古代人を連れてくれば、みな着こなせるかも知れない。
「一郎、帰ったぞー」
弟に呼びかけながら、洗面所に。
鏡に自分を映しながら、ハンドタオルを取る。顔を洗っていると、キッチンから弟が顔を出した。
あまり大きくないアパートだ。
ほぼ軟禁されていることに、弟は恨み言をいわない。たまに基地に出て、新兵達の訓練をしているだけで充分だと、寡黙な弟は私に漏らしたことがある。
弟とは言え、別の人格だ。
本当にそう考えているかは分からないけれど。
もしそうだとしても、いたましい話だ。
「姉貴、状況は」
「近々奴らが来る。 前の十倍以上の戦力でな。 お前の方は」
「リハビリは順調だ。 すぐにでも実戦に出られる」
私は女子としては、せいぜい中肉中背。
問題は非常に幼い顔立ちと、平たい体だ。こればかりは、八年前もそうだったし。何より、十二年前。
培養槽から出されたときに、既にそうだった。
フェンサースーツを着込み、わざわざ重苦しい声にして周囲に接していたのは、この童顔と子供っぽい声を隠すため。そうでもしないと、荒くれ揃いの兵士共が、私の言う事など聞くはずも無いからである。
実際試験運用される兵器を押しつけられ、戦場に放り込まれていたころは、随分他の兵士に馬鹿にされたものだ。
馬鹿にする兵士から、先に死んでいったが。
一方、平均より少し背が高い、屈強な肉体の弟は。英雄に相応しい強い力を秘めた双眸を持ち、見るからに戦士として認識できる姿形をしている。
しかしながら、既に四十を少し過ぎた見た目になっている。
肉体的にはまだ致命的な衰えが始まっていないけれど。おそらく弟が同じように戦えるのは、今回が最後だ。
EDFが正式に設立されたのは2015年。
私と弟は、その前に既に設立されていた、国連の組織。EDFの中核となった組織によって造り出された、非公式の強化クローンだ。第一世代と呼ばれるクローンは、私達のデータを元に造り出されている。
私達には、致命的な欠点があった。
私は見ての通り、成長がある程度で止まってしまった。
弟はというと、逆だ。
成長が早すぎる。同時に、老化の速度も、普通の人間の倍。
培養槽を出てからの十年で弟は、二十歳分老けてしまった。
しかし私も弟も、生半可な人間よりも遙かに優れた性能を有していたから、フォーリナーとの戦場にて、常に第一線で活躍を続けられたのだ。
そして弟に到っては。
伝説のストーム1リーダーとして、マザーシップの撃墜にまで成功したのである。
私達の正体を知っているのは、EDFでも上層部の一握りのみ。
そして、どうしてこのような計画が上手く行ったかは。更にその中でも、一部しかしらない。
日高も知っている一人だ。
故に、無能も我慢しなければならなかった。
そしてそれが故に。
弟にEDFの上層部が恐怖することも。今に到るまで半ば軟禁されたことも。我慢し、理解しなければならなかった。
「既に日高司令に、かってのストーム1のメンバーを招集する様に、俺から頼んでいる」
「涼川は既に来ているな。 秀爺夫妻と谷山は」
「秀爺夫妻は、東北から間もなく到着するそうだ」
あの二人。秀爺夫妻に関しては、信頼感がある。ストーム1を支えた、最強のスナイパー老夫妻である。
夫は狙撃手。妻は観測手。
その狙撃の実力は、WW2で伝説を作った、フィンランドの狙撃手に匹敵するとさえ言われている。
彼は強化人間では無い。
元々はマタギであったらしいのだけれど。戦争の泥沼化に際して、ストーム1にスカウトされた。
経緯はよく分からない。
しかしその実力は本物で、弟は何度助けられたか分からないと言われている。
「今回はハーキュリーだけではなく、ライサンダーも秀爺に支給されるそうだ」
「本部も本気だな。 世界に七丁しかないと聞いているが」
