地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
文字通り制空権を完全掌握する恐怖の兵器によって、どうにか戦えていたEDFは一気に劣勢に追い込まれる事になります。
しかもそれだけではありません。
遊びは終わりだとばかりに、戦略的に追い詰めてくるフォーリナー。
目的通り、人類の力全てを絞り取りに掛かって来ています。
序、迫る蟲の群れ
山梨にある防衛ラインに、北部および西部から敵が迫っていると連絡。此処を抜かれると、四つ足が高所に陣取り、関東へと砲撃を行う事が可能になる。今までは、南部だけを警戒していれば良かったのに。
現在、東海地方に陣取ったアースイーターが、制空権を強奪。
無数の輸送船が、巨大生物を彼方此方にばらまいており、それらに対する作戦行動で、EDFは疲弊を癒やす暇も無かった。
ストームチームにも、当然攻撃の指示は来る。
長野県から西進してくる巨大生物の群れが特に数が多く、しかもシールドベアラーの護衛付き。
これを撃破して来いと言うのが、今回の作戦だ。
青いヘクトルの軍団と戦って二日と経っていない。
敵は戦闘を継続的に実行しながら、確実にEDFの力を削いでいる。要所に展開したアースイーターは各地の基地を潰した後は、じわじわと勢力を拡大。シェルターの中には、脱出できず、アースイーターの中に取り残されてしまったものもある。安否は分からないが、ジェノサイド砲も装備しているアースイーターのただ中に取り残されてしまって、救助は難しい。
生存も、絶望視されていた。
ヒドラで現地に急行。
戦場辺りは高地で、夏も涼しい。避暑には丁度良い環境なのだが、巨大生物がいるのではどうしようもない。
敵の中には多数の蜂も含まれていて、放置する訳にはいかない。
現地に到着する途上。
北米に一旦引き上げたペイルチームのその後について聞かされた。
戦術士官は、淡々と言う。
「ペイルチームは、一旦再編成に入りました。 リーダーの負傷もそうですが、人員の大部分を飛行型巨大生物との戦いで死傷したのが理由です」
「そうか……」
ウィングダイバーの最精鋭も、相性が悪い蜂ではどうにもならなかった。ましてや相手がアンノウンだったのだから、仕方が無い部分もある。
蜂との戦闘は各地で激化しており、少しずつ弱点も洗い出されはじめてはいるが。黒蟻より若干低い程度の装甲は、充分に強固。
攻撃ヘリが数百同時に襲って来るも同様のこの敵相手には、地上軍中心のEDFは、どうしても苦戦を隠せなかった。
事前に展開していたスカウトから連絡が来る。
敵はゆっくり西から東へと移動を続行。
黒蟻と赤蟻がそれぞれ二百ほど。そして蜂が、その後方。三百ほどが、控えているようだった。
シールドベアラーは、蟻を守るようにして、歩き続けている。
巨大生物は、鈍足のシールドベアラーにあわせて、機動しているように見える。そうスカウトは連絡してきていた。
ヒドラの機内で、全員にメディカルチェックを受けさせる。
連戦の疲弊もある。
誰の体に病魔が巣くっていてもおかしくは無いし。
何より、負傷が致命傷につながる事も、否定は出来ないのだ。だから、慎重すぎるほどに、診察する。
医師は一応、全員に合格をくれたが。
あまりいい顔をしなかった。
同じヒドラに乗ることはほぼない。だから同じ軍医に掛かることは滅多に無い。それなのに、反応は似ている。
どのヒドラも、凄まじい過重労働の中にいる。勿論蜂による全世界の苛烈な攻撃が行われている上、制空権がかなり怪しくなっている今。撃墜されるヒドラも出てきている。
ヒドラは浮かぶ基地という風情の、強力な大型輸送ヘリだが。
それでも、落ちるときは落ちる。
ストームチームは夥しい戦果を上げている反面、覚悟を決めてヒドラに乗っている軍医の間では有名な存在だそうで、滅茶苦茶な過重労働の中、いつも全員が怪我をしたり酷い労働の末に戻ってくる。
誰もが思うそうだ。
此奴らは、いつか死ぬ。
昔と違って、医療技術は著しく進歩している。処置さえすれば、手足が無くなったくらいでは、内臓が一つ二つ欠けたくらいでは、人はまず死なない。
だからこそ、医師は色々と思うところがあるのだろう。
ヒドラから出て、全員整列。ブリーフィングする。
シールドベアラーへの対抗策は分かっている。一撃離脱して、破壊。問題は分厚く巨大生物が周りを固めている事。
特に後衛にいる蜂が厄介だ。
一旦先に行かせて、後方から奇襲を仕掛けるのが一番だが。しかし斥候の黒蟻がかなりの数周囲を徘徊しており、簡単にはいきそうにない。
それに、このまま放置していると。
また兵力増強をはじめた山梨の防衛ラインに、敵が接触する。ただでさえ南部からの圧力がまた強くなってきているのに。打撃を受けることは、好ましくない。最悪、奇襲にさえつながる。
真正面からやるしか無い。
木々が生い茂る山中での機動戦だ。
戦いが激しくなるのは、目に見えていた。
展開が終わると、連絡が来る。
レンジャーチームとウィングダイバーチームが一つずつ、支援に来てくれるという。有り難い話だ。
敵の数があまりにも多い。一部でも引き受けてくれると助かる。
ただし、支援に来るまで二時間近く掛かるとも。
広域に展開している敵を、そろそろ放置するのが好ましくない状況だ。途中で、増援として戦場に乱入して貰うのが好ましいか。
シールドベアラーは三機。
此奴らを先に破壊する。
タイミングを決め、そして不意に動く。
突貫したはじめ特務少佐。
敵が反応する寸前に。全員での一斉攻撃を開始する。
私、池口吉野のポジションは、いつも通り最後衛。ただし蜂の攻撃を警戒して、みんなとそれほど離れずにいる。
ネグリング自走ロケット砲から一斉にミサイルを放ち。
それが着弾すると同時に特務少佐が敵陣に突っ込む。全員でその支援だ。涼川中佐は相変わらず高笑いしながら、スタンピートを敵陣に叩き込んでいて。見る間に森が炎上していく。
更に其処へ、バゼラートのミサイルと、ウィングダイバー二人のミラージュ。それに黒沢君と原田君のエメロードから放たれたミサイルが直撃。
黒蟻達が、一気に吹っ飛ぶ。
だけれど、敵はおぞましいほど冷静。
隊形を崩さず、はじめ特務少佐を包み込みつつ、ばらばらに散らばって一斉に此方に向かってきた。
「散って来やがったな」
「蜂、浮上! 来ます!」
日高先輩が叫ぶ。
予定通り、全軍攻撃を続けながら後退。しかし、動きにくい山の中。どうしても、敵の方が足が速い。
ましてや蜂は、ヘリ並みの速度で飛べるのだ。
包囲に掛かってくる敵を、射撃して撃退しながら、必死に下がる。私は蜂だけを狙えと言われている。だから、必死にミサイルを撃ち続けるけれど。何しろ蜂の数が数。どうしても防衛網を抜かれる。
ストームリーダーが蜂を次々に落としてくれるけれど。
それでも、どうしても限界がある。
至近。
蜂が来て、毒針を大量にはなってきた。必死にネグリングをバックさせて、直撃は避けるけれど。
それでも、装甲が厚いとは言えないネグリングのダメージが、確実に積み重なっていく。
向こうで、一機目のシールドベアラーが潰される。
突入したはじめ特務少佐が、至近からガリア砲をうち込んだのだ。勿論集中攻撃を受けている。支援もしなければならない。
しかし、敵は此方を包囲しつつ、大胆に攻撃を仕掛けてきている。
このまま削れる。
そう判断しているのか、或いは。
「北部に、新たな敵部隊出現」
近くにいるスカウトが連絡をしてくる。
どうやら数百規模の巨大生物が、長野の北部に出現して、そこから急速に南下しているらしい。
明らかに、ストームチームの動きを見てのものだ。
ストームリーダーが、アサルトで近寄る黒蟻を薙ぎ払いながら、通信を入れる。前衛で暴れているベガルタと涼川さんでも、そろそろ抑えきれなくなってきている。それだけ敵の攻撃が苛烈なのだ。
「レンジャー4,ウィングダイバー9」
「此方レンジャー4」
「此方ウィングダイバー9。 どうしました、ストームチーム」
「敵の別働隊が、急速に山梨の防衛ラインに接近中。 貴官らはその足止めを行って欲しい」
イエッサ。それだけ言うと、二部隊は此方から離れていく。
ハンマーを振るって敵部隊を叩きながら下がっていたはじめ特務少佐が、キャリバンに飛び込む。
アーマーを変えるのだろう。
キャリバンに据え付けられているセントリーガンは稼働しっぱなしだ。蜂に囲まれないように巧妙に立ち回っているバゼラートも、そろそろミサイルが尽きる。蜂は波状攻撃を繰り返しながら、確実に此方の隙を狙ってくる。
また、ネグリングの至近に一匹。
だが今度は、香坂夫妻が即応してくれた。
ハーキュリーの弾を浴びて、撃墜される蜂。
冷や汗が流れる。
敵の攻撃は苛烈を極める。もし取り残されたら、即死確定だ。
飛び出したジョンソンさんが、零式レーザーで敵の密集地帯を瞬時に焼き払う。それでも、敵が散らばっている分、効果は薄い。
また、スカウトから連絡が来る。
「黒蟻およそ二百、ストームチームの戦闘地域に接近!」
「増援か」
キャリバンから出てきたはじめ特務少佐が、また敵に突っ込む。
シールドベアラーを狙って、一直線に。
アースイーターが現れてから、敵が其処から無限に沸いてきているのでは無いかと、錯覚してしまう。
この間聞かされた、敵の話は。
正直頭があまり良くない私には、よく分からないところも多かったけれど。
分かるのは、敵があまりにも巨大で、強大だと言う事。
怖いのも事実。
でも、戦わないと。殺されるか、殺されなくても奴隷にされてしまう。
異音。
バックしようとしたら、大きな岩に引っかかったらしい。何度か試みるけれど、上手く抜けられない。
味方はどんどん下がってくる。
「池口、どうした。 擱座か」
「いえ、その。 岩に引っかかって」
「少し進んで、ルートを変えろ」
そうか。でも、その分味方の後退が遅れる。必死に前進して、前にいるキャリバンに衝突しそうになる。
でも、冷静に日高先輩がキャリバンの機動をずらしてくれて、衝突は避けることが出来た。
さっきと同じルートは避けて、バック。
その間も、ミサイルは放ち続けた。
「一部の敵が戦域を離脱! 南部から山梨の防衛網を目指しています!」
「谷山、対応します」
戦況がめまぐるしく代わる。
蜂は一旦後ろに下がって、攻撃の好機を狙っている様子。その間も、凶蟲や黒蟻が、果敢に攻めこんでくる。
撃退し続けるけれど、きりが無い。
どっと迫ってきた黒蟻が、一斉に酸を浴びせてきた。キャリバンがかなり危ない。ベガルタも、もう相当に危険なはずだ。
でも、ストームが負けたら。
山梨が一気に敵の大攻勢に晒される。南部が危ない今、此処で引いたら、山梨は落ちて。関東全域が危険になる。
不意に、敵が攻撃を止める。
一旦味方も、後退を停止。
大挙して、敵が移動しはじめた。それも、北部に向かって、だ。
「敵、レンジャー4、ウィングダイバー9を狙っていると思われます!」
「弱点を全力で突く。 巨大生物らしいいやらしさだ」
日高先輩の冷静な声に、ストームリーダーはそれ以上に冷静に応えていた。蜂の群れが、もの凄い勢いで北に飛んでいく。他の巨大生物は散開しながら、めいめい山梨の戦線を狙って動き始める。
巨大生物を疎かにすれば。
二つのチームが、蜂の大群の猛攻を受ける。
三つ目のシールドベアラーが破壊されるのが見えたけれど。
今更その程度で、戦局は変わらない。
ましてや今、空軍は他の地域の支援で手一杯だ。
「涼川、筅、三川」
「ああ、任せとけ。 こっちはあたしらで対処する。 筅はそのまま暴れてろ! 三川、お前は自己判断だ! ミラージュで敵を足止めしながら、レーダーをよく見て、敵から距離は適切に取れ!」
はじめ特務少佐も、此方に残る。
ストームリーダーは、敵の別働隊と交戦中のレンジャーチームとウィングダイバーチームに、警告を出すと。
其方に合流すべく、残りの全員を北上させる。
蜂の足は速いけれど。
レンジャー4とウィングダイバー9が冷静に南下しながら戦えば、完全に包囲される前に、合流は出来る筈だ。
機動戦を仕掛けてくる敵との、激烈な戦いが一段落したのは、夕方だった。
敵はこれ以上の戦いを続けても突破は無理と考えたのだと思う。ある程度戦った後、何の未練もないように、引き上げていった。
敵の支配地域である、アースイーターの下に。
追撃は出来ない。
あのアースイーターと戦うのは、とても無理。何か対策がされていないと、兵力を失うだけ。
それは、私にも、嫌と言うほど分かっていた。
何より、味方の状態が限界だ。
ネグリングはぼろぼろだ。
ずっと一緒に頑張って来た愛騎だけれど。分かっている。今のままの火力だと、力不足。
青いヘクトルや、あの恐ろしい三本足の敵には、とてもかなわない。巨大生物だって、一発では倒せるか怪しいのだ。たくさんミサイルを連続して放ち、高い誘導性能を持っていると言っても。限界がある。
ヒドラに戻ると、みんな疲れ切っていた。
この間片腕を失ったベガルタは、応急処置で頑張っていたけれど。ヒドラに格納されるときは、アーマーも全損して、機体の損傷がかなり酷かった。このままだと、破壊されかねない。
筅ちゃんが降りてくるので、声を掛ける。
ちっちゃくて可愛い筅ちゃんは大好きだ。
ただ、ベガルタに乗っているときは、いつもと人が変わったように、乱暴になっているけれど。
「筅ちゃん、大丈夫?」
「はい、私は……。 こんなに強いベガルタを貰っているのに、活躍できなくて、とても心苦しいです」
「筅ちゃんは活躍してるよ。 私は、ね」
ネグリングの火力不足は深刻だ。
ただでさえ、ストームはよい装備を廻して貰っている。このベガルタにしてもそうだし、空で戦っているバゼラートもそう。
武器類だって、最新鋭のものが廻ってきている。他のチームが、時々口惜しそうにしていることだって、知っている。
ストームは精鋭だけれど。
新人の実力は、それほど凄いわけじゃ無い。
そんな事は分かっている。
だから、ネグリングの新型が貰えるなんて、私は思っていない。今のネグリングをどう活用するか、もっと考えて行きたい。
修理班の人達が、忙しく走り回っている。
殆どがオートメーション化されていても。
やはり人力が必要になるのも、こういった場所での約束なのだ。
「ネグリングに故障発見!」
「ああ、戦闘で蜂の攻撃喰らってたからな」
思わず、其方を見てしまう。
私がもっと上手に操作できていたら、避けられたのだろうか。悲しくて悔しくて、首を縮めてしまう。
夕食にして、寝て休んでいる間に、ヒドラは一旦東京基地に帰還。
一緒に戦った二つのチームも、同じヒドラで帰還した。やっぱりというかなんというか、二つのチームの方が損害が大きい。
東京基地につくと、すぐに病院に搬送されていく人もいた。
もっと早く、私が敵をたくさんやっつけていたら、あの人達も怪我をしなくて済んだのだろうか。
そう思うと、つらい。
東京に着くと、解散になる。
その前に、ストームリーダーが、声を掛けてきた。
「新型のネグリングが来るが、操作して貰えるか」
「え……」
「まだ実戦配備されていない機体だ。 クラスター弾を発射する仕組みを採用していて、一気に四十の敵を同時に攻撃できる。 ネグリングの操作に慣れてきた池口軍曹には、丁度良いと思うのだが」
「分かりました」
願っても無い好機の筈なのに。
私はどうしても、喜べなかった。
もっとこれで活躍できると喜ぶべきなのに。
どうしても、足を引っ張ってしまうと、心の何処かで思ってしまっていた。