地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
フォーリナーの存在がどういうものか明らかになった今、向こうはギアを一段階上げて来ました。
それだけで人類は更に劣勢に立たされることとなります。
序、失われる空
かろうじて北京基地に逃げ帰ったけれど。
敵巣穴への攻撃どころでは無くなった事だけが、確かな実感としてあった。新種の兵器が、一度に三つも投入され。その内の一つは、危険度が尋常では無い。マザーシップよりも、桁外れの存在だと、明らかだった。
すぐに本部に連絡を入れる。
日高司令も、青ざめている様子だった。
「世界中至る所で、同様の兵器が確認されている。 蜂の攻撃で疲弊したEDFの基地を、直接狙ってきている場所もあるようだ。 戦略上の要所ばかり、確実に抑えに来ている」
今のところ、あの新型兵器が現れた地点だけでも、世界中のあらゆる所が表示されてしまっている。
能力も分からない凶悪兵器。
更に艦載機も、今までの飛行ドローンとは性質が違う。対地攻撃に特化した、攻撃機に近い存在だ。
すぐにバイザーからデータを送る。
本部としても解析を急いでいるようだが、間に合うのか。
間に合ったところで、どうにかなるのか。
弟がきた。
「姉貴、ビークル類の損害が深刻だ。 スカウトにも、あれが現れたらすぐ撤退するように指示を出したが……」
「問題があるのか」
「ああ。 強烈な通信妨害がある。 間違いなくあの新型兵器によるものと見て良いだろうな。 流石にEDFの通信網を傍受まではされていないようだが」
今まで、EDFは各地で緊密な連携を取り、戦略面でも戦術面でも上を行く相手に、かろうじて戦闘を継続してきたとも言える。
それがこの状況である。
あの浮かぶ壁のような兵器は。
空を奪うだけではなく。EDFの耳も奪っていったと見るべきなのかも知れない。
本部から、戦術士官が連絡を入れてくる。
「以降、敵の新型を、アースイーターと呼称します」
「それで、どう対抗する」
「現在検討中です」
それだけのために通信を入れてきたのか。
怒鳴りたくなったが、戦術士官に罪は無い。なにしろ、マザーシップを遙かに超えるとんでもない最終兵器の登場だ。あれが地球全土を覆ったとき、完全に戦況は敵のコントロール下に落ちる。
そうなれば人類は。
完全に制御された状況で、永遠に巨大生物と殺し合わされる、戦闘奴隷に転落だ。
相変わらず北京基地の司令官は意識を手放したまま。
此処を放置して、撤退する事も出来ない。どうにか近くのシェルターからは退避作戦が始まったが。
それも、まだまだ途上なのだ。
巨大生物が現れた場合、対処するのは。間違いなく、傷ついているストームで。しかも、あのアースイーターが、現れる可能性が高いのである。
「姉貴、悪い知らせだ」
「何だ」
「救援予定のシェルターの直上に、多数の飛行ドローンが襲来した。 ヒドラが近づけないと報告を受けている」
舌打ち。
確実に領域を広げているアースイーター。案の定、シェルターの上部に出現した例も報告されていて、脱出が絶望視されている場所もあるという。
アースイーターには、ジェノサイド砲に似た強力なレーザー兵器が装着されている場合もあるとかで、もはやシェルターに潜んだ人々は逃げるすべも無い。
EDFは反撃作戦を準備していると言うが。
それも、何処まで機能するか。
ダイソン球という概念がある。
恒星などを丸ごと覆うことで、そのエネルギーの全てを利用するという技術。SFなどでは古くから考えられていて、恒星のエネルギーを無駄なく使うにはこれが最適だとも言われていた。
敵は、地球で同じ事をしようとしている。
逆に言えば。
それくらいは容易に出来る文明の持ち主という事だ。
まだ補修が中途なビークルをかり出して、現地に向かう。途中、日高司令と、小原博士が、通信を入れてきた。