ハーキュリーは量産型のライサンダーとも言える性能を持つ強力な銃器で、前大戦の後、一級のスナイパー部隊全てに配備された。秀爺夫妻の活躍があったから、量産が可能になったのである。
一方ライサンダーは機密の塊だ。更に性能が向上しているが、それぞれがオリジナルに等しいほど違う部分がある。弟にはその内の一丁、「神を殺した」ナンバー6が、無条件で貸与されるようになっている。
この権利だけは、日高が死守してくれたのだ。
顔を洗った後、ダイニングに。
弟が作った料理が並んでいた。
する事が無いからか、弟は料理ばかりやっている。そしてその腕前は、好みが面倒くさい私でも充分に唸るほどのものだ。
「谷山は」
「空爆課で新人の教育に当たっていたが、戻ってくるそうだ」
「朗報だな。 他に新人が何名か配属、か」
「新兵と言っても、総司令部お墨付きの精鋭ばかりだろう」
つまり、監視役だ。
勿論、総司令部の好きな様にはさせないが。
弟がリーダーとなり、涼川、秀爺夫妻、それに谷山。後は私がこれに加わる事で、かってのストームチーム中核が揃う。
もっとも私は、ストーム1には所属していなかったけれど。
同じ遺伝子から作られたと言う意味で、紛れもなく私と弟は姉弟だ。
食事を終えると、ベッドで横になる。食器を洗いながら、弟が話しかけてきた。当たり障りが無い話ばかりだが。
「優秀そうな若手はいるか」
「何人かいるな。 いっそ今私が鍛えている150人全員を、ストームに入れたいくらいだ」
「全員死ぬぞ」
「だろうな。 だから人数は絞らざるをえん。」
このアパートには、嫌になるほど盗聴器が仕込まれている。
私のフェンサースーツにも、である。
本部はこう考えているのだ。
ストーム1リーダーがもし牙を剥いたら、止める事は出来ない。
マザーシップを単独で撃墜したほどの男である。人類ではどうにもできないと考えても、不思議では無い。
私も弟も、不死身では無いし、無敵でもない。
戦えば傷つくし。
死ぬ。
だが、一度総司令部が壊滅したほどの戦いの、勝利の立役者だ。未だに、怪物じみた伝説のみが一人歩きしている。
EDFの現役隊員の中でも、弟が生きているという事実を、知っている者はあまり多くない。
私の存在は、知っている兵士がそれなりにいるのだが。
「ストームは、一つに統合される予定らしい。 後方支援部隊も含めて、人員はおそらく二十名を超えないそうだ」
「二十名もいれば、マザーシップの撃墜は楽勝だな」
「そう、だな」
私の軽口に、食器を洗い終えた弟は、言葉を濁す。
あれは奇蹟の勝利だった。
弟は何度も、私に零した。
単独で撃墜したなんてとんでもない。元々自信家では無い実直な弟は、そう正直に言った。
オメガチームが直衛になって、多くの敵を引きつけてくれた。
鬼神となって暴れ狂った涼川が、広域制圧兵器スタンピートを乱射し敵を攪乱して、特に巨大生物は全く弟に近寄れなかった。
秀爺が乱戦の中突破に成功、狙撃で多くの飛行ドローンを叩き落としてくれた。
最後の最後で、谷山が間に合った。
それら全ての奇蹟が重なって、弟はマザーシップに勝つことができたのだ。そう何度も力説した。
きっと、単独でマザーシップを撃墜した英雄と言われたのが、それほどに口惜しかったのだろう。
私は間に合わなかった。
戦場の最辺縁で。戦場に乱入しようとする数千、いや万に達する巨大生物と、絶望的なゲリラ戦を繰り広げていたからだ。
マザーシップの撃墜が五分遅れれば、私は死んでいただろう。
事実一緒に戦っていた兵士達は。
ただの一人も、生き残ることが出来なかったのだから。
勿論、戦場に乱入しようとする敵主力を、私が引きつけたことも、勝因にあると弟は言ってくれたけれど。
