地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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アースイーターの出現。

更に兵器のグレードを上げてきたフォーリナーの戦略展開により、EDFの劣勢は更に加速する事になります。

真相を知っていようがいまいが、抵抗しなくてはなりません。

それが力がある者の責務です。


1、撤退継続

北京基地にどうにか逃げ帰るが。

 

味方の損傷は、増えるばかりだ。一旦極東に下がらせたペイルチームも、人員の補充が出来る見込みがない。

 

それだけではなかった。

 

アースイーターは、我が物顔に、各地の基地上空に出現。

 

既に十五を超えるEDF基地が、アースイーターによって飲まれ、粉砕されてしまった。

 

火力が凄まじい。

 

物量が凄まじい。

 

倒しても倒しても代わりが来る。

 

これでは、如何に要塞砲や対空砲を多数備えている基地であっても、ひとたまりもない。しかもアースイーターの中には、小型化したジェノサイド砲を装備しているものまで存在している。

 

それらが発射されてしまうと、もはやなすすべがないようだ。

 

北京基地に戻った途端、私と弟、ジョンソンに声が掛かる。

 

幹部会議だ。

 

もうボロボロの司令部ビル。何度かの蜂による猛攻を修繕できていないのだから当然である。地上部分は半ば放棄。地下の施設を使って、ホログラムによって会議に参加する。狭苦しい倉庫のような部屋で、大柄な弟とジョンソンは、入るときに窮屈そうにしていた。

 

会議が始まるが。

 

カーキソンをはじめとして、首脳部は皆顔を青ざめさせていた。

 

大混乱しているEDF首脳部だが。まだ兵力をかき集めれば、反攻作戦そのものは可能だ。

 

問題は、マザーシップ戦での打撃から立ち直る余裕を、敵がくれないことにある。

 

各地の基地の地下にある工場はフル活動していて、新規の弾薬や兵器は、どんどん投入されてきている。

 

これらの工場は、殆どの場合無人化されていて、人員の損耗は心配しなくても良いのだが。

 

問題は、基地ごと工場が潰されてしまうようなケースだ。

 

事実、かなり規模が大きかったハワイ基地でさえ、ひとたまりも無かったのである。

 

「アースイーターは、一度出現すると、どれだけの物量を投入しても、その地点を死守するようだ。 そして、少しずつ連結を増やして、確実に支配地域を広げていく」

 

私達が交戦した相手なども、データに出てきた。

 

バイザーに表示される交戦データは、それぞれ本部の解析班が、次の戦いに役立てているのである。

 

そして、アースイーターの拡大も、図に示される。

 

露骨に、世界中に拡がりはじめている。

 

「まるで機械で出来た伝染病だな」

 

カーキソンが吐き捨てる。

 

ジョークを言っている様子は無い。本気で不愉快になっているのが、声からも明らかだ。せっかくここまで戻した形勢を、瞬時に逆転されたのだから、当然だろう。

 

「アースイーターの出現と同時に、マザーシップも活動を活性化。 四つ足を多数投下しているだけではなく、ヘクトルも各地に投入しています。 まだ未確認ですが、その中には新型も混じっているようです」

 

「残りのマザーシップは三隻だな」

 

「はい。 しかしアースイーターをどうにかしないかぎり、マザーシップに大兵力を投入するのは厳しいかと」

 

現実的に言ったのは、EDFでも日高司令を含め、四人しかいない大将の一人。参謀長マルレインだ。

 

マルレインは前大戦で欧州戦線のナンバーツーだった人物で、欧州が壊滅する中、生き延びて指揮を続けていたという点では、北米のカーキソンににた経歴である。というよりも、今のEDF最高幹部は、だいたいそう言う経歴の者で占められている。

 

マルレインはカーキソンと違い、大戦の後も太らなかった。

 

フォーリナーからの鹵獲技術でステージ3の癌を克服。何度かの大病にも屈せず、勤務を続けている、苦労人でもある。そのためか、やせこけた長身の彼は、目の下にいつも隈を作っている。

 

日高司令が挙手。

 

大将になったのはつい先日。だからか、皆に対して、多少口調がえらそうになっていた。威厳を作るための工夫だろう。

 

「奴らが神に等しい存在だろうが、諦めるわけにはいかない。 幸い、攻撃も通用する事が分かっている。 ストームチームの交戦データによると、脆い部分であれば、撃墜することも可能だ」

 

「問題は敵の物量だが、崩すための作戦は」

 

冷静に言うのは、マルレインである。

 

