地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

56 / 120
マザーシップとの激戦で消耗した上に、生きた戦闘ヘリとも言える飛行型の怪物が出現したことにより、EDFの消耗はどんどん加速していく事になります。

ストームチームは完全包囲された北京基地に出動。
絶望的な抗戦に手を貸す事となります。


迫る奈落の口
序、籠城


完全に包囲された北京基地は、もはや陸の孤島と同じだった。

 

救援部隊が来るまで、此処に閉じ込められた部隊に、脱出のすべは無い。周囲は見渡すばかりの巨大生物の海。

 

そして、もはや空までも、敵の手に落ちているのだ。

 

どうにか外壁部分は守ったため、敵の侵入は防いでいるが。

 

敵は上空から、散発的な攻撃を続けてきている。

 

飛行型巨大生物。

 

オオスズメバチに酷似した姿を持つ、アンノウン。新種である。

 

奴らはヘリ以上の機動性を持ち、なおかつ移動速度に関しても、時速800キロ以上を平気でたたき出す。

 

攻撃の際放つ毒針は、液体にもかかわらず圧力が凄まじく、アーマーを付けている兵士も吹っ飛ばされる事が確認されていた。

 

大きさは黒蟻や赤蟻、凶蟲と同じ十メートル程度なのだけが救いか。

 

迎撃で被害を出しながらも、地上部隊はエメロードによる射撃を中心に、敵を射すくめる。しかしミサイルが直撃しても、奴らは簡単には死なない。

 

文字通りの化け物だ。

 

「此方谷山。 バゼラートを出すのは自殺行為だ。 しばらくはセントリーガンを配置しながら、基地の外に群がっている巨大生物共を牽制する」

 

「頼むぞ」

 

弟が通信を切る。

 

私も弟も、既に満身創痍。手当たり次第に降らされる毒針の雨の中、必死に戦っている兵士達が、見る間に倒されていく。

 

このままでは、外にいる巨大生物の群れがなだれ込んでくるのも、時間の問題だ。

 

ヒドラにも、蜂どもは群がっている。

 

飛び立つのは不可能、とヒドラのパイロットが悲鳴を上げてきている。彼を責めるのは無理だ。

 

このままでは。

 

各地のシェルターも、巨大生物の餌食になるのが、時間の問題である。

 

AF100で正確な射撃を続けながら、弟は敵の断続的な攻撃を撃退。私も高高度ミサイルを乱射して、どうにか敵を叩き落とし続けるけれど。

 

味方の損害が、あまりにも大きい。

 

当然の話だ。

 

生きた戦闘ヘリを相手にしているのも、同じなのだから。

 

地上戦力の天敵とも言える戦闘ヘリを、まさか生物で安価に大量に製造してくるなんて。ただ飛ぶだけの敵では無い。

 

これは、現在地上戦力が主力となっているEDFの、弱点を的確に突いてきたとも言えるだろう。

 

しかも、それだけではない。

 

通信が入ってくる。

 

中央アジアや東南アジアにも、蜂が飛来しはじめているというのだ。

 

飛行機並みの速度で飛び回り、巡航距離も長いのだ。当然のように、世界中に拡散しはじめるだろう。

 

マザーシップを、敵が使い捨てるのも道理だ。

 

まさか、これほどの性能を持つアンノウンが誕生していたなんて。そして、オーストラリアでも、正体不明のアンノウンが誕生した可能性が高いのだ。

 

サンプルを送るどころでは無い。

 

本格的な援軍が来るまでは、そもそも生き残ること自体が、出来るかどうか、怪しいところだ。

 

弟と一緒に、かなりの数の蜂を撃墜。

 

第三波攻撃までは、なんとか退けた。蜂が一旦引いたのを見て、弟が負傷者を地下へ運ばせる。

 

しかし、地下施設も。

 

基地の内部に、巨大生物が乗り込んできたらおしまいだ。

 

救援にあわせて突出、反撃開始と言う事も、出来そうにない。

 

特に被害が大きいのは、ペイルチームである。

 

装甲が薄いウィングダイバーと言う事が徒になっている。その上敵は可変性が高い飛行を自在にこなすのだ。

 

戦闘機ほどではないにしても、戦闘ヘリ並みの動きと、ある意味それ以上の火力。

 

空からの攻撃で優位を得ることに特化したウィングダイバーにしてみれば、レタリウス以上の強敵だ。

 

負傷者の中に、カリンがいた。

 

アーマーを抜かれて、呻きながら担架で運ばれて行く。

 

舌打ちした弟。

 

此処の秘書官が来る。

 

「無事な戦力はどれほどか」

 

「既に地下は満杯で、無事な戦力がどれだけいるかは分かりません。 蜂共の攻撃は、要塞砲にまでダメージを与えておりまして……」

 

この北京基地にも、ヘクトルに備えた大威力要塞砲は据え付けられているし。巨大生物に備えて、エメロードの固定砲台もある。

 

しかしそれらをもってしても。

 