「気をつけて欲しい。 各地でアースイーターが出現している。 交戦した部隊の報告によると、君達のデータ同様、相当数の艦載機を収容しているようだ。 空にマザーシップを敷き詰めるようなものだという調査結果さえ出ている」
「フォーリナーの文明規模がこれほどとは……」
肩を落とした様子で、小原博士が嘆く。
小原も、この間、私が真相を話した場にはいた。だから予想は出来ていたはずだ。この程度の事は、敵がやってきてもおかしくないことは。
人間だって、凶暴な動物は隔離して管理する。
ある程度の知能があっても、それは同じ事だ。
アースイーターは、地球という危険地帯を覆う檻。その中で、戦闘目的の実験だけが、延々と行われる事になる。
地下の彼奴は、それを許せないと考えた。
正義感が強かったからだろうか。
否。彼は、おそらく。
いや、推察しても仕方が無い。とにかく今は。人類は彼の手で奇跡的に足並みをそろえる事が出来て、ある程度の技術も手に入れている。フォーリナーを前大戦で撃退後は、その技術の一部も獲得した。
手持ちのカードは、あるのだ。
その範囲内で、やっていくしかない。
飛行ドローンの群れを確認。
空軍の支援は全く期待出来ない。各地に蜂の群れが出現している上、アースイーターから出現した攻撃機型の艦載機が、EDFの地上部隊に甚大な損害を与えている。今のところファイターが善戦しているが、その優位もいつまで保つか。
アースイーターに覆われた地域では、もはやファイターは活動できないも同じ。
それに、フォーリナーから見れば、ファイターは小賢しい蠅。いずれ、叩き落とすための準備くらいはしてくるはずだ。
現地到着。
弟が、指揮を開始。
「池口軍曹」
「はいっ」
最優先で修復させたネグリングは、既に所定の位置についている。
ネグリングの側には、ミラージュを装備させたエミリーと三川。この誘導兵器を中心として、今回は作戦を行う。
弟が指示をしていくが。やはり嫌な予感はしているようだ。
フォーリナーの目的を鑑みるに、わざわざ旧型の飛行ドローンを出してくるわけが無い。これは罠か、アースイーター到着までの抑え。
いずれにしても、待機しているヒドラでピストン輸送を行うには、ドローンを撃滅するしかないのだ。
秀爺には、ハーキュリーを持って、近くのビルに潜んで貰う。
というのも、イプシロンの損害が酷く、今回は使えないのが一つ。もう一つは、飛行ドローン相手にイプシロンを用いるのは、過剰という事もあるからだ。
弟もハーキュリーを装備。
新人達全員にも持たせる。
傑作量産銃であるハーキュリーは、使いやすく威力が大きい、今後EDFで主力となる事が確実の品である。
流石に本部も、なりふり構っていられなくなったのだろう。
この間のヒドラで、大量に送ってきた。
北京基地で籠城している他の部隊にも、行き渡っている。多少はこれで、戦況が楽になるかも知れない。
「ネグリングとウィングダイバーを守りつつ、確実に敵を撃破する」
「質問です、ストームリーダー」
黒沢が挙手。
理論派の黒沢は、周囲を見回して、疑念を口にする。
「わざわざ此処を選んだ理由は何故ですか」
側には高架がある。
この辺りも、まだ復旧が進んでいない地域。高速道路を作る計画が持ち上がっていたのだが、二度目の飛来を果たしたフォーリナーにより、中止されてしまったのだ。射線が遮られると、黒沢は考えたのだろう。
しかし、逆に言えば。
敵の射線も、遮られるのだ。
「飛行ドローンだけで、敵が済むとは考えられない。 それが理由だ」
「なるほど、納得しました」
「他に質問は」
少し悩んだ末に、原田が挙手。
平々凡々な青年は。ここのところ、苛烈な任務で悩むことも多かったようだが。今日も疲れが溜まっているのが見て取れる。
「どれくらい、時間を稼げば良いのでしょうか」