本当にそう考えてくれているなら、私は嬉しい。
それだけの、事だった。
弟が、寝室に顔だけ見せる。
「北米の総司令部から連絡だ。 顔を出せという。 少し行ってくる」
「気をつけろ。 何をするか分からん」
「大丈夫だ。 心配はするな。 三日以内に戻る」
わずかに表情を和らげると、弟は軟禁状態にあった小さなアパートから、出て行った。
英雄の真実がこれだ。
真面目な弟は、このような扱いを受けたにもかかわらず、文句一つも言わず。また、地球のために戦おうとしている。
多くの人に恩を受けたから。
そう弟は言っているけれど。私が同じ立場だったら、そうは振る舞えない。
そもそも我々は、人間じゃないと言われて育った。狭苦しい施設で、親と言える者はおらず。常に与えられたのが武器。そして、相手の殺し方だけを教わりながら、生きた。同じように生まれた子供は、一人も生き残ることが出来なかった。
文字通りの実験動物としての扱い。
温厚な弟は、それでも我慢していたけれど。
私はどれだけ悔し涙を流したか分からない。
寿命だって、後どれだけあるのだろうか。
地下にいる彼奴の話によると、二人とも体は安定しているから平気だとか言うけれど。少なくとも弟は、後二十年生きられるかどうか。
私の持ち歩いている携帯端末にも連絡が来る。
日高からだ。
「新生ストームの編成に、君にも協力して欲しい」
「分かりました。 当然ストームリーダーは弟で構いませんね」
「それはもちろんだ。 君達がそう決めたのなら、私に異存は無い」
「有り難うございます。 旧メンバーの内、涼川、香坂夫妻、谷山の四名については確約できますか」
出来ると日高は言う。
そうなると、残りは今鍛えている新兵から見繕うつもりだ。オメガチームを筆頭に、前大戦での英雄については、チームを分けた方が良い。
フォーリナーは極東だけに攻めこんでくるわけでは無い。
十隻に達するマザーシップが攻めこんでくるとなると。おそらく全世界が、同時に戦場になるだろう。
そうなれば、各地で中核になる精鋭が必要だ。
北米には、残存戦力の全滅を食い止めたストライクフォースライトニングがいるから問題ない。
今オメガは欧州を中心に活躍しているという話で、後はストームやオメガの旧構成メンバーから、南米、アフリカ、中近東、アジアなどに割り振る必要が出てくるだろう。
「総司令部が不穏な動きを見せている。 君も、新兵の訓練を、早めに完遂して欲しい」
「分かっています」
通信を切ると、私は短い休みは終わりだと呟いて。
自分の頬を叩いた。
フェンサースーツを着込むと、すぐに基地に向かう。
もう、猶予は無い。
「今日のシミュレーター訓練で、私の訓練プログラムは終了となる」
集まった新兵達にそう宣言すると。
新兵達の間に、どよめきが走った。
挙手したのは筅である。此奴に関しては、陸上戦力を任せる空爆兵として、ストームに入れようと考えていた。
谷山はヘリの名手として知られている。中空戦力については、奴に全面的に任せれば問題ないだろう。
後はウイングダイバーを見繕いたい。出来れば二名。最低でも、一名は欲しい所だ。
筅は、やはり、おかしいと気付いたらしい。
「まだ混成部隊との戦いを経ていませんが……」
「事情が変わった。 今日、お前達には、シミュレーション上でヘクトルと戦って貰う」
新兵達が、更に困惑した様子で、顔を見合わせる。
ヘクトルの恐ろしさは、私が授業で直接レクチャーした。その戦闘力は、EDFの正式歩兵一個中隊に余裕を持って匹敵する。
生半可な火器では倒れない頑強な肉体。
頭上から降ってくる、圧倒的な火力。
柔軟に前後左右をカバーする攻撃範囲。
その全てが、フォーリナーの中核と呼ぶに相応しい恐ろしさだ。