敵の数が多すぎて、とても耐えられない。

 

弾薬の備蓄も見せてもらう。

 

誘導ミサイルは、自動工場で急ピッチの製造をしている。幸い材料はいくらでもある。ヘクトルにしても飛行ドローンにしても、残骸は散々落としていったからだ。これらを材料にして、エメロードなどに搭載する自動追尾式誘導ミサイルは作られる。

 

ただ、製造が、消費に追いつかない。

 

北京基地の弾薬も、かなり残りは心許ない状態だ。

 

「司令官はどうしている」

 

「意識が戻りません」

 

「そうか」

 

秘書官に当たり散らしても、仕方が無い。

 

私が弟をしゃくって、壁際に。

 

傷ついたまま、壁にへたり込んでいる兵士の姿が目だった。巨大生物と直接戦っていたチームは悲惨だ。確かに壁の上からと言う位置的優位はある。しかし、蜂は彼らにも、容赦なく毒針の雨を降らせていたのだ。

 

しかも、地球の雀蜂と同様。

 

その威圧的な羽の音は、嫌と言うほど響き渡る。

 

ノイローゼやPTSDを発症する兵士も、出始めていた。

 

良くないニュースが重なる。

 

日高司令からだ。

 

「東南アジアに残っていた巣穴の攻略には成功した。 しかし、此方は今、蜂の襲来で身動きがとれん。 中国南部の巣穴も攻略が予定されていたが、其方は見送りだ」

 

「蜂は、中国の巣穴から出現したものですか」

 

「それ以外には考えられないな。 しかも、調査によると、二つある巣穴の両方から、蜂が多数噴出している」

 

ぞっとする話だ。

 

海を渡った蜂の群れは、当然極東にも来ている。

 

ロシア、中央アジア、東南アジア、極東。既に多数飛来している蜂の群れが、EDFをパニックに陥れているのだ。

 

「此方は、北京基地ごと、このままでは全滅します。 一刻も早く、空軍の援軍をお願いいたします」

 

「分かっている。 今、手配中だ」

 

通信を終える。

 

ため息をつく弟。

 

アーマーの備蓄も残り少ない。後何回、敵の攻撃に耐えられるだろう。しかも、既に味方を守りながら、敵中突破する余力は残されていない。

 

壁に上がって、北京基地を包囲している敵を観察する。

 

数は万に達している。

 

大半は赤蟻と黒蟻、それに凶蟲だが。

 

彼らの後ろに、悠然と蜂の群れがいる。飛んでいないときは、当然のように地面に張り付いている。

 

かなりの数を倒して、辺りの地面を死体で埋めてやったが。

 

巨大生物共は、怯む様子も無い。

 

此方の疲弊と損害が大きいことを、冷静に見やっているのだろう。このままでは、陥落は時間の問題だ。

 

「なあ、姉貴」

 

「どうした」

 

「後何回、支えられると思う」

 

「せいぜい二回だな」

 

蜂の群れも、かなり数が多い。

 

毎回全部がヒットアンドアウェイを仕掛けてくるのだ。その度に多くの兵士が死傷する。いつまでも、敵の攻勢を防げない。

 

援軍が来ないと。

 

流石に、どうにもならない状態だ。

 

黒沢が来る。

 

彼はほろ苦い表情を浮かべていた。

 

「病院から、もう満員だと連絡が。 急速医療を駆使していますが、それでもとても追いつかないそうです」

 

「……分かった」

 

いずれにしても、次からは治療さえ受けられない兵士達で、この基地は埋まることになるだろう。

 

既に地獄は、地上に顕現していると言えた。

 

休憩の時間など、敵がくれる訳が無い。

 

蜂が動き出す。

 

一斉に飛び立つと、此方に来る。

 

その様子は、まるで空が黒い影に覆い尽くされていくよう。大きさそのものは、黒蟻と変わらないのに。

 

それが自在に空を飛ぶと言うだけで、こうも恐ろしいものだったのか。

 

当然の話だが。

 

連携して、巨大生物たちも動き出す。

 

基地に据え付けられているセントリーガンが迎撃を開始するが、とてもではないが数が足りない。

 

ネグリングは格納庫から出せば、あっという間に蜂に集られて破壊されてしまう。

 

池口のネグリングはからくも破壊を免れたが。

 

北京基地の他のネグリングは、そうやって粉みじんにされてしまっていた。

 

勿論、単独の蜂はそれほどの脅威では無い。

 

強いとは言っても、戦闘ヘリと同じ程度なのだ。今の時代は、戦闘ヘリに対する戦術など、いくらでもある。

 

問題は、敵の数。

 

戦闘ヘリが数千という兵力で攻めてきた場合、どうすれば対処できるというのか。

 

死闘の末、どうにか次の攻撃も撃退に成功。

 

しかし、もはや、味方にまともに戦える力はない。ストームチームも、負傷者が増えている。

 

その中で。

 

打つ手は、どんどん削られていくのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。