「ヒドラを守りつつ、十二時間半という所だ。 今回、十二機のヒドラが来てくれることになっている。 このヒドラでピストン輸送を行えば、シェルターに避難している八万ほどの人々を救出できる」
「十二時間半……」
私は、実際にはもっと長くなりそうだなと思った。
敵の飛行ドローンについては、すぐに排除できるだろう。だがあの攻撃機型とアースイーター、それにワープする輸送船が現れた場合、対処が出来るかは極めて微妙になる。全員を、救出は出来ないかも知れない。
他に質問は。
弟が見回すが、他には無い。
三川を、日高少尉が元気づけているのが見えた。こんな戦況でも、日高少尉は笑顔を絶やさず、周りを元気づけている。
良い事だ。
得がたい人材である。
全員が配置についたのを見届けると、弟がハーキュリーで、最初の一射。一射確殺の言葉通り、撃墜した。
飛行ドローンが此方に気付く。
だが、敵に主導権は渡さない。
一斉攻撃開始。
ネグリングから放たれた誘導ミサイルと、ミラージュの誘導ビームが、次々に飛行ドローンに襲いかかる。
動きを止めたもの、此方に来ようとするものには、ハーキュリーからの容赦ない射撃。新人達は流石に一射確殺とはいかないが、弟や秀爺、ジョンソンの射撃は違う。他とは段違いの精度で、確実に飛行ドローンを潰して行く。
数もさほど多くは無い。
だが、このままで済むはずが無いと、私は確信していた。
時々此方に飛んでくる飛行ドローンを、スピアで叩き落としながら、状況を念入りに観察する。
やがて、敵の飛行ドローンは消滅。
レーダーからも敵反応は消えた。
「此方ヒドラ。 これよりシェルターの救援作業に入る」
「急いでくれ」
弟も、察しているはずだ。
すぐにヒドラに来て貰う。シェルターに隠れ潜んでいた人達を救出開始。長い隠遁生活で疲れている人も多いようで、医療物資も不足しそうだったと、中の代表者に文句を言われた。
中にある使えそうな物資も、ヒドラから出てきたフォークリフトや重機を使って、運び出していく。
今後、衣料品や食糧は、どれだけあっても足りない。
内部で最後の警備をするべく護衛に当たっていたEDFの部隊も出てきた。そのまま、避難民と一緒に、次のシェルターに移るらしい。
元々この最終護衛部隊は、あまり戦闘力も高くなく、装備も劣悪。
最後の事態が来たとき、最終脱出経路から民間人が逃げ出す時間を稼ぐだけの任務しかない。後はシェルター内の治安維持。
どちらにしても、精鋭がする仕事では無いので、練度が低かったり、或いは問題がある人員が配置されることが多い。
日高少尉やナナコも其方に最初回されていたようだが。
それは関西方面での戦線が錯綜していたためだ。
護衛部隊の隊長が来る。
敬礼をかわして、今後の事について話す。ヒドラの第一陣が出立。すぐに第二陣が来る。十二機用意されているヒドラは、六機ずつ順番で人員の輸送を行っていくのだが。中途の制空権も、いつまで守れるか分からないのだ。
「新しい敵兵器も出てきたとかで、シェルターの人々も不安になっていました。 名高いストームに救援に来ていただいて、本当に心強いです」
「有り難う。 だが今は、安全圏にあるシェルターに、急いで避難することだけを考えて欲しい」
「イエッサ!」
敬礼をかわすと、隊長はすぐに避難民の誘導に戻る。
第二陣のヒドラがきた。
小走りで来たのはナナコだ。表情が乏しいナナコだが。急いでいる様子から、ろくでもない事が起きたのは明白である。
オンリー回線をつないでくる。
スカウトより先に見つけたという事は。
それだけ距離が近いと言うことだ。
「南部にいるアースイーターから、攻撃機多数が発艦。 此方に向かっている様子です」
「来たな。 迎撃する」
ヒドラにとって、攻撃機は天敵だ。
襲われたら、間違いなく落とされる。中途で確実に仕留めないと危ない。すぐに全員に声を掛ける。
「敵が此方に向かっているが、全て我々で叩き落とす。 避難を急いで欲しい」