すぐに、新兵達をヘクトルとの戦いに向かわせる。
本当なら、敵の恐ろしさを思い知らせるための訓練だが。今回は、勝てることを、悟らせなければならない。
敵は倒せる。
圧倒的な化け物だが。斃す事は出来るのだ。
今まで無茶な訓練を続けさせたが。しかしそれで、圧倒的な数の敵とやりあうノウハウは身につけた。
後は、圧倒的な力を持つ単独の敵に、どう立ち向かうかだ。
五チームを、ヘクトルと戦わせる。
案の定、戦況は良くない。
今回はちょっと特殊で、五チームを五カ所の戦場で、同時に戦わせる。一カ所の戦場には、一体ずつヘクトルを。
敵を葬ることが出来れば、味方の支援に向かう様に。
百五十の新兵達のヘルメットには、リンク機能も付けている。味方の戦況は、理解できているはずだ。
次々に、ロストした兵士達が戻ってくる。
包囲しても、ヘクトルは簡単には倒せないのだ。
柔軟な関節。強力な火器。
四方八方にばらまかれる光の弾は、戦車を軽々貫通する。兵士の強化ボディアーマーでも、長くは耐えられない。
筅のいるチームが、損害五割を超えた。
黒沢のいるチームも、間もなく五割に達する。
そんな中。果敢な接近戦を挑んだ三川と矢島が、ついに成果を出す。二人を同じチームに入れておいて、正解だったかも知れない。
中空からの接近戦で、頭に当たるカメラ部分を三川が破壊。
矢島が同時に足下を強襲。
ついにバランスを崩したヘクトルに、生き残った兵士達が集中的に火力を浴びせて、打ち倒すことに成功した。
既に全体の半数がロストしているが。
それでも、敵が一体落ちた。これが大きい。
間もなく、筅のグレイプが、絶好の位置に陣取った。既に機体は満身創痍だが、速射砲が咆哮を開始。
此方も悪くない判断だ。
連射を浴びたヘクトルの胴体に、少なからず傷がついていく。其処に一人がスティングレイのミサイルをうち込んで、ついに撃破成功。
泥沼の死闘が続く。
一チームが全滅。
だが、ほぼ同時に、三機目のヘクトルが落ちた。合流した筅のチームが、側面から強襲を掛けたのである。
これは、いけるか。
四機目のヘクトルと、五機目のヘクトルが、合流しようとしている。
残存戦力が結集して、二機のヘクトルへ決死の肉弾攻撃を仕掛ける。既にロストして戻ってきている兵士達にも、戦況は見せていた。
声援が高まる。
グレイプが爆砕され、ついに機能停止。
果敢な強襲を続けていた矢島が踏みつぶされる。
損害が八割を超える。
ヘクトルの猛射が、生き残っていた新兵達の数を、見る間に削り取っていく中。
四機目が落ちた。
爆発。
最後の一機も満身創痍だ。
それに対して、新兵達は、十名ほどしか生き残っていない。
やれるか。
三川が突入する。
真正面からヘクトルの注意を引きつけ、ビル街を飛び回る。ヘクトルが即応し、容赦の無い砲火をガトリングから浴びせかけた。
残ったレンジャー達が、至近に迫り、ヘクトルに集中攻撃をする。
傷が増えていき。やがて、ついにヘクトルが膝をつく。
だが最後の一撃で、三川も撃ちおとされた。
爆発。
新兵達の勝利だ。
ただし最後の爆発で、生き延びた兵士達の大半もロスト。二名しか、残らなかった。
いや、三名か。
グレイプの残骸から、筅が這いだしてくる。
シミュレーションは終了。最後の授業は、凄惨な戦況ながら、見事な勝利に終わったのだ。
まずは全員を祝福。
新兵達は、誰もフレンドリファイヤしなかった。それだけでも、私にとっては充分な成果だ。
「まずは最後まで生き残った三人。 前に」
三人に、それぞれ激励の言葉を掛ける。
生き残った。それだけで、充分に三人は、称賛に値する。
筅と、レンジャーの二人。一人は第三世代のクローン。地味なのであまり意識していなかったけれど、データに目を通す限り、今までの戦いでも良い動きをしていた。