現在、全力で敵を解析中と、日高司令が応じた。

 

ため息が漏れる。

 

誰もが分かっているのだ。

 

このまま殴り合えば、力尽きるのは人類だと言う事は。

 

最高幹部の全員は、この間私が真相を告げた。フォーリナーは、文字通り天の川銀河の支配者なのである。

 

その気になれば、この地球を一瞬で消滅させる武力を投入することも出来る。奴らにしてみれば、戦況をコントロールするために必要な戦力を投入しているだけで、それ以上でも以下でもない。

 

挙手したのは、もう一人の大将。

 

EDF最高幹部の紅一点と言っては聞こえは良いが、実際には既に老婆になっているヘンツィン大将である。

 

彼女も他と似たような経歴で、中央アジアで巨大生物との消耗戦に勝ち抜き、生き延びた。

 

非情に狷介な性格の彼女を見ていると、ほのかが如何に温厚な人なのか、よく分かって面白い。

 

「負けを認めるわけではありませんが、総司令部の移動について協議は進めておきましょう」

 

「少し早いのでは」

 

「マザーシップとアースイーターの同時攻撃を浴びた場合、総司令部でも落とされますよ」

 

苦言を言おうとするカーキソンに、ヘンツィンは冷静に告げる。

 

口をつぐむカーキソン。

 

ただ、これは誰かが言わなければならないことだった。

 

元々、EDFは前回の大戦の反省を踏まえ、泥沼化した場合に備えて、司令部機能を分散している。

 

なおかつ、総司令部が落とされた場合に備えて、多数のサテライトオフィスを作っているのだ。

 

その中には大深度地下に存在するものもある。

 

一度や二度主力決戦で敗れたとしても、屈しない。そのための準備は、整えてある。確かに、もうそろそろ、考えておかなければならない時期だ。

 

前大戦の悲惨さを考えると、まだこれからというのが全員の一致した見解。

 

前大戦では、ゴミのように各地の軍勢がフォーリナーによって蹴散らされていく中、絶望的な戦いが続いていたのだから。

 

今回は、少なくとも戦いが成立しているのである。

 

「ストームチーム、オメガチーム、ストライクフォースライトニング」

 

カーキソンが、皆を見回した。

 

そして、死刑宣告にも思える事をいう。

 

「君達には、アースイーターと可能な限り戦い、データを集めて欲しい。 絶望的な戦いだが、必ず勝機はあると、私は信じている」

 

 

 

会議が終わると、外に出る。

 

ジョンソンは何も言わなかった。

 

彼の悲願であった、四つ目の最精鋭チームの創設。

 

それが夢と消えた、という事もあるだろう。各地での戦況が泥沼化する中、はっきりいってEDFに、新規チームの創設などしている余裕は無い。現状の精鋭でさえ、維持するのが困難なのだ。

 

文字通り、アースイータは、ジョンソンにとっては不倶戴天の敵だ。

 

スラムに生まれ、過酷な人生を送ってきたジョンソンにとって、自分の部隊の設立は夢だっただろうに。

 

私は咳払いして、ジョンソンを見た。

 

「ジョンソン」

 

「何か」

 

「貴殿の苦悩は分かる。 だが、今は戦いに勝つことを考えよう」

 

「言われなくてもそうするさ。 あの天井の蓋を、一つ残らず叩き落としてやる」

 

凄まじい闘気が、ジョンソンの目に宿るのが分かる。

 

それでいい。

 

新人達をカプセルを使って休ませ、私は弟と一緒に周囲を見て廻る。地下の工場では、急ピッチで修復が進んでいるが、ビークル類はまだ全部が動ける状態には無い。幾つかあるグレイプは旧式ばかり。

 

いっそのこと、グレイプの火力は捨てて、キャリバンに統一する手もある。

 

皆、士気が著しく落ちているが。

 

「英雄」であるストームチームのリーダーである弟が姿を見せると、精気を取り戻す。握手を求められたり、敬礼されたりもする。私は側で、影のように歩く。弟に対する強い嫉妬を感じる事もあるけれど。

 

今は、それどころではない。

 

弟の力と。前大戦の英雄であり、今の大戦でもマザーシップを落とした実績を持つ弟の栄光が。皆の勇気を引き出すためには、必要なのだ。

 

見回りを終えると、涼川が文句を言いにきた。

 

「旦那、コンバットブーツの代わりくれ」

 

「良いのが無いのか?」

 

「ああ」

 

涼川は戦闘を第一の喜びとしているが、コンバットブーツにはこだわりがあるらしい。この辺りは、個人の嗜好によるものなので、あまり苦言も言えない。ちなみに現在は、コンバットブーツは一種類だけでは無く、様々なアレンジタイプがある。デザインについては、自分でする事も出来る。

 

工場へ様子を見に行く。

 

リソースを、全て弾丸の生成と、破壊されたビークルの修理に廻している状態だ。涼川のコンバットブーツは、以前レタリウスに駄目にされて以降、ずっと適当に廻された支給品を使っているらしく。そろそろ新しいのが欲しいのだとか。

 

コンバットブーツの備蓄を確認。

 

見せるが、涼川は首を横に振った。

 

自分でデザインしたお気に入りが良いと言うのである。この辺り、こだわりというものは、私にはよく分からない。

 

弟も、涼川のこだわりに、文句を言うつもりはないようだ。

 

「分かった、作成ツールを使って良い。 ただ、工場のリソースをそれだけ喰うから、急いでくれ」

 

「ああ、分かってる。 愛してるぜ、旦那」

 

「ありがとう。 次の戦いで、高い戦果を期待するぞ」

 

地下の工場から出る。

 

北京基地はズタボロだが、此処を守れば守るほど、中国の敵巣穴を叩ける好機が巡ってくる。

 

「私は少しカプセルで休む」

 

「ああ。 今のうちに休んでおいてくれ。 俺はもう少し、巡回してから休む」

 

「無理はするなよ」

 

「お互いにな」

 

弟と別れると、カプセルがある区画に。

 

私が姿を見せると、荒くれの隊員も敬礼してくるから面白い。籠城戦の後で、私に対する見方が露骨に変わったのだが。この辺りは、まだまだ人間も捨てたものではないとも思うし。業が深いとも思う。

 

カプセルに入って、しばらくぼんやり。

 

アースイーターと、これから戦うのは確実だ。

 

戦えば戦うほど、弱点も見いだせる。

 

しかし、上の段階の兵器を出してきたという事は。敵が何かしらの目的を持っているのも確実。

 

戦略上の目的は既に達成していて。

 

後は戦況のコントロールをするためだけに、一段階上の兵器を出してきたというのなら、どうなのだろう。

 

目が覚める。

 

四時間ほど、カプセルで眠っていた。このカプセルでの四時間睡眠は、二日間眠ったのに匹敵する回復を促す。

 

あくびして目を擦り、しばらく辺りを見回す。

 

すっかり夜になっていた。

 

腹が減ったので、食堂に。

 

食堂をはじめとする中核施設は、地下に作られている。地下はまだ無事な施設が多いけれど、それでも彼方此方ガタが来ている。

 

基本的に、動き回るときはフェンサースーツだ。オートメーションで作られる適当な食事を選ぶと、机に運んで口に入れる。口の部分が開けられる機能が、此処では嬉しい。

 

隣に座ったのは、原田だ。

 

「今起きたのか」

 

「はい、疲れが溜まっていまして」

 

「もう少し休んでいてもいいぞ」

 

「いえ、矢島の訓練につきあいます。 彼奴、難易度インフェルノで鍛えていて、はじめ特務少佐やストームリーダーの役に立つんだって張り切ってて。 俺、自分も見習いたいんです」

 

それは良い心がけだ。

 

原田はよほど腹が減っていたのか、おいしくもないカレーを三杯も食べると、シミュレーションルームへ消えていった。

 

外に出ると、通信がきた。

 

私が起きるのを、見計らったようなタイミングだ。弟ももう起きているらしくて、すぐに回線をつないできた。

 

「此方日高。 ストームチーム、任務を頼みたい」

 

「何なりと」

 

「前回、救出活動を行ったシェルター近辺のアースイーターが拡大を続けている。 これを叩いて、出来るだけデータを取って欲しい。 その隙に、可能な限り中国地区シェルターからの救援と、物資の北京基地への搬入を行う」

 

なるほど、飴と鞭か。

 

アースイーターとの戦いという苛烈な任務と同時に、此方に対する支援も表明するというわけだ。

 

巨大生物は、今の時点では動きを見せていないと言うし、ストームチームだけでどうにかなるか。

 

通信を切った後、弟と話し合う。

 

グレイプRZは修復の見込みが立っていない。

 

そうなるとやはり攻撃機が出てきたときのことを考えて、キャリバンを二両か。キャリバンにも、アーマーを可能な限り積んでいった方が良いだろう。

 

念のため、汎用性が高い兵器を、幾つか積んでいく。

 

すぐに戦地に向かう。

 

地上車両で、すぐに行けるほど。アースイーターは、近くに迫ってきているという事だ。キャリバンで移動中、日高少尉が聞いてくる。

 

「アースイーターって、どういう目的で作られたんでしょうね……」

 

「さあな。 惑星を制圧する兵器にしては、あまりにも大げさすぎる。 本来は環境調整用の機械に、自衛機能を搭載したように思える」

 

「テラフォーミングって奴ですか?」

 

「そうだ」

 

そもそも、アースイーターは、敵が惑星地表にいることを前提とした兵器だ。それも動きを見ている限り、定点の占領が主任務に思える。敵が動き回る場合を想定していないし、無理矢理元々とは違う機能を積み込んだ感触が強いのだ。

 

つまり、アースイーターは。

 

兵器では無いものを、兵器化したと言うことである。

 

その辺りに、弱点があるかも知れない。

 

ただ、専門家はそれくらい分かっている筈だ。私の中にいる彼奴も、これについてはコメントしない。

 

アンフェアになるからだろう。

 

現場に到着。

 

此方で削ったアースイーターは、まっさらになったまま。まずは状況を観察。大砲を削って、敵が艦載機を出そうとしたら、一気にハッチを叩く。それで問題は無いだろう。

 

ただ、敵が本気を出しているとは、まだまだ思えない。

 

どんな新兵器を出してくるか分からない現状、油断は禁物だ。

 

全員が位置につくのを確認。

 

レンジャーには全員にハーキュリーが行き渡っているが、弟と秀爺はライサンダーだ。これはハッチを狙うためである。

 

それだけではない。

 

一部、不可思議なパネルがある。

 

赤い球体状になっているもので、周囲には露骨に多数の大砲がある。あれはひょっとすると、コントロールパネルかも知れない。

 

大砲に対して、ハーキュリーで攻撃を開始。

 

複数種類ある大砲は、ハーキュリーの直撃で落ちてこないものもある。レーザーを放ってくるタイプと、プラズマ弾を撃ち込んでくる種類があり。他にも何種類かが、見て取れた。

 

ハッチが開きはじめる。

 

弟と秀爺が即応。

 

ハッチから出てきた攻撃機もろとも、ライサンダーで打ち抜く。即座に打ち抜かれたハッチが、爆裂四散。

 

大砲が反撃してくるが。

 

冷静に、確実に敵を削っていく。今の時点では優勢だが。

 

しかし、何しろ相手は物量が物量だ。それに、ハッチを潰されたくらいで、黙ってくれるだろうか。

 

懸念は即座に適中する。

 

ふいに、アースイーターが多数消え失せる。

 

そして、お代わりが、空から降りてきた。大砲の駆除からやり直しだ。ハッチも幾つか見受けられる。

 

降りてくる最中に、射撃は既に開始。

 

大砲の中でも、大きめの奴を、優先して潰す。レーザー砲台は、アーマーで充分に耐え抜けるからだ。

 

ハッチはまだ開かない。

 

というよりも、だ。

 

嫌な予感がする。

 

ハッチの一つが開いた。弟が速射して、ライサンダーの弾丸を叩き込むが、弾かれる。愕然とした。今までのハッチと耐久力が違う。

 

よく見ると、ハッチから。

 

何か巨大な円盤状の物体が覗いていた。

 

それは、這い出すようにして、銀色の三本の触手を振るう。ハッチから自らを引きずり出しながら、地面へとダイブ。

 

禍々しい姿のそれは。

 

見る間に、長大な三本の触手を足のようにして、立ち上がった。

 

「何だアレは!」

 

映像を見ていたらしい日高司令が叫ぶ。

 

戦術士官が調べているが、明らかにアンノウンだ。立て続けに三種類の新型を繰り出しただけでは無く、更に新型を出してくるか。

 

文字通りの大盤振る舞いである。

 

見た感じ、あの触手で地面に立てるとは思えない。つまり円盤状の部分が反重力で浮いているという事だ。

 

という事は。

 

「あの足はおそらく攻撃兵器だ!」

 

叫ぶよりも、敵が動くのが早い。

 

触手についている無数の球体から、膨大なレーザーを放ってきたのである。凄まじいなどと言う次元の火力では無い。

 

バリケードにしていたキャリバン。今回の戦闘で新しく投入したものが、一瞬にしてアーマー全損。

 

愕然としながら、下がる。

 

下がりつつ円盤部分に火力を集中するが、中々壊れない。あの部分だけで、ヘクトルよりも頑強か。

 

バック。

 

弟が叫ぶ。

 

全員で火力を集中。敵の大砲も勿論射撃を続けてくる状態だ。一瞬にして、形勢逆転である。

 

キャリバンに日高少尉が飛び乗り、一気に後退。

 

無事な方の、新型キャリバンでかろうじて敵のレーザーを凌ぎながら、円盤に攻撃を集中。

 

動きが速い。

 

三本の触手を動かしながら、あっという間に迫ってくる。

 

悪路なんて関係無い。反重力で浮いているのだから、当然だろう。

 

触手の一本を持ち上げる。

 

先端部分が槍のようになっているのに気付いて、叫ぶ。散開。

 

降り下ろされた触手が、旧型キャリバンを貫通。

 

爆裂四散。

 

乗っていた日高少尉は。

 

呻きながら、残骸から這い出してくる。

 

日高司令が、呻く。

 

「何という戦闘力だ! ヘクトルの比では無いぞ!」

 

それでも、火力を集中させていけば。

 

円盤部分が、火を吹き始めた。更に秀爺の射撃が直撃。ついに内側から爆裂し、地面に破片が降り注ぐ。

 

だが。

 

敵のハッチから、同様の戦闘兵器が出現する。

 

ハッチを塞ぐように出てくる上、極めて頑強だから、同時破壊が通用しない。しかも、あの三つ足が暴れている間に、攻撃機が次々にハッチから発進してくるでは無いか。

 

「欧州でも同様の機体が出現したと報告がありました。 北米でもです」

 

「新型を撃破しろ。 データが欲しい」

 

「あたしに一体は任せろ」

 

涼川が飛び出す。

 

スタンピートを叩き込みながら、前進。相手もレーザーを放ってくるが、涼川の動きは流石で、建物の残骸などを利用しながら、確実に接近していく。

 

その間に、もう一体に、私が飛び込む。

 

至近に、触手を降り下ろしてくる三つ足。

 

旧型とは言え、キャリバンを一発で粉砕した槍の一撃だ。まともに食らえば、アーマー全損から、フェンサースーツの一発粉砕まで持って行かれてしまうだろう。しかも、レーザーの強烈さ。

 

明らかにヘクトルよりも格上の機体である。

 

味方が必死にスナイパーライフルで叩いてくれているが、攻撃機も群がっている状況。ある程度は、此方でどうにかしなければならない。

 

跳躍。

 

円盤状の部分から、強烈なプラズマ弾まで放ってくる。

 

爆裂したプラズマが、崩れかけていたビルを粉砕し、倒壊させた。

 

凄まじい。

 

ヘクトルは人型。

 

これは頭上からの攻撃を得意とし、地上戦力に対する圧殺が目的の一つであったのだろうが。

 

この新型は、そのコンセプトを更に洗練したものだとも言える。

 

地球人類を制圧し、戦況をコントロールするために、より強力に作り上げられた機体。勿論天の川銀河の支配者にとっては、この程度は泥人形をこねるよりも、簡単な技術の集積なのだろうが。

 

ガリア砲を放ちながら、必死に敵の注意を引く。

 

炸裂したライサンダーの弾丸が、どうにか二機目の円盤部分を砕く。涼川が担当している三機目に攻撃が集中しはじめた矢先。

 

頭上に回り込んでいた攻撃機が、旋回しながら、私にシャワーのようなエネルギービームの乱射をくれた。

 

一気にアーマーがレッドにまで削られる。

 

必死に下がりながら、ガリア砲で攻撃機を叩き落とす。だが、敵の攻撃範囲はまだまだ此処でもだ。

 

アースイーターの大砲から、無数のレーザーが降ってきて。

 

キャリバンにどうにか逃げ込んだときには、アーマーは全損していた。

 

慌てて付け替える。

 

これはまずい。

 

今までとは、戦況が違いすぎる。

 

キャリバンを飛び出す。

 

「敵の新型を、これよりディロイと呼称します。 現在全世界で、三百機近くが確認されており、アースイーターの制圧地域で、猛威を振るっている模様です」

 

「なるほど、そう言う戦略か」

 

私はぼやく。

 

つまり、敵はアースイーターという絶対防衛兼制圧圏を作り上げ、それを押し広げていくことで、戦況をコントロールする戦略に切り替えたという事だ。

 

今まで人類とまともにやり合ってくれていたのは、おそらく銀河系を支配するルールや条約に従った、一種の縛りだったのだろう。

 

今後は危険生物に対する駆除兼制圧という目的で、文字通り今までとは桁外れの戦力と、圧倒的制圧力を誇る上位兵器群を繰り出してくると言うわけだ。

 

三機目のディロイが、秀爺の狙撃で粉砕されるのが見えたが。

 

敵攻撃機部隊はまだ十数機が残っているし、アースイータの大砲もしかり。攻撃が集中する中、ハッチが開いて、更にディロイが追加される。

 

また二機。

 

乾いた笑いしか漏れない。

 

「近づけさせるな」

 

弟が、遠くにいる奴に、射撃を集中。

 

近くに来た奴には、呼吸を整えている涼川と、私が当たる。

 

「涼川、一旦アーマーを変えろ。 私が前衛に出る」

 

「応。 任せるぜ」

 

遠くにいる奴を皆が叩き落とすまでは、私が支えなければならない。

 

何しろ、ディロイの頑強さと来たら、おそらくヘクトルの数倍だ。円盤部分はヘクトルよりもかなり小さいが、その分防御機能を集約しているのだろう。

 

ガリア砲をぶっ放し、触手に直撃させるが。

 

チェーン状の構造になっている上、柔軟性が常識外だ。それに触手は粉砕しても、すぐにくっつくようである。

 

多少切られても平気。

 

原生生物か。私は口中で毒づくけれど。考えて見ればフォーリナーは、常に全力の戦略で相手をしてきた。

 

円盤部分を徹底的に破壊して機能停止に追い込まないと倒せない。ディロイの凄まじさは、戦えば戦うほど、分かる。

 

エミリーがMONSTERのエネルギービームを直撃させるが。

 

それでもディロイの装甲は貫けない。

 

しかし、流石に赤熱。

 

其処に秀爺がピンホールショットを叩き込み、爆裂し散させた。四機目。攻撃機も、その時にはあらかた片付いていたが。

 

しかし、である。

 

「此方池口! もうネグリングが保ちません!」

 

「潮時だな。 本部、ディロイのデータはとる事が出来たし、アースイーターについてもだ。 そろそろ撤退したいが、良いだろうか」

 

「許可する! 生きて帰ってくれ!」

 

日高司令の声は沈痛だ。

 

神に等しい相手。

 

それを相手に、真正面からやり合わなければならない苦悩。日高司令は司令官としては無能かも知れないが。

 

人間味はある。

 

それを、私は知っていた。

 

まだまだ追加される攻撃機。バゼラートから発射されたミサイルとヴァルチャーエネルギー砲が、次々攻撃機を貫く。

 

私が引きつけていたディロイに、戻ってきた涼川がスタンピートからグレネードの雨を降らせた。

 

流石に体を軋ませるディロイ。

 

足がねじれて、凄まじい格好になるディロイは。足で体を支えているのでは無く、円盤が反重力で浮いているのだと、見るだけで分かる恐ろしさだ。

 

「スタンピートでもおちねーか」

 

涼川が吐き捨てた。

 

弟が飛び出すと、フュージョンブラスターをぶっ放し、円盤部分を焼き切る。流石にこの火力の前には、ディロイもひとたまりもない。

 

円盤が打ち砕かれ、粉砕されて落ちていく。

 

「試してみたいことがある」

 

秀爺が言う。

 

もう少し時間を稼いで欲しいという。

 

頷くと、私はガリア砲で、小うるさくつきまとってくる攻撃機を叩き落としたが。キャリバンの損耗が酷く、このままでは先ほどの旧型と同じ運命をたどる。

 

秀爺の射撃が。

 

遠くにある、赤い球体状のアースイーターに突き刺さる。

 

悲鳴のような音が聞こえた。

 

更にもう一撃。

 

四発のライサンダー弾丸が食い込むと、赤い球体の色が消える。そして、爆裂しながら、落ちていった。

 

周囲の数ブロックに渡るアースイーターも、それに巻き込まれ、砲台を砕かれ。残骸をばらまきながら溶けるように消えていく。

 

「なるほど、あれはおそらく管理ブロックだな」

 

弟が、周囲に分かり易く言う。

 

要するに、これだけの規模の大艦隊だ。ブロックごとに、管理するアースイーターが必要になるのだろう。

 

そしてそれは、非情に繊細な管理が必要になるため、シールドさえ張れない。

 

いや、あるいは。

 

流石にそれ以上は考えないことにする。どうせすぐにお代わりが来る。

 

攻撃機は全部撃墜して、データも取った。アースイーターの大砲も、手近なものは根こそぎ片付けた。

 

これで充分だ。

 

ビークルに分乗して、撤退。

 

わずかな時間の戦いなのに。皆、アーマーを手酷く損傷していた。

 

本部に通信を入れる。

 

アースイーターに、弱点を発見。コア部分を破壊すれば、周囲の数ブロックを巻き込んで破壊できる。

 

しかし破壊できる物量は限定的。

 

なおかつ、すぐにお代わりが来る。

 

おそらく敵は、管理ブロックを並列させることによって、安定性を実現しているのだろう。

 

日高司令は、解析させるというと。

 

疲れ切った声で、一旦戻るように指示を出してきた。

 

 

 

北京基地に辿り着く。

 

ビークル類の凄惨な有様を見て、他の兵士達も呻いていた。戦死者は出していないのだけが幸いだ。

 

新人達を休ませる。

 

戦局報道が行われて。多くの兵士達が、耳を傾けていた。最近はテレビなんて使わない。バイザーで、直接報道は見る事が出来る。だから兵士達が重要な戦局報道時は、足を止めたり、壁により掛かって一服している光景が見られる。

 

「EDFは、空を奪おうとしている敵をアースイーターと呼称。 このアースイーターによって、既に多数の基地が陥落。 大きな被害が出ているようです」

 

「空を覆うなんて、金が掛かったやり方だなあ」

 

「ばっかやろテメー。 戦争ってのは、金が掛かるんだよ」

 

軽口を叩いている兵士達だが。

 

笑顔は殆ど見られない。

 

陥落した基地のリストが出てくるが、その中には彼らの友人や兄弟がいてもおかしくないからだ。

 

何より、である。

 

知っているのだろう。アースイーターの制圧地域は、決して取り戻せないと。ストームチームでさえ、奪還に成功していないのだ。

 

もはやこれから地球人類は、空を奪われ。

 

どんどん追い込まれていくしか、路がない。

 

絶望するには、充分だ。

 

「アースイーターは確実に数を増やし、支配地域を広げています。 アースイーターには強力な砲撃機能がついており、近づくことは自殺行為です。 決して近づかないようにしてください」

 

「そうもいかねえだろ」

 

兵士達が、疲れ切った声で、ぼやきあっていた。

 

EDF総司令部は、アースイータの破壊を宣言していて。いずれ大規模攻撃を予定していると明言しているのだ。

 

つまるところ。

 

これから多数の兵士が。ストームチームでも苦戦する相手に、絶望的な攻撃をさせられるという事だ。

 

通信が来る。

 

三島からだ。

 

「ハーイ。 戦況はどうかしらー」

 

「絶賛苦戦中だ。 全滅していないのが不思議なくらいでな」

 

「あらそう」

 

平然とした返しには、苦笑さえ漏れない。

 

弟は通信を切ると、新人達を休ませて。自身はジープを引っ張り出して、周囲の巡回に向かった。私はそのまま、三島との通信を継続する。

 

私の予想では。

 

そろそろ極東に戻れと指示が出てくるはずだ。

 

極東に戻るときのために。橋頭堡となっているこの北京基地を守るため。後続部隊に引き継げるデータを、集めておくつもりなのだろう。

 

「それで、何用だ」

 

「貴方たちがデータを送ってきた敵の新型輸送船だけれど。 世界各地で出現していてね」

 

それはそうだろう。

 

空間を好き放題飛び回る強力な新型だ。

 

戦況が悪い地域に、一気に大量の巨大生物やヘクトル。場合によっては、あのディロイを運んでくる事は間違いない。

 

「で、空間転移のパターンを見つけてね。 落とせるかも知れない」

 

「何……」

 

「近々、貴方たちに命令が来る筈よ」

 

それは、久方に聞く良いニュースだ。

 

更に三島は言う。

 

「総司令部から聞かされたけれど、フォーリナーの正体」

 

「これ、機密通信だろうな」

 

「ええ。 それにしても、とんでもない相手と地球人類はやりあうことになったものね」

 

「本来は、あり得ない事だったようなのだがな。 フォーリナーの方でも、状況が状況、という事だ」

 

現状打開派のフォーリナーの焦りは、分からないでもない。

 

国家破綻や経済破綻とは、次元が違う危機なのだ。

 

文字通り、種族が滅ぶかどうかの瀬戸際。滅びを素直に受け入れることが出来る人間なんてそうはいないように。

 

長く繁栄し。

 

天の川銀河を平和に安定させてきたフォリナの衰退を、喜ぶ者は多くないという事だ。

 

勿論彼らの行動は、人間から見れば許されざる事だが。

 

しかし、である。

 

彼らの視線から見れば、特定動物による実験も同じ。地球人類も、同様の行為は、散々繰り返してきたのである。

 

面白いからという理由で、虎とライオンを殺し合わせたり。

 

楽しいからという理由で、アメリカリョコウバトを絶滅させ。

 

見かけが気持ち悪いという理由で、湖にいる無害なユスリカを大量殺戮した。これらは全て、歴史上で人類がやってきたこと。

 

動物実験などでは無い。

 

快楽のために、他の種族を殺戮する事を、人間は厭わないのである。

 

ましてや必要な動物実験を、躊躇うだろうか。

 

さらなる人類の上位種族から。

 

同じ事を、今度は人類がさせられているという事を考えると。あまり、人類の正義を主張できないのも事実だった。

 

「フェンサースーツの改良も、ある程度進んだわ。 矢島君に、データは転送しておくからね。 少しは前よりは動けるのでは無いかしら」

 

「感謝する」

 

「後、人員の追加はいいの?」

 

「現状、何処の部隊も人材が足りなくて苦労しているだろう。 うちは新人も育って来ているし、他でなら隊長クラスをしている者が何名もいる。 これ以上、精鋭を寄越せとは言えないさ。 かといって、今更新人を入れても、死なせるだけだ」

 

通信を切る。

 

三島も冗談めかしていたが。彼奴は何を考えているか、よく分からないところがある。

 

彼奴はもしかすると。

 

この状況を、楽しんでいるのかも知れなかった。

 

弟が戻ってきたときには、新人達は休憩を終えていた。弟が、途中で通信を入れてきたから、知っている。

 

アースイーターの支配地域では、相当数のディロイがいる。

 

歩き回るのでは無く、地面で足を縮めて、畳むようにして休んでいるようだ。此方の襲撃に備えて、エネルギーを温存していると見て良いだろう。

 

コアブロックについても、調査してきたそうだ。

 

百前後のブロックに一つ、コアブロックは存在しているようだが。先ほどの破壊映像を確認する限り、コアブロックを破壊しても、アースイータ全てが沈黙するわけでは無い。沈黙するのは周囲の数ブロックだけ。

 

破壊によって、恐らくはスタンドアロン制御に移行するか。

 

もしくは、別のコアブロックに、制御を即時移行させるのだろう。

 

やはり、弟の方には、先に命令が行っていた。

 

「明日の0400に、ヒドラが迎えに来る。 それに乗って、一旦極東に戻る事になる」

 

三島の言ったとおりだ。

 

それまでは休憩と言う事で、全員が基地内に散っていく。

 

矢島がトレーニングをするという事で、私はつきあうことにした。原田も、トレーニングをしたいらしい。

 

他の新人達は、休ませる。

 

一人だけ。日高少尉だけは、怪我をしてもたたきのめされても平気な様子だったので、トレーニングに参加させた。体力がもともと桁外れなのだろう。

 

皆の中心となっている日高少尉だが、戦士としての力量は並程度なのだ。鍛えておいて、損は無い。

 

まだ生きているシミュレーション設備だが。

 

使っている兵士は殆どいなかった。

 

矢島と原田、日高少尉が入ったところで、支援用のビークルを幾つか入れる。難易度はインフェルノに設定。

 

黒蟻数百に囲まれた状態から、スタートだ。

 

矢島の動きが、話通りかなり良くなっている。スムーズにブースターとスラスターを使えている印象だ。

 

しばらく戦いは継続したが、結局負け。

 

アドバイスをしてから、次に。

 

四セットほど戦ったが。

 

結局勝つことはできなかった。出てきた矢島が、悔しそうに呟く。

 

「数十だったら、どうにかなるんだけどなあ」

 

シミュレーションの勝利条件は幾つかある。三人はそこそこに息が合った連携を見せているが、物量に押し負けてしまう。

 

実際の戦場のように、先輩がいるわけではないのだ。

 

「でも、今までより、ずっと敵を倒せていたよ」

 

「そうですね。 次こそは」

 

「もう今日はここまでだ。 寝ろ」

 

日高少尉はまだまだ元気な様子だが。

 

明日以降は、また厳しい戦いになるのは確実なのだ。私は三人を促し、休ませた。私も、休まなければならなかった。

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