「えっ!?」
「急いで欲しい。 我々も、避難が早く済む方が、それだけ全力で戦える」
護衛部隊の隊長に、避難誘導を急がせる。
避難民を不安にさせないようにすることは、彼らの仕事だ。此方の仕事は、向かってくる敵を、殲滅すること。
幸い、敵攻撃機は、射程距離がそれほど長くない。
途中で防衛線を張って、全て叩き落とせば、充分だ。
だが、勿論。敵はそれだけでは、済ませてはくれないだろう。
弟と一緒に急ぐ。
この辺りの街は、何度かの戦いで、ズタズタに傷ついているが。それでも遮蔽になるビルは存在している。
攻撃機のデータを取る良い機会でもある。
前回の戦いでは、ろくにデータが取れなかったのだ。全世界で苦しい戦いをしている味方のためにも。
此処で、踏ん張らないと行けない。
弟が、全員と通信をつないだ。
「この辺りで良いな。 ビークルを展開。 此処にいる全員でつるべ打ちして、敵を叩き落とす。 池口はあの辺りに。 秀爺、狙撃ポイントは確保できそうか」
池口は後方に。
グレイプは今回、北京基地から少し古いものを引っ張り出してきている。耐久力には期待出来ないが、無いよりはマシだ。それよりもキャリバンを横にして、それを壁にする。ネグリングは少し後方。
廃ビルに、エミリーが上がる。
三川は判断が難しいだろうと言う事で、矢島とセットで。矢島は高高度強襲ミサイルを撃ちながら、敵が近づいてきたら盾で味方を守る。エミリーと三川はミラージュで援護。谷山は後方でバゼラートに乗り、防衛網を突破してきた攻撃機を潰す。
敵攻撃機が、編隊を組んで迫り来る。
私はガリア砲を。
レンジャー部隊はハーキュリーを構え。
射程距離に入った瞬間。
攻撃を開始した。
先頭の攻撃機が消し飛ぶ。だが、敵が予想以上に早く、射撃を開始する。連射されるビームは凄まじい射撃密度で、確実にキャリバンの装甲を削り取っていく。敵の射程距離が、予想より広い。
ネグリングがミサイルを発射。
ミラージュも攻撃を開始。
攻撃機は、破壊されることを怖れない。次々、落とされながらも、突っ込んでくる。大威力の狙撃ライフルであるハーキュリーの弾を浴びると流石に落ちるが、数が数だ。しかも、相手は後方に下がれないことを承知の上で、確実に此方を削りに来ている。
私も射撃精度が上がっていて、ガリア砲での射撃はまず外さない。
だが、場合によっては盾で皆を守らなければならず。攻撃の速度は、著しく落ちざるを得ない。
「此方谷山」
通信が来る。
悪い予感しかしない。
「攻撃機の一部が、迂回して此方に向かってきています。 迎撃に向かいます」
「どうにかなりそうか」
「どうにかしますよ」
これで、最終防衛ラインは切られた。というよりも、明らかに此方に精神的圧迫を加えるための陽動だ。
その証拠に、前からの圧力が倍加する。
一機、低空飛行で猛射を抜けてくる。
放たれる高密度ビームが、キャリバンの側面を直撃。見る間に強力な装甲を引きはがしていく。
赤熱するほどの凄まじさだ。
私が即応して、ガリア砲で叩き落とすが。
まずい。
誰が言わなくても分かる。此奴の火力は、飛行ドローンの比では無い。このままでは、あまり長い時間は保たない。
戦術士官から、通信が入る。
「ストームチームが交戦中のアースイーター、勢力を拡大中。 全世界で同様に、アースイーターの支配地域が拡大を続けています」
小原と日高司令の呻きが聞こえた。
敵攻撃機を、とりあえず見える範囲内では全て片付けた。呼吸を整えながら、キャリバンからアーマーを取り出させる。
原田が手際よく動いていて、感心した。
「黒沢、日高少尉、此方を!」
「感謝します」
黒沢が、いそいそとアーマーを変える。その間もナナコは、望遠レンズを覗き込んで、敵の動きを観察していた。
通信が断続的に入ってくる。