原田啓介という。
ひょろっと背が高い青年で、アサルトライフルを上手に使いこなす。弟の補助として、上手に動けそうだ。
もう一人は女性レンジャーである。此方は最初の方からかなりフレンドリファイヤが多く、どんくさいと言われていた。
しかしながら今回までの動きを見る限り、かなり戦況をよく読んでいる。これはひょっとすると、伸びるかも知れない。
レンジャーは空爆課が要請した兵器も使いこなせるよう訓練を受ける。
そういうマルチな活躍を期待出来る人材だ。
名は池口吉野。クローン兵士では無いが、此奴も悪くは無いだろう。
後は、戦場で活躍をしていた三川、矢島、黒沢、筅。
この六名をストームチームに加えよう。そう私は思った。
ただ矢島はフェンサー隊に加えることになるから、多分しばらくは試験運用だ。前線には出せないだろう。
他の百四十四名も、本当なら全員の面倒を見たいくらいなのだけれど。それは流石に許されまい。
空軍や海軍に行く者もいるのだ。
昔ほど、陸海空の各軍の差は無くなっている。差を埋められるよう、補助が発達したというのが、大きな理由だ。
「これで、私の訓練は終わりだ。 皆良く最後まで頑張ったな。 戦場で、ともに戦えることを期待している。 もっとも、君達が戦場に立たなくて良いことが、私の一番の願いだが」
「イエッサ!」
「よし、解散」
新兵達が解散していく。
この中の何人が、迫り来る戦いで、生き残れるだろう。
十人もいない筈だ。
戦いに勝てるかさえ分からない。敵戦力は、単純計算で、前の十倍以上。EDFが力を増していると言っても、あまりにも絶望的すぎる差だ。
それから一週間。
きりきりと胃が痛む様な時間が過ぎて。新兵達は、かなりスケジュールを前倒しして、配属が決まった。
私が指定した六名はストームチームに配属。彼ら自身が、一番驚いていた様子だ。これに加えて、北米の総司令部から、二人新人が来ることが決まった。
私と弟を加えて、戦闘要員が十四名。後方支援要員が四名配属されることが決まっているので、合計十八名。
これが新生ストームとなる。
今までのストームチームは、それぞれが独立遊撃部隊となって、名称を変更。ただ、彼らは弟の指揮下にあった者達が多く、不満は口にしなかった。
戦いが始まる。
私は、その逃れられない運命を、既に規定の未来としていた。
数日が過ぎた。
新兵達の配属式が終わってから、今の時点では何も無い。だが、弟も私も知っていた。時間の問題だと。
食事をしていると、私と弟の携帯端末が、同時になった。
来たな。
私は悟る。
頷き会うと、連絡に出る。
「此方、嵐はじめ特務大尉」
「特務大尉。 すぐに東京支部に来てください」
「フォーリナーか」
「はい。 東京地域で、いえ世界中で、同時に巨大生物が地底から姿を見せました。 貴方には、ストームリーダーとともに、さっそく編成されたばかりのストームチームで、戦場に出ていただきたく」
戦術士官の要請に、私は腰を上げる。
弟も、同じ命令を受け取っていた。
「姉貴、行くか」
「ああ。 私の目の届く範囲では、誰も死なせん」
「その意気だ」
例え叶わぬ事でも。
最初から犠牲を出すことを想定はしない。
フェンサースーツを着込むと、すぐに外に出る。弟は実戦装備を、手慣れた様子で身につけていった。
七年の平和は。
この日、終わりを告げた。
(続)
再建されつつあるEDF。
しかしすでに、謎の侵略者の魔の手は、間近に迫っていたのです。
実際には二人いたストーム1。
姉は新兵科であるフェンサーへと転向し。弟はもとのままレンジャーとして指揮を執る事になります。
長い長いフォーリナーとの戦いが、また始まろうとしているのです。