地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
民間人を逃がすための必死の戦闘が続きます。
技術力が根本的に違う敵との。
時間通りにきたヒドラで、一度極東に戻る。
北京基地は心配だが、最悪の場合には逃げられるように、準備も整えておいた。中国にある二つの敵巣穴を潰すためにも、北京基地の補給能力は必須なのだ。
機内で、アースイータとの戦況を確認。
他のチームが集めたデータも閲覧する。
どうやらコアの破壊はストームが一番乗りのようだ。それ以降は、他のチームも、コアは積極的に狙っているようだが。
しかし、まだアースイーターから、支配地域を奪還できたチームは出ていない。倒しても倒しても、お代わりが来るから、である。
地球を覆い尽くせる物量を用意するくらい、フォーリナーには朝飯前。
それを考えると。追加戦力の投入なんて、屁でも無いのだろう。
「次の戦いでは、コアを積極的に狙うが。 コアだけ破壊しても、いずれ力尽きるのは此方だな」
ストームチームのベテランを集めて、弟が軽く話をする。
ジョンソンはずっと黙っている。秀爺も、こういう場では、あまり積極的に発言はしない。
ほのかも、夫が何か言うまでは、黙っていることが多かった。
積極的に喋るのは、涼川とエミリーである。今回も、涼川が最初に口を開く。
「極東に戻るって事は、何か新しい任務か?」
「そうだ。 あの空間転移する輸送船の移動パターンが分かったらしい。 撃破を求められている」
「でも、あれ手強いわよ。 大きいし、頑丈だし」
エミリーが不安そうに言う。
陽気な彼女でも、今回の相手は、流石に不安を想起されるのだろう。好き勝手に空間を移動し、膨大な巨大生物をばらまいてくる相手なのだ。
「露出した内部には打撃も通る。 それに戦力をばらまいている間は、動きも止まる」
その間に、叩き落とせば良い。
今、弟と秀爺がライサンダーを使っているが。
この次の戦いからは。ナナコにも、ライサンダーを持たせることに決めたと、弟は言う。ナナコは戦闘特化の第三世代クローンだが。他の同種に比べて、著しく戦闘経験が豊富かつ多彩になっていて、戦闘力の上昇が著しいという。
現在、失った戦力を補うため、急ピッチで戦闘目的の第三世代クローン兵士が量産されているが。
ナナコの戦闘経験はいずれ睡眠学習か何かで抽出されて、他のクローン兵士に移植されるかも知れない。
「今のナナコなら、ライサンダーを問題なく扱えるはずだ。 大威力火器は、得意としているようだからな」
「いいのか、軍曹にそこまで危険な火器を渡して」
「構わない」
ジョンソンの苦言に、弟は即答。
口をつぐんだジョンソンに、更に言う。
「新人達は、近いうちに全員少尉になってもらう。 日高少尉に関しては、中尉に昇進して貰うつもりだ」
「実力的には、充分だな」
涼川が言うとおり、歴戦に次ぐ歴戦で鍛え抜かれて、もう彼らは新人ではない。充分な技量を備えている。
だが、流石に此処にいる世界最強クラスの猛者達に比べると、多少心許ない。ジョンソンは、更に言う。
「この機に、新人を引き受けるべきだと思うが」
「儂は反対だ」
不意に発言した秀爺に、皆が驚く。
秀爺は咳払いをするでも無く。蕩々と言う。
「これ以上部隊規模を拡大すると、身動きが取れなくなる。 今までも新人達を死なせずに鍛えられたのも、部隊規模が小さかったからだ。 今後は各人の能力向上と、武装の強化を図るべきだろうな」
「秀爺の意見に俺も賛成だ」
「……」
ジョンソンはそれ以上、何も言わなかった。
ヒドラが東京基地に着く。
久々の東京基地だ。着陸後、数時間は休憩とする。その間に私は弟とジョンソン、秀爺と涼川と一緒に、東京基地の司令部に出向く。
ヒドラで見せられていたが。
東海地方の一部、北陸の一部にアースイーターが飛来している。それに伴って、敵の攻勢が増している。
極東も、以前同様の苦戦に逆戻りだ。
巣穴を潰して、優勢になったと思ったのに。
これほど一瞬で戦況をひっくり返されるなんて。極東支部の幹部の顔には、そう書かれていた。
戦術士官が、データを持ってくる。
明日の夕刻。
アースイータの近辺に停泊している、新型輸送船に攻撃を仕掛ける。そのための、データだ。
会議で戦況を話し合い。
その後解散。
弟と一緒に、秀爺に夕食に誘われた。此処の寮は、ほのかの私物である料理道具が置いてあるから、時々夕食を振る舞ってくれる。
ナナコと日高少尉を誘う。
今回は鴨鍋だ。
しばらく味が染みた鴨肉を楽しむが。不意に、秀爺が言う。
「儂はああ言ったが、第三世代の戦闘特化クローン兵士なら、部隊に入れても良いかもしれないとは思う」
「確かに、それなら先ほどの発言での問題もクリアできますね」
「一郎。 はじめ。 どう思う」
「そうですね……」
少し考え込む弟。
私は咳払いすると、先に言う。
「現状で、味方の手が足りないのは事実です。 しかし、第三世代の戦闘特化クローン兵士は、ナナコを見るまでも無く、高い戦闘力を持っています。 他の部隊に、一人でも多く配備するべきでは」
「そうだな。 此方にはスペシャリストが既に足りている。 だが、もう一人か二人なら、兵力は多くても良いかもしれない」
「あなた」
「ん……」
ほのかに言われて、秀爺が席を外す。
寮の奧にあるメンテナンス装置に向かったのだ。メンテナンスと言っても機械用のものではない。
老齢の兵士用に、バイタルを確認し、調整する装置が用意されているのである。
現在、老齢の兵士は結構いる。その大半は、前回の大戦での生き残りだが。秀爺はその典型例だ。
フォーリナーからの鹵獲技術で老衰や老病の類から、人類は解放されたが。
それでも、時々メンテナンスをしないと危ない。
重度の末期癌になると、流石にどうにもならないからだ。
鴨鍋を食べ終えると、寮を後にする。
弟はそのまま帰ったが、私はシミュレーションルームへ。矢島と原田に頼まれていたのである。
今日も二時間だけ、二人の特訓を見る。
前よりも、戦果も挙がっている。二人とも、確実に強くなってきている。矢島のフェンサースーツの性能が向上したのが大きい部分はあるが。それ以上に、原田がじわじわと確実に強くなってきているのだ。
これは、ひょっとすると。
二人とも、近いうちに、相当な手練れに化けるかも知れない。
訓練を見ながら、私は思う。
ひょっとして。二人を守りながらでは無く。二人がベテランの側で支えられる腕に、近いうちになるかも知れない。
そうなれば、或いは。
まあ、過大な禁物は厳禁だ。
楽観が出来る状態には、とてもないのだから。
翌日。
ヒドラで現地に急行。マザーシップに焼き払われた町田の街に、敵の新型輸送船が滞空している。それを迎撃に行くのだ。
こんなに極東支部の近くまで、輸送船が出向いてきているのだ。
相手が如何に此方を馬鹿にしていて。しかも、それでいて油断していないかは明らかだ。挑発に乗って出てきたところを、全力で叩き潰すつもりなのは明白である。現在、EDFの極東支部が蜂の対応で彼方此方に部隊を派遣せざるを得ず、消耗したビークル類の整備もままならない状況を、完全に把握しているのだ。
ストームチームの戦闘力も、奴らは把握している。
だから、一隻だけ新型輸送船が停泊していて。
ただ此方を待っているのを見て。流石に苛立ちに私は舌打ちしていた。
「はじめ特務少佐」
ナナコに袖を掴まれたので、振り向くと。
レンジャー部隊が援護に来ていた。ただし一つだけである。人員は二十名。中には二人、ナナコと同年代に見える子供が交じっていた。
二人とも、間違いなく。第三世代の戦闘特化クローンだろう。
装備はそこそこで、アサルトライフルを中心に、スティングレイを持ってきている。レンジャーの標準装備だ。
「レンジャー11、支援に来ました」
「よし。 敵の能力は未知数だ。 我々と連携して、バイザーに転送したデータを参考に、冷静に戦って欲しい」
「イエッサ!」
先行していた弟が戻ってくる。
弟によると、周辺の地形は焼け野原のまま。中には、残り火が燻っている箇所まであるという。
敵輸送船は、やはりかなり大きい。
上空三百メートルほどに浮かんでいる奴は、多分此方を把握している。近づいてきたところで、構造を展開。一気に反撃を開始するつもりなのだろう。
弟が、レンジャー11の隊長も交え、軽くおさらいをする。
作戦自体は、事前に決めているのだ。
「今回、敵はかなりの大群を投下してくる可能性がある。 勿論処理は可能な限りの最速で行うが。 間に合わなくなる可能性がある」
「あの新型輸送船は、それほどの性能なのですか」
「一瞬で戦況を変えるほどだ」
実際には、其処までかは分からない。
今回叩き落とすことで、性能をしっかり把握する。相手の新型はいずれも強力無比だが。
それでも、人類は、簡単には奴隷になどなってはやらないのだ。
所定の配置につく。
レンジャー11の隊長が、私に声を掛けてきた。
「随分と密集しますね」
「すぐに分かる」
囮の涼川が、ジープに乗って近づく。涼川がまず、一発。ジープに積んでいる迫撃砲を、新型輸送船に叩き込む。
爆裂に、小揺るぎもしない。
無理もない。通常の輸送船だって、グラインドバスターでも無い限り、装甲は貫通できないのだ。
輸送船が展開を開始。
ドーナツ状の内部構造物が露出。
巨大生物が投下されると同時に、ジョンソンが飛び出す。
輸送船が投下したのは、黒蟻だが。その数が、生半可では無い。瞬時に辺りが、真っ赤になるかと思われたが。
ジョンソンが抱えているのはフュージョンブラスターだ。放出された膨大な熱量が、一気に黒蟻の群れに叩き付けられ、焼き尽くしていく。
だが。
蟻が、次から次へと投下され続ける。
「アサルトで支援!」
レンジャー11が、一旦照射を止めたジョンソンの支援に入る。大量の黒蟻が突進して来る中、下がりながら敵に弾幕を浴びせていく。
その間、弟は敵に信号発信器入りの弾丸を、叩き込む。
ライサンダーの弾丸も、秀爺とナナコが、数発打ち込み終えていた。
煙が流石に出ている。
携行式艦砲の火力は流石だ。不意に、虚空に消え去る敵輸送船。後に残るは、百を軽く超える黒蟻の群れ。
ジョンソンが零式レーザーを起動。近づく蟻を、見る間に薙ぎ払う。
レンジャー11の支援も的確で、確実に敵を打ち抜いていく。
だが。
また、虚空に輸送船。
しかも、今度は二隻同時。
一隻は先ほどダメージを与えた機体。もう一機は、新しい機体だ。すぐに展開を開始する敵輸送船。
だが、その瞬間。
先ほどダメージを与えていた輸送船が、固まる。
そして、爆裂した。
敵が出てくる位置を読み切っていたのだ。先ほどの発信器により、どう移動したかはすぐに分かった。
三発のライサンダー弾丸を同時に浴びれば、流石にひとたまりも無い。
炎上しながら落ちてくる敵新型輸送船。
弟は、凶蟲をばらばらと落としはじめた新しい方に、攻撃を集中。通信装置入りの弾を叩き込む事も忘れない。
しかし、である。
地面に直撃し、爆裂した輸送船から、大量の黒蟻がわき出してくる。
凶蟲も、一気に此方へ間合いを詰め始めた。
瞬時に包囲される。
涼川がジープで飛び出し、迫撃砲を凶蟲の鼻先に叩き込み。更にスタンピートを敵の群れの中にぶち込む。
煙幕が張れないうちに、私が突貫。
ハンマーを振るって、敵を粉砕し、吹き飛ばす。
後方にいる部隊は、支援射撃を続行。ネグリングは誘導ミサイルで、敵の群れを打ち据え続けた。
敵新型輸送船が、移動しない。
ライサンダーの弾を浴びながらもその場に留まり、ぼとぼとぼとぼと、大量の凶蟲を叩き落としていく。
百。
二百。
三百。
レンジャーチームが、悲鳴を上げる。
「何て数だ!」
「元を断つ」
相手が空間転移を止めたことを悟った秀爺が、イプシロンに飛び込み、一撃を叩き込む。二隻目、轟沈。
爆裂し、凶蟲の残骸をばらまきながら、落ちていく。
だが。
敵の猛攻は、それでは終わらなかった。
今度は一度に三隻同時だ。
「秀爺、輸送船を任せても構わないか。 俺は通信弾だけ叩き込む」
「任せろ」
私は、やりとりを聞きながら、前線で暴れ狂う。
私が少しでも削れば、皆の負担が減るのだ。
至近に飛び降りたのは、エミリーだ。一撃離脱で、確実に凶蟲を打ち倒して行く。三川は後方から、ミラージュで支援。
溢れるばかりの巨大生物を、迎え撃つ。
「ヒャッハア! 好き勝手に暴れ放題だぜ!」
ジープで走り周りながら、涼川はスタンピートでグレネードを撒き続けた。本当に楽しそうで、苦笑いが零れてしまう。
新しい三隻の輸送船は。
黒蟻、赤蟻、凶蟲を、それぞれ大量にばらまきはじめる。
このままでは、町田は巨大生物に覆い尽くされる。
一隻目が、轟沈するのが見えた。
赤蟻が突進してくる。火力を集中して押さえ込むが、黒蟻と凶蟲が、その隙に後ろに回り込んでくる。
赤蟻は装甲を利用して。
黒蟻と凶蟲は機動力で。
包囲を確実に縮めてくるのだ。
乱戦が続く。
レンジャー11の隊員が、次々にキャリバンに運び込まれる。筅のベガルタも既に前衛に出てコンバットバーナーを振り回しているが、的確な機動戦を行ってくる凶蟲と黒蟻は、明らかに以前より動きがよい。
此奴らも、進化を続けていると言うことか。
上空。
バゼラートがきた。ミサイルを叩き込み、地上にいる凶蟲を吹き飛ばす。だが、輸送船のドーナツ状構造の上から姿を見せた凶蟲が、一斉に糸を放出。
ガツン、ガツンと鈍い音。
数が数だ。避けきれない。
谷山が、通信を入れてくる。
「距離を取ります。 武運を」
二隻目の輸送船を落とす。
しかしその時には。既に五百を超える敵が、此方を包囲していた。しかし、である。
今度は四隻、同時に輸送船が出現。
流石に絶句する此方だが。嘲笑うように、巨大生物を回収すると。元から何もいなかったかのように消え失せた。
破壊された五隻の新型輸送船の残骸も、徹底的に打ち砕かれていて、見る影も無い。これはひょっとして。
破壊されるとき、テクノロジーや資源を渡さないように、内側から自壊するのか。
フェンサースーツの状態を確認。
アーマーは七割方削られていたが、まだ動く。輸送船の側に歩み寄っていくと、弟が通信を入れてきた。
「姉貴、気をつけろ」
「ああ、分かっている」
すぐ側に立つ。
残骸はまだ煙を上げている。全長は百五十メートル以上という所か。空間転送機能は、何処についているのだろう。破壊された部分に装備されていたのだろうか。その可能性が高そうだ。
装甲部分は無事なところが多い。
特に外殻部分は、ほぼ原形をとどめていた。
この新型が、どれだけ頑強かという良い証拠だ。今までの輸送船は、イプシロンのレールガンを叩き込んでやれば大体一発で落ちたのに。この新型は、ライサンダーの集中砲火にさえ耐える。
元々の頑強さが、尋常ではないのである。内部構造でさえ、その例外ではない。
反射的に、ハンマーを構えたのは。
まだ生きている機能に気付いたからだ。カメラのようなものがついている。此方を見ていると判断したので、その場で叩き潰した。
ため息が漏れる。
壊さずに、残すべきだっただろうか。
いずれにしても、ストームをおびき出して、戦力を測るためだけ。そして新型との性能比を確認するためだけに、奴らが仕掛けてきたことが、これではっきりした。
奴らは、これでどれだけの新型を投入すれば、ストームを押さえ込めるか理解したはずだ。今後の戦略は、更に厳しいものとなっていくだろう。
すぐに、回収部隊とスカウトが来たが。
彼らも、おそらく気付いているのだろう。あまりもう、長い間は、戦線を維持できないと。
だからか、作業は何処か、投げやりに見えた。