東南アジアの敵巣穴を潰したオメガチームは、一旦欧州に帰還。ストライクフォースライトニングも、同じように北米に一度戻った。
それだけアースイーターが広範囲に出現していて、本来の防衛範囲をカバーできないからだ。
各地で蜂との戦闘で疲弊したEDFは、アースイーターの猛攻に、体勢を立て直せずにいる。
「奴らの文明規模は、この間確認したとおり、天の川銀河を支配するに相応しい代物なのだな。 このアースイーターは惑星規模の兵器。 このようなものを運用すると言う事は、神に等しい存在だと言う事だ」
「何か、対抗策はありそうか」
「ない」
日高司令に、小原が即答。
それはそうだろう。
私だって、このようなものとの戦いで、どうしていいのか分からない。ただ、日高司令は、取り乱してはいなかった。
「苦しい戦況だが、少しずつ勝機を探っていくしかない。 ストームチーム、交戦した相手のデータを送ってくれ。 確実に弱点を探し出し、フィードバックする。 やがて、敵を滅ぼすための作戦案は、必ず立てる」
「イエッサ」
弟は、短く。
それだけ応えた。
敵を観察していたナナコが、警告してくる。
「第二波、来ます」
「迎撃する」
弟が即応。
今度は、アースイーターから飛び立った敵は、かなりの広範囲に散らばって、此方に向かってくる。
包囲しつつ、後方に廻るそぶりを見せて、圧迫を掛けるつもりだろう。
谷山は側面にいる敵部隊との交戦で手一杯らしく、通信を入れてこない。
ヒドラは。
後方の状態を確認するも、まだ避難は半分も終わっていない。これでも、ペースを上げてはくれているのだろうが。
急いでくれと、何度も心中でぼやいた。
敵が射程距離に入る。
一斉攻撃を開始するも、ネグリングでの射撃効率が著しく落ちる。ミラージュも同様だ。それに対して、敵は先以上の数。
圧倒的な猛攻が、此方の戦力を、見る間に削り取っていく。
勿論弟の射撃精度は尋常では無く、片端から敵を落としていく。秀爺はそれ以上の速度で、敵を潰して行く。
対空戦が苦手な涼川も、時間さえ掛ければ敵を落としてみせる。
だが、敵の攻撃と火力は、それ以上だ。
「キャリバン、もう保ちません!」
日高少尉が、悲鳴を上げた。
後方の避難は、まだ終わっていない。
此方がやるしか無い事を分かった上で、敵は悠々と圧力を掛けてきている。多少の戦力が削られる事なんて、意にも介していない。
あの巨大なアースイーターは、六角形の一ブロックが、計測によると一辺150メートル。
それに様々な攻撃兵器が満載され。
一部には攻撃機などを搭載したハッチブロックも確認されている。
秀爺が通信を入れてきた。
「ハッチを狙ってみたい。 少し皆に任せて良いか」
「頼みます」
無言で私が前に出る。秀爺はライサンダーに切り替えると言う事だから、余計時間を稼がなくてはならない。
ブースターを吹かし、突貫。時間を稼ぐためだ。当然私に敵の火力が集中してくるが、それは機動戦で動き回りながら、攪乱を実施。
それでも。
正確無比な攻撃は、此方の装甲を容赦なく削っていく。
弟が援護射撃してくれるが、なお難しい。巨大生物の群れに飛び込むより、きついかも知れない。
空が光り。
至近で爆裂。一度や二度では無い。
アースイーターの大砲の、射程距離に入ったのだ。
だが、それは好都合。隙を見ながら、攻撃機にガリア砲を叩き込む。爆裂する攻撃機の煙幕を盾にしながら、立ち回り続ける。
冷静にアーマーのダメージを確認しながら、周囲を走り周り。
その時がきた。
秀爺のライサンダーの射撃が。ハッチから飛び出した瞬間の攻撃機を貫いたのである。
爆裂すると同時に、アースイーターのハッチブロックに、大きなダメージが入るのが、遠くからも見えた。
更にもう一撃。
火を噴きながら、ハッチブロックが爆裂していく。
おそらく、中に格納されていた攻撃機に、引火したのだ。
砕けながら落ちていくアースイーター。
しかし、破砕したのは、一ブロックだけだ。
更に、もう一つのハッチを、同様にして落とす。敵攻撃機が、明らかに混乱しているのが分かった。
「なるほどな」
「秀爺、何か分かったか」
「アースイーターそのものはバリアを張っているとみて良いが、攻撃機能を守る事は出来ていない様子だ。 つまりアースイーターのバリアは、マザーシップのそれや、シールドベアラーよりも性能が低い。 試してみることがまだある」
秀爺の射撃。
アースイーターに鈴なりになっている大砲が、次々に爆裂四散。
なるほど、あれならば、充分にたたき落とせるというのか。
「敵の勢い、半減しました」
「よし……」
ナナコの言葉に、私は機動戦を続けながら、思わず呟く。
つまり敵は強力無比な大規模艦隊だが、一隻一隻の性能は、マザーシップよりも遙かに落ちる。
敵が新規攻撃機の射出を停止。
この隙に、残敵を全てたたき落とす。私もガリア砲で、目につく敵の大砲を落としながら、下がった。
まだまだ、やれる。
アーマーを取り替えさせる。私自身も、フェンサースーツのアーマーを取り替え。キャリバンのアーマーも張り替えさせた。
呼吸を整えながら、状況を確認。
まだ矢玉は尽きていない。
「ヒドラ第四編隊発進!」
「避難を急いでくれ。 此方も敵を食い止めるのに限界がある」
「イエッサ!」
後方部隊も、頑張ってくれている。
ガリア砲を冷やしながら、私は弟と、オンリー回線を開いた。
「どう思う」
「アースイーターは、まだ慣らし運転の段階だな。 まだまだ敵の戦力は未知数だとみて良いだろう」
「思い切った攻撃に出てきたものだ」
「ああ。 姉貴も気をつけてくれ。 ここから先、敵の攻撃は、更に苛烈になると見て良いだろう」
新人達を休ませる弟。
自身は前に出ると、ハーキュリーで、アースイーターの構造物を片っ端から叩き落としはじめた。
大砲はどれもこれも、やはり破壊可能だ。
ただ敵の装甲板そのものには、まるで歯が立たない。秀爺も同様にしてライサンダーで叩いているが、装甲には傷一つ付けられなかった。
装甲の性能に関しては、マザーシップより上か。
私も途中から、ガリア砲で参戦。
射程内の敵構造物を、全て剥ぎ取ってしまう。これで多少は、戦いがやりやすくなるはずだ。
二時間ほどは、何も無し。
いきなり状況が変わったのは、その後である。
不意に、アースイーターが消滅したのだ。代わりに、空から、無傷のアースイーターが落ちてくる。
空を覆っていく、無傷の大砲と発着ハッチ。
涼川が呻いていた。
「おいおい、お代わりかよ」
「空間移動する輸送船と同じ原理だろうな」
仕切り直し。
また、激しい防御戦の開始だ。しかし、今度は先ほどまでとは違う。ハッチが開いた瞬間、秀爺が即応。ハッチごと、攻撃機を爆砕。粉砕されて落ちていく敵ハッチ。しかし、敵も黙っていない。
秀爺が伏せていた辺りに、射撃が集中。
爆裂が連鎖する。
私と弟が、冷静に攻撃機と、大砲を粉砕しつつ、秀爺に通信を入れる。しばしの沈黙の後、秀爺が返信してきた。
「大砲をまず削いでくれ。 今ので、敵の大砲の射程距離は分かった」
「それより、無事か」
「アーマーは全損したがな。 すぐにアーマーの張り直しに向かう。 時間を稼いでくれるか」
「任せろ」
戦いが、苛烈さを増していく。
第三波を退けて、アースイーターのハッチを叩き落として。攻撃機を全て粉砕して。疲労困憊しているところに、更にお代わりが来る。
文字通り、無限大の物量。
乾いた笑いが漏れてきた。
「此方ヒドラ。 民間人の避難は完了した! ストームチームも、撤退して欲しい!」
「ようやくか」
「苦しい戦いだったと思う。 貴殿らの敢闘に敬意を表する!」
弟が、撤退と叫んだ。
下がりながらも、アースイーターの大砲は全て叩き落としていく。如何に際限の無い物量を敵が有しているとしても。
少しでも破壊しておけば、必ず味方が有利になる筈だ。
そう、信じて。