地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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4、無力感との戦い

レンジャー11は四名を失い、残りも全てが負傷していた。キャリバンを繰って、日高少尉が急いで東京基地に運んでいく。

 

かくいう私も、アーマーは全損。

 

フェンサースーツにもダメージが大きい。私自身も、久々に酷い疲労を感じていた。

 

ヒドラが来て、傷ついたビークルを収納していく。池口が、忸怩たる顔をしていた。今回の戦いで、ネグリングの制圧能力に露骨な問題が出てきたからだ。青ヘクトルもそうだが、新型の強力な装甲には、今までのネグリングの火力では対抗できない。

 

池口の存在意義だった制圧火力が発揮できないとなると。

 

今後の戦いでは、かなり厳しくなる。

 

弟が、負傷者の状態をチェック。大金星を挙げた原田も、負傷していた。最後の一機のガトリング弾が、アーマーを瞬時で溶かしきり、ダメージを通したのだ。幸い命に別状はないが、今は医師の診察を受けさせている。

 

私も診察を受ける。

 

ベガルタはダメージが甚大。せっかくの新型なのに、それでもあの状況だ。通常のヘクトルだったらゴミのように引き裂けただろうに。青ヘクトルが相手だと、せいぜい二体を相手にするのがやっとだ。

 

惨状を見て、弟は舌打ち。

 

ヒドラの病室から出てきた私は、腕組みした。

 

「荒れているな」

 

「荒れずにいられるか。 こんな小規模作戦で、あれだけ勇敢に戦ってくれた味方にまで、死者を出してしまったんだぞ」

 

レンジャー11の隊長は、生き延びたが意識不明。

 

彼処で彼らが踏みとどまってくれなければ、被害はもっと大きくなったはずだ。応えることは出来た。しかし、それでも。この損害は、見ていて忸怩たるものを覚える。その気持ちは、嫌と言うほど分かる。

 

不意に、三島が空気を読まない通信を入れてくる。

 

「戦勝ご苦労様ー。 データは早速貰ったわ。 ちょっとあの青いのの相手は今までの装備じゃきつそうねえ」

 

「わかりきったことを言うな」

 

黙り込んでいる弟に変わって、私が代わりに応える。

 

弟が本気で機嫌が悪いときは、私以外には極端に無口になる。香坂夫妻には、愚痴を言うこともある。

 

「ちょっとまずい事が分かったかも知れないのよねえ」

 

「……なんだ」

 

「アースイーターの分布を見て」

 

画像が転送されてくる。

 

現在、アースイーターがどれだけ拡がっているか、だ。世界中の至る所にアースイーターは領土を広げており、EDFはそのいずれも、破壊できずにいる。何度か行われた作戦も、悉く失敗。

 

物量が違いすぎるのだ。

 

「此処を見て欲しいのだけれど。 中国にある二つの巣穴を、アースイーターは防御していないの。 それなのに、オーストラリアの巣穴は、防御している」

 

「……!」

 

「無理をしてでも、オーストラリアの巣穴に対する攻撃を検討するべきかも知れないわよー。 得体が知れないアンノウンがいるって話だし」

 

三島が通信を切る。

 

そうか、しまった。私が呟くのを、弟は冷静に見ていた。

 

アースイーターが現れてから、敵の戦略が変わったことは分かっていた。端々の戦略については理解が及んでいた。しかし、その根本的意図が読めなかったが。これで、読むことが出来た。

 

おそらく敵は、オーストラリアにいる何者かの大規模繁殖を行っている。

 

EDFを一息に叩き潰すために。

 

EDFの継戦能力を奪った後は、戦況を完全にコントロール下に起き、人間という種族と、そのアンノウンの殺し合いを泥沼化させるつもりだ。勿論、相手に都合が良い範囲で。

 

はじめて敵の戦略を読んだが。

 

頭に来るのは、それを理解できても、どうしようもない、という事だろう。

 

オーストラリアは既に半分以上がアースイーターに覆われていて、巣穴があるのはその中心。

 

もっと小規模なアースイーターでも、ストームを追い返すほどの戦闘力を持っているのだ。

 

多分、EDFの全戦力を投入しても、返り討ちに遭う。

 

戦略面で、敵は常に上を行っている。

 

戦略を理解したとしても、相手の隙を突くすべが無い。

 

詰め将棋に似ているかも知れない。相手がどう動くか分かっていても、此方にはもはや、なすすべが無いのだ。

 

もしも、術があるとしたら。

 

「アースイーターを破壊するしかないのか」

 

「どうやって」

 

「分からない。 ただ、もしも逆転の好機があるとすれば、まずアースイーターをどうにかしなければ」

 

もう遅いだろう。

 

敵の戦略は、確実に進行している。ストームや他の精鋭に嫌がらせをしているのも。わざと中国の巨大生物の巣に隙を作って、攻撃を誘っているのも。何もかも、分かった上での布石だ。

 

しかも蜂による全世界の損害を考えると、叩ける巨大生物の巣は叩かなければならない。

 

叩けば当然更に損害は増える。

 

それを分かった上で、敵はわざと攻撃できるように放置しているのだ。

 

敵の戦略手腕は、全く衰えていない。

 

一度東京基地に戻る。

 

部下達を休ませた後、弟と一緒に司令部に。

 

日高司令に、今の考えを話しておく。

 

流石に前線の猛将も、それを聞いて口をつぐむばかりだった。

 

「もはや、なすすべが……」

 

「貴方がそれでは、部下の士気に関わります。 敵の戦略を崩すには、大本になっているアースイーターをどうにかするしかありません。 何か、対抗策を全力で練るように、研究班を総動員してください」

 

「そうだな。 それしか、人類が生き残る術は無さそうだ」

 

日高司令が、小原に通信を入れる。

 

これから小原は徹夜が続くだろう。ただし、希望もある。EDFの科学陣は有能だと言う事だ。

 

武器の改良についても、今全力で取り組んでくれているはず。

 

敵の新型は、今までのEDFの兵器では、相手するのが厳しい。弾丸だけでも、どうにかして改良しなければならなかった。

 

全ての用事が済んだ後は、寮に戻って休む。

 

無言で私はカプセルに入って、其処でしばらく無心に過ごした。

 

詰め将棋は容赦なく進行している。

 

敵の戦略を崩す手段が、今のところ無い。もしもEDFが完敗した場合。人類はフォーリナーが満足できる進化を果たすまで、延々と戦闘用奴隷としての生活をする事になる。その後はどうなるだろう。

 

技術は大いに進歩したが。

 

人類そのものは変わっていない。

 

宇宙にいる他の種族に認められるだろうか。もし認められなければ、やはり太陽系からさえ出られないかも知れない。

 

人類は。

 

結局、この星から出られない器なのだろうか。

 

地下の彼奴は、どうしてこんな種族に手を貸した。分かっている。憐憫からだ。憐憫を不快に感じるのは簡単だが。

 

私は一旦ネガティブな思考を切る。

 

今は、生き延びることが最優先。

 

そして、勝つためには。勝つための切り札であるストームが、どうやって今後戦っていくか。考えていなければならなかった。

 

 

 

(続)




立て続けに繰り出された新型兵器に加え、どうしようもない脅威であるアースイータ。

EDFは早急にこれへの対策をしなければならなくなります。

まだ継戦能力が存在しているうちに